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“倒産予備軍”300社、極秘資料の波紋 「延命策」3月に期限切れで… (ZAKZAK) 
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/175.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 1 月 30 日 19:52:00: igsppGRN/E9PQ
 

       配布された300社実名リストには経営悪化の要因がアルファベットで記されている


“倒産予備軍”300社、極秘資料の波紋 「延命策」3月に期限切れで…
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20130130/ecn1301301827008-n1.htm
2013.01.30 夕刊フジ


 民間信用調査会社がまとめた破綻予備軍のリポートが波紋を広げている。資金ショート、債務超過、粉飾疑惑など企業の経営状況を詳細に調べた極秘資料で、300社の社名が記されているのが特徴だ。長く続いた円高傾向と消費不況で、虫の息の企業が続出。中小零細企業の延命策として活用された中小企業金融円滑化法が3月に切れるとバタバタと逝く可能性が指摘される。アベノミクスで景気回復期待が高まる一方で、不気味な実態が日本を覆っている。

 経営に重大な問題を抱える崖っぷち企業の実名を公開する会員制の報告会が先週、都内で開かれた。

 実施したのは、企業に深く食い込んで情報を取ることで知られる信用調査会社「東京経済」。同社では年に2回、同様の報告会を開き、昨年8月に指摘された企業のうち、テレビショッピング「日本直販」で知られる総通、東証マザーズ上場だったシコーなど13社が実際に経営破綻した。

 会場には銀行、商社、リース、消費者金融などの審査担当者ら約300人が出席。配布された極秘資料はA4判の10枚つづりで、300社の社名のほか、主力取引銀行、仕入れ先などが記され、右端にはA〜Jのアルファベットが並ぶ。

 Aは「資金面の変調」、Bは「社内人事の変動や内紛」、Cは「不祥事」など、各企業が抱える事情を表したものだ。

 同社の情報部員が「市中に高額の手形が出回っている」「資金繰りが綱渡り状態」など個別企業の情報を明かすたびに、出席者は厳しい表情を浮かべ、無言でペンを走らせた。

 極秘資料に載った上場企業は東証1部を含めて24社。大企業や有名企業、老舗企業も多い。影響を考慮して、具体的な会社名は伏せるが、通信機器製造会社は「不採算事業の切り離しやリストラで縮小傾向。収益改善の出口がみえない」、音響機器製造会社は「通期業績予想を全面的に下方修正したが、さらに下振れの可能性もあり再建難航」と明かされた。

 ある建設会社は「不採算工事の集中で過去最大級の赤字」と指摘され、老舗ゼネコンは「信用不安で発注を敬遠される懸念など問題山積」という。

 業種の内訳をみると、建設・土木・工事関連が80社と圧倒的に多く、次いで食品・飲料関連が16社。不動産関連が10社、パチンコ関連が6社、飲食店経営が4社と続く。

 今回の特徴として、経営再建中の某企業に受注を依存する部品製造、加工業者も資料に多数見受けられた。

 東京経済の伊藤剛東京支社副支社長は「円滑化法適用、返済リスケ(リスケジュール=債務返済の繰り延べ)中の中小企業に対する関心が高まっている。円滑化法終了後にこれらの企業が引き続き支援を受けられるのか注目される」と解説する。

 同社の調査では、2012年に経営破綻した企業は全国で1万1120社、負債総額は約3・8兆円にのぼった。倒産件数は前年比約2%減で、ここ数年は減少傾向にある。

 ただ、円滑化法に支えられてきた「倒産予備軍」は30万社にのぼるともいわれ、債務返済の繰り延べによって生き延びてきた会社が、3月末に迎える円滑化法の期限切れで一気に倒産する危険性がある。

 とりわけ報告会で80社にのぼった建設や土木工事関連はかなり厳しい。

 前出の伊藤氏は「復興恩恵を受けずに悪い影響のみ被っている関西ゼネコンの苦戦も目立つ。政権交代で公共投資への期待は高まるも、大手ゼネコンの下請けは非常に厳しい。どこまで耐えられるのか要注意」との見方だ。

 4月以降の大量倒産を暗示するかのような今回の報告内容。悪夢は現実のものになってしまうのか。


 

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コメント
 
01. 2013年1月30日 20:57:01 : NkmK03qUVc
 さんけい新聞は大丈夫だよ!

02. 2013年1月31日 06:50:30 : HrkgpfvQPE
アカヒ新聞は危ないかも?

03. 2013年1月31日 18:46:44 : RufpgDo1AM
なるほど
倒産前のボロ株一斉騙し上げってわけだね。
あぶないあぶない!

04. 2013年2月01日 23:08:16 : EFYFv8Rb5U
つぶれてほしい、、、、増すごみ(TV,ちんぶん、、)うそつきども。

05. 2013年2月07日 15:50:09 : xEBOc6ttRg

化学はニッポンを見放した
主要メーカーが国内生産を次々と撤退、縮小
武政 秀明:東洋経済記者2013年2月7日

自動車、携帯電話、家電製品、衣服、日用品――。私たちの身の回りにあふれるさまざまな製品に、プラスチック(合成樹脂)や繊維、ゴムなどの部材や、製造工程に使われる工業薬品、各種ガスなどを供給する化学産業。出荷額40兆円は自動車産業に次ぐ国内2位、従業者数88万人は国内製造業で同3位(2010年、経済産業省調べ)に位置する。ニッポン製造業を支える重要産業の一つである。

その“砦”が、静かに崩れ始めている。

住友化学がエチレン国内生産から撤退

住友化学は2月1日、プラスチックなどの石油化学製品の基礎原料となるエチレンの国内自社生産をやめると発表した。千葉工場(千葉県市原市=タイトル下写真=)で2015年9月までに、年産41.5万tの能力を持つエチレン製造設備を停止する。

2月5日には宇部興産が、繊維や樹脂に使われるナイロンの原料となる「カプロラクタム」と呼ぶ化学品の国内生産を縮小すると発表した。堺工場(大阪府堺市)での生産を14年3月末にやめる。カプロラクタムの国内生産は宇部工場(山口県宇部市)のみとなる。


日本経団連の米倉弘昌会長(撮影:吉野 純治)
住友化学は国内の化学業界で売上高2位、宇部興産は同10番手前後に位置する。エチレンは石化産業のおおもととなる製品。宇部興産はカプロラクタムの世界的なメーカーだ。日本を代表する化学メーカーが相次いで、主力品の国内生産を撤退、縮小すると表明した事実は、「偶然」の一言では片付けられない。特に日本経団連の米倉弘昌会長が会長職に就く、「日本企業の象徴的な存在」ともいえる住友化学が決断した意味は重い。

共通するのは、熾烈化する国際競争の中で起きた構造的な変化に対応するという判断だ。

現在、国内では計10社が各地のコンビナートで計15基のエチレン設備を運営する。これまでもエチレン設備を廃棄したり、共同運営に切り替えたりした例はあったが、日本の石化産業史においてエチレンの国内自社生産から事実上、手を引くのは住友化学が初めてとなる。

「過去の思いは断ち切る」

「グローバルにやっていくということで、過去の思いは断ち切る」。2月1日。東京都内で会見した住友化学の十倉雅和社長はこう述べた。千葉工場は、日本の石化産業の黎明期となる1970年に操業を開始。住友化学は「マザー工場」と位置づけてきたが、「40年以上を経過してエネルギー効率や保守費用の面など競争力が低下している」(十倉社長)。

日本の石化産業は、海外勢の台頭に苦戦中だ。石油化学工業協会によると12年のエチレン国内生産は、前年比8%減の614万t。2000年以降最低で、リーマンショック後の08〜09年をも下回った11年を、さらに割り込んだ。バブル崩壊後の水準とほぼ同等となる。


住友化学・千葉工場の全景
エチレンの内需は、年500万t前後。人口減や高齢化などで内需が縮小均衡を続ける中で、余剰分は輸出に回して賄ってきた。その拠り所が世界を牽引する中国の経済成長だったが、欧州債務危機を発端にそれも崩れた。

深刻なのは景気要因だけではなく、弱点があぶり出されたことにある。近年、天然ガスを由来とする安価なエチレンに強みを持つ中東や、最大の需要地である中国で、年100万トン級の大型エチレンプラントの新・増設が相次いだ。

原油から取り出すナフサ(粗製ガソリン)を原料にする日本の石化産業と比べ、中東とのコスト差は20〜30倍ともいわれる。不利な展開の中で、日本の石化製品は中国をはじめとする輸出先のアジアからはじき出されるとともに、中東や中国の安価な輸入品が日本に流入してくる事態となった。

シェールガス革命も日本に襲いかかる

加えて、米国で頁岩(けつがん)から取り出す天然ガスである「シェールガス」の開発が進み、これを原料にした大型のエチレンプラントが16〜17年に相次いで始動する見込みとなっている。その規模は日本勢の計760万d程度に匹敵するとされる。競争力の低い日本が、中東・中国と米国から「挟み撃ち」にされる構造問題に対応するために、住友化学は小規模で競争力の低い千葉工場のプラントを停止せざるを得ないという判断に至った。

住友化学が活路を求めるのは海外だ。すでにシンガポールとサウジアラビアに大型の石化プラントを設けている。特に汎用的な製品はコスト競争力が高く、アジアなどの需要地に近い海外での展開にシフトする格好となる。

製品は違うが、宇部興産も事情は似ている。まずナイロンは、たとえば洗剤やシャンプー、リンスの詰め替えパック、密封度の高い加工食品のパッケージなどに使われる。宇部興産はその原料となるカプロラクタムを日本2拠点のほかスペイン、タイで生産している。

世界4拠点でもっともコスト高なのが堺。それを招いた要因が電気代や人件費の高さといった日本が抱える弱点である。もともとカプロラクタムは市況性の強い製品で、景気の変動などに応じて、儲けが変動しやすい。今までは市況が悪いときに赤字に陥っても好況になれば取り返せていた。

ところが、カプロラクタムにも海外勢の波が襲いかかっている。複数の中国メーカーが仕掛けた大増産が、12年にピークを迎え供給過剰に陥ってしまったのである。景気循環で浮上する見込みが薄まった構造的な変化に対応するために、堺工場が痛みを被ることになったのだ。

三菱ケミカルは先んじて日本“脱出”


三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長(撮影:山内 信也)
今回の住友化学、宇部興産に先んじて、すでに国内化学で最大手の三菱ケミカルホールディングスは、不採算品を中心に国内からの“脱出”を進めている。代表的なのはPETボトルなどの原料になる「テレフタル酸(PTA)」と呼ばれる化学品。2010年に国内生産をやめ、インド、中国、インドネシア、韓国といった海外生産のみに移行している。三菱ケミカルの社長を務めるのは、石油化学工業協会の小林喜光会長。小林氏は、安倍政権の経済政策の司令塔として復活した、経済財政諮問会議の民間議員でもある。

総合化学メーカーで国内8位級の昭和電工も、国内事業所の再編を検討しており、市川秀夫社長は、「国内事業は聖域を設けず、既存の立地に縛られずにベストロケーションを追求する」と言及している(関連記事はこちら)。

歴史的な円高こそ足元で是正されたものの、厳しい労働規制や高い法人税率、電力不足など、日本の製造業は、諸外国と比べて“六重苦”ともいわれる不利な環境にあると指摘されてきた。旧民主党政権はこの問題に対処できず、政権交代した自民党の安倍政権がこれに対する明確な手立てを講じて実効性を伴うにも時間がかかる。その間にも、熾烈な国際競争にさらされる産業は、どんどん日本を出て行く。少なくとも化学メーカーは日本を見放した。


06. 2013年2月08日 06:12:15 : mb0UXcp1ss
【第43回】 2013年2月8日 クロサカタツヤ [株式会社 企/クロサカタツヤ事務所代表]
「ドコモは大丈夫なのか?」
ケータイ産業の中の人たちまでが囁く懸念の深層
「NTTドコモは大丈夫なんですか?」

 打ち合わせの冒頭、お客さんとよく雑談をするが、最近必ずといっていいほど聞かれるのが、この質問である。

 先月末にNTTドコモが発表した2012年4-12月期連結決算で、売上高が3.4兆円(前年同期比6.2%増)だった一方、営業利益が7000億円(同5.6%)と、いわゆる増収減益となった。また同時期に開催された新製品発表会の芳しくない評判も、ネットやソーシャルメディアであっという間に広がった。

 こうした状況下、2月6日のNTT(持ち株会社)の決算発表会で、同社の鵜浦博夫社長は、「利用者のニーズに応えることも必要だ」とコメントした。一部報道機関がこれを「NTT持ち株がNTTドコモにiPhone導入を促す」と報じ、当のNTTがこれを否定すると、にわかに混乱した状況が生じている。

 売上高が3兆円を軽々と超え、営業利益もおそらく通期で8000億円を超えるであろう企業が、「大丈夫なのか」と心配されるのは、どこかおかしな話でさえある。しかし、通信セクターをお手伝いする人間としては、そうした懸念はよく分かる。なにしろ冒頭の問いかけは、NTTグループ各社や競合他社はもとより、NTTドコモ本体の中の人からも、しばしば投げかけられるからだ。

 確かに増収減益とは「売るのが大変です」という状態だし、MNP流出は大きくクローズアップされ、端末ラインナップも決定打に欠ける。テレビCMを観てみれば、もはやご長寿キャラクターとなった「ドコモダケ」が空を漂い、ドコモショップを覗いてみれば、店内は割と空いている。確かに元気さを感じる要素は少ない。

 市場ではよく「モメンタム」という言葉が使われる。端的には、株価が時間を経てどれくらい動いているかをあらわす指標だが、より広義には「変化、勢い」というような意味合いで使われる。

 おそらくNTTドコモは、このモメンタムに動きがない、あるいは負のモメンタム(つまり下げトレンド)に入っているように見えるのだろう。本連載でも触れた「ドコモiPhone」の話が、復活の起爆剤のように織り込まれつつあるのも、そうした懸念と期待への裏返しといえる。

予め約束された失敗

 ところでNTTドコモのモメンタムの停滞は、いまに始まった話なのだろうか。

 競争の激しいケータイ産業を注視していると、どうしても近視眼的になりがちで、四半期どころか先月のことさえも、もはや誰も覚えていない、という風情が漂う。しかし、ケータイ産業の中の人たちがそんな話をしているのをソーシャルメディアで見かけて、少し立ち止まって考えてみた。

 たとえば消費者の端末買替えサイクル。情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)が昨夏に発表した「2012年度携帯電話の利用実態調査」では、33.7ヵ月と発表されている。直前に比べれば短くなる傾向は見られ始めたものの、相変わらず3年近く、同じ端末を使い続けているということである。

 同調査も示唆しているが、おそらく短縮傾向はもう少し続くだろう。これはスマートフォンの台頭によるところが大きい。ただそれでも、そう簡単に新しいものに乗り換えていくというものではない。

 ネットやソーシャルメディアでは、一部の「ギーク」の声が大きく、「新しい端末をすぐ試さなければ人でない」とさえ感じてしまうかもしれない。しかし冷静に考えてみれば、端末とてそう安い買い物ではなく、買い替えで発生する新たな端末の使い方の習得が面倒であることを考えれば、むしろ多くの消費者は保守的であると考えるのが正しい。

 特に昨今は、端末の割賦販売が大きく広がった。これを受けて、事実上の「2年縛り」が発生するとなれば、なおのことおいそれとは切り替わるはずがない。

 だとするといまMNPの流出入が云々されているのは、2年以上前に端末を購入し、回線を契約した消費者が、この2-3年間のケータイ生活に不満を抱いたり、現状維持よりも大きく魅力を感じるオプションを提示されたりしたことで、切り替えているということになる。

 NTTドコモの現状は、2年以上前から、予め約束されていた失敗だったのではないか。より厳しく言えば、この数年間、顧客満足を維持・拡大するための有効な手立てを打てないまま、現状に至っているということではないのか。そうした見方も成立するほど、同社の現状は追い込まれている。

この2-3年に何が起きたのか

 では、この2-3年の間に、何が起きたのだろうか。

 まずは言うまでもなく、スマートフォンの台頭そのものである。といってもすでに3年前の2010年6月にはすでにアップルからiPhone4が、またサムスンからギャラクシーS(初代)が、それぞれ発表されている。そう考えれば、スマートフォンの黎明期を超え、本格的な普及期に入ったタイミングだと言える。

 ではサムスンギャラクシーがiPhoneに比べて、普及期に入った日本市場において、競争力に劣る端末だったのか。確かにAndroidOSの混乱などを考えれば、そう言えなくもない面もある。またiPhone4はすでに長年の蓄積があって十分に成熟した端末だったことを考えれば、そうした印象を受ける消費者もいただろう。

 しかし、日本国内におけるサムスンの出荷状況の変遷を振り返ると、そうしたがっぷり四つの激突の結果、ということではなさそうだ。実際サムスンはギャラクシーSを発売するにあたって、日本向け製品だけブランド表記を“Samsung”ではなく“docomo”にしている。日本における韓国製品という特殊な位置づけもあって、プレゼンスは大きく拡大したものの、早々に市場に受け入れられたというわけでは、実はない。

 おそらく消費者の最大の不満は、ギャラクシーも含めて、iPhoneに匹敵するような製品が、いつまで経っても提供されなかったことに集約されるはずだ。それでもドコモという会社へのロイヤリティや通信品質への評価もあって、ドコモの枠内で何か新しいものを触ってみたいと、妥協して機種変更してみたら、これまた不満を感じた、ということなのだろう。

 こうした不満をうまく回収したのが、KDDIのiPhoneだと言える。回線品質に関しては以前からソフトバンクモバイル(以下SBM)への不満の声が高く、いくら値段が安く見えるからといって「安かろう悪かろう」では困る。しかしiPhoneを使う人は周囲に増えているし、アプリやサービスも安心して使えそうで、やはり魅力を感じる――このように考えるNTTドコモユーザーは多かったはずだ。

 こうしたニーズを、LTE対応やMNPのインセンティブ競争のコントロールも含め、うまくすくったのが、KDDIの昨今の成功につながったのだと、私は思っている。すなわちKDDIは、SBMのiPhoneユーザーを奪っただけでなく、むしろ本当に草刈り場としたのは、「保守的だが新しいものを使いたい」と考えていたドコモユーザーだった。そしていま彼らは、iPhoneの勢いを、HTC Jのような他の端末にもつなげている。彼らが目下順風満帆のように見えているのは、私だけではあるまい。

もはやiPhoneでは起爆剤にならない?

 仮にこうした見立てが妥当だとすると、「ドコモiPhone」は、本当にNTTドコモ復活の起爆剤となるのか、私は少々懐疑的だ。

 まず単純に、すでに手遅れであるということ。KDDIがiPhone参入を進めてすでに1年以上が経過している。もともと存在したNTTドコモユーザーのなかで、iPhoneを使いたいと考えていたような人たちは、もはやすっかり草が刈られてしまった状態だと考えるべきだろう。

 まだまだ市場は残っている、という反論もあるだろう。たとえば「らくらくホン」ユーザのスマートフォン移行は、結局iPhoneが一番適切のはず、という見方である。しかしいくらiPhoneがユーザーフレンドリーといっても、フィーチャーフォン利用者の目線で考えれば、まったく別世界である。そこへ移行するには大きな跳躍が必要であり、つまりこれもリアリティが足りない。

 現時点でスマートフォンを使っていない人には、相応の理由がある。それを使う理由が見当たらない、使いこなすためのハードルが高い、という基礎的な課題もあれば、ある程度状況が分かった上で、たとえば電池がもたないことを懸念する向きもある。また、現在フィーチャーフォンでパケット定額制を利用していない人からすれば、事実上の値上げになることに抵抗感を覚える向きもあるだろう。

 こうした課題に向き合わなければならない顧客層である一方で、おそらくこれからドコモがiPhoneに参入するとなると、アップルから莫大なコミットメント(販売ノルマ)を突きつけられるはずだ。最近でこそiPhone5の世界的な不調が顕在化しているものの、それでも日本市場では相変わらず好調である。同じく後発組となった米国のスプリントの例を引けば、おそらく数千万台という規模になるだろう。

 果たしてそれだけ需要を喚起できるのか。前述の通り、本来NTTドコモがターゲットにできた消費者たちが、すでにKDDIによって草が刈られている状態なのだとしたら、それを満たすためには、KDDIに流れた顧客の奪還タイミングを待つか、SBMの顧客を奪うか、あるいは既存のドコモスマートフォンユーザーの買い替え需要を喚起するしかない。

 しかしKDDIからの顧客奪還は、まだもうしばらく時間を要するし、ここまでのところKDDIに対して重大な不満を抱いているという声は聞こえてこない。またSBMはSBMで、おそらく価格戦略によってこれをしのいでいくだろう。もともとNTTドコモとSBMの顧客層が異なることを考えれば、それも容易でもない。そしてドコモスマートフォンの買い替え需要の喚起は、他メーカーとの縁を切ることにもつながりかねない。

 いくら市場がそれを煽っても、総合的に考えて、NTTドコモのiPhone導入は、同社にとってリスクが大きすぎる。おそらくこうした思考と判断こそが、ここまで導入に踏み切れていない背景の一つといえるだろう。

数年かけた「借り」は数年かけて返す

 NTTドコモがiPhoneを提供するのも、消費者からすれば悪い話ではない。しかしそれで彼らが劇的に回復するとは、やはり思えない。むしろ同社が進むべき道は、「この2-3年で起きなかったこと」と「これから先に起きること」を見定めて、粛々と対応を進めることにあると、私は思う。

 では「起きなかったこと」とは何か。まずは、地方部でのスマートフォン移行。東京圏の通勤電車などを眺めていると、もはやスマートフォンを持っていない人はいない、というような景色が広がっている。しかしクルマ社会の地方部においてスマートフォンは使い勝手が悪く、またそれ以前にパソコンの利用さえも十分に浸透してはいない。地方の中核都市でさえ、すべてはこれからというのが現状だ。

 また、通信料金の従量制への移行も、結局進んでいない。既存インフラの限界とLTE投資の重しを考えれば移行が進むはずだという声は、販売現場の過当競争によってあっさり否定されつづけている。それどころか、MNPインセンティブ競争で、「家族全員MNPしたら20万円もらえました!」というような本末転倒の状況に陥っているのが現状だ。

 スマートフォンのサービス側でいえば、通信事業者主導によるプラットフォームの普及も、まだ道半ばという状況である。各社ともここのテコ入れを進めているところだが、ニワトリとタマゴの関係でもあり、この問題を解いて将来を切り開くには、もう少し時間を要するところだろう。

 一方「これから起こること」は、概ね見通しがつきつつある。端的には、タブレットの普及、フィーチャーフォン(いわゆるガラケー)からの移行本格化、法人需要の広がり、である。ただ、タブレットは回線契約に必ずしもつながらず、ガラケーからの移行はITリテラシーにも触れる「容易ならざる問題」だ。

 また法人需要の掘り起こしという声も、理屈は分かるが、特に大企業向けの情報システムは、そもそも通信事業者ではなくシステムインテグレーターやベンダーの領域である。電話とメールという「総務部が対応する世界」ならまだしも、スマートフォンの本領を発揮する高度な情報システムの領域は、通信事業者とておいそれと手を出せる世界ではない。

 諸々を考えていくと、残念ながら即効性のある方策は、なかなか見当たらない。一方で競争は激しく、市場からの批判の声は日々大きくなっている。しかし現在の苦境がすでに2-3年前に端を発するのであれば、消費者が保守的である以上、そう簡単には改善できないと考えるべきだろう。

 むしろここは、今後2-3年後の未来を見定めた動きを進めるのと同時に、いまドコモに残ってくれている顧客に対して、いかに満足を提供していくかを考えるべきなのだろう。そうしなければ、NTTドコモが競合他社からの草刈り場となる状態は、この先ずっと続くことになるし、こうした丁寧な対応に着手しないままでのiPhone導入は、同社にとって「負債」となる可能性さえある。

 NTTドコモは、本来ならば、他の誰よりも底力のあるケータイ事業者である。しかしそれゆえに、歯車がかみ合っていない印象を、このところ周囲に与えている。スマートフォンというパラダイムの寿命が少しずつ見え始めた中で、新しい世界観を提示できる能力と義務を備えた存在として、より本質的な対応を進めてほしいと、一消費者としても願う次第である。


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