04. 2013年1月29日 13:30:48
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アングル:「行き過ぎた円高」是正は道半ば、政府が示す新ロジック 2013年 01月 29日 11:38 JST [東京 29日 ロイター] デフレ・円高からの早期脱却をめざす政府は、13年度の経済運営で円高是正を最優先課題の一つと位置付けることを明確化した。これまでの為替状況が厳し過ぎたとの認識から、現状の相場水準でも「行き過ぎた円高の修正過程」と麻生財務相が発言、修正はまだ道半ばとの声も政府内にはある。実効レートが90年代前半ほど円高でないとの議論にも「重要なのは水準自体ではない」と新たなロジックを用意。海外からの円安批判には、デフレ脱却が最優先で、円安はその結果との見解も示し始めている。対中貿易に関心が向いている米国からの批判は回避できるとの読みも一部にあるもようだが、来月のG20や日米首脳会談を控え、外交への影響を懸念する声も出ている。 <リーマンショック後の円高を取り戻す> 政府が28日発表した13年度経済見通しと経済財政運営の基本的態度では、足元での過度な円高が修正されつつあるとしながらも、なお「円高是正、デフレからの早期脱却が最優先課題」とうたい、昨年度までの「為替市場の過度な変動は、経済・金融の安定に悪影響」といった表現に比べて、明確に円高是正を打ち出している。ただし、対外的な説明に配慮して、あくまでデフレからの早期脱却とセットにした形をとっている。 ある政府関係者は、これまでの為替状況が厳しすぎたと振り返ったうえで、「今の日本経済の最大の課題は実質輸出の出遅れだ」と分析。この遅れを取り戻すことこそデフレ脱却につながるとして、そのために円高修正が必要との考えを示す。 内閣府の分析では、リーマンショック以降の円高により、12年7─9月までに実質輸出は3.2%押し下げられた。半導体電子部品の競争力低下や自動車産業の海外移転など円高も一因と考えらえる他の要因も含めると、実質輸出は10%以上低下している。 一方で米国やユーロ圏の実質輸出は、リーマンショックで落ち込んだ後、順調に伸びを続け、その水準は08年をとっくに上回っている。 出遅れた実質輸出を取り戻すために、政府内の一部にはリーマンショック前の1ドル100円程度に戻ってもおかしくない、との声がある。1月の月例経済報告を説明する際には、対ドルで10%円安が進めば実質輸出は1年目に1.7%、2年目には2%以上伸びるという政府の試算も示された。輸出が伸びれば需給ギャップはその分埋まるともに、輸入物価も上昇、景気回復のもとでの雇用・賃金の改善を伴ったものとなり、物価押し上げによるデフレ脱却には有効だ。 <米国は沈黙か、TPP交渉への懸念も> 対外説明で財務省などが従来から頭を悩ませているのが、名目為替レートよりも実質実効為替レートでみると90年代前半ほど円高になっていないという事実だ。 今回、政府は昨年末公表のミニ経済白書で「そうした為替水準自体に注目するのではなく、円高の進行ペースと長期化という視点が重要になる」というロジックをたてた。08年以降、長期にわたる急激な円高進行は、過去の例とも異なるためだ。 それでもドイツやロシアなどからはすでに、通貨安政策ととらえて批判が出ている。これを踏まえて先の経済財政諮問会議の議論では、政府として対外的に丁寧な説明をする、としたが、方針を変えるという意見は出なかった。伊藤元重・東京大学教授は「最近の経済学の世界では、金融政策は為替を通じた影響はかなり大きいということだ。海外から批判の声もあるが、ここはやはりわが方のデフレ脱却ということを考えたときに、そういうところから最初に効果が出てくるのだとしっかり認識し、(中略)進捗状況をみていきたい」と述べ、あくまでデフレ脱却を旗印にした為替への働きかけを重視するという議論となった。 中国市場で日本と競合する立場にあるドイツや新興国からの批判の一方で、米国からは今のところ一部の地区連銀総裁や自動車産業以外にさほど目立った批判の声はなく、政府内には「(米国の)内需が回復しつつあることや、巨額の対中赤字に関心が高い昨今では、米国からの批判に対する懸念は小さい」との見方がある。 一方で、円安がさらに進行すれば、日米首脳会談や環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加に向けた動きが始まる段階で、米国側にその取引条件に持ち出される可能性があるとの指摘も聞かれる。「為替相場は相手のある問題であり、いくら金融政策だけで円安になっているわけではないとしても、長期化すると介入と同じ問題が起こりかねない」(東京大学大学院・福田慎一教授)と懸念する声もある。 (ロイターニュース 中川泉;編集 石田仁志) 円安めぐる日本批判、G20で中心議題にならない見通し=当局者 2013年 01月 29日 06:20 JST [ブリュッセル/モスクワ 28日 ロイター] 2月15─16日にモスクワで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の見通しについて、複数の当局者は、日本の新たな金融・財政政策と円安とのつながりを議論する可能性はあるものの、競争的な通貨切り下げを行っているとして日本への風当たりが強まる状況には至らないだろうと見ている。
会合に向けた準備作業に携わる韓国の金仲秀中銀総裁はロイターに対し、日銀の決定に問題があると指摘。「ひとつは(為替の)水準が影響を受けるということ。変化のスピードも問題だ。動きが急過ぎる」と述べている。 ただ、G20当局者は円安で一部の批判を浴びた日本が中心議題として取り上げられないとの見通しを示した。 当局者は「日本が明らかに注目を集めているわけではない」と指摘。「日本が競争的な(自国通貨)引き下げを図っていると論じることは出来ない」とした。 当局者は、このところの円安は昨年の過度な円高の修正とも取れるとの見方も示した。昨年は、ユーロ圏の先行き不安からユーロに代わる投資先を求める動きが出ていた。 現時点でユーロに対する信頼感が回復し、投資資金が円からユーロなどに流れているという。 当局者は「介入が無い限り、政策期待で市場が動いているだけだ」と指摘。「ただ、日本の動向に注意が払われる」とし、日本側の詳細な説明を求める動きや議論もあると予想する。 ただG20では、西村康稔内閣府副大臣が先週、円相場について1ドル=100円でも問題ないとの認識などを示したことは議論される見通しという。 当局者は「そのようなことを示唆することが賢明かについて、議論されるだろう」と述べた。 G20は国際通貨基金(IMF)、国際決済銀行(BIS)、国連貿易開発会議(UNCTAD)に対し、緩和的な金融政策の影響について報告をまとめるよう要請している。 G20当局者は、「米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)は激しく反論しているが、新興国は、米英日の中銀、およびECBが実施している量的緩和や非伝統的な措置が、資本フローと商品(コモディティ)価格に大きな影響を及ぼしていると主張している」と述べた。 ただ、「われわれも影響を分析するが、IMFがこれまでに実施した分析によれば、量的緩和策が資本フローと商品価格のボラティリティーに大きな影響を及ぼしたとの強力な証拠は得られていない」と指摘。 このため、今回のG20財務相・中央銀行総裁会議の為替に関するスタンスは、前年11月5日にメキシコで開いた前回会議で採択されたコミュニケの文言が踏襲されるとの予想を示した。 その上で、米国はとりあえずは「財政の崖」を回避、欧州ではユーロ圏の崩壊リスクが解消、さらに中国経済の急速な減速に対する懸念も後退したと指摘。 モスクワでの今回の財務相・中央銀行総裁会議の主要なメッセージは、「前回会議以降、世界経済に対するテールリスクは大幅に後退したものの、先進国、新興国ともにぜい弱性が存在するため、追加措置が必要か見守ると同時に、政策協調を確約する」というものになると述べた。 ドル90円後半、株価の反発や実需のフローで安値から切り返す 2013年1月29日 アングル:「行き過ぎた円高」是正は道半ば、政府が示す新ロジック 2013年1月29日 韓国中銀総裁が日銀の緩和の効果を疑問視、「為替水準に影響」 2013年1月28日 円が一時91円台、LTRO早期返済計画でユーロ上昇=NY市場 2013年1月26日
麻生財務相が海外の円安批判に反論、「筋としておかしい」 2013年1月28日 「円安誘導」批判を振り切りドル堅調、株・債券は反落 2013年1月28日 |