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スクープ!いつのまにか、やられていた 中国に「買われていた」ニッポン企業驚きの50社その実名 BBT大学教授 田代秀敏と本誌取材班
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34787
2013年02月07日(木)週刊現代 :現代ビジネス
まるでシロアリがヒタヒタと母屋を蝕むように―あなたの周りの会社も、いつのまにか中国政府に買われている。本邦初の本格調査で分かった、日本企業はここまで「危険な隣国」に買われていた!
■3兆円を動かす"幽霊株主"
米国発の金融危機が世界に影響を及ぼしていた'08年、名義に「チャイナ」という言葉が入った信託投資口座が、ソニーなど日本の複数の大企業の大株主に名前を現した。その口座が保有する日本株は、'09年3月末に13社、時価総額1556億円であったのが、その3年後の昨年3月末には172社、3兆5811億円に急拡大した。これは各社が発表する有価証券報告書に記載されている大株主上位10傑を拾ったもので、実際には、さらに多くの会社の株式を保有していることは想像に難くない。
その信託投資口座は、「SSBT OD05 Omnibus China Treaty 808150」(以下「OD05」)という名義であり、オーストラリア・シドニーの住所に登記されている。'09年9月に名義から「チャイナ」が消え字句が若干変わったが、住所は同じである。
「OD05」に大量の株を買われたある日本企業のIR担当者が証言する。
「『OD05』は日本株に集中投資している大株主のくせに、日本企業に対して何の要求もしないし、株主総会の議決権も行使しません。また、こちらからシドニーの住所に書簡を送っても、なしのつぶて。まさに"幽霊株主"なのです」
不気味に思ったこの担当者は、実際にシドニーへ出張して確認に行ったという。
「その住所はある雑居ビルの一室で、入り口のドアは閉ざされたままでした。ノックをしても人の気配がありません。郵便受けが空になっているところを見ると、郵便物は他所に転送されているようでした」
尖閣危機の直後である昨年9月末、「OD05」が株式を保有する日本企業は、その半年前より1社増えて173社。時価総額は株価下落を受け3兆406億円となった。
日本株を3兆円以上も保有しておきながら、その正体が不明とは不気味である。
ところが、「OD05」の正体が、今年に入ってついに明らかになったのだ。
1月7日付の中国各紙は、次のような記事を載せた。
〈ドイツの自動車会社ダイムラーは、4~10%の株式を、CICに売却する交渉を進めている。CICはすでに、'11年3月末に、日産自動車の株式の1・17%を取得して第9位の大株主となっている。また、同年9月には、ホンダの株式の2・12%を購入し、第7位の大株主となった。CICは'11年3月末の時点で、123社の日本企業の株式を計2兆円以上保有している〉
この記事にある「CIC」の株主保有状況は、ほぼ完全に「OD05」と一致する。「OD05」なる幽霊株主の正体は「CIC」だったのである。
CICは、'07年9月29日に、その時点で1兆4086億ドル(当時の為替レートで161兆5664億円)に達していた世界最大の中国の外貨準備から2000億ドル(当時の為替レートで17兆7630億円)を拠出して設立された、中国国務院の監督のもとで資産を運用する国策投資会社である。中国名は、中国投資有限責任公司だ。
CICは'12年6月末時点で405名の職員を擁している。そのうち博士号取得者が334名は、海外勤務経験者が165名、留学経験者が224名、外国籍の者が44名である。外国籍の者はファンド・マネージャーとして雇用されていると考えられる。日本の金融機関が学部卒ばかりで大学院卒がほとんどおらず、留学経験も海外勤務経験も無い者が圧倒的な多数を占めているのと対照的だ。
CICは設立の3ヵ月後に、米国を代表する投資銀行モルガン・スタンレーに56億ドルを投資し、世界を驚愕させた。'10年11月に香港で「CICインターナショナル」を設立し、香港のオフショア市場を活用して国際投資を活発化させている。
CICは、'11年末時点で、4821億6700万ドル(42兆8237億円)の資産を運用している。これはノルウェーの政府年金基金グローバルの6643億ドル、アブダビ投資庁の6270億ドル、中国の中央匯金投資有限責任公司(中央匯金)の5679億ドル、サウディ・アラビアの金融庁外国ホールディングスの5328億ドルに次ぐ世界第5位の規模である。CICの親会社である中央匯金が、外貨準備を平均相場に沿ってパッシヴ(受け身)運用するのに対して、CICは外貨準備を高い収益狙いで多元的にアクティヴ(積極)運用する点が異なっている。
CICの投資のほんの一端を示せば、次のようになる。すべて'11年分の投資である。
○カナダの石油・天然ガス採掘会社であるサンシャイン・オイルサンドの株式の7・43%を1・5億カナダドルで取得。
○英国の水資源関連大手であるテームズ・ウォーター・ユーティリティの株式の8・68%を2億7600万ポンドで取得。
○フランスの石油・ガス会社GDFスエズの株式の30%を3150億ドルで取得。
○ロシアの金会社であるポリウス・ゴールドの株式の5%弱を4億2450万ドルで取得。
まさに、世界最大の外貨準備を使って、世界中に投資しまくっているのである。投資する国も業種も多岐にわたるが、長期間にわたる利益が見込まれる優良企業の株式を取得していることが分かる。また高西慶総経理(社長)が全国社会保障基金理事会の出身であることから、中国の急速な高齢化による社会保障負担の増加を対外投資からの収益で賄おうとしていると思える。
そんな中でも、特に目を付けて買い増しているのが、日本企業というわけだ。
ではなぜ、堂々とCICとして日本株に投資せずに、OD05などというトンネル会社を使っているのか。
これについて、'08年2月に来日したCICの高西慶総経理が、意味深なコメントをしている。
「CICの対日投資の原則は、投資を政治問題にしないことである。かつわれわれは、日本企業1社あたりの株式を、20%以上購入することはない」
つまり、CICの対日投資の目的は、あくまでも純粋な資産運用であって、企業買収や経営への参入などではない。しかし「中国」が前面に立つと日本からあらぬ誤解を受けるので、頭を隠しているというわけだ。
だがそれは鵜呑みにはできない。なぜなら「中国が100年経っても追いつけない」日本の最先端技術を、喉から手が出るほど欲しいに違いないからだ。
■日本経済の破壊も可能
その昨年3月から9月にかけての、OD05=CICの保有株式数の増加率に注目し、1位から50位まで列挙したのが、最終ページからの表である。1位の全日空に始まり、建設、鉄道、電機、食品など、幅広い業界の有力企業に狙いを定めていることが分かる。
なぜこれらの株を買い進めたのかという推測を、表に付記した。全般的に言えるのは、中国がいま必要な技術・ノウハウ・国際的な販路・ブランドなどを持っていて、長期的な利益が見込める企業ということである。例えば、電圧が不安定な上に停電が頻発する中国の電力事情を考えれば、高品質の電力を供給する日本の電力会社の株式を買い進むのは当然である。また、サービス産業の育成を目指す中国にとって、東アジア全域から集客する東京ディズニーリゾートを経営するオリエンタルランドの株式を買い進む理由も分かる。
今回、これら50社にCICが株式を買い進めていることへのコメントを求めた。その結果、「回答を差し控える」という回答が最も多く、36社に及んだ。
CICが買い増しに来ていることに対して、「影響がない」(大塚HD)、「多くの投資家の中の1社と考えている」(スズキ)、「静観している」(住友不動産他)という静観派も少なくなかった。
だが、資生堂のように「株式の売買状況は常に注視している」とホンネを吐露した会社もあった。上場企業が株主の売買状況を注視するのは、当然である。ましてや、中国政府が実質的な株主とあっては、なおさらであろう。
今回の調査は、尖閣諸島の問題が本格化した直後の、昨年9月末までで終わっている。だがその後、日中間の摩擦が日増しに激しさを増していったことを考えれば、中国は単純な、短期的な利ザヤ目的の投資ではなく、より自国の国益にかなった戦略的投資を行ってきていると見るべきだろう。
例えば、原発プラントを造っている三菱重工や、軍用機にもその技術が応用できる旭硝子などは、より一層、買い増しているかもしれない。その他、空母や原子力潜水艦を製造するのにどんな技術が必要かを類推していけば、どの日本企業の株を買い占めるべきかは、自ずと見えてくる。
いまは単純な投資目的かもしれないが、中国がいったんその気になれば、日本経済を壊滅させられるほど"浸水"しつつあることを、われわれは知っておくべきである。
中国投資有限責任公司(CIC)が大株主となっている日本企業
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「週刊現代」2013年2月9日号より
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