07. 2013年1月31日 01:08:13
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20〜30代 vs 50〜60代――韓国の深刻な世代葛藤若者が尊敬するのは盧武鉉、シニアは朴正煕 2013年1月31日(木) 毎経エコノミー 昨年末に行われた韓国大統領選挙の大きな特徴の一つは世代対決だった。20代の65.8%、30世代の66.5%が野党・民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)候補に投票した。一方、50〜60代はほとんどが保守・セヌリ党の朴槿恵(パク・クネ)候補に投票した。
時代に関係なく、若者は進歩を支持、シニアは保守を支持して、対立する。世代葛藤はいつの時代にもあることだ。しかし今回の大統領選挙によって明るみに出た世代葛藤は、今までのレベルを越えるものであった。 選挙後、世代対決の後遺症が既に表われている。20〜30代の一部は、「65歳以上の地下鉄無料乗車制度(訳者注:韓国は敬老のため65歳以上のシニアに地下鉄・電車を無料で乗れるフリーパスを発行している。費用は鉄道公社と自治体が負担)をなくし、老人にも席を譲らないようにしよう」とSNSで扇動した。 世代間葛藤の事態を調査した 20〜30代と50〜60代は本当に背を向けて対立しているのだろうか。韓国社会を二分する世代葛藤の真相を把握するため、毎経エコノミーはマクロミルエンブレインと共同で、「20〜30代 vs 50〜60代 何をどう考えているのか」をテーマに、全国1000人を対象に意識調査を行った。回答者は20代が207人、30代が293人、50代が288人、60代が212人である。 政治性向に関して、20〜30代は進歩、50〜60代は保守、ということがわかった。20〜30代の37.4%が「進歩的」(「とても進歩的」と「進歩的」の合計)を選択した。50〜60代の43.6%は「保守的(」「とても保守的」と「保守的」)を選択した。 「歴代大統領の中で最も尊敬する人」の質問でも意見が分かれた。20代の43%、30代の38.6%が故盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領を選択。50代の42.7%、60代の51.9%が故朴正煕(パク・チョンヒ)大統領を選択した。 朴槿恵・次期大統領が掲げる福祉政策、及び、これに必要な財源調達など経済政策に対しては、どちらの世代間でも意見が同じだった。今回の大統領選挙では、与野党候補の経済・福祉分野の公約がほぼ同じだったからだろう。この公約によって票が分かれたとは言いにくい。 ソウル大保健大学院のチョ・ヨンテ教授は、次のように分析する。「50〜60代を保守、20〜30代を進歩というが、韓国社会の保守・進歩は欧米でいう伝統的な左右の概念とは違う。日常の中で、自分の些細な利益や不便、親しい人の考えによって決まることが多い。イデオロギー型の保守・進歩ではなく、生活型進歩・保守である」「このため地域葛藤や理念葛藤より、世代間の格差の方が投票結果に表われる。20〜30代はTwitterやFacebookの影響を受けているので文候補を、50〜60代はカカオトーク(訳者注:韓国の無料SNS、メッセンジャーアプリ)を使って同じ年代の同僚とコミュニケーションしているので朴候補を支持するようになった」と。 20〜30代も50〜60代もSNSを使ってコミュニケーションしていた。カカオトーク、Twitter、Facebookの活用頻度については、20〜30代の85%が「週4日以上」(「週4日以上」と「毎日」の合計)使うと答えた。50〜60代も51.4%が「週4日以上」(「週4日以上」と「毎日」の合計)利用していた。SNSを使っていないと答えた人は4人に1人だけだった。大統領選挙当日、50〜60代がカカオトークで朴候補に投票するよう応援したという噂は本当だった。 世論や情報を入手する窓口に関しては、50〜60代がインターネット、放送、新聞と色々な媒体を利用しているのに対して、20〜30代は圧倒的にインターネットだった。20〜30代は77.6%がインターネットで情報を仕入れる。紙の新聞を読む割合は3.8%に過ぎなかった。 チョ・ヨンテ教授は、「若い世代がよく利用するTwitterやFacebookは外からも見えるのでマスコミによく紹介され、話題にもなる。20〜30代は本人の考えより周りに影響されやすい。50〜60代はカカオトークをよく利用する。これはグループを作って外からは見えない。考えが似た人同士で集まりコミュニケーションする」と話す。 50代の某経済学科教授は、「Twitterでご意見番としてちやほやされる20〜30代を見ていると、バカバカしくなる(訳注:50〜60世代から見ると知識の浅いことが見え見えなのに、ネットの世界で知識人としてちやほやされている)。ベビーブーマーの50代は韓国社会をリードする主役だ。(訳注:私は)今のところはまだ20〜30代に主導権を渡す気はない。公約だけで候補を判断するなら、50〜60代は福祉を強調する野党候補を支持するべきであった。しかし世代対決によって公約が見えなくなった」と評価した。 朴政権に期待するのは、世代を問わず「経済成長」 世代葛藤は今後ますます深刻になる可能性が高い。定年延長、賃金ピーク制度(訳注:定年まで働けるようにする代わりに、一定の年齢に達した時から定年までの賃金を削減する制度)、老人福祉を巡って、世代間で意見が異なることがあり得る。就職口が少なくなっている中、自分に有利な福祉制度を作ろうと、20〜30代と50〜60代がぶつかることが予想される。 韓国社会において今もっとも深刻な懸案は何か、という質問には、世代に関係なく以下が選ばれた。1位「景気沈滞」、2位「所得格差」、3位「政治腐敗」。4位には20〜30代は「高い物価」を、50〜60代は「高い失業率」を選んだ。20〜30代は大学の授業料や生活費など物価の高騰に敏感なのに対し、退職を目前に控えた50〜60代は失業の問題を肌で感じているからだろう。 李明博政権に対する評価は、20〜30代の77%が「悪かった」(「悪かった」と「最悪だった」の合計)と否定的だった。50〜60代は32.8%が「普通」、10.6%は「良かった」と評価した。 朴槿恵政権に期待しているのは、20〜30代と50〜60代で同じだった。いずれも第1位は「経済成長」、2位は「雇用創出と失業率減少」、3位「貧富格差解消」、4位「政治改革」だった。 朴・次期大統領の公約に関しても質問した。財閥改革や大・中企業の共生といった経済民主化を強調する経済分野の公約に関して、50〜60代では41.6%が、20〜30代では26%が「望ましい」と答えた。 北朝鮮政策も世代間で意見が一致した。北朝鮮に対し強硬な態度を維持しながらも対話を模索するという朴氏の公約に対して、50〜60代は56.8%が、20〜30代は37.8%が「望ましい」と答えた。セヌリ党は、北朝鮮が延坪島砲撃事件や天安撃沈事件について謝罪しない限り南北の会話はないとの立場を取る。50〜60代の56.4%、20〜30代の53.4%がこれに同意した。20〜30代も北朝鮮問題に関しては保守的だということが分かった。 南北統一に関しては、20〜30代の40%、50〜60代の31.4%が「統一しなくて構わない」と答えた。20〜30代は17.4%が「韓国の国民所得が5万ドルを超えてから統一した方がいい」、13.2%が「いつでも統一して構わない」と答えた。50〜60代は23%が「韓国の国民所得が3万ドルを超えてから統一した方がいい」と答えた。 朴政権の福祉公約については、50〜60代は46.2%が、20〜30代は37.4%が「望ましい」と答えた。50〜60代は「癌、心臓、脳血管、難治病の4大重症疾患治療費保障」公約を高く評価した。20〜30代は「0〜5歳幼児無償保育」公約を高く評価した。福祉のための財源として、20〜30代の30.6%、50〜60代の34.6%が「富裕税新設(訳者注:高所得者に対する所得税率や、高額物件に対する不動産税率(訳注:不動産の売買にかかる税金と、所有にかかる税金の両方)を上げるなど)」を第1位に選んだ。その次に「行政改革による予算節減」を選んだ。 20〜30代と50〜60代はお互いをどう見ているのか。20〜30代は、50〜60代を形容するとして「保守」「コミュニケーション不足」「安逸」など否定的なものを選んだ。50〜60代は20〜30代を「ハングリー精神や冒険精神が足りない」「自由奔放」「相手に配慮しない」と見ている。 (キム・キョンミン記者 ©「毎経エコノミー」2013年1月1日〜1月8日号) 「毎経エコノミー」 韓国の毎日経済新聞社が発行する「毎経エコノミー」は、企業の幹部や専門職、個人投資家などを対象とする週刊ビジネス誌。発行部数12万部はこの分野では最大規模だ。 韓国発 毎経エコノミー 韓国の毎日経済新聞社が発行する「毎経エコノミー」は、企業の幹部や専門職、個人投資家などを対象とする週刊ビジネス誌。発行部数12万部はこの分野では最大規模だ。 |