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中国、マネーサプライ急増が意味するものとは?:世界総量の1/4・米国の1.5倍・GDP同等規模日本の1.7倍
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/200.html
投稿者 あっしら 日時 2013 年 2 月 04 日 16:01:30: Mo7ApAlflbQ6s
 


 中国におけるマネーサプライの急増に関する記事の結論は、「投資効率が明らかに低下している事実が窺える。資金で経済成長を推進する発展モデルはますます行きづまりつつあり、資金に頼る経済けん引を望むのはやめたほうが良い」というものだ。

 「資金で経済成長を推進する発展モデル」というのは、輸出や個人消費の増加そして設備投資を牽引とするのではなく、政府部門の公共投資や民間部門の住宅投資に依存した経済成長を意味していると理解するが、08年以降の世界経済状況においては、それらなくして9%を超えるような高成長は実現できなかっただろうし、現在の7.5〜8.5%の成長も維持できないだろう。

 中国のマネーサプライ急増は、貿易収支と投資収支の大幅な黒字に伴う人民元への転換、そして、公債発行や銀行からの借り入れを伴う中央及び地方政府の公共事業の増加を主因とする。

 中国経済は、00年代前半は“デフレの危機”にあり、00年後半は“インフレの危機”にあった。(現在は、どちかと言えば、インフレの抑制に傾いている)

 “デフレの危機”は生産性の急上昇と総需要増加の低迷という関係性から生じ、“インフレの危機”は、官民の過剰な投資が可処分所得の伸びを無効にしかねないほどの物価上昇を招き、とりわけ住宅取得に関する低中所得者の怨嗟の声を湧き上がらせたというものである。

 中国政府は昨年から賃金の大幅上昇を求める政策を採っているが、それは、“デフレの危機”や“インフレの危機”を避けながら経済成長を継続する唯一の道と判断してのことだろう。今後の経済成長を安い労働力に依存しないという選択は賢明である。


 記事中に、「多すぎるマネーサプライは高インフレ、資産価格バブル、資金の流出といった相応のリスクをもたらす」と指摘とか、「中長期的に見て深刻な問題は、急激に増加するマネーサプライにより、中国経済のマネタイゼーションという傾向が暴露されること」とあるから、過大なマネーサプライの危険性と“恥ずかしさ”が理解されていることはわかる。

 ただし、「高インフレ、資産価格バブル」は、経済成長との見合いだが、経済成長を打ち消すような悪性のものであれば、日本のようなデフレ状況とは違い、強権的な金融政策で抑制することができるから、それほど心配することはない。


※ 資金の流出がキャピタルフライトの意であれば、外貨転換後の人民元を中央銀行が吸い上げればインフレ抑制に利用することもできる。

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中国、マネーサプライ急増が意味するものとは?

 中国人民銀行のデータによると、昨年末の時点で中国の広義マネーサプライ(M2)は97兆4200億元(約1402兆3000億円)に達し、100兆元を突破することは間違い無くなった。この額はすでに、世界のマネーサプライ総量の4分の1に近づいており、米国の1.5倍、英国の4.9倍、日本の1.7倍で、ユーロ圏全体のマネーサプライ合計を20兆元上回る。中国は今や、世界一のマネーサプライを有する国となった。新華社が伝えた。

 注目すべきは、これらの通貨の大部分がここ数年で蓄積された点だ。2000年、中国のM2残高は約13兆元で、2008年にも50兆元に満たなかった。しかしその後金融危機が勃発し、2009年以降は毎年約10兆元ずつの大幅増加を見せた。

 客観的に見ると、通貨量の急増はある特定の部門の責任ではなく、中国の経済発展のアンバランス、国際収支の「双子の黒字」が長期的に続いた結果といえる。

 短期間における大量の通貨集中が、経済に影響をもたらすのは言うまでもない。周知の通り、世界通貨である米ドルはこれまで幾度も大規模な超過発行により、世界各地の米ドル所有者に深刻な影響をもたらしてきた。かくしてニクソン政権時代のジョン・コナリー財務長官の名言「ドルはわが国の通貨だ。しかし、(ドル下落は)あなた方の問題だ」が生まれた。
 しかし、米ドルは世界各地で流通しているが、中国の人民元はまだ大規模な「海外進出」を果たしていないため、国内における通貨量の増大が、国内経済のリスクを深刻化させることは間違いない。

 中国人民銀行(中央銀行)貨幣政策委員会元委員・李稲葵氏はかつて中国の通貨量の多さを「まるで頭に堰き止め湖(地崩れによって形成された湖)を乗せているよう」と比喩し、「多すぎるマネーサプライは高インフレ、資産価格バブル、資金の流出といった相応のリスクをもたらす」と指摘している。

 中長期的に見て深刻な問題は、急激に増加するマネーサプライにより、中国経済のマネタイゼーションという傾向が暴露されることだ。現在中国のM2の対GDP比は190%に近づいている。この数字はここ数年で増加ペースを増しており、投資効率が明らかに低下している事実が窺える。資金で経済成長を推進する発展モデルはますます行きづまりつつあり、資金に頼る経済けん引を望むのはやめたほうが良い。(編集SN)

 「人民網日本語版」2013年2月4日 


http://j.people.com.cn/94476/8119580.html


 

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コメント
 
01. 2013年2月05日 11:47:18 : 1JStBr38V2
常識的には通貨の増発が続けばインフレ、即ち物価の上昇による生活水準の低下と貧困層による暴動と内乱に進むはず。 だが一方では工業製品の生産拠点の移動によってより多くの低廉な製品が生産され供給されるから、中国と言えども工業製品の供給者の地位を維持し続けるわけには行かない。 廉価な輸入品との競合で潰れる業者が多発し、失業者があふれることになる。 この場合完全に潰れてくれるならそれなりに世界の需要と供給は安定するだろうが、国家としては出来る限り経営を維持できるように支援するだろうから、結果としては供給が常に需要を上回ることになりデフレをもたらす。 今の世界経済において、大量のドル・円・ユーロなどに加えて、中国の元も増発が続くことになる。 ヨーロッパや日本でなら新発明とそれに伴う新製品が生み出されるが、新製品の製造技術の流失の速やかだから、殆どあらゆる商品の供給過剰の状態は変わるまい。 工業製品と書いたが、遺伝子操作による穀物の生産も同じような結果となるし、原油などのエネルギーの供給も採掘技術の向上と工夫によって供給が過剰となることは避けられない。 流通手段である海運や航空事業だって同じことで、巨大タンカーやコンテナー船、巨大化するジェット機の就航によって輸送手段が巨大化するだけである。 膨大な供給過剰の状態にある経済を破綻させないために、通貨をも増発すると言う結果に陥っているのが現状ではないか。 差後にどうなるのかを予想するのは簡単で、富の分配の不公平によって生じた一握りの豊かな人たちと、圧倒的な数の貧困者たちが暴力的な手段で争うことになる。 カタストロフがいつ来るのかは解らないが、結末はもう見えているのだから、今の束の間の豊かさを楽しむしかないだろうね。 N.T

02. 2013年2月05日 11:56:23 : xEBOc6ttRg

JBpress>海外>Financial Times [Financial Times]
通貨戦争では考えにくい「良心的参戦拒否」

2013年02月05日(Tue) Financial Times
(2013年2月2/3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 中国や米国といった国々が自国通貨の為替レートを操作するのはなぜなのか? 答えは簡単。操作することができるからだ。

 では、そのほかの国々が「通貨戦争」だと大騒ぎし、為替操作についてひどく不平を言うのはなぜなのか? それは、為替を操作することができないからだ。

 直近の「通貨戦争」の戦場を見渡す際には、この点をちゃんと頭に置いておく必要がある。日本は現在、信用危機が最悪期を迎えた2008年から人為的に高く押し上げられていた円相場を安くしようと積極的に取り組んでいる。

急激な円安・ウォン高に苦しむ韓国


年末からの急激な円安に批判の声も上がっているが・・・〔AFPBB News〕

 多くの国々がこれに反発しているが、それも無理からぬことだ。円が安くなれば日本から輸出される製品はさらに安価になり、外国市場における競争力はさらに高まるからだ。

 その最たる例を示してくれるのは、同じ極東に位置する重要な輸出国、韓国かもしれない。韓国ウォンは日本円に対し、昨年6月以降で30%も高くなっている。

 ここ数週間の上昇相場に乗り損なった数少ない株式市場の1つに韓国が数えられるのは、このウォン高のせいでもある。

 もちろん、こうした取り組みを進めているのは日本だけではない。マーク・カーニー次期総裁が先日予告した、金融政策に対する英イングランド銀行の新たなる積極的なアプローチからは、英ポンドの下落が今後容認される可能性が示唆されている。

 またスイス国立銀行(中央銀行)は以前から、スイスフランが過度に過大評価されるのを食い止めるために、あからさまな介入によって対ユーロレートを一定の水準に抑え込んでいる。

 過去の「通貨戦争」(ブラジルの財務相が最初に使い始めた言葉)では、規模の大きな新興輸出国が自国への資本流入を制限する試みが見られた。ブラジルや韓国など、自国通貨が上昇すると特に大きな損失を被る国々だ。

米国と中国が日本への不満を漏らさない理由

 しかしバンク・オブ・ニューヨーク・メロンの通貨ストラテジスト、サイモン・デリック氏(ロンドン在勤)は、日本が昨年末に現在の円安誘導方針を設定して以来、米国と中国は不満を一切漏らしていないと指摘している。


米中両国は為替操作に成功してきた〔AFPBB News〕

 また、それにはもっともな理由があるという。米国も中国も過去10年にわたって自国通貨の為替操作に成功してきたため、今では文句を言う必要を感じていない、というのだ。

 ドルの実効為替レート(いろいろな通貨との交換レートを、それぞれの国・地域と米国との貿易量にて加重平均した値)を、名目値と実質値(インフレ率の違いを考慮した値)の両方で見る限り、ここまでは米国の楽勝だ。

 ドルを安くする市場介入の実施で主要先進国が合意した1985年の「プラザ合意」以降、ドルは名目ベースで33%、実質ベースでは31%下落している。興味深いことに、この下落のどこまでがプラザ合意で意図されたもので、どこまでが2002年(米国が「強いドル」を望むと明言した年)に始まった下落かを区別するのはほとんど不可能だ。

 2002年以降のドル下落は、信用危機で短期的に途切れただけでずっと続いている。この下落が始まったのは、ドットコムバブルが崩壊し、アラン・グリーンスパン氏率いる米連邦準備理事会(FRB)が利下げに踏み切った時だった。

 利下げにより、手持ちの現金をほかの通貨に変えて待機させた方がトレーダーは利益を得られるということになったためにドル安が進んだのだ。信用危機後の金融緩和もドルをさらに安くしており、米国製造業の静かなる復活にも道を開いている。

巨額の外貨準備を抱える中国の影響力

 一方の中国は過去10年のほとんどの時期において、人民元の対ドルレートの変動を狭い範囲にとどめてきた。ドルは下落していたが、人民元も自動的に下落する仕組みになっており、ほかの国々に対する中国の競争力が高まった。

 中国の外貨準備は巨大なため、中国政府が動く時にはドル以外の通貨は必ず変動を強いられる。2008年には、中国政府が人民元の対ドルレートを緩やかに引き上げるのをやめて両者を事実上連動させる一方、ほかの通貨に対しては人民元の上昇を容認した時には、ドルがほかの通貨に対して急騰し、世界中の投資家や政策立案者が不意打ちを食らうこととなった。

 前出のデリック氏によれば、2010年以降はユーロの動きが中国の外貨準備のシフトに正確に連動している。中国は外貨準備が増加すると、ドルをいくらか売ってユーロを買っており、その結果ユーロが高くなる、というのだ。

 最近の公式発表から判断する限り、中国政府は人民元高を進んで容認している。実際、為替管理の手綱を以前よりも緩めることで資本が中国国内に流入しやすくなるようにしており、外貨準備の増加にも歯止めをかけた模様だ。

 中国のインフレ率は競争相手の国々のそれより高いため、人民元高の容認姿勢は中国の競争力を低下させる要因になってきた。しかし、これは意図したものかもしれない。というのは、中国は輸出ではなく国内経済の成長を促したいと思っているからだ。

 したがって、「通貨戦争」の今回の戦いは、従来のそれとは異なるものになるかもしれない。中国と米国が強くなったところからスタートしているからだ。これは、円安を望む日本にとっては好材料である。

通貨戦争の敗者はユーロか

 しかし、どのような通貨戦争であれ、長期的な勝者になる可能性が最も高いのはやはり、勝利をもぎ取るパワーのある国だ。日本には円相場を押し下げるパワーがあるが、そのパワーを持たない大きな新興輸出国は恐らく苦戦を強いられるだろう。

 逆に、敗者になる可能性が最も高いのは、通貨戦争を戦いたくないと思っている国々である。その意味でユーロは今後、さらに強くなると考えられる。欧州中央銀行(ECB)は規模の大きな中央銀行の中では唯一、自らのバランスシートを縮小することにより景気刺激策を後退させているからだ。

 ユーロ相場の上昇は、ユーロ圏が景気後退から抜け出す可能性を高めることに貢献しない。となれば、ECBは通貨戦争が終わる前に、参戦しなければならなくなるかもしれない。

By John Authers

 


 

第75回】 2013年2月5日 出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役社長]
失業率も有効求人倍率も改善、雇用は好転へ 将来的には女性の就業率向上が鍵
 総務省は2月1日、労働力調査(基本集計)2012年平均(速報)結果を公表した。労働力調査は、わが国における就業状態を毎月明らかにすることを目的としており、1946年から始まっている。今回は労働力調査に基づき、現下のわが国の就業の実態を概観してみたい。
完全失業率は4.3%と、
前年に比べて0.3%改善
 2012年の完全失業率は4.3%と、対前年比0.3%の改善となった。男女別にみると、男性が4.6%(0.3%改善)、女性が4.0%(0.2%改善)である。因みに、この10年来のピークは、過去最高をマークした2002年の5.4%、ボトムは2007年の3.9%となっている。
 これを国際比較すると、米国が8.1%、英国が8.1%、ドイツが5.9%、フランスが9.3%(英国、ドイツ、フランスは2011年)なので、わが国の就業状態は先進国の中では比較的良好であるといっていい。ただし、年齢階級別にみると、15歳〜24歳が8.1%、次いで25歳〜34歳が5.5%と、若年世代の失業率が高いという世界共通の問題を抱えている。
 次に、完全失業者の実数をみると、2012年は285万人となり、前年に比べて17万人の減少となった。うち、15歳〜24歳が42万人(対前年2万人減少)、25歳〜34歳が69万人(対前年5万人減少)を占めている。ただし、若年無業者(15歳〜34歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者)が63万人と、対前年比で2万人増加となっている点が気にかかる。
 285万人の完全失業者を求職理由別にみると、
 自発的な離職        101万人(35%)
 勤め先や事業の都合     70万人(25%)
 収入を得る必要が生じたから 39万人(14%)
 定年又は雇用契約の満了   32万人(11%)
 学卒未就職者        16万人(6%)
 となっている。就活で何かと騒がれている学卒未就職者は、対前年同数の16万人となったが、ここ10年来のピークは2003年の20万人、ボトムは2008年の11万人であった。また、完全失業者を世帯主との続柄別にみると、2人以上の世帯における世帯主が66万人、配偶者が38万人、その他の家族が134万人、単身世帯が45万人となっている。その他の家族の大半は、恐らく(成人した)子どもであろう。
わが国の就業者は6270万人と、
前年に比べて19万人減少
 2012年のわが国の就業者数は、対前年比19万人減の6270万人となり、5年連続で減少した。就業者数が減少することは、一般には経済に悪影響を与えると言われているが、対前年比19万人減の要因分解をしてみると、次のようになり、団塊世代の65歳到達を含む高齢化等の人口変動要因を、就業率の上昇(特に15〜64歳の女性)で補っている姿が鮮明に浮かび上がる。
(出所:総務省 「労働力調査の結果を見る際のポイント」 2013年2月1日)
 2012年は65歳以上人口が88万人増加した一方で、15歳〜64歳人口は102万人減少した。しかし、15歳〜64歳の就業率をみると、男性の80.3%に対して、女性は(2003年以降上昇傾向が続いているものの)まだ60.7%に過ぎない。女性の就業率が1%上がれば、就業者が約50万人増える計算になるので、少子高齢化が進むわが国においては、女性が働きやすい職場、社会環境を整備していくことを通じて、女性の就業を促すことが(就業人口を増やす)最も有効な方策であろう。
 因みに、女性の就業率を国際比較すれば(2010年、OECD)日本の60.1%に対して、アメリカが62.4%、英国が65.3%、ドイツが66.1%、フランスが59.9%となっている(女性の社会進出が進んでいる北欧3国では軒並み70%を超えている)。
 次に、わが国の就業者6270万人は、どのような産業で働いているのだろうか。

 この表をみると、長年、わが国の経済を支えてきた製造業は、スーパーやコンビニ等の卸売業・小売業に抜かれて、今や全就業者数の16%を占めるに過ぎない。1992年10月のピーク時に1603万人を数えた製造業の就業者は、直近の2012年12月には998万人と、1961年6月以来、約50年ぶりに1000万人の大台を割り込んでしまった。
 就業者の産業別構成比を国際的にみると(データブック「国際労働比較」2012による)、2010年の製造業占率では、わが国の16.8%に対して、アメリカが10.1%、英国が9.9%、ドイツが20.0%、フランスが13.1%となっている。一方、中国は27.9%、韓国は16.9%である。こうした製造業の全就業者数に占めるシェアの低下、いわゆる製造業の空洞化現象についっては、わが国では円高の悪影響が声高に叫ばれているが、本当の原因は、為替よりも、むしろ労働費用(コスト)に求めるべきであろう。
 生産労働者(製造業)の時間当たり労働費用をアメリカを100として指数化すると(2009年)、日本は90.6、英国91.8、ドイツ138.7、フランス119.5となるが、新興国となると模様が一変する。中国のデータはないが、台湾23.1、韓国42.4、シンガポール52.2、フィリピン4.5、ブラジル24.8、メキシコ16.1といった具合である。
 これだけ大きな労働費用の格差は、到底、為替では調整しきれない。これが、世界の製造業が軸足を徐々に新興国に移していく根本の理由であろう。理屈で考えれば、先進国と新興国の労働費用が交差するまで、空洞化は止まらないということである。そうであれば、狼少年的に、いたずらに製造業の就業者数の減少を嘆くのではなく、製造業が元気なうちに、新しい産業を次々と生み出すべく、官民あげて努力を傾けなければならないとうことになる。
有効求人倍率も改善
 同じく2月1日、厚生労働省が、ハローワークにおける求人等の状況を取りまとめた一般職業紹介状況を公表した。これによると、2012年の有効求人倍率は0.80倍と、対前年比では0.15ポイントも改善した。底をつけた2009年の0.47倍から3年連続の改善である。因みに、ここ10年来のピークは、2006年の1.06倍であったが、80年代の単純平均が0.76倍、90年代が0.83倍、2000年代が0.76倍であることを考え合わせれば、2012年の0.80倍という水準は決して低いものではあるまい。
 また、新規求人倍率(新規求人数÷新規求職申込件数)も1.28倍と、これまた3年連続の改善となった。わが国の雇用状況は、まだ薄日がさしてきた段階ではあるにせよ、好転の報告に向かっていることだけは確かなようである。幸いにも(当然と言うべきか)、アベノミクスの第1の矢(金融緩和)と第2の矢(財政出動)が、一先ず効いて、景況感はまずまずの状況にある。これまでみてきたように、雇用情勢も決して悪くはない。この貴重な時間を無駄にすることなく、思いきった規制緩和を図る等、実体経済を浮揚させる適切な第3の矢を、的に正対して過たず放ってほしいものである。
(文中、意見に係る部分は、筆者の個人的見解である)
http://diamond.jp/articles/print/31503


03. 2013年2月05日 12:07:43 : xEBOc6ttRg
JBpress>海外>The Economist [The Economist]
欧米関係:大西洋自由貿易協定の行方
2013年02月05日(Tue) The Economist
(英エコノミスト誌 2013年2月2日号)

米国と欧州が自由貿易協定を必要とする理由と、結べずに終わるかもしれない理由。

 大西洋を挟む米国と欧州の間で長きにわたり繰り広げられた牛肉戦争の銃声は静まっている。2012年に、欧州連合(EU)は(ホルモン剤を投与されていないという条件付きながら)米国産牛肉の輸入割当量を従来の2倍以上に引き上げ、米国もロックフォールチーズの輸入に対する懲罰的関税を撤廃した。

 米国はまもなく、牛海綿状脳症(BSE、狂牛病)の拡大を防ぐために1997年に発動された牛肉の輸入禁止措置を緩和するはずだ。EUも11月に、乳酸で肉を殺菌処理する米国の慣行を受け入れた。最後まで摩擦の種として残っていた米国の牛脂についても、バイオディーゼル燃料用の牛脂の輸入を許可する(ただし化粧品用の牛脂は許可しない)との案により、まもなく解決に至るだろう。

米国にとってもEUにとっても有益な大協定

 数十年に及ぶ貿易摩擦や訴訟の後に結ばれた今回の停戦は、野心的な大西洋自由貿易協定に向けた露払いの役割を担っている。EUの高官らは、「製品分野の大西洋単一市場につながる何か」の創設に言及している。

 それほど壮大なものでなくても、協定が結ばれれば、ともに停滞気味な大西洋の両岸に位置する欧州と米国の経済を再び活性化する手助けになり得るだろう。さらに、急速に台頭している中国に対抗して、米国と欧州が国際貿易ルールを確立するのにも役立つはずだ。

 大企業も協定の締結を望んでいる。労働組合と環境保護論者は、もはや「底辺への競争」に陥る恐れについてさほど懸念していない。常に保護貿易主義の姿勢を取ってきたフランスとイタリアも交渉の席に着いている。それでも警戒心の存在は否定できず、この傾向は特に米国側に顕著だ。

 協議開始が勧告されると見られていた有識者による報告書の発表も、当初の予定から遅れている。これについて一部には、バラク・オバマ米大統領が欧州から譲歩を引き出そうとしているのではないかという見方がある。欧州側には、大統領の関心は環太平洋協定の方に向かっているのではないかとの懸念もある。

 さらには、大統領は2期目の陣容を固めるのに忙しいのではないか、発表に適したタイミング、例えば2月12日の一般教書演説を待っているのではないか、との声も出ている。

 米国の高官は、いかなる交渉も前例がないほど野心的かつ迅速に行われなければならないと述べている。協定は「満タン1回分で」結ばれなければならないと高官は言うが、これはつまり、今後2年間でという意味だ。両者とも、現在12年目に突入し、風前の灯火と化した新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の二の舞いは望んでいない。

 米国とEUの貿易関係は規模と金額の両面において世界最大のもので、全世界のGDPの約半分と貿易の3分の1を占めている。両者はお互いの経済圏に対する投資額でも世界最大のパートナーだ。しかし、この密接な結びつきこそが、より一層の進展を難しくしている。

 容易な案件はほとんどが合意に至っている。残っているのは複雑なものだけだ。両者間の関税は低い(平均では3%未満だが、農産物については高い)が、非関税障壁が数多くある。その多くが消費者、公衆衛生、環境、国家安全保障のいずれかに絡んでいる。選挙で選ばれる政府は普通、こうした事柄では妥協できない。

行く手に立ちはだかる障害

 欧州の狙いの1つは、米国の公共部門の調達市場の開放だ。何しろ米国の同市場は欧州よりも保護されている。米国では連邦政府が各州に対して海外の入札者に入札制度を開放するよう強制できないことも、その一因となっている。

 もう1つの目的は、サービス分野の規制撤廃だ。同分野はGDPを構成する最も大きな要素だが、輸出に占める割合は比較的小さい。欧州の航空会社は米国の航空会社を買収できず、米国内の各都市を結んで乗客を運ぶこともできない。同じような規制は、1920年制定のジョーンズ法により、沿岸海運にも適用されている。

 しかし、欧州のサービス市場も細分化されたままだ。欧米間の協定の締結はさらなる統合を促すかもしれない。

 その他の障害としては、フランスがフランス語のオーディオおよび映像作品を保護するための「文化特例」にこだわっている点や、パルメザンチーズからフランスワインに至る様々な生産物につけられた数百もの「地理的表示」を尊重するよう、EUが米国に求めている件などが挙げられる。

 一部の高官にとって、最大の目標であると同時に最大の難問でもあるのは、さらなる「規制の収斂(コンバージェンス)」だ。これはすなわち、大西洋を挟む欧米双方が共通のルール、あるいは相手側の規制を容認できる程度に似通った規制の制定に向けて動くという意味だ。

 例えば、製薬会社が新薬を二重に安全性試験にかける必要がなくなれば、大幅なコスト削減につながるだろう。EUは数十年にわたり、しばしば過剰なほどに、国際的な機関の力に訴えることで国際標準を確立しようと努めてきた。しかし、これまで欧米の規制当局による継続的な協議もほとんど成果を上げていない。

 2007年には政治的圧力を高めようと、大西洋経済評議会(TEC)が創設された。過去のルールを練り直すことよりも、電気自動車やナノテクノロジーなどの新しい技術に関心が向けられるようになった。それでも、電気自動車に関する1年間の交渉を経ても、絶望したある米国の高官が「電源プラグについては共通基準がある」と自嘲するほどの状態だ。

 どんな貿易協定が結ばれるとしても、異なる分野間のトレードオフを最大化する範囲の広いものである必要がある。であれば、全体に占める割合は比較的小さいが論争の種である農業という課題への取り組みは不可避だ。

 米国では、農業を対象外とする協定には連邦議会の有力議員が賛同しないはずだ。これに対し欧州高官は、ホルモン剤を投与された牛肉や遺伝子組み換えトウモロコシなどの「フランケンフード」に対する消費者の危惧を米国が無視すれば、協定はいとも簡単に暗礁に乗り上げるだろうと反論する。

 これに対する解決策の1つは、表示を明確にして、消費者が買いたい物を選べるようにすることだ。

失敗もあり得る

 要するに、首脳陣は貿易協定を結びたいと言うものの、いまだに締結には至っていないということだ。こうした現状は、欧米双方にとって大きな機会の損失となる。

 欧州の方が熱心だが、立場は弱い。欧州の経済状況は、主にユーロ危機が原因で米国より悪い。地政学的観点に目を向けると、EUは、オバマ大統領にとっても、アジアに軸足を移しつつあるとはいえ、大型の貿易協定が旧来の欧米間のパートナーシップを維持する格好の理由付けになることを期待している。

 さらには、暗黙の新たな目的も存在する。それはEUそのものの結束強化だ。英国が2017年をめどにEU残留の可否を問う国民投票の実施に向けて討議を進めている今、EUが米国とうまく合意に至れば、単独で交渉するよりもEUを通じて集団交渉をする方がいい結果を得られると、英国に対してはっきり示すことができるだろう。

 オバマ大統領は気付いていないかもしれないが、今や欧州の希望の多くは大統領の一般教書演説にかかっている。欧米全体の繁栄、自由貿易ルールの命運、大西洋同盟の健全性、さらに加盟国の一部にとってはEU加盟の妥当性そのものが、この演説に左右されるのだ。


社説:危機に陥ったラホイ首相
2013年02月05日(Tue) Financial Times
(2013年2月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


マリアノ・ラホイ首相はこの難局を切り抜けられるか〔AFPBB News〕

 秘密の不正資金疑惑が自身の率いる党と政府を飲み込む中、スペインのマリアノ・ラホイ首相が人生最大の戦いに直面している。

 この爆弾はこれ以上ないほどの最悪のタイミングで爆発した。スペイン国民は史上最悪の失業率と前例のない緊縮財政に見舞われ、既に相次ぐ汚職スキャンダルに激怒しているからだ。

 政府が生き延びるためには、今のところはまだ証明されていない嫌疑の真相を解明しなければならない。

 与党・国民党(PP)幹部の緊急会合が2日に開かれた後、ラホイ氏は党から不正な支払いを受けたことを否定した。公に潔白を誓い、誠実さに関する自身の評判に賭けた格好だ。「これは虚偽だ」とラホイ氏は述べた。「私は『裏金』を受け取ったこともなければ、配ったこともない」

党と政府を揺るがす裏金疑惑、徹底解明が必要

 つまり、この一件は、時間がかかることで悪名高いスペインの法廷で埃をかぶる、よくある裏金事件――今回の場合は建設会社から受け取ったとされている――にしてはならないということだ。通り一遍の内部調査の後、PPが2日にやったように、自らに潔白の証明を与えるだけでは不十分だ。

 スキャンダルが勃発したのは、左寄りの大手紙エル・パイスがPPの元会計責任者、ルイス・バルセナス氏の裏帳簿と主張するものを掲載した後のことだ。1997年までさかのぼり、ラホイ氏を含む党幹部に違法な支払いが行われたことが記録されているという。

 バルセナス氏は既に、別の違法な政治資金スキャンダルに関与しており、この件では未申告のスイスの銀行口座に2200万ユーロの資金を保有していることが明らかになっている。本人はエル・パイスが公表した帳簿を書いたのは自分ではないと述べているが、同紙が意見を求めた筆跡鑑定の専門家はバルセナス氏の筆跡だと断定している。

 それに加え、帳簿が2通りあった可能性を示唆する状況的な裏付け証拠もある。一部のPP幹部は、バルセナス氏の帳簿に挙げられた金銭支払いが実際にあったと認めている。

 ラホイ氏やその他の党幹部らは、当該期間の納税申告を公表する計画だが、それも裏金の支払いがあったことの反証にはならないかもしれない。しかし、PP政権がこのスキャンダルと決別するには、世論という法廷で早急に弁明する必要がある。

 スペインはまだ、民主化後で最悪の経済危機のさなかにある。折しも、君主制から司法制度に至るまで、ほぼすべての制度機構が腐敗の兆候を見せている。疑いが持たれているバルセナス氏の帳簿については、完全で、透明性の高い、独立した調査が行われなければならない。政府も国も、それ以下で済ませる余裕はない。


04. 2013年2月05日 14:59:58 : xEBOc6ttRg
【第250回】 2013年2月4日 広瀬 隆雄
世界経済は確実にインフレに向かっている!「そのとき」までに、何に投資しておくべきなのか?
【今回のまとめ】
1.アベノミクスの主眼はインフレを起こすことにある
2.日本だけでなく世界の中央銀行が通貨の交換価値の引き下げを狙っている
3.今は世界的にインフレではない
4.産業の現場からは既に好景気へ向けたシフトの声が聞こえている
5.原油価格が100ドルを超えるかがポイントになる
アベノミクスのねらいは「インフレ」を起こすこと
 「願い事をするときは、気をつけろ(Be careful what you wish for.)」という格言があります。これは本当に自分の願いが叶ってしまったとき「こんなはずじゃなかった!」と後悔することが多いという意味です。
 「アベノミクス」は緩和政策の拡大を通じてデフレから脱却することを目的としています。デフレとは、物価が下がる状態を意味します。年金生活者のように一定の収入が確実にあることがわかっている人にとっては、物価が下がることは歓迎すべきことです。
 その半面、企業がデフレ下で着実に利益を伸ばしていくのは並大抵のことではありません。だからデフレ下では「守りの経営」になりがちです。
 これまでのところ、アベノミクスは円安、株高の演出に成功しています。個人投資家や企業の経営者もいくぶん元気を取り戻したのではないかなと推察します。行き詰ってしまった時、今回のように何か新しいことを試してみるという態度は、私は重要だと思います。
 ただ、アベノミクスの最終目的はインフレを起こすことですから、「もし本当にインフレになったら、どうなる?」 ということについて、今から考えておく必要があると思うのです。

アベノミクスは世界の後追い
 まず、アベノミクスは、世界の中央銀行の金融政策の後追いであると言えます。
 なぜなら、すでに米国や欧州は大胆な緩和を実施しているからです。欧米の緩和はあからさまに通貨を「ディベーシング(debasing)」することを目的としています。ディベーシングとは「ベースを下げる」という意味で、具体的には通貨の交換価値を下げることを指します。
 通貨の交換価値を下げることとは、他国通貨との交換価値を下げること(=通貨安)も意味しますし、モノと交換する場合も交換価値が下がることを意味します。
 たとえば同じ1kgのお米を買う場合、以前よりたくさんのお金が必要になるということです。以前よりたくさんのお金が必要になるということは「モノの値段が上がっている」と錯覚しがちですが、逆に言えばディベーシングによってお金の価値が下がったことに他ならないのです。
 もっと言えば、日米欧の中央銀行がじゃぶじゃぶお金を供給して自国通貨の交換価値を下げることに腐心すれば、いずれ世界的にお金の価値が下がってしまうということです。
今は“パーフェクト”な世界だが…
 それでは世界の現状はどうなのだ? ということですが、今のところ、世界的なインフレは起こっていません。下のグラフはユーロ圏の消費者物価指数ですが、むしろインフレは鈍化しています。これは欧州財政危機の関係で、まだ欧州では景気が悪いからです。

 状況は米国でも同じです。米国の消費者物価指数も低い位置で安定的に推移しています。

 それでは、インフレは来ないのでしょうか?
次のページ>> 数々の指標が示す「製造業の立ち直り」
 私は、そうは思いません。
 先週発表された一連の製造業購買担当者指数のレポートを読むと、BRICs諸国を中心に今後の景気拡大に向けて新規受注と仕入れ拡充が増えていることが報告されています。下のグラフは2年間のスランプを経験した中国です。このところ俄然、調子を取り戻しています。

 また、鉄鉱石、エネルギー、穀物などを通じて中国と関係の深いブラジルでも新規受注は好調でした。それを背景に製造業購買担当者指数は強含んでいます。

 一方、米国に目を転じるとISM製造業景況指数は急伸しています。

次のページ>> 原油価格に注目している理由
 さらに、ユーロがしっかりしている関係で、メーカーのマインドが心配されていたドイツでも、製造業購買担当者指数は思いのほか強かったのです。

 このように、世界的に製造業は今、アクセルを踏み込みはじめているのです。
原油価格が100ドルを超えるかに注目
 さて、インフレが起こるかどうかの見極めですが、私は典型的な「好景気の時にパフォーマンスがよくなるコモディティ」である原油価格に注目しています。
 ザックリした言い方をすれば、先週末(2月1日)に97.77ドルだった「ウエスト・テキサス・インターメディエーツ(=WTI:NY原油先物)」が100ドルを超えるかどうかに注目しています。
 なぜならWTIの100ドルというのは、一般の投資家がインフレを意識し始める水準ですし、WTIはチャート的にもゴールデン・クロス(=50日移動平均線が200日移動平均線を下から上へ突き抜けること)を至現したばかりだからです。
コモディティ関連株で気になるところ
 一方、コモディティ関連株で見ておきたい銘柄としては、銅を生産するフリーポート・マクモラン・コッパー&ゴールド(ティッカー:FCX)、アルミニウムのアルコア(AA)、ブラジルの鉄鉱石の会社であるバーレ(VALE)、同じくブラジルの石油会社ペトロブラス(PBR)、鉄鋼のアルセロール・ミッタル(MT)などは割安に放置されています。このあたりの値動きにも注目しています。

※編集部注:本記事で紹介しました米国株式の「フリーポート・マクモラン・コッパー&ゴールド(FCX)」「アルコア(AA)」は、楽天証券、SBI証券、マネックス証券で購入可能です。また、「バーレ(VALE)」「ペトロブラス(PBR)」「アルセロール・ミッタル(MT)」は、楽天証券、SBI証券で購入可能です。
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05. 2013年2月05日 17:48:05 : OG0zaqto5g
‘グローバル’化され、実体経済とは大きく乖離した金融経済が跋扈する世界経済において、今やドル・ユーロに負けじと、遅かれながら日本も円を大量に増刷し始めて‘通貨安競争’がヒートアップ。 やはり中国の元も増発し始めた。 ‘世界同時通貨安’の動きは結局ずる賢い富裕層がしかるべき資産をおさえて、大衆はどんどん貧困化し、先進諸国における貧富格差の拡大を招くだけ!? こういう時、途上国・貧困国のほうがある意味幸せなのか!?

06. 2013年2月05日 18:17:17 : Pj82T22SRI

>中国のマネーサプライ急増は、貿易収支と投資収支の大幅な黒字に伴う人民元への転換、そして、公債発行や銀行からの借り入れを伴う中央及び地方政府の公共事業の増加を主因

>中国、マネーサプライ急増が意味するものとは?:世界総量の1/4・米国の1.5倍・GDP同等規模日本の1.7倍

一言で言えば、かっての日本と同じく、政府支出と民間の借入過剰によるバブル

経済成長率が低下し、投資効率の低下が続けば、いつかはバブルは弾けるが

あまり急激に引き締めれば、暴動や権力闘争が起こる

なかなか悩ましいところだ


07. 2013年2月05日 20:51:54 : xEBOc6ttRg

1月のユーロ圏総合PMI改定値は48.6、12年3月以来の高水準
2013年 02月 5日 19:13

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[ロンドン/ベルリン/パリ/ローマ/マドリード/ダブリン 5日 ロイター] マークイットが5日発表した1月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)改定値は、総合が48.6、サービス部門が48.6となった。

総合は2012年3月以来の高水準、サービス部門は10カ月ぶりの高水準だった。

速報値は総合が48.2、サービス部門が48.3だった。

12月改定値は総合が47.2、サービス部門が47.8だった。

PMIは50が景況の悪化・改善の分かれ目となる。

フランスは、総合、サービスともに09年3月以来の低水準に低下。

スペインのサービス部門PMIは2011年6月以来の高水準、アイルランドのサービス部門PMIも07年8月以来の高水準となった。

ユーロ圏の総合PMIは昨年2月以来50を下回っているものの、3カ月連続で改善している。

マークイットのチーフエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「ユーロ圏は1月のPMIが顕著に改善し、第1・四半期には安定に近付くなか、上向きの兆候が明確となっている」と指摘。「ただ、ドイツとフランスの差は1998年に調査を始めて以来、最大となっている」と述べた。

ドイツの総合PMI指数は2011年6月以来の高水準。一方、フランスは約4年ぶりの低水準に落ち込み、サービス部門に至ってはスペインやイタリアを下回った。 

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08. 2013年2月06日 00:55:13 : xEBOc6ttRg
中国のバブルはまたやってくる

経済の投資依存体質は変わらない

2013年2月6日(水)  肖 敏捷

 習近平氏の共産党総書記就任を契機に、中国ではどのような変化が起き始めているのか? もちろん、就任からまだ3か月も経っておらず、3月5日から始まる全人代での政府の人事交代が控えているため、この時点で変化があったかどうかを議論するのは性急すぎるきらいがある。しかし、変化の兆しが出始めているのは否定しがたい事実だろう。

会議に花を飾ってはいけない

 昨年末、北京で開催されたあるフォーラムで、朱鎔基元総理の秘書を務め、現在は国務院発展研究センターの主任である李偉氏がスピーチした。その中で、最近、花卉の販売量が8割減少したというエピソードに触れた。習近平氏が就任してから、会議を開催する際、「花を飾ってはいけない」という通達が出されたのが原因だとみられる。確かに、前回のフォーラムで李偉氏がスピーチした際の写真を見ると、演壇が綺麗な花で飾られていた。

 また、この通達の中では、指導者などが外出した際、「道路を封鎖してはいけない」という決まりも設けられた。2012年12月、深圳などを視察した際、習近平氏は中型マイクロバスに乗り、一般車と同じように信号を守り、沿道では道路封鎖がなかったという。警備を担当した広東省公安庁のトップは、途中、1台の乗用車が習氏の車列にむりやり割り込み、あわや追突事故になるところだったという「美談」を披露した。

 現在、中国では地方政府の全人代が開催されている最中だが、節約が話題となっている。会議に参加する代表たちは高級ホテルに宿泊せず、宴会や接待は一切禁止、食事はバイキング式、飲み物はお湯だけなど、節約を競い合っている。そのため、高級レストランの予約は次々とキャンセルされ、接待に欠かせない白酒の需要が急減したという。

 筆者もこれまでは、全人代が開催される3月中は混雑を避けるため、なるべく北京出張を避けていた。一度、食事後にお客さんなど10人ほどを連れてカラオケへ行った際には、すべての部屋が某地方政府の代表団に占領されてしまう事態に遭遇したこともある。しかし、今年3月に全人代開催中の北京では、全く違う景色がみられるかもしれない。

 2013年1月22日に開催した中央規律委員会のスピーチで習近平氏は、「踏石留印、抓鉄有痕」(石を踏んだら足跡を残せ、鉄を掴んだら痕跡を残せ)という非常に強烈な表現を使った。最近、内外の報道で、高級住宅を投げ売りしたり、札束をスーツケースに詰め込んでアメリカなどの入国審査に引っかかったりする関係者が急増したと伝えられていることから、「習近平講話」のアナウンス効果は相当大きいのではないかと推察する。

 また、国民の監視の目が厳しくなるにつれ、どんな時計を付けているのか、どんな服を着ているのか、誰と食事をしているのかが、いつネット上に流されても不思議ではない状況下、戦々恐々かつ不自由な日々を過ごしている関係者も少なくないはずだ。

 従って、これらの動きから見れば、習近平氏が就任してから確かに変化が起き始めたといえる。今後、汚職や腐敗などで摘発される党や政府の大物幹部が増えれば、国民は快哉を叫び、習近平政権に対する期待が一段と高まるに違いない。

 しかし、役人たちが清廉潔白あるいは品行方正になるのは、マイナスからゼロになっただけの話にすぎない。こういった類の話は法律や警察に任せ、習近平政権がより次元の高い政策課題に専念できるようになって初めて、中国はようやく本質的に変わったといえるのかもしれない。

めまいがするくらい強気な投資計画

 こうした中、私が一番関心を持っているのは、金銭や酒色に対する共産党や政府の幹部たちの欲望が減退するかどうかのではなく、13億人の生活を両肩に背負っている政策決定者として、その投資に対する欲望が今後変わるかどうかである。残念ながら、現時点では、そのような変化が起きる兆しすら見えないと言わざるを得ない。

 前述した通り、3月5日に北京で全国レベルの全人代が開催されるまでに、地方政府の「全人代」が相次いで開催される運びとなっている。開幕式では、地方政府の行政トップに相当する省長などが「政府活動報告」を行い、経済成長目標などの抱負を述べるのが慣例である。

 報道によると、現時点では、半数以上の地方自治体が今年の固定資産投資の伸び率を前年比20%増と設定しており、10%以下と設定したのは北京市だけだった。ほとんどの地方政府の2012年の固定資産投資額の伸び率は20%を超え、中でも、貴州省が53%増と伸びが目立ったほか、新疆、青海、黒竜江など30%増を超えた地域も少なくなかった。

 地方政府が競って強気の固定資産投資計画を打ち出す最大の理由は、都市化の推進である。3月の全人代で総理に就任する予定の李克強氏が都市化を内需拡大の牽引車にすると再三表明していることを受け、地方政府は次々と野心的なインフラプロジェクトを打ち出している。例えば、ある地方政府は今年中に8本の地下鉄やモノレールの工事を始める計画である。地方政府ばかりではなく、政府関係者や専門家の間では、今後10年間で都市化により40兆元の新規投資を誘発する効果が期待できるとか、聞くだけで眩暈がするくらい強気の予測も飛び交っている。

 私は都市化およびインフラ整備そのものに異議を唱えるつもりは毛頭ない。ただし、内需拡大であろうが、産業構造の転換であろうが、「美しい中国」であろうが、どんな素晴らしい成長戦略を掲げても、なぜ、必ず巨額な投資計画に直結するのかは理解に苦しむ。

 例えば、1月28日に国家エネルギー局が発表したエネルギー発展戦略によると、第12次五か年計画」期間中に、合計13.5兆元の新規投資が必要と試算されている。各省庁が発表した投資計画を合計すると、天文学的な数字となることが危惧される。

 国家統計局によると、2012年の中国の固定資産投資額は36兆人民元と、名目GDP総額(約52兆人民元)の7割に相当する規模となった。2013年について、「中国証券報」は2012年に比べてさらに8兆元増加するのではないかと予測している。

 2008年末に中国が4兆元規模の景気対策を実施しただけで、中国景気のV字型回復を実現させたのみならず、そのスケールの大きさも世界を驚かせた。しかし、2013年にもし固定資産投資の新規増加分が8兆元に上れば、中国およびグローバル景気にどれだけのインパクトを与えるのだろうか。この巨大な投資計画を発表している当事者はおそらく誰も真剣に考えていないだろう。

高成長の背後に地方政府の不良債権の山

 2012年の全国の実質経済成長率は7.8%増と13年ぶりに8%を下回ったにもかかわらず、地方自治体別でみると、7.8%という成長率を下回ったのは北京と上海のみであり、ほとんどが10〜14%前後の高成長を達成した。いうまでもなく、固定資産投資がその高成長の原動力となっている。しかし、この数字の背後に地方政府の不良債権の山が築き上げられているのではないかとの見方は、決して杞憂ではない。

 2003年春、胡錦涛・温家宝政権が発足直後に、投資から消費へといったスローガンを打ち出したが、中国経済の投資依存体質を一段と強める結果となってしまった。今回の都市化は果たして新たな投資ブーム、とりわけ不動産開発ブームの口火を切るのであろうか。2013年1月の新規融資額が再び1兆元の大台を超えるのではないかとの観測が流れていることから、ブームは既に起き始めているのかもしれない。

 都市化が内需拡大の最後の切り札だとすると、その方向性を誤れば、中国経済は取り返しのつかない結末を迎えるかもしれない。腐敗撲滅などを通じて、清廉潔白な政治を目指す習近平氏の挑戦と相まって、中国経済の投資依存体質を克服するため、地方政府の飽くなき投資欲望を抑制できるのか、全人代後、正式に総理に就任する李克強氏の手腕が問われている。


肖 敏捷(しょう・びんしょう)

中国武漢大学を卒業後、バブルの最盛期に文部省(当時)国費留学生として来日。福島大学や筑波大学に留学した後、証券系シンクタンクに入り、東京、香港、上海と転々しながら、合計16年間中国経済を担当。その後の2年間、独立系資産運用会社に勤務。現在、フリーのエコノミストとして原稿執筆や講演会などの活動をしている。「日経ヴェリタス」の2010年3月の人気エコノミスト・ランキング5位に。中国経済のエコノミストがベスト5に入るのは異例。現在、テレビ東京の「モーニング・サテライト」のコメンテーターを担当中。著書に『人気中国人エコノミストによる中国経済事情』(日本経済新聞出版社、2010年)などがある。


肖敏捷の中国観〜複眼で斬る最新ニュース

これまで20年間、東京、香港、上海における生活・仕事の経験で培ってきた複眼的な視野に基づいて、 中国経済に関するホットな話題に斬り込む。また、この近くて遠い日本と中国の「若即若離(つかず離れず)」の距離感を大事に、両国間のヒト・モノ・カネ・情報の流れを追っていく。中国情報が溢れる時代、それらに埋没しない一味違う中国観の提供を目指す。随時掲載。

 

 

点滅し始めた「崩壊」のシグナル

「地球社会への最終警告書」を読み解く(第1回)

2013年2月6日(水)  竹中 平蔵

 1972年に世界的シンクタンク、ローマ・クラブが出した世界予測『成長の限界』は、資源枯渇や持続可能性について全世界が考えるきっかけになった。40年後の今、著者の一人、ヨルゲン・ランダースが『2052 今後40年のグローバル予測』を発表した。『成長の限界』を受け継いだ「21世紀の警告書」の中身を、同書日本語版の解説を執筆した竹中平蔵氏と著者ランダースの言葉からひも解く。まずは今回から2回にわたり、竹中氏による解説をお届けする。

『2052 今後40年のグローバル予測』(日経BP社)
 この1月、『2052 今後40年のグローバル予測』という本が上梓された。この本は、今から40年前、世界の人々に重大な警告を発したローマ・クラブ『成長の限界』(日本語版はダイヤモンド社、1972年)を受け継いで、21世紀への警告書としてあらためて世界に問い直したものだ。

 著者のヨルゲン・ランダース(ノルウェービジネススクール教授)は、1970年代に「成長の限界」に関する研究が始まった時点から、直接・間接に地球社会の将来に関するこのような作業に関与してきた。まさに、元祖『成長の限界』の手になるこの本は、混沌の21世紀を私たちがどのように生きるべきか、貴重な道しるべとなる。

“21世紀のマルサス”か

 経済学者である私としては、こうした警告の書を読むと、イギリスの経済学者ロバート・マルサスが18世紀末に記した、あの『人口論』を想起する。食料を生産するための耕作地の増加が人口の増加に追い付かず、人類は飢餓・戦争など悲惨な状況に突き進む……。マルサスがそう主張するのを聞いて、イギリスの歴史家トーマス・カーライルは「経済学はなんと陰鬱な学問(dismal science)か」と述べたという。

 『2052』の著者ヨルゲン・ランダースは地球社会の将来に対し厳しい警告を発しているという意味で、21世紀のマルサスかもしれない。しかし同時に著者はこの本において、厳しい将来は私たちの行動で変えることができる、という主張も繰り返し述べている。ランダースの警告をマルサスのように陰鬱と受け取るかどうか、私たちの今後の行動次第であることも、重要な含意であろう。

 以下では、2010年代初めの現時点でこの本を読む機会に恵まれた私たちが、いったいどのように問題提起を受け止め、いかに行動するべきなのか、考えてみたい。

復活、ローマ・クラブの警告

 1972年にローマ・クラブが『成長の限界』を公表したとき、世界の人々は大きな衝撃を受けた。現状が続けば、人口増加と地球環境の破壊、さらには資源の枯渇などで、人類の成長は限界に達するという警鐘を鳴らしたのである。今でこそ、有限な地球、地球温暖化、グリーン革命など様々な言葉が飛び交っているが、その起源はすべてこの『成長の限界』にあったと言ってよい。「持続可能」(sustainable)という概念自体も、これがきっかけとなって定着していった。


ヨルゲン・ランダース氏(写真提供:ローマ・クラブ)
 このローマ・クラブは、スイスに本部を置く民間のシンクタンクだ。その20年後1992年には、続編に当たる『限界を超えて─生きるための選択』(日本語版はダイヤモンド社)も公表されている。

 『成長の限界』が社会にもたらしたショックは、とりわけ日本において大きいものがあった。公表の時点で日本は、いまだ60年代の高度成長の余韻の中にいた。前年の1971年、ニクソンショックで1ドル360円時代は終焉していたが、それはむしろ日本の経済発展の結果を象徴する出来事と受け止められた。しかし1973年、第一次石油危機が世界を襲う。資源が有限であるという事実をまざまざと見せつけられた日本では、高度成長とは異なる新しい道を歩まねばならないことが、多くの人々の実感として受け止められた。

 『2052』の出発点となる問題意識は、ローマ・クラブの警告にもかかわらず、人類は十分な対応を行わないまま40年が過ぎた、という点にある。ランダースは言う。

「『問題の発見と認知』には時間がかかり、『解決策の発見と適用』にも時間がかかる。……そのような遅れは、私たちが『オーバーシュート(需要超過)』と呼ぶ状態を招く。オーバーシュートはしばらくの間なら持続可能だが、やがて基礎から崩壊し、破綻する」(序章)

「しきりに未来について心配していた10年ほど前、私は、人類が直面している難問の大半は解決できるが、少なくとも現時点では、人類に何らかの手立てを講じるつもりはないということを確信した」(1章)

 40年前の「成長の限界」の公表から間もないころ、日本人としてその作業に参加された茅陽一教授(当時東京大学)にお話を伺う機会があった。茅教授は、「この警告を人類はどの程度本気で受け止めるだろうか」と懸念しておられたことを記憶している。気がつけば成長の限界以降、さらに地球温暖化やグローバル金融危機など新たな難問も追加されている。ランダースはこのような懸念の上に、あらためてこの本を世に問うたのである。

40年後の世界は?

 将来見通し、とりわけ40年という長期に及ぶ期間を見通すのは容易なことではない。その予測にどの程度の科学性が認められるのか、さらにはこのような予測には信憑性があるのか、細かな議論をすればきりがないだろう。

 ここでは、『成長の限界』のシナリオ分析から出発して、慎重な手続きで将来予測の精度を高めるいくつかの工夫がとり入れられている。また、各分野の専門家による34の予測を挿入しながら多面的な検討を行い、各予測の間の整合性にも相当の配慮をしているという点を指摘しておこう。

 さて、そこで描かれている40年後の世界については、実に膨大な記述がなされている。それらすべてを要約することはできないが、枠組みに関する最重要なポイントとして、以下の諸点を理解しておくことは肝要だ。

◎都市化が進み、出生率が急激に低下するなかで、世界の人口は予想より早く2040年直後にピーク(81億人)となり、その後は減少する。

◎経済の成熟、社会不安の高まり、異常気象によるダメージなどから、生産性の伸びも鈍化する。

◎人口増加の鈍化と生産性向上の鈍化から、世界のGDPは予想より低い成長となる。それでも2050年には現状の2.2倍になる。

◎資源枯渇、汚染、気候変動、生態系の損失、不公平といった問題を解決するために、GDPのより多くの部分を投資に回す必要が生じる。このため世界の消費は、2045年をピークに減少する。

◎資源と気候の問題は、2052年までは壊滅的なものにはならない。しかし21世紀半ば頃には、歯止めの利かない気候変動に人類は大いに苦しむことになる。

◎資本主義と民主主義は本来短期志向であり、ゆえに長期的な幸せを築くための合意がなかなか得られず、手遅れになる。

◎以上の影響は、米国、米国を除くOECD加盟国(EU、日本、カナダ、その他大半の先進国)、中国、BRISE(ブラジル、ロシア、インド、南アフリカ、その他新興大国10カ国)、残りの地域(所得面で最下層の21億人)で大きく異なる。

◎予想外の敗者は現在の経済大国、中でもアメリカ(次世代で1人当たりの消費が停滞する)。勝者は中国。BRISEはまずまずの発展を見せるが、残りの地域は貧しさから抜け出せない。

 なお、『2052』の面白さは、巻末に近い第3部で「大勢の人に荒らされる前に世界中の魅力あるものを見ておこう」「決定を下すことのできる国に引っ越しなさい」などの具体的な助言が示されていることだ。読者なりの問題意識で、興味ある個所を熟読すれば極めて有益な情報が得られるだろう。

 次回は、ランダースの予測に対すると私の見解と、日本の今後40年について考えてみたい。(次回に続く)


竹中 平蔵(たけなか・へいぞう)

1951年生まれ。1973年一橋大学経済学部を卒業後、日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)に入行。89年米ハーバード大学客員准教授。2001〜06年に経済財政政策担当相、金融担当相、郵政民営化担当相、総務相を歴任。2006年から慶應義塾大学教授・グローバルセキュリティ研究所所長。(写真:的野弘路)


2052年からの警告

1972年に世界的シンクタンク、ローマ・クラブが出した世界予測『成長の限界』は、資源枯渇や持続可能性について全世界が考えるきっかけになりました。40年後の今、著者の一人、ヨルゲン・ランダースが『2052 今後40年のグローバル予測』を発表しました。『成長の限界』を受け継いだ「21世紀の警告書」の中身を、同書日本語版の解説を執筆した竹中平蔵氏と著者ランダースの言葉からひも解きます

 

米シェールガス開発が生む資源の無駄遣い

2013年2月6日(水)  FINANCIAL TIMES

米国では産油・ガスの急拡大に伴い、付随するガスを焼却するフレアリングが急増。天然ガスとして商品化するにはコストがかかるためだが、環境への負荷が大きい。規制当局は、ガスを燃やさずに利用する方策を推進しようとしているが…。

 今や米国の産油ブームは、宇宙からも見て取れるほどだ。夜間の衛星写真を見ると、この5年間で米国の産油業界を一変させた大油田であるノースダコタ州バッケンのシェール油田が、シカゴと同じくらい明るく写っている。

 光って見えるのは、「フレアスタック」と呼ばれる焼却塔で、そこでは油井から出る天然ガスを毎日、24時間燃やし続けている。


右は米航空宇宙局(NASA)が撮った夜の米国の衛星写真。ノースダコタ州バッケン油田におけるフレアリングによる明るさがシカゴ並みであることが分かる。下はバッケン油田のシェールガスの開発現場(写真左:The New York Times/アフロ、右:NASA)
利用されない天然ガス

 この炎の輝きは、米国のシェールオイル及びガスブームのあまり輝かしくない側面を照らし出している。開発を急ぐあまり、産油に伴って放出される不要な天然ガスを処理する施設への投資が間に合わないのだ。

 油田で出るガスを燃やして処理する「フレアリング」の問題は、何十年も前から認識されてきた。アフリカのニジェール川デルタやイラクの砂漠で燃え盛る炎は、発展途上国の原油採掘に起因する汚染と環境破壊の象徴とされてきた。だが米国でこれが問題視されるようになったのはごく最近のことだ。

 投資家や環境保護団体、世界銀行からの強い圧力にさらされた石油会社は、2005〜10年の間に全世界でフレアリングを20%削減した。だが、米国でシェール開発が急増したこともあり、2011年には世界のフレアリングはわずかながら増加に転じた。

 環境問題に取り組む多くの投資家のネットワークであるCERES(セリーズ)のアンドリュー・ローガン氏は、フレアリングの増大は石油産業の成長の障害になり得ると指摘する。

 「過剰なフレアリングは環境を損なうだけでなく、貴重な資源の無駄遣いでもある。業界が積極的に取り組まなければ、操業許可にも悪影響が及びかねない」

 水平掘削と水圧破砕(油井の中に水と砂と薬品の混合物を高圧で注入し、油を含む岩にひび割れを入れる方法)という技術の進歩で、米国のシェールオイル生産は急増した。おかげで米国は、石油の輸入依存を減らすとともに、多くの雇用を生み出すこともできた。

 同じ技法で、シェールガスにも大量供給の道が開かれた。その結果、米国の天然ガス価格は2008年のピーク時の100万BTU(英国熱量単位)当たり13ドル(約1200円)強から同3.4ドル(約310円)まで急落している。

 そのため現状では、油田で発生するガスは、有用な資源というより、処分すべき厄介ものと見られることが多いのだ。

 単一の油田としては世界最大級の1つであるノースダコタ州にあるバッケン油田は、面積が約3万9000平方キロメートル。これは英国のウェールズのほぼ2倍に当たる。だが、この油田は一番近い大都市からでも数百キロメートルもあり、世界でも屈指の僻地油田と言える。ガスを利用するなら、必要なパイプラインや処理施設をゼロから敷設しなければならない。

産出ガスの30%を無駄に焼却


注:フレアリングとは、油田やガス田開発に伴い発生するガスを燃やすこと 出所:世界銀行に対して米海洋大気局(NOAA)が出したデータ及び英フィナンシャル・タイムズの算出による
 バッケン油田のシェールオイルは、18カ月ごとに2倍のペースで増産を続け、今や米国の総産油量の10%を占めるに至っている。しかし、パイプラインの接続が追いついていない。

 米国では昨年、1000以上の油井をガス収集システムに接続した。それでも、この程度では米国のフレアリングの比率は下がらず、現在、米国は産出するガスの約30%をフレアリングで焼却している。

 米スタンフォード大学で化石燃料から発生する温暖化ガスについて研究するアダム・ブラント氏は、「シェール油田の現在の状況は、米国の石油産業の草創期に似ている」と指摘する。

 「各社は互いに競争しながら資源開発を進めているため、フレアリングを減らすために生産ペースを落とすというインセンティブがほとんど働かない」

 米国全土で同じ問題が見られる。テキサス州のイーグルフォード・シェール油田では、2010〜12年の間に産油量が30倍近く増加した。だが同じ期間に、フレアリングの認可件数は6倍に増えた。テキサス州では、昨春の段階で、40万世帯以上に電力を供給できる天然ガスが焼却されていた。

 フレアリングは温暖化ガスの排出量にも大きく影響する。米国産原油は多くの場合、サウジアラビアなどから輸入する原油よりも温暖化ガスの排出量が少ない。しかし、フレアリングを計算に入れると、ノースダコタ産原油の多くではこの利点が失われる(それでも、カナダのオイルサンド原油の産出に伴う発生量よりは相当少ない)。

 テキサス州の鉄道委員会やノースダコタ州の産業委員会などの規制当局は、石油会社に対して、フレアリングを減らすために石油の減産を求めることができる。だが州政府も油田やガス田の使用料で思わぬ恩恵を被っているため、減産には消極的だ。ノースダコタ州は開発ロイヤルティーとして、2013〜15年度の予算で10億ドル(約910億円)以上の増収を見込む。

 同州産業委員会は、「フレアリング削減のために産油制限すれば、油井から入る金額は5分の1に減る。我々は、無駄なフレアリングを削減する義務と同様に、産油量を増やす義務も負っている。よって産油量の拡大を阻むフレアリングの削減はしない」と話す。

州政府は規制と増産の板挟み

 フレアリング削減に向けノースダコタ州で取られている最新の動きは、ムチというよりアメに近い。現在州議会で検討中の法案は、天然ガスの出荷を促す優遇税制だ。州当局は、油井の掘削機の動力源としてガス燃料発電機の使用も推進している。

 ノースダコタ州パイプライン局のジャスティン・クリングスタッド氏は、今後、ガスのパイプライン建設が進むと楽観的に予想する。バッケン油田のガスに、経済的価値があることがはっきりしてきたためだという。この油田には、プロパンやブタンなど、石油化学工業の原料となる液化天然ガスがたまっているのだ。

 天然ガスの利用にはさらに多額の投資が必要になる。同州パイプライン局によると、これまでガス収集のインフラには40億ドル(約3600億円)が注ぎ込まれてきたが、今後10年でさらに100億ドル(約9100億円)が必要になる見通しだという。

Ed Crooks and Ajay Makan
(©Financial Times, Ltd. 2013 Jan. 27


09. 2013年2月06日 01:29:00 : xEBOc6ttRg
ユーロ危機を呼び覚ますスペインの骸骨
2013年02月06日(Wed) Financial Times
(2013年2月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


欧州中央銀行(ECB)の介入でユーロ圏の市場は落ち着きを取り戻していたが・・・〔AFPBB News〕

 英国の駐車場で見つかった骨が戦闘で死んだ最後のイングランド王、リチャード3世のものであることが確認されたが、スペインでは、お決まりの場所で骸骨(内輪の秘密)が探されている。政治家のクロゼットである。

 市場は4日、スペインの与党・国民党(PP)を飲み込んだ裏金スキャンダルで目を覚まし、欧州の最大のリスクは、銀行部門と政治という有毒な組み合わせだということを思い出した。

 イタリア前首相のシルビオ・ベルルスコーニ氏が遂げた前進も、投資家心理の助けにならなかった。その亡霊がユーロ危機に付きまとうベルルスコーニ氏は、減税を約束した後、世論調査で支持率を伸ばしている。

 スペイン国債が再び、ユーロの問題の中心に戻ってきた。国債価格は1990年以降、14番目に大きな下げ幅を記録し、当初失望を招いた昨年8月の欧州中央銀行(ECB)の会合以来の大きな下げとなった。

 スペイン国債の相場下落を映すように、ユーロは今年最大の下げ幅を記録し、銀行株も急落した。

 イタリア国債はスペインほどには下げなかったが、投資家は突如、 モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ――リチャード3世が結婚した年に創業された銀行――の3度目の救済は政治的な不確実性と相まって、恐らくイタリアの金融セクターにとって支えにならないことに気付いた。イタリアのFTSE・MIB指数はこの日、4.5%下落した。

危機再燃か、ただの調整か

 投資家が答えを出さなければならないのは、ユーロ危機が再び始まったのか、それともこれはただの調整なのか、という問題だ。

 弱気の側を見ると、欧州の政治家は、ECBがもたらした昨年夏以降の落ち着きを利用してユーロ圏全体の改革を推し進めることができなかった。イタリアとドイツが選挙モードに入り、スペインのPPがかつてないほど不人気な今、さらなる進展は難しいだろう。

 その一方で、調整はいつ起きてもおかしくなかった。市場はあまりに急激に、あまりに大きく上昇し過ぎていた。ユーロ圏の状況は、ECBが介入する前よりもましに見えるが、銀行から経済に至るまで、様々な明白な問題が無視された。

 4日の市場の下げは健全だ。悲しいかな、ユーロ圏の改革について政治家に切迫感を与えるには、もっと大きな下げが必要だ。

By James Mackintosh


 


公共交通機関のストは許されるべきなのか
他人を思いやる日本人、欧州で相次ぐストに複雑な気持ち
2013年02月06日(Wed) 川口マーン 惠美
 あなたの娘がニューヨークに住んでいるとしよう。彼の地でよき米国人の伴侶に恵まれ、めでたく結婚の運びとなった。○月○日は結婚式。米国のウエディングパーティーだから、やはりきれいな色の和服だろうと、奥さんは新しい訪問着を新調。相手のご両親へのプレゼントも揃えた。

 一生に一度のことだから、1週間の休暇を取る。30年もサラリーマンをしていて、こんなにまとめて有休を取るのは初めてだ。それにしても、あの幼かった娘がお嫁に行くのかと思うと、図らずも胸にこみ上げるものがある。

 そして、出発前のせわしない日々も過ぎ、ようやく当日、感謝と晴れがましさの入り混じった心持で空港へ行ったら、予告なしのストライキ。まさか・・・!

 まさにこういう事態が、ドイツでは去年から今年にかけて何度も起こった。

巨大空港を麻痺させ、乗客に苦痛を強いるストライキが頻発


ドイツのフランクフルト国際空港で離陸に向かうルフトハンザ航空の旅客機〔AFPBB News〕

 去年の2月は、フランクフルトの管制塔の職員がストをした。空港の安全業務(荷物検査や飛行機の誘導など)の組合のストを支援するための連帯行動ということだったが、他の職種は代替要員で切り抜けられても、管制塔は専門職なのでそうはいかない。

 つまり、1日平均の利用客が15万人、貨物の扱いが6万トンという、ヨーロッパ最大級のハブ空港が、一時、全く機能しなくなったわけだ。その混乱たるや想像を絶する。

 しかし、最もひどかったのは、ルフトハンザの客室乗務員組合のストだった。8月の終わりから断続的に始まったストは、休暇の時期だけに、十分乗客に迷惑をかけていたが、まだ足りないとばかりに、9月7日に全面ストに突入した。

 組合に所属しているフライトアテンダントが、ドイツの6つの主要空港で24時間、職場を放棄したのである。

 この1日だけでも、欠航した飛行機が1200便。多くの外国からの乗り継ぎ客が各空港で漂流してしまい、空港周辺のホテルは満杯。空港ホールには見渡す限り仮設ベッドが並んで、野戦病院のようになった。

 国籍によっては、ドイツのビザなしには空港から一歩も出ることのできない人たちもいる。航空ダイヤは複雑に絡み合っているので、ストが解除された後も数日にわたり、ルフトハンザは世界の空を混乱させた。

 12月になると、今度は手荷物検査の職員が、ドイツの10空港で、やはり賃金値上げを求めてストをした。それでも目的を達することのできなかった組合は、さらに今年1月18日、ハンブルクで同様のストに入った。ただし、徹底的に。

 手荷物検査がマヒすれば、たとえファーストクラスのチケットを持っていても飛行機には乗れない。他社の飛行機に振り替えるという手もない。結局、行列に並ぶしかない。

 広い空港ビルの中を、乗客の長蛇の列がくねくねと続く。チェックインはとっくに終わっているのに、手荷物検査場に行きつけない。その待ち時間が最高4時間。4時間も立っていたら、誰でもくたくたになる。

 そうするうちに、飛行機はキャンセルされたり、乗客を積まずに飛び立っていったりして、結局、1万2000人が置いてきぼりになった。

公務員にもスト権。ストライキが日常茶飯事のドイツ

 18世紀末、産業革命の発祥地英国で、労働者のストが始まった。彼らは1日12時間から16時間も働かされて、餓死寸前の生活しかできなかった。

 だから、その極悪な労働条件を少しでも改善しようと、解雇される危険を冒して、最後の力を振り絞るようにストをした。当時、ストは労働者の権利ではなかった。

 時は流れ、今では民主主義を採っている国々では、ストは労働基本権の1つとして憲法で保障されている。日本では公務員のストだけは原則的に禁じられているが、給料なら人事院に任せておけば、そう悪いようにはしないはずだ。その証拠に、餓死寸前の公務員はいない。

 一方、ドイツでは公務員にもスト権が認められている(フランスやイタリアも)。公務員が公僕という観念は、私の見る限りドイツにはない。

 公務員でさえストをするのだから、他の職種は競うようにする。電車やバスはしょっちゅう、幼稚園や保育園の職員もときどき、昨日は病院勤務の医師がストで、今日は歯科の開業医がストで、明日は薬局、明後日はパイロットといった感じだ。

 電車やバスが止まるのは腹立たしいし、保育園のストも、働いている親にとっては、その都度とても困ることだろう。ただ幸いなことに、皆、すでに慣れっこだ。

 それに、これぐらいならば迷惑のかかる範囲が限られている。被害といっても、せいぜいタクシー代か、会社に遅刻するといった程度で、どうにかフォローはできそうだし、最悪でも2日も経てば収拾がつく。

 ましてや、私企業の従業員がよりよい賃金や厚生を求めてストをしても、それがベンツであれ、BMWであれ、社長と役員と関連会社が困るだけで、ほかには誰もたいして困らない。思い存分やってくれて構わない。

 ところが、国際線の飛行機を止めるというのは、それとは比べ物にならないほど被害が甚大だ。まず、影響を受ける人の数が膨大だし、その罪のない人たちが強いられる経済的な損害および肉体的、精神的な困苦も、計り知れないほど大きい。

 楽しみにしていた家族旅行がつぶれ、講演会や演奏会がキャンセルされ、重要な仕事を抱えている人が任務を果たせなくなり、結婚式に出られなくなり、親の死に目に会えたはずの人が会えなくなる。乗り継ぎができなくて、見知らぬ空港で夜を明かす羽目になる。体の弱い人、子供を連れた人、持病のある人も容赦なく巻き込まれる。

 飛行機がハリケーンのせいで欠航になったなら、困るとはいえ仕方がない。それに、ハリケーンはそのうち静まる。「技術上のトラブル」で飛べないなら、しばらく待てば他社に振り替えになるか、あるいは、新しい機が用意されるだろう。

 しかし、ストは天災でも技術上のトラブルでもなく、誰かが故意にやっているのだ!

 彼らは、「それは気の毒ではあるが、自分たちが良い給料を勝ち取るために必要な犠牲なのだ」と思うのだろうか。あるいは、自分たちの職業は、ストによってこれだけ多くの人を困難の淵に突き落とすポテンシャルがあるので、交渉に有利だと喜んでいるのだろうか。

 ルフトハンザの客室乗務員は、執拗なストで、ついに去年の11月、3.95%の昇給と、2年間の就業保障を勝ち取ったが、毎回ストの度に、怒り、あるいは絶望した乗客の矢面に立たされたのは、何の関係もない地上職員だった。それさえも自分たちの権利のためには正当化してしまうのだろうか。

権利の拡張を善とするドイツ人、他人への迷惑を第一に考える日本人

 私の目には、こんなものは恐喝としか映らない。労働者がストで経営者に圧力をかけるのはいい。しかし、何の関係もない人間をできるだけたくさん巻き込んで、それを材料に経営者に圧力をかけるのは、卑怯なやり方だ。

 人質を取って要求を通そうするテロリストと、どこか似ている。そして、こういうニュースが流れるたびに、こちらに住む日本人は皆、私と同様、激しく怒る。「こんなことを平気でできる神経が信じられない!」

 ところが、驚くべきことに、ドイツ人の反応は全く違う。ストで大混乱の飛行場で立ち往生している乗客のインタビューでも、「絶対に容認できない!」と怒っている人よりも、「腹立たしいが、労働者の権利だから応援したい」などという答えの方が多い。

 私はいぶかり、ドイツ人のポリティカリーコレクト*であらねばならないという強迫観念はここまできたかと思ったが、それだけでもないらしい。夏の最悪のストのときでさえ、アンケートでは「理解できる」という答えが半数を超えた。日本人には分からない感覚だ。
 *社会的な差別・偏見がなく、中立・公平であること

 実はこの差は、権利意識の差から出てくると、私は思っている。権利というものをどう認識しているかというところに、ドイツ人と日本人では天と地ほどの違いがあるからだ。

 ドイツ人にとって、権利はすなわち善だ。例えば給料が1ユーロでも増え、休暇が1日でも増えれば、それは権利の拡張であり、つまり改善となる。それを勝ち取るための行動は正当であり、他人に少々迷惑をかけても仕方のないことなのだ。

 しかし日本人は、権利の主張が必ずしも善であるとは認識していない。権利とは、剥奪されるのは困るが、そうでない限り、もう、かなり十分あるじゃないかと思っている節もある。要するに、権利の拡張にそれほど熱心ではない。


昨年11月、緊縮財政法案に抗議して行われたギリシャのゼネストで閉鎖された遺跡〔AFPBB News〕

 それに加えて、私たちは概して、他人になるべく迷惑をかけたくないと考える。ましてや自分の権利拡張のために他人を巻き込むなんて、もっての外だ。自分に起こると腹立たしいことは、他人にもなるべくしない。だから、無差別ストなど性に合わない。

 一方、ドイツ人がストに寛容なのは、“自分もこういう状況に置かれたら、同じことをするだろう”と、皆が思うからだろう。それどころかヨーロッパには、消防士や警察官がストをする国さえある。

 他人の気持ちを思いやる思考方法は、日本人固有のもののようだ。世界は違う法則に支配されている。こういう土俵なのだから、昨今の日本人が押され気味なのは当然のことだと、つくづく思う。

 本来なら、もっと声高に権利を主張すべきなのだが、それは必ずしも私たちの美意識に合わないので、心の中でブレーキがかかる。心境は複雑だ。

 いずれにしても、ドイツのストは永遠に続く。油断も隙もない。本日、次の日本行きのチケットを予約したが、スト常習犯のルフトハンザはやめた。私のせめてもの抵抗だ。


10. 2013年2月06日 17:32:02 : p9B89YgNYw
刷って刷って刷りまくるからに決まっているだろう、馬鹿

11. 2013年2月07日 00:21:45 : xEBOc6ttRg
日本は企業が抱える現金の山を活用せよ
利益より人を優先すれば、道は開ける
2013年02月07日(Thu) Financial Times
(2013年2月6日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


「アベノミクス」は日本経済を一変させるか?〔AFPBB News〕

 日本の新首相の安倍晋三氏は、日本経済を20年にわたる倦怠から救い出すだろうか? それとも「アベノミクス」は通貨戦争の火蓋を切り、日本をハイパーインフレによる崩壊へ近づけてしまったのだろうか?

 妥当な答えは、「どちらでもない」というものだろう。リスクは、安倍政権の政策がどちらの方向にも全く違いを生み出せないことだ。

 では、アベノミクスとは何か? アベノミクスには、新たな財政刺激策、日銀に高いインフレ目標への同意を迫る圧力、そしてまだ詳細がはっきりしない構造改革という3つの要素がある。

 もっと正確に言えば、JPモルガン証券の菅野雅明氏が本紙(英フィナンシャル・タイムズ)への寄稿で指摘したように、政府は財政支出を国内総生産(GDP)比で2%増やし、2013年の財政赤字見込み額をGDP比11.5%に引き上げることになる補正予算を発表した。

 また、政府は日銀に財政赤字を埋めさせただけでなく、2%のインフレ目標を無理やり受け入れさせた。

日本経済の4つの側面が物語ること

 こうした一連の措置は、日本のパフォーマンスを一変させるのだろうか? また、そうだとすれば、どの方向に変えるのだろうか? この問いに答えるためには、日本経済の実績の4つの側面を検討する必要がある。

 まず、日本は長期のデフレを経験してきた。1995年10月以降、短期の政策金利は0.5%ないしそれ以下だったにもかかわらず、GDPデフレーター(全般的な物価水準を示す指標)は1997年初頭から17%低下してきた。

 次に、日本は持続的に財政赤字を出してきた。その結果、一般政府の債務総額は1991年のGDP比66%から同237%に上昇し、純債務はGDP比12%から同135%に跳ね上がった。

 第3に、債務の急増にもかかわらず、日本国債の利回りは急低下し、1990年代初頭の7.9%から今では1%を割り込む水準となっている。


日本経済のパフォーマンスは一般的に考えられているほどには悪くなかった〔AFPBB News〕

 第4に、一般的に考えられていることとに反し、日本経済のパフォーマンスもそれほどお粗末なものではなかった。

 失業率は昨年11月時点で4.1%にとどまっている。また、日本はもう米国との生産性の差を縮めてはいないものの、労働時間当たりのGDP(購買力平価ベース)は1990年代初め以降、米国のそれに沿うように成長してきた。

 ということは、バブル崩壊を経験したその他の高所得国にとって、日本は警鐘を鳴らす教訓だが、励みにもなるわけだ。独自の通貨を持つ国は非常に長期にわたって、そこそこの成長と持続的なデフレ、急激に膨れ上がる公的債務、そして短期および長期の超低金利を兼ね備えることが可能なのだ。

 では、リスクは何か? 筆者は危険を2つ察知できるが、どちらも差し迫ったものではない。

 1つ目は、さらなる「キャッチアップ成長」のチャンスが今後も生かされないこと。2つ目は、いずれどこかの時点で政府の債務元利払いのコストが法外に高くなり、その際は、直接的、またはインフレを通じてデフォルト(債務不履行)せざるを得なくなることだ。この調整の実現が遅れれば遅れるほど、日本が直面する課題は大きくなる。

日本の病の根本原因はデフレではなく「過剰な民間貯蓄」

 いつまでも続く財政赤字とデフレは、ちょっとした謎だ。一般的な説明によれば、金融政策の誤りがその原因だ。中央銀行がデフレを回避していれば、実質金利がマイナスになっていたかもしれず、民間投資と消費がもっと力強くなっていた、というわけだ。

 そうなっていれば有益だったという点には、筆者も同意する。だが、デフレが日本の病の根本原因だとする主張には同意できない。

 では、根本的な原因は何か? 「過剰な民間貯蓄」がその答えだ。より正確には、ロンドンに本拠を構えるスミザーズ・アンド・カンパニーのアンドリュー・スミザーズ氏が言うように、企業の投資に対して内部留保が巨額に上る構造的な資金余剰だ。

 戦後のキャッチアップ成長をにらんだ構造の企業部門は、1980年代に高水準の投資の必要性が消え去ると、需要のブラックホールと化した。政策立案者たちはまず、バブルに誘発された投資ブームでこれに対応し、次に財政赤字で対応した。どちらの期間においても、資本流出が需給を均衡させることに貢献した。

 金融緩和政策は、バブル後のデレバレッジング(負債圧縮)を容易にした。また、緩和がなかった場合に比べて円相場を低く抑え、輸出を促進したと言うこともできる。

 だが、企業部門の莫大な資金余剰を解消するほどには投資を増やせなかった。その理由は、民間部門が既に過剰な投資を行っていることだ。スミザーズ氏が指摘するように、「人口が減少している日本は、人口が増加している米国よりもGDP比で3割も多く投資している」のだ。

 管理しなければならない日本経済の不均衡と1980年代に生じた巨大なバブルを考えると、日本の政策立案者はうまく対処してきた。だが、今の軌道は持続不能だ。それでは、アベノミクスは一体何をもたらし得るのだろうか?

アベノミクスがもたらす結果


円安は確かに日本経済の役に立つし、全体としては世界経済の役にも立つという〔AFPBB News〕

 まず、円安は純輸出を後押しすることで、経済の助けになるはずだ。

 確かにこれは近隣窮乏化政策の通貨切り下げだ。しかし、全体的に見れば、この政策は他国・地域でより積極的な金融政策を促すことになり、どちらかと言えば世界経済に役立つはずだ。

 次に、インフレ期待の高まりは(実際に高まった場合には)、短期的には実質金利を低下させるだろう。それは良いことだ。だが、インフレ期待値を不安定にさせる恐れもある。それは良くない。

 10年前であれば、これはすこぶる有益な政策だったろう。大変な債務過剰状態にある今は、やはり必要だが、リスクの高い政策になる。それが金融政策が政治家に完全に掌握されたことを裏付けるようであれば、特にリスキーだ。

 第3に、財政赤字を増やせば、短期的に需要を増加させる。これは明らかに望ましいことだ。何しろ昨年第3四半期には、日本経済はまだ2008年第1四半期の水準を2.3%下回っていた。だが、財政赤字を増やしても、日本の民間部門の構造的に弱い需要を是正することにはならない。

 さて、それではこれ以上何をすべきなのか? その答えは、民間需要の弱さに焦点を合わせた構造改革だ。内部留保は減らさなければならず、しかも同じだけ投資を減らしてしまうことは避けなければならない。高水準の投資も、今より有効に行われる必要がある。

 どうすれば内部留保を減らせるだろうか? 

 筆者の見るところ、3つの可能性がある。賃金を引き上げること、コーポレートガバナンス(企業統治)の改革を通じて企業に株主還元の増加を迫ること、そして最後に、株主に対する利益還元を促し、税収を引き上げるために法人税の税制を変更すること――だ。

 スミザーズ氏は特に、グロスの法人貯蓄のかなりの部分を占めている、現状では過剰な減価償却引当金を減らす役目の重要性を強調する。

企業から過剰利潤を取り上げ、国民に所得を

 大きな危険は、日本が今後も長期的な構造問題を、金融・財政の政策措置で対処できる問題として扱い続けることだ。

 短期的には、後者の政策措置は必要だ。だが、よりバランスの取れた経済を築くカギは、これまでに資金を有効活用できないことを示してきた寡占的な企業部門から莫大な過剰利潤を取り上げることだ。

 結局は巨大な財政負担になってしまうような企業の資金余剰は、減らさなければならない。むしろ、国民に所得を享受させた方がいい。

By Martin Wolf


 

社説:EU予算、未来を開くイノベーションを阻むな
2013年02月07日(Thu) Financial Times
(2013年2月6日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 欧州の指導者たちは、イノベーションに関する信条を空で覚えている。イノベーションなしでは、世界経済には成長回帰も繁栄もあり得ない。だが、今週ブリュッセルで行われる欧州連合(EU)予算協議に向けて準備を進める中、多くの指導者は狭い国益を優先させ、公然と掲げる信条を犠牲にするつもりのようだ。

 農業、地域支援などの伝統的な補助金に対する加盟国の強硬姿勢により、欧州理事会のヘルマン・ファンロンパイ議長は、研究とイノベーションに関する欧州の野望を後退させることを余儀なくされた。EUは競争力に関して合意されたアジェンダの一環として、この分野への予算配分(期間は7年間)を550億ユーロから800億ユーロに増やすことを望んでいた。

伝統的な補助金に固執する加盟国、研究予算が犠牲に

 この研究・イノベーション予算――増額してもなお、EUの予算全体の8%に過ぎない――は、雇用を創出し、高齢化やエネルギー、環境などの社会問題に対処する分野に集中的に投じられることになっていた。ところが、研究への予算配分は650億ユーロないしそれ以下に削られる可能性が高い。

 金額ベースではなお、実績より予算が増えるものの、これは非効率で歪んだ予算が長期的な成長の追求に勝ったことを意味する。

 加盟国がEUに抑制を求めるのは理解できる。政治家は自国で痛みを伴う緊縮財政を強いられており、EUでも同じ犠牲がなされることを確認する必要に迫られている。だがそれは、全体の予算枠の中で、より活力に満ちた欧州経済を築く助けになる要素を犠牲にしたものであってはならない。

 欧州の予算の4分の3は今も農業と構造基金に振り向けられている。その大半は、資金が最も必要とされていない国に費やされている。例えば農家を支援する補助金では、フランスとドイツの大企業が最大の受益者に数えられている。

 こうした加盟国は非効率な補助金を擁護するのではなく、この予算についてもっと選択的になるべきだ。ちょうど、一部の国が国内支出の抑制を図る中で、一番支援を必要としている人だけに給付金を配分しているように、だ。

 EUの研究予算については、世界の最先端を行く英国の大学が大きな受益者だ。その成功から、英国は特に研究・イノベーション予算に大きな関心を持つ。だが、予算総額の大幅削減を求める英国政府の要求は、対応を講じようとするファンロンパイ氏の手足を一層縛ることになる。

 EU創設の父の1人、ロベール・シューマンはかつて、欧州は「一度にすべてが築かれるわけではないし、たった1つの計画に沿って築かれるわけでもない。具体的な成果の積み重ねを通じて築かれていく」と述べた。

 そうした成果を可能にするのが、研究であり、イノベーションだ。欧州は革新する手段を攻撃することで、自らの未来を損ねている。


12. 2013年2月07日 00:54:58 : THPWvWm6KA
ただ逆に考えればこれから中国ではバブルが起きるのかもしれない、日本も成長期の終わりにバブルが来たから可能性はあるかも、反動が怖いけどね、

13. 2013年2月27日 01:13:22 : xEBOc6ttRg

>>12


中国インフラ投資モデルの限界

2013年2月27日(水)  張 茉楠

中国は、投資効率の悪化をさらなる投資で補いながら経済成長を続けてきた。それを支えているのは信用の拡大だが、ついに信用リスクが危険な状態に達している。中国が安定的に成長を続けるには、インフラ投資モデルからの脱却が不可欠だ。

 中国の成長モデルが息切れしかけている。

 中国は、ケ小平氏が経済改革に着手してからの30年間、年平均9.8%というペースで成長を遂げてきた。だが世界銀行によると、このうちの6〜8割は投資によるもので、生産性の向上は2〜4割しか寄与していないという。

 現在の中国は、低迷する外需、脆弱な内需、上昇する労働コスト、低い生産性といった問題を抱えながら成長を維持するために、投資に過剰に頼りすぎている。

投資効率の悪化が投資に拍車

 このような成長モデルがいつまでも続けられるはずはない。だが、中国が投資への依存を緩める気配は見えない。実際、中国では資本の深化(労働者1人当たりの資本の増加)が進んでいるため、各分野で生産を高め、技術を高度化していくには、より多くの投資が必要となる。

 中国の1995〜2010年のGDP(国内総生産)成長率は年平均9.9%。この間、固定資産投資(インフラと不動産開発計画への投資)の規模は年平均20%増え続け11.2倍拡大した。そのため、固定資産投資の総額は、平均でGDPの41.6%、2009年には過去最高の67%に達した。大半の先進国ではあり得ない数字だ。

 中国のGDPに対する投資比率が上昇している背景には、投資効率が悪化していることがある。それは、限界資本係数(年間投資額を年間の生産増加額で割った数値)の高さに表れている。

 経済が改革され、開放が進んだ1978〜2008年、中国の限界資本係数は平均2.6と比較的低く、1980年代中頃から90年代初めが最も高かった。だがそれ以降、限界資本係数は2倍以上上昇した。つまり、生産を1単位増やすために必要な投資が大幅に増えたということだ。

 中国は、資本の蓄積と深化によって成長を加速してきたため、投資効率が悪化しても投資パターンをそのまま維持、過剰生産を招いてきた。そのため、生産が内需を上回ると、輸出を拡大せざるを得ない。こうして、輸出主導で資本集約的な産業構造が急速な成長を支えるという構図が出来上がってしまった。

 しかし、ひとたび外需が落ち込むと製品在庫が膨らみ、価格が下落して利益が縮小する。利益の縮小は、信用を拡大することである程度相殺できるが、信用の拡大に基づく生産の拡大は、必ず大規模な金融リスクにつながる。

 つまり、投資と負債と信用が、こうした形で組み合わさると、危険な悪循環が生じ、生産がますます過剰になる。


インフラ投資による成長は限界に(浙江省紹興の杭州湾で建設が進む世界最長の斜張橋、嘉紹跨海大橋)(写真:Photoshot/アフロ)
危機対応の刺激策で信用が拡大

 中国政府は、2008年の世界金融危機を受け、巨額の金融財政刺激策を実施し、その一環として国内の銀行に対して、信用を拡大し、大規模なインフラ開発計画に投資するよう指示した。

 その結果、中国国内の信用総額は2008〜11年にGDP比で40ポイントも上昇した。貸し付けの大半は、国営企業による大規模投資に向けたものだ。

 特に2011〜12年には、資本のうち一番大きな部分を銀行融資が占めるに至った。銀行の自己資本が質、量の両面で低いことを考えると、これは危険な状況である。

 一方、通貨への需要は強く、広義のマネーサプライ(M2)は世界最高のGDP比180%まで膨らんでいる。この莫大な流動性がインフレの引き金となり、不動産価格の急騰を招き、負債の急増に拍車をかけた。

 中国国内の各地方政府は、高い成長率を維持することで利益を得るため、多くの場合、借り入れをして資金を調達し、大規模な不動産開発やインフラ開発計画への投資を行う。

 地方政府はこうした投資資金を調達するために、「地方融資平台」と呼ばれる半公営の投資会社を設立する。金融危機の際に中央政府が積極的な財政政策を採用した結果、地方融資平台の数は2008年の2000社から、2012年には1万社強に急増した。

 しかし、中国の銀行は、地方政府の債務が増大するにつれ、不動産や地方融資平台を大きな信用リスクと見なし始めた。

成長モデルの転換を

 主要産業が生産過剰と利益の伸びの減速に見舞われる中、企業の赤字は拡大し、債務のリスクも非常に高まっている。

 実際、大企業の赤字支出の割合は上昇傾向にあり、売掛金回収率は低下している。各産業の大手企業の売掛金総額は、2012年7〜9月期に8兆2000億元(約130兆円)と、前年同期から16.5%増えた。多くの企業はその穴埋めにさらなる借り入れを行い、債務がまた膨らんだ。

 中国の調査会社GKドラゴノミクスによると、企業の負債総額は2011年にGDPの108%、2012年には122%となり、15年ぶりの高水準を記録した。

 重い債務を背負う会社の多くは国有企業で、そうした企業が開始する新規プロジェクトの大半は、投資が利益を上げるまで、融資をした銀行が期待するよりも長くかかる「スーパープロジェクト」だ。

 これから2年の間にこれらの企業は、債務返済のピークを迎える。大きな負債を抱える一部の企業は、恐らく資金調達の道を断たれるだろう。

不良債権が近く金融機関を襲う

 その結果、中国の金融システムはますます不安定になっていく。高速道路や高速鉄道建設などへのインフラ投資総額は、50兆元(約790兆円)を超えるとも報じられている。このような投資の拡大は、銀行のバランスシートも膨らませる。

 地方融資平台への投資貸し付けと、それにより地方融資平台が抱える巨額の債務、そして「闇」金融を通じた簿外融資が、リスクを高めつつある――。融資の焦げつきが金融セクターを揺るがす日は遠くないかもしれない。

 中国が経済発展の次の段階に進むには、新たな成長モデルに移行する必要がある。投資にばかり頼っていては、安定した長期的成長を実現し、繁栄を手にすることはできない。

 それどころか、このままでは中国経済に重大かつ長期的な悪影響が及びかねない。

国内独占掲載:Zhang Monan © Project Syndicate


張茉楠(チャン・モナン)

中国の政府系シンクタンク、国家情報センターの副研究員。また、中国外務省傘 下の組織、中国国際問題研究基金会の研究員も務める。専門は国際的な 資本移 動及び通貨制度など。


Project syndicate

世界の新聞に論評を配信しているProject Syndicationの翻訳記事をお送りする。Project Syndicationは、ジョージ・ソロス、バリー・アイケングリーン、ノリエリ・ルービニ、ブラッドフォード・デロング、ロバート・スキデルスキーなど、著名な研究者、コラムニストによる論評を、加盟社に配信している。日経ビジネス編集部が、これらのコラムの中から価値あるものを厳選し、翻訳する。

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Project Syndicationは最初に配信したコラムで、当時最もホットだった「ロシアと西欧の関係」を取り上げた。そして、ロシアとNATO加盟国が対話の場 を持つことを提案した。

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