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それにしても円安が止まりませんね。
しかし、これだけ円が安くなっても、まだまだ円はそれほど安くなっていないという人も多い。
つまり、数年前の日本の輸出産業は、1ドル=95円程度であればどうにかやっていけると思っていたところ、それより20円ほども円高が進んでしまっていた訳です。だから、それから考えるならば、円安といってもそれほどでもない、と。
一方、ユーロとの関係はどうかと言えば、一時1ユーロ=94円台をつけたことがあったのですが、それが今では126円台になっている訳ですから、対ユーロとの関係ではさらに円安に振れているのです。
韓国、ドイツ、ロシア、米国‥そうした国々が、アベノミクスの円安政策にクレームを付けているのです。
では、彼らの一部が言うように、日本が自重しなければ通貨安戦争に突入する危険性があるのか?
まあ、外国からそんなことを言われて、安倍政権としては面白くないのです。そもそも欧米が超緩和策を採用してじゃぶじゃぶマネーを放出するようなことをしたから急激な円安がもたらされたのではないか、と。
つまり、一言で言えば、安倍政権としてはこうした通貨安政策を今後も改めることはなく、インフレ率が2%ほどに達するまでは大胆な金融緩和を続け、従って、円安政策を続けることでしょう。
では、そうして日本が姿勢を改めないとすれば、世界的な通貨安戦争を引き起こす可能性があるのか?
私は、その恐れは殆どないと思うのです。それに仮に通貨安戦争に突入しても、日本が勝つと思うのです。
何故?
安倍総理の決意が固いから? それとも、日銀の新総裁になる人が、安倍総理の考え方に近い人だから?
そんなことが理由ではありません。そうではないのです。
いずれにしても、例えば米国がゼロ金利政策を比較的早期に打ち切ってしまうことはないでしょう。何故ならば、FRB自身がそのように言明している訳ですから。従って、米国はこれからもゼロ金利政策を続けるでしょうし、長期国債の買い入れも続けると思うのです。
しかし、そうはいっても、再び対円でドルの価値を80円を切るレベルにまで引き下げるために大胆な緩和策を取るようなことはしないでしょう。そして、欧州としても、もちろんユーロの価値がこれ以上上がらないことを望んでいるでしょうが、だからと言ってユーロの価値を引き下げることを目的として無制限な金融緩和策に打って出ることはないでしょう。
そして、もし、米国や欧州が通貨安を狙いとする無制限の金融緩和策に打って出ても、恐らく円高を引き起こすことは難しいでしょう。
私がこんなことを書くと、どうして?と思う方がいらっしゃるかもしれません。
というのも、つい数か月前までは超円高が続いていたではないか、と。そうして円高になっていたのは、米国や欧州の金融緩和の内容が日本よりも強力であったからなのではないか、と。
皆さんが、そのような考え方をしても仕方ないかもしれません。というのも、専門家のなかにも、そのような主張をする人が多いからなのです。安倍総理もその一人でしょう。
でも、それは真の理由ではないのです。但し、そうした主張を信じる市場参加者が増えているために、アベノミクスによって無制限というか大胆な金融政策が実施されるならば円安に振れるはずだと予想する向きが増えていることは否定できません。
★いずれにしても、この数か月間でドルもユーロも対円でこんなに急に価値を回復してしまったのは事実。では、その間に、日銀の保有する資産が急増し、大量にマネタリーが放出されたのでしょうか?
決してそんなことはありません。この先、そうなる可能性があることは否定できませんが、しかし、まだ現実には、日銀の保有する資産が急増し、急速にマネタリーベースが増大しているのではないのです。
しかし、円は急速に安くなった、と。
だとすれば、それは市場関係者の心理状態に変化が起きたためだと言うべきなのです。
アベノミクスで無制限の金融緩和が行われれば、大量にマネーが放出され、そうなればドルやユーロに対して円が安くなる筈だ、と。
もちろん、それが正しい考えであると実証された訳ではないのですが、著名な経済学者たちがそのようなことを主張し、そして、現実に円安が起きているものだから、その説が正しいと皆信じている。そして、そうやって、円安が進むと信じてドル買いをして儲ける投資家が続出するものだから、だからなおのことドル買いが勢いを増す、と。
今、ドルを買わずに何時買うのか、と。定期預金を下ろしても買うべきだ、と。
そして、そのようなアドバイスに従ってドルを買ったところ、更にドルが上がって、簡単に儲けることができたので、だから更なるドル買いを呼ぶのです。
いずれにしても、そうして円安が進むので、韓国やドイツは特に面白くない、と。
では、海外も日本の通貨安政策に対抗して、さらなる緩和策に踏み切ることになるのか?
でも、それはなかなかできないのです。
リフレ派の人々、そして、日銀が怠慢だなんて批判する人々はよく言うのです。米国や欧州の中央銀行は無制限の緩和や無期限の緩和を打ち出すのに、なぜ日銀は小出しの政策しか打たないのか、と。
それは全くの誤解です。
米国や欧州の中央銀行が、仮に無制限とか無期限と言う言葉を使用していたとしても、それは偶々そういう言葉を使用しただけの話で、心のなかでは常にインフレのことを懸念していて、いつも出口政策、つまり緩和策を打ち止めするときのタイミングと手法について気を使っているのです。だから、文字通り無制限に金融を緩和するなんてことが彼らの本意ではないのです。
いずれにしても、仮に米国や欧州や或いは韓国が、通貨安戦争に参加したと仮定してみましょう。その時に、誰が勝つのか?
★問題は弾をどれだけ保有しているかということです。
つまり、誰が無制限に金融緩和をできる弾を持っているのか、と。
韓国は日本に対する対抗意識が強く、そして輸出主導の経済だから、通貨安戦争に参加し日本に対抗するのでしょうか?
ある程度のことはするでしょう。
しかし、韓国を含め海外勢には限度があるのです。それは、幾ら金融を緩和して自国通貨の価値を引き下げたくても、その一方で、インフレに対して警戒する必要があるので、無制限の金融緩和を無期限で実施することなど不可能だからです。
その点、日本はどうか?
どれだけ金融を緩和し続けても、一向にインフレが起きなかったのは日本だけだと言ってもいいでしょう。そして、今後も、経済界はそう簡単に賃上げに応じることはないと言っているので、インフレが起きるとしても、相当先のことになる可能性が大なのです。
★そのように日本の場合は、インフレになる可能性が世界で一番低いと言ってもいい訳ですから、そのために、どれだけでも超緩和策を継続することができるのです。つまり、日本は無制限に弾を有している、と。だから、仮に通貨安戦争になっても、なかなか太刀打ちできる国は現れないでしょう。
そして、そのようなことは欧州勢も気が付いており、特にドイツなどはかつてハイパーインフレを経験したことがあるものだから、なおさらインフレを招く恐れのある金融緩和には及び腰になりがちなのです。
つまり、ドイツを中心とする欧州勢は、日本との通貨安戦争に参戦することはできない、と。
そして、そうやって日本と通貨安を競うことができないことが分かっているので、アベノミクスによる通貨安政策にいちゃもんをつけ、日本に対し自重することを求めるしか方法がないのです。
但し、こうして急激に円安が起きている原因としては、アベノミクスによって市場参加者の予想に変化がもたらされたことの他、ユーロ危機が収まってきていること、また、米国の経済が回復してきていること(第4四半期はマイナス成長になっているものの)、さらには日本の貿易赤字が拡大基調にあることなどがあるのです。
いずれにしても、通貨安戦争に勝つということは、自国の通貨が安くなるだけの話なので、本来は寂しい面もあるのです。(抜粋/小笠原誠治)
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