★阿修羅♪ > 経世済民79 > 161.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
日本経済 これからのシナリオ
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/161.html
投稿者 高橋是清会 日時 2013 年 1 月 29 日 03:15:29: fqnvpSFGv5aiA
 







どのような政策をするべきか。財政出動をする。金融緩和をする。それはいいことかもしれません。

しかし、その前に、これからの日本を考えて、まず最初に、「ビジョン」というものを示さなければいけないのです。



ヨーロッパ型の大きな政府か。アメリカ型の小さな政府か。

日本が取るべきものは前者のほうだ。

しかし、政治家、官僚、財界人、マスコミ人。これらの日本のパワーエリート達は、後者のアメリカ型の小さな政府を望んでます。

正確にいうと、彼らは、”中くらいの政府”と”小さな政府”の”間”くらいのものを望んでいます。

だから、日本の権力者という権力者が、皆、そういったアメリカ型に”近いもの”を望んでいるのだから、日本はそっちのほうに行くでしょう。

「もうすでに、中くらいの政府と小さな政府の間くらいになってるんじゃないの?」と、言われる方もいらっしゃるかと思いますが、これからはさらにアメリカ型に近づいていきます。徐々にですけどね。

しょうがない。どうにもならない。

じゃあ、もうこの人達のことはいいから、この人達のことはほっといて、ちょっと私なりのビジョンというものを示させて頂きます。

で、大きな政府か、小さな政府か。これ、間違いなく、日本は、ヨーロッパ型の大きな政府をとるべきなんですよ。

長いスパンで、日本の経済を良くしようと考えるとき、大きな障壁になるものがあります。

「少子高齢化社会」です。

高齢化社会だから、老人が増え続けば、当然、医療・福祉・年金などの「社会保障費」が膨らみ続きます。

社会保障費が膨らみ続けば、増税は避けられません。

増税も増していくばかりなら、消費は冷え込み、経済は悪くなるばかりになります。

そして、この難解すぎる問題を解いてくれるマジシャンはいません。

民主党や自民党の清和会が、アジアから、1000万人とか2000万人規模の移民を受け入れて、高齢化社会をカバーすると言ってますが、

そもそも、雇用がないのです。雇用がないんですよ。今の日本には「雇用」というものがないのだから、そんな無一文の中国人を日本に入れたって、ただ大量のホームレスと犯罪が増えるだけなのです。



で、移民の受け入れはともかく、”政治家””官僚””マスコミ人”といったパワーエリート達は、高齢化社会によって膨大する「社会保障費」を削減しまくりたくてしょうがないわけですけど、日本は議会制民主主義の国です。

官僚やマスコミ人は、庶民のことなんかなにも考えなくてもいいのですが、政治家は”票”が命。

政治家は”票”が命だから、できるだけ敵を多く作りたくありません。

敵を多く作れば、自分たちは選挙で落選してしまう。

だから、政治家は自分の保身のために、犠牲者をきょくりょく少数派に限定しておきたいのです。

そうすると、パワーエリート達は、増税と歳出削減(社会保障費削減)のバランスを考えるのです。というより、もうすでに考えてるのです。

犠牲者はあくまでも少数派に。そのうえで、どれだけ歳出削減ができるか。と。

”票”と”経済”のことを考えて、ある程度の中間層は確保せよ。

中間層への痛みはきょくりょく小さめに。

ターゲットはあくまでも貧困層だ。

貧しい者をさらに貧しくさせればいいだけのこと。



彼らは、このように考えているのですが、

しかし、このような形も、いつまでもつのか。



あのですね、

もったって、あと10年くらいなんですよ。こういう考えは。

社会保障費を削減しまくりたい。と言っても、限度があるわけですから、そのような中途半端な緊縮財政をしたって、しょうがないわけです。

アメリカの出生率は2,0に対して、日本は1,39。で、この日本の出生率は、40年くらい前からずっと減り続けているのだから、つまり、日本の少子高齢化社会は永久に続くのです。

「アメリカの出生率が2,0って、それは中南米からの移民が多いからじゃねえの?」と、言われる方もいらっしゃるかと思いますが、確かに、ヒスパニック系の女性の出生率は2,5と高いわけですが、それでも白人女性も1,8と比較的高めなんですよ。アメリカは。

で、これからの経済のことを考えると、日本にはこれらの「少子高齢化社会」という大きな問題があります。

繰り返しになりますが、少子高齢化社会によって、医療・福祉・年金などの社会保障費が膨らみ続けます。

社会保障費が膨らみ続けば、増税は避けられません。

社会保障費が膨らみ続けば、それに比例して、増税も増し続けるわけですから、

消費は冷え込み、日本の経済は、ただただ悪くなる一方なのです。

「消費税増税」と「歳出削減」。この緊縮財政というものが、どれだけ不況を深刻化させてしまうことは、

橋本構造改革で、思い知らされてるじゃないですか。



そして、もう一つ問題があります。

みなさんも、よく意識されてる 「BRICs」の台頭です。

まぁ、とりわけ中国とインドですね。

こういった新興国が、これからどんどんどんどん伸びていくわけです。



ようするに、「少子高齢化問題」と「BRICs」の台頭によって、

日本の経済は、ゼロ成長どころか、これからはマイナス成長になっていきます。

これからの日本の経済は、マイナス成長になっていくんですよ。

なぜなら、よく言われてるとおり、経済というのは、”限られたパイの取り合い”だからです。



じゃあ、日本はそうやって徐々に貧しくなっていくわけですけど、そうやって貧しくなっていく中で、アメリカ型というより、むしろ中南米や東南アジアに近いような貧富の差の激しい国になっていくのが良いのか、

それとも、ちょっと貧しくても、”和の国”らしく、その貧しさを、皆で、共有していくような社会にしていくことが良いのか、

そういったことを考えていかなければいけないわけですよ。

10年〜20年後のパワーエリート達が選択するのは、前者のほうなんですけどね。



だから、日本はそういう国になっていくんですけど、とりあえず、いちおう私なりのビジョンというものを書いておきます。

ですから、私は、総論としては、日本は、ヨーロッパ型に近い、社会民主主義の国にすべきだと思っています。

どこの国でも、金持ちと貧乏人は両方います。その昔、日本も一億総中流社会と言われていた時代がありましたが、やはり、金持ちと貧乏人は両方いたんですよ。

ただ、金持ちと貧乏人の両方がいても、昔の日本は、その”差”というものが、今と比べれば、それほどなかった。それは”所得”や”資産”だけではなく、なんといって表現したらいいかわからないのだけど、とにかく全体的にその”差”が、小さいものであった。

で、その差が小さかった理由は、1つは”税制”。2つ目は”保護主義”。3つ目は”田中角栄以後の公共事業”。この3つなんですよ。

ようするに、この3つで、日本の一億総中流社会というものは守られていたのです。



で、各論にいきます。

まず、その”税制”。再三言いますが、少子高齢化社会によって、社会保障費が膨らみ続きますので、増税は避けられません。

ただ、税金というのは色々あるので、まずは金持ちから取らなければいけません。

で、私が提案する金持ち増税は2つあります。

まずは、所得税の最高税率を80年代までと同じように、所得税と住民税を合わせて80%までに戻します。

これからの日本は消費税増税の雨あられになるわけですから、お金持ちさんにはこのくらいは我慢してもらわなければ困ります。

そもそも、昔はずっと、所得税+住民税の最高税率が80%程度だったわけですから、「金持ちの働く気力がなくなる」なんて言い訳はできないんですよ。



で、あと、もう一つは、「金融資産課税」です。

みなさんもご存知のとおり、日本の金融資産は、約1400兆円あります。そこに毎年、1%課税するんです。

そうすると、単純に計算すると、1年間で、14兆円の税収がとれます。単純に計算すればですけどね。

で、これ、やっぱ反論する人がいるんですよ。強く反論する人がいます。

御用学者とか御用評論家とか、そういう輩をテレビに出す御用マスコミとかです。

でも、日本の金融資産1400兆円あって、そのうちの約6割を”老人”が持ってるんです。

つまり、金融資産1400兆円のうち、850兆円くらい”老人が持ってるんですよ。

老人は金を持ってても、若い人みたいに消費をしない。

金を使わないから、老人が死んだ後の財産は、その子供が受け継ぐ。

金持ち老人としては、子孫にできるだけ多く美田を残したいのだろうけど、これからの日本は消費税増税を中心とした"庶民増税"が十二分にされていくわけですから、このくらいの資産課税は甘受してもらわなければ、貧乏人は困るんです。

「おいおい、サッチャーが言っただろ。金持ちを貧乏人にしたところで、貧乏人が金持ちになるわけじゃねえんだよ!! 日本の金持ちはみんな海外に逃げていくぞ!!」 と言う人がいるかと思いますが、

この程度の金持ち増税で、金持ちは貧乏人にならないし、金持ちは金持ちだけに、どうこうしたって金持ちなんですよ。 ましてや、貧乏人が、この税制で、金持ちになることなんかないわけですし。

むしろ、これからの日本は、”消費税大増税時代”に突入していくわけですから、それだけ貧乏人は大きな大きな負担を背負っていくことになるわけですから、 このくらいの金持ち増税は甘受してもらわなければ、ほんとに困るんです。

で、海外に逃げたいお金持ちは、どうぞご自由に海外に出て行ってください。

で、仮に、この税制が施行されるなんてことがあったら、当然、”タンス預金”などは「脱税」になりますので、あしからず。



だから、税制の、金持ち増税に関しては、この2つです。



で、あと最低賃金です。

これは全国統一で、1000円にするべきなのです。

最低賃金を上げると、中小・零細企業が困る。と言う人がいますけど、これからは消費税が上がりまくるのだから、中小・零細企業にとってはそっちの負担のほうがぜんぜん大きくなるわけですから、こんな最低賃金がどうのこうの言ってる場合じゃなくなるんですよ。

だから、そういうのは関係なくなるから、最低賃金はヨーロッパ並に1000円に上げるべきなのです。

最低賃金を1000円に上げることによって、日本は明るくなるんです。最低賃金を1000円に上げることによって、日本はかなり明るくなるんですよ。



あと、他にもあるんですけどね。

企業の海外移転に対する規制や、今の大企業の”行き過ぎた内部留保”に対する厳罰化などです。



ようするに、もし、私が先ほど言った、

「ちょっと貧しくても、”和の国”らしく、その貧しさを、皆で、共有していくような社会」。を目指そうとするのであれば、

それは、どなたかも言われてるように、これからの日本は「賢い保護主義」というものを行っていかなければいけないのです。










このように、日本は、すでに貧しさの傾向が出てるんですけどね・・・。

http://www.garbagenews.net/archives/1913236.html



電卓もって、計算してみましょう。




















 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2013年1月29日 03:17:54 : M6JQ82fLgq
高橋是清会


02. 2013年1月29日 05:47:09 : nzeNmVqVz6
実際はアメリカより十分小さい政府。
達成してるのよ。

03. のり 2013年1月29日 08:13:16 : 4VtKd4pKBQXoE : omxYPlRyN2
老人が使わない。当たり前ですね。人間の心理を書いた政治はうまくいきません。
政治家はお金に困っていない富裕層だから、わからないんでしょう。
老人に使ってもらうには、年金、介護をしっかりして、使ってお金が減っても
心配いりません と約束しなければけ無理でしょう。若い人と違って、稼ぐことができない以上、少しずづ使うしかないのですから。
安心のために残しておくでしょう。

政府が約束すると言っても、今まで公約を覆し、政策転換してきたことを考えると、私なら、はいそうですか って信用しません。
欧州の国民が高い税金を払うのは、払っただけのことを、ちゃんと政府がやってくれるという、全国民のために政策をしているからでしょう。自民党などの特定の者への利権を相変わらず考えている政治家の、言葉などうかつには信用できません。自己防衛ですよ。


04. 2013年1月29日 09:32:55 : IOzibbQO0w

もっと富裕層や大企業に増税し、大きな政府にして社会保障を充実し、儲かる企業には日本を出て行ってもらう

軍事費は勿論、カットし、インフラ整備や構造改革なんてやらず

働きたくない人は働かなくてもいい

その結果、平等に貧しくなっても構わない

最後は、中国・朝鮮、ロシアに切り取られ、属国になっても仕方がない

わかり易い提案だな


05. 2013年1月29日 09:55:04 : IOzibbQO0w

日本は借金で誤魔化しているが、既に国民負担率は欧州並みの大きな政府

そして企業の公的負担は非常に高い

効率化しムダを排除しなければ、確実に破綻するが

タイムリミットは、そろそろ近づいている

http://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/20111.pdf
http://www.meti.go.jp/press/20100607004/20100607004-1.pdf
1.法人税負担、固定資産税その他の税負担、社会保険料の事業主負担などを合計した、我が国企業の総合的な公的負担の割合は実態ベースで50.4%に達しており、国際的に非常な高水準にある。
2.特に、英国や米国と比較した場合、我が国における法人税実負担率が10%前後高いのが現状であり、我が国企業の公的負担率を押し上げる最大の要因となっている。
3.また、総合的な公的負担率に占める国税と地方税の構成を見た場合、地方税の割合が全体の4割近くを占め、企業にとって大きな負担となっている。
4. なお、1社あたりの国際・国内税務業務に要する諸費用の総額は1億6,107万円となっているほか、企業が特に負担に感じている項目としては、税務調査対応や、会計と税法との申告調整などが上げられている。

http://tokyo.atso-net.jp/index.php?UID=1294621443
消費税など増税論:国民負担率の国際比較

2011/1/10
カテゴリー » 経済・社会・流通
2 T: 2
昨年10月にたばこ税が増税された。最近では、再び消費税率のUPが法人税減税と併せて議論されている。

長年に亘って、国+地方は、大幅な財政赤字であり、この解消のためには、消費税率の大幅upが避けられないとの論調が新聞でも見られるようになった。本当に正しい議論でしょうか。政権を引き継いだ民主党もマニフェストにあった歳出削減をもう忘れたのか、管総理が突然消費税のupを言いだしたり、資産課税の増額を検討するなど混迷している。

下図で示すように、つい3〜4年前には、財政収支は均衡しつつあった。リーマンショック以降の不況と財政支出の急増によって急激にギャップが広がった事実を忘れてはいけない。

国民負担:税+社会保障費

要点は

1.大きい政府か小さい政府か。

日本は、すでにGDPに占める社会保障費の負担割合が高い国である。これを税で負担していくのか。2022年現在の国民負担率は約40%であり、財政赤字分の12%を含めれば、すでに50%を上回っている。(歳出増の主要因が医療福祉関連。そこで、税+社会保障費の合計の国民負担率をどうするか。)一般にスウェーデンのように、国民負担率の大きいことを「大きい政府」と呼ぶ。しかしながら、重要なのは、国民負担から社会保障給付を差し引いた収支の「国民純負担」であろう。OECDの報告などでも、スウェーデンは負担も多いが給付も多いので、純負担率は日本よりも少ないなどと報告されている。税を増やして再配分する場合、国民純負担率の分析が欠かせないが、政府広報では、国際的に国民負担率が日本は少ないというデータばかりが独り歩きしている。(参考;1998年の国民負担率と還元率 )

2.直間比率

我が国は、米国同様に所得課税を中心としている。消費税をup、所得税downによって、間接税中心の体系に組み替えていくか?。(我が国は、酒税、たばこ税、揮発油税など個別消費税が多い。簡素化できるか。)

3.国と地方の税収割合国税中心か地方税中心か?。英国は国税中心である。日本はOECD諸国のなかでは、地方税の割合が最も高い国の一つである。

この3点についてのビジョンっがないままにつぎはぎ増税をしてきた経緯がある。

そこでまず、国民負担率を見てみよう。

1.日米英でみると、すでに45%の国民負担率になっている。財政赤字分も加えた負担率はすでに45%であり、米国よりも多く英国に近い。特に、税以外の社会保障関連の負担率が英米より高い。


この傾向は、最近のデータでも変わっていない

2.直間比率日本は、法人と個人の所得税が高く、消費税が低いと言われている。所得課税は、OECD30カ国中8位と上位にある。さらに、資産課税は高くOECD30カ国中の5位である。消費課税は、少なくOECD30カ国中27位である。

しかし、個別の消費課税が高いので、サラリーマンで自動車を乗り回し、お酒を飲み、タバコを吸う人にとっては最悪である。

日本の国民所得に占める消費税率は、7%程度であり米国よりも多い。英国の半分程度である。消費税の半分が、いわゆる消費税であり残りは酒、タバコ、ガソリン税などである。

3.地方税か国税か

以外と知られていないのは、日本の地方税は諸外国と比べても高いことである。地方政府は交付税などの減額に悲鳴をあげているが、地方主権を主張するならば、地方税収の中でやりくりできるような努力が欠かせないことになる。

国民所得比でみた地方税の割合は、OECD30カ国中の4位と高位にある。逆に国税の割合は、少ない。

4.国税+地方税の税収構成の国際比較

上から、資産課税、消費課税、法人所得課税、個人所得課税の順

我が国は法人所得課税が極端に高く、円高と相まって、製造業の海外展開や国内製造業の雇用減の原因となっている。

2.から4.のデータは国税+地方税の話であり、高い社会保障費が除かれていることに注意をようする。

さらに日本の特殊性であるが、高速道路など有料制の公的投資は、国税で行っていないので、国民負担に計上されていない。特別会計のうち、有料制の支払いは税に準じて税収加えて比較すべことの意見もある。

これらのことから、

1.消費税や国税のGDP比のみ示し、税率が低いから増税すべきという議論がまかり通っているが、間違いであることが分かる。また財政収支のギャップは数年前までは努力によって均衡に向かっていたという事実を忘れてはいけない。

2.地方の振興に国費をさらに投入すべきとの議論も、諸外国と比べておかしい。公的負債残高が急増した主な要因は、社会保障と地方への負担を国税で賄ってきたことにある。

3.重要なことは、

@国民負担率を高めることよりも、社会保障を維持しつつ、それ以外の歳出の削減を行うこと。

A民間の金融資産を公債の増加でなく、民間投資にふりむけることで、国内産業の雇用や生産性の向上を図ることでしょうか。

この2点を先送りしたために、いまや公的債務残高はGDPの200%にもなって、その結果、民間産業部門に資金が廻らず、資産は伸び悩み、製造業の雇用は1992年以降減りっぱなしです。

最近の新聞は、製造業や円高・株安などの話題がおおすぎる。製造業はGDPの4分の1でしかない。そして円高・デフレの恩恵を受けている大半の国内産業の話題が少なすぎる。

構造改革が必要なのは、政府等の公的部門や製造業以外の国内産業でしょう。

参考:1.国債残高など公的債務の急増    2.国内銀行の資産の推移

国債残高

― posted by TokyoBlog at 10:04 am Comment [15]
この記事に対するコメント・トラックバック [15件]
1. スェーデンより高い純負担率 ― 2011/01/19@14:42:24
スウェーデンなどは税・社会保障費の負担が多い国ですが、逆に社会保障の給付金も多いので、差し引きの純負担率で比較する必要があります。

これでみても、欧米先進主要国と比較して、日本の「国民負担率」がもっとも高くなっています。

損保ジャパン総合研究所主任研究員・卯辰昇(うたつのぼる)氏の報告のご紹介です。

  日本       29.2 11.4 17.8
  ドイツ       39.0 24.0 15.0
  フランス      43.7 26.4 17.3
  スウェーデン    51.0 37.8 13.2
  イギリス      35.1 20.6 14.5
  アメリカ      26.7 14.5 12.2

(※左から▼税・社会保障負担率、▼社会保障給付率、▼純負担率)
2. 公務員人件費 ― 2011/01/21@08:59:22
財務省主計局の公務員人件費の調査資料によれば
21年度については
国家公務員の人件費 5兆3,195億円
地方公務員の人件費 22.1兆

平成22年度当初予算ベースでは、合計 298万人 27.6兆円
人数は、国家公務員及び地方公務員の合計。人件費は、国の総人件費と地方公務員の人件費の純計額。
3. 公的サービスに伴う人件費 ― 2011/01/21@09:12:00
国が所管している独立行政法人(99)、特殊法人(31)及び認可法人(6)の合計常勤職員数は、平成21年4月1日現在で510,624人である。含めるべきであるが、この人件費の額は不明である

国が所管している公益法人数は6,720、地方が所管している公益法人数は18,056、合計24,648の公益法人がある(平成19年10月1日現在)。その実態は様々であり、かなりの職員が税金による支出で賄われているが、不明である。
4. 一般政府部門雇用者報酬の総額 ― 2011/01/21@09:23:57
一般政府の目的別消費最終支出を簡単に知る事ができるのは国民経済計算である。総額で31兆円となっている。
   単位:10億円
 1.一般公共サービス5,153.0
 2.防   衛1,937.5
 3.公共の秩序・安全4,985.7
 4.経済業務2,545.3
 5.環境保護938.3
 6.住宅・地域アメニティ353.9
 7.保   健900.1
 8.娯楽・文化・宗教84.7
 9.教   育11,811.2
10.社会保護2,077.1
   合  計30,786.8
5. 一般政府部門雇用者報酬の総額 ― 2011/01/21@09:46:22
水道事業や有料道路事業などは、一般政府でなく、公的企業に分類されているので、少なめに出ていますね。注意
6. 税収に占める人件費比率 ― 2011/01/21@17:32:53
一般政府部門の雇用者報酬31兆円に、公的企業部門に分類されている水道事業や有料道路などの公的企業の人件費を加えれば三十数兆円が、人件費でしょうか。とすれば、GDPが五百兆円程度。国税・地方税収の平成22年度予算・地方税計画の総計が72兆円ですから、

国税・地方税に占める人件費率は、45%程度にはなりそうです。おせっかいで無駄な行政サービスを無くしていかないと、国税・地方税が人件費に半分近く費やされる状況は変わらないことになる。

国民は過剰な行政サービスを求めていない。福祉などへの再配分は必要でしょうが・・。
7. 国税+地方税の推移 ― 2011/01/22@08:53:48
景気で大幅に変動:所得税などの変動で大幅に変わる。
ちなみに、リーマンショック前は、平成19年の92兆円が最近では、平成22年には72兆円にダウン。20兆円の減収。

最近のデータのみで考える傾向があるが・・。

     税収計 国税  地方税
平成2年 962,302 627,798 334,504
平成7 886,380 549,630 336,750
平成12 882,673 527,209 355,464
平成13 855,172 499,684 355,488
平成14 792,227 458,442 333,785
平成15 780,351 453,694 326,657
平成16 816,417 481,029 335,388
平成17 870,949 522,905 348,044
平成18 906,231 541,169 365,062
平成19 929,226 526,558 402,668
平成20 853,894 458,309 395,585
平成21 725,848 383,685 342,163実績見込
平成22 723,944 394,623 329,321見込
8. 年金の国際比較 ― 2011/01/28@18:31:10
生活資金としての公的年金と私的年金
−国際比較で見た高齢者世帯の実態

http://www.nli-research.co.jp/report/report/2010/08/repo1008-G.pdf
9. 公企業も含めた公的従業者数 ― 2011/01/30@11:45:52
公務員数ではどうか。総務省の資料では国民千人当たりの公務員数は、日本の場合35人であり、フランス96人、イギリス73人、アメリカ81人などと比しても「小さい」部類に入る。神野直彦氏が紹介しているスタインモ作成の資料をみても、雇用にしめる公務員の割合は、戦後において特に低いとされている。

 日本の公務員数は、地方308万人(一般職107万、教育115万、消防・警察43万など)と国家公務員68.7万人(行政職33万、自衛官25万、郵政公社26万【民営化】など)であるが、これに第三セクター、地方独立行政法人、特殊法人、国立大学法人、公益法人、政府企業、認可法人、非特定独立行政法人などの職員を加味すると、公的支出に係る従業員数は700万人程度になるといわれている。公企業の非効率とデフレ化での官民格差の拡大が問題か。
10. 公企業も含めた公的従業者数 ― 2011/02/01@10:20:47
2005年産業連関表の生産活動部門別従業者内訳表から抽出してみました。
総計で726万人程度でしょうか。従業者総数6670万人の1割強でしょうか。

学校給食(国公立)117427
道路関係公共事業 668558
河川・下水道他の公共事業 564348
農林関係公共事業 126279
上水道・簡易水道 59197
下水道 37942
廃棄物処理(公営)77563
水運施設管理 6415
航空施設管理(国公営)8092
公務(中央)596263
公務(地方)1278501
学校教育(国公立)1298308
社会教育(国公立)93710
自然科学研究機関(国公立)72899
人文科学研究機関(国公立)5238
社会保険事業(国公立)82059
社会福祉(国公立)302598
社会福祉(非営利) 577102
保健衛生(国公立)65632
医療(国公立)505157
医療(公益法人等)672257
11. 公企業も含めた公的従業者数 ― 2011/02/01@12:06:54
上記には介護に従事する従業員数110万人が除かれています。
介護(居宅)778740
介護(施設)459735
12. スウェーデンの場合 ― 2011/02/12@13:12:49
スウェーデンの国民負担率は64%もあります。
内訳をみれば、社会保障負担率が17.1%と日本の17.5%同程度です。一方、税負担率が47.7%と日本の倍以上あります。

日本の場合、国民負担率は財政赤字分も含めれば、ここ数年の赤字拡大によって、すでに50%を超えています。

問題は、負担よりも給付による再配分が日本の場合は少ないことにあります。

スウェーデンは、ヨーロッパでは、食料品、医療、教育、水道、新聞などには非課税や軽減税率が適用されています。その結果、税収全体に占める消費税の割合は日本28.3%、スウェーデン36.5%と意外と低い。社会保険料の労使負担割合が違います。日本では社会保険料のほとんどが労使折半ですが、ヨーロッパでは、事業主(企業)の負担割合が高いです。
また、効率よく配布することで、純給付率が高い傾向がある。

OECD(経済協力開発機構)の統計データでは、勤労世代の市場所得で計算した貧困率は、日本16・5%、スウェーデン16・2%と同程度です。所得課税と社会保障による所得再分配後の可処分所得で計算した貧困率は、日本13・5%、スウェーデン5・1%と大差があります。再分配の方法と無駄・非効率の是正が重要。
13. ドーマー条件 ― 2011/02/12@13:54:06
財政健全化と経済成長、デフレ、プライマリーバランスの関係

http://d.hatena.ne.jp/ystt/20080903/p1
14. 債務残高の発散の原因 ― 2011/02/24@10:30:18
2003年から07年の経験。
当時は財政赤字44・3兆でしたが、IMFなど国際的な基準で見た場合、歳出のうち将来の借金返済のために新たに借金をする債務償還費11・6兆円は過剰計上です。これを差し引いた32・7兆円が財政赤字となる。

しかも普通、財政赤字を黒字にするなんて考えない。プライマリーバランス(基礎的財政収支)を零にしていく。債務残高のGDP比を発散させないプライマリー収支に着目した方がいいからなんですね。プライマリー収支で計算すると23兆です。23兆のプライマリー収支は、小泉政権の時、03年から07年にかけて22兆円も改善し、あと少しで黒字になるところだった。もちろん増税などしなくてもバランスしてきていた。

その後のばらまきとも言える財政支出増が問題。さらに、歳出削減の不徹底も問題。中曽根内閣の時代には、予算をシーリングして減らしていった経験を忘れている。

財投債の急増を許したことも問題です。
15. 既に高い消費税収比率 ― 2011/03/09@11:54:26
「日本の消費税率5%は、国際的にみれば低すぎる」というのは正しくないとのデータがある。国税収入に占める消費税の割合は、2003年で21%とスエーデンと同程度である。
これは、日本の消費税が「網羅的」に課税されているのに対し、欧州各国の付加価値税は、@医療・教育から住宅取得・不動産・金融など幅広い非課税項目があること、A食料品や医薬品など、生活必需品は軽減税率をとっているためです。”
単に消費税率だけでみれば、低く見えて騙されるので注意を要する。

日本は、網羅的に消費税をとることで、高負担かつ低福祉に陥っている。行政の無駄などで再分配機能が著しく低いとの見方である。


06. 2013年1月29日 10:04:34 : JfFbs5hoTk

少子高齢化になぜなったのか、なぜ人口が増えないのか、

ここんとこ誰も言わない、気がするが?

少子高齢化をもたらす社会、ここに問題があるんちゃうか?


07. 2013年1月29日 21:43:14 : lQydFPZ0w4
<<社会保障費が膨らみ続けば、増税

 クスリ糞部 商売は ウハウハ 昔からのことわざ


 役立たずの 官僚 政治家の 報酬は50%削減 

 詐欺の総元締めが 最高裁事務局 権力維持の為権力にたてつく国民を抹殺

 地方公務員 官僚は セレモニーと バラマキが 仕事

 国 地方の公務員は 週休4日制で 残りは自分のスキルで働かせろ


08. 2013年1月29日 23:15:36 : xEBOc6ttRg
小宮一慶の「スイスイわかる経済!“数字力”トレーニング」
日銀の無期限金融緩和で「物価目標2%」は達成できるか小宮一慶
• 2013年1月29日連載ウォッチ
 1月14日、首都圏で大雪が降りしきる中、全国各地で成人式が行われました。今年、新たに成人した人は122万人。ここ数年の推移を見ますと、2010年は127万人、2011年は124万人、2012年は122万人と、若者の数がどんどん減少してきています。日本は高齢社会ですから、当然のことながら、若者が背負う年金や保険料、税金等の負担は増大していくわけです。さらに、若い世代は失業率の高さや賃金の低下に直面しています。今回、前半では若者がこれからの時代をどのようにして生き抜いていけばいいか、私の意見を述べたいと思います。後半では、これから走り出すアベノミクスを評価していくためには、どの指標に注目すればよいかを指摘していきます。
高齢者の就業率が上がると、若年層の就業率が下がる背景にあるものは
 冒頭でも触れましたが、少子高齢化はどんどん進んでいます。新成人人口の減少からも分かりますが、出生数の減少はより著しいものとなっています。2012年の出生数は103万3千人と推計されており過去最小でした。団塊ジュニア世代の出産ピークが過ぎたことも影響しています。
 これと関連して、2013年1月21日の日本経済新聞(※以下、日経新聞)に興味深い記事がありましたので、ご紹介します。
団塊まだまだ働く 人口減の影響緩和
 65〜69歳の人口に占める就業者の割合(就業率)は昨年13年ぶりの水準に急上昇し、新たに加わった65歳が高い労働参加率を維持していたことを示唆している。(略)
 一方で、企業が若者の雇用に消極的になる懸念もある。経団連の調査では、65歳までの雇用延長を原則義務付ける際にも、3分の1以上の企業が『若年者の採用を減らす』と答えた。(2013年1月21日付 日本経済新聞朝刊)
 65歳以上の就業率が上昇しているという記事です。これは、若者たちの社会保険料の負担を軽減することにつながりますが、子どもが減少しているという現実は変わらないわけです。結局は構造や制度を変えていかないと若者の高負担は解消できません。
企業は国内の雇用を削減したい
 具体的には、年金の支給開始年齢の引き上げ、定年年齢の引き上げなど、制度そのものを変えていく必要があります。このままでは、就業者の減少による経済の停滞や、若年層にのしかかる社会保障負担の増加などの問題はどんどん深刻化していくことは間違いありません。高齢者の就業率が上昇したことは、これらの問題を緩和する要素の一つにはなりますが、根本的な解決にはつながらないのです。
 また、高齢者の就業率が上がると、若年層の就業率が下がるのではないか、という意見もあります。上の記事でも、「65歳までの雇用延長を原則義務付ける際にも、3分の1以上の企業が『若年者の採用を減らす』と答えた」とあります。
 労働人口という数の面だけで考えると、高齢者の就業率が上がる影響はさほど大きくありません。例えば、2013年の時点での65歳の人口は約220万人です。その就業率が約40%だということですから、約130万人がすでに退職、あるいは元々働いていないと概算できます。そして、今年の新成人が122万人ですから、新成人すべてが就職したいと考えたとしても、数という点ではある程度のバランスがとれるはずなのです。
 つまり、企業の本音は、国内での雇用数を削減したいということなのです。もう少し具体的に言いますと、企業はすでに海外にシフトしていますから、人を雇うとしても、海外で活躍できる人を雇いたいのです。一方、若者の中には、海外は御免という人も少なくないと聞きます。ここで雇用のミスマッチが起こっています。
 そういう点では、日本国内での経済成長を実現していかない限り、雇用を増やすことは難しいということです。いずれにしても日本の成長率は人口動態を考えても他国の成長率にはなかなか追いつかないでしょうから、若者は海外に目を向け、勉強や経験を積んでいくことが必要になるでしょう。
個人の能力差が収入を大きく左右する時代に
また、この先の時代は、個人の能力差が出る仕事に就いて、成果を上げていかない限り、多額の収入を得ることは難しいと思います。機械化が非常に進んでいますから、機械ができる仕事はそれほど熟練度を持った人材が必要ないわけです。つまり、「誰でもできる仕事」が増加しています。これは、このような業種では賃金が上昇しにくいということを意味します。あるいは、自動改札機のように機械そのものに人の仕事がとって変わっているものも少なくないという社会の流れがあるということです。
 さらに景気後退という背景もあり、失業率もなかなか改善されない状況が続いています。特に若年失業率は、2011年の時点で8.2%であり、全世代の2倍近くにも上ります。若者たちは、若いうちに自分の能力が高まるような仕事に就いていないと、将来設計が描きにくくなることは間違いありません。
 若いうちは「フリーターでもいいや」と思っていても、確かにその時は生活が成り立つかもしれませんが、将来結婚をしたり、子どもを持ったりした場合、どうしても家庭を支えることが難しくなります。もっと言いますと、現状では、しっかりした経済基盤がないと、自分の子どもに高等教育を受けさせることも困難になります。現実問題として、特に都市部では、中高一貫制の私学の進学状況が良く、そのような学校に行かせるには結構なお金がかかるからです。それは教育格差として次世代へ受け継がれてしまうことにもなりかねません。
 若者たちは、こういった現状をしっかりと認識した上で、自分がどのような仕事に就くべきかを考えなければならないのです。若者に希望を持たせるような社会を作ることが大人の果たすべき役割ですが、残念ながら、日本の未来にはこのままでは明るさが見えません。その中でも生き抜いていくために、若者たちはしっかりと現状を把握した上で、自分の将来を考えることが重要だと思いますし、私たちも若者に夢を持ってもらえるような経済環境を作り出していく努力をしなければならないのです。
物価下落の最大要因は何か
 次に、安倍政権の経済政策が抱える問題と、その行方を見極めるために注目すべきポイントについてお話ししていきます。まずは、これに関連して興味深い記事が日経新聞の「経済教室」にありましたのでご紹介します。
公共投資より雇用対策を
 林敏彦 同志社大学教授 稲田義久 甲南大学教授

 (略)消費者物価指数を押し下げている最大の要因は「教養娯楽用耐久消費財」と「家庭用耐久消費財」、つまりテレビ、ビデオ、パソコン、冷蔵庫など家電製品の大幅な値下がりだ。教養娯楽用耐久消費財の価格は、ここ30年間で10分の1に下落している。(2013年1月21日付 日本経済新聞朝刊より)
 安倍政権の政策によって「消費者物価指数」が注目されていますが、確かに下落傾向が続いています。ただ、ここで「消費者物価指数」の計算の仕方に注意が必要です。この指標は、600品目の小売価格を調査したものです。ただし、デジタル家電などでは性能についても考慮しています。物価の計算をする際、性能が向上した分を反映させているのです。例えば、あるパソコンの後継機種が、元の機種より性能が2倍向上したにも関わらず、価格は変わらなかったとします。この場合、物価変動はないとするのではなく、機能の上昇分も価格に反映させ、物価は下落したということにするのです。
 特に日本は、家電製品やハイテク製品を多く消費していますから、性能の向上が消費者物価に反映されやすいのです。ここで、先程の記事にある「消費者物価指数を押し下げている最大の要因は『教養娯楽用耐久消費財』と『家庭用耐久消費財』、つまりテレビ、ビデオ、パソコン、冷蔵庫など家電製品の大幅な値下がりだ」という箇所に注目してください。性能がどんどん上がって、価格が上がるどころか下落しているほどですから、国内の消費者物価はますます下落しやすい傾向にあるのです。
 こういった問題を抜きにしても、大胆な金融緩和を行ったからといって、物価下落の激しいテレビやゲーム機を買おうという人がそれほど出てくるのかを考えると疑問です。
企業の資金需要は少ないまま
企業の資金需要は少ないまま、今後も増加することは考えにくい
 また、同記事の続きに、以下のような箇所があります。
 また、民間非金融部門は80兆円、国内総生産(GDP)の17%の企業貯蓄を積み上げている。企業部門の問題は資金不足ではなく、国内への投資機会を見いだせないでいることだ。一方、金融機関は、08年から日銀当座預金に0.1%付利されて以降、超過準備を30兆円積んでいる。(2013年1月21日付 日本経済新聞朝刊より)
 つまり、民間企業は資金不足ではないということです。「銀行計貸出残高」を見てください。

 この傾向を見ますと、若干増えつつあるものの、2010年度は前年比マイナス2.0、2011年度は前年比マイナス0.1%と大きく落ち込んでいましたから、そういう点を考えますと、資金需要が増えたとは言えないのです。
 同じく「マネタリーベース」を見てください。これは現金通貨と日銀当座預金残高の合計のことで、具体的には現金通貨が約80兆円、日銀当座預金残高は約40兆円、合計で120兆円程度あります。安倍政権は、日銀にプレッシャーをかけることにより、金融緩和によって、この「マネタリーベース」を極端に増やそうとしているのです。「マネタリーベース」の傾向を見ますと、2011年度は前年比14.9%の増加、このところも10%前後の増加の状況が続いていることが分かります。つまり、以前から日銀は量的緩和を行っているわけですが、安倍政権はそれ以上に行おうとしているのです。
 しかし、「銀行計貸出残高」を見てもお分かりの通り、企業はお金を借りようとしていないわけです。ですから大胆な金融緩和策を行ったとしても、通貨の膨張によってある程度のインフレ傾向に動かすことは可能かもしれませんが、景気浮揚に働くかどうかと考えますと、正直なところ疑問を抱かざるを得ません。
日銀の金融緩和が効果を上げるか
 企業は、日本全体の成長期待がないと、国内で資金を借りようとはしません。しかし、企業は海外での投資に対しては旺盛な意欲を見せていますから、銀行は外貨を海外で調達して、海外で日本企業に貸すという行動が定着しつつあるのです。ですから、やはり国内産業を強化しない限り、国内での資金需要が伸びるということは考えにくいのです。
 21、22日に行われた日銀の金融政策決定会合で「2%の物価目標」を導入し、その達成に向け、無期限の金融緩和をすることを決めました。今後、日銀としても物価2%に対するコミットメントを強くするでしょうから、「マネタリーベース」をさらに増やすのではないかと予想されます。この増え具合を観察することと同時に、資金需要を示す「銀行計貸出残高」、それから現金通貨と市中銀行の預金量の合計である「M3」が結びついて増加していくのかどうか。貸出量が増えれば、その一部が預金として残り、それがさらに貸し出されて、また、一部が預金として残るということを繰り返しますからM3も増加するわけです。ここにも注意していくことが肝要です。
 それらがうまく機能しなければ、単にマネタリーベースだけが膨張しただけで終わってしまいますし、公共事業を行って国債残高を増やすだけになってしまいます。なかなか舵取りが難しいでしょうが、そうならないことを、私は強く望んでいます。
安倍政権はインフレの先に何を目指すのか
先程の記事の続きに、もう一つ、注目すべき箇所があります。
 実は、日本経済の危機は、金融機関や企業部門ではなく勤労者の身近にある。
 図は、従業員5人以上の全産業の事業所で雇用されている常勤、パートタイマーを合わせた月額平均現金給与総額(名目賃金指標)と、それを消費者物価で割った実質賃金指標の推移を示したものだ。名目賃金は00〜12年の間に10%近く低下している。(2013年1月21日付 日本経済新聞朝刊より)
 デフレにより、名目賃金はずっと減少し続けているということです(図は省略)。実質賃金は名目値より少し上を保持していますが、結局は、賃金が大幅に下落しているということが大きなポイントなのです。
 これと併せて注目してほしいのは、2012年7-9月の名目GDPが1991年とほぼ同じ水準だということです。つまり、この20年間ずっと伸びていないという現実があるのです。いつもお話ししていますように、名目GDPは給与の源泉です。それが伸びない中で、さらに一人当たりの賃金が減少しているということなのです。
 金融緩和を行い、デフレを脱却させることで景気が浮揚し、その結果、企業の利益が増加して賃金に反映してくる可能性はあります。ただ、一番の肝である長期的な景気拡大が起こるかどうかは分かりません。短期的には、公共事業等が増えるわけですから、景気が浮揚される可能性があります。しかし、それが続くかどうかが別の問題ですし、いかにして景気回復を続けていくかということを考えなければならないのです。
 いつもお話ししているように、国内での産業政策が成功して経済の底上げができれば、給料はコンスタントに上がっていく可能性があります。しかし、今の産業構造のままでは、それを実現することは極めて困難です。さらに言いますと、貿易収支の赤字が経常化しつつあることも深刻な問題です。その結果、11月の経常収支も赤字になっていますね。これらの数字が今後、どのように動いていくのかに注目し続けることが重要です。

成長戦略で何を示せるか
 安倍政権は、一体何を改善したいのでしょうか。インフレを起こしたいということは分かりますが、ただ単に通貨を膨張させてインフレにして、短期的な景気対策を行うだけで景気を浮揚させるということではないでしょう。「三本の矢」の三つ目の成長戦略も今年6月に向けて打ち出していくと発言していますが、実効性のある経済の本格的な底上げのプランが示されるかに注目です。現在の貿易赤字の傾向をどのように脱却していくかという点もしっかりと示してほしいところです。
 でなければ、このまま貿易赤字に付随して経常赤字が続くと、日本国債の暴落を招きかねません。ご存じのように、日本国債が暴落しない一つの要因は経常黒字ですから、経常赤字が定着する、あるいは経常黒字額が大幅に減少する状態が続くことになってしまったら国内の金融は大混乱に陥る可能性があるのです。
 次回は、国内の業種別の数字や世界経済の動向、特に先日GDPが発表された中国経済の分析もしていきます。また、この円安はいつまで続くのか、為替の傾向も探っていきたいと思います。(つづく)
小宮一慶(こみや・かずよし)
経営コンサルタント。小宮コンサルタンツ代表。十数社の非常勤取締役や監査役も務める。1957年、大阪府堺市生まれ。81年京都大学法学部卒業。東京銀行に入行。84年から2年間、米国ダートマス大学エイモスタック経営大学院に留学。MBA取得。主な著書に、『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』(以上、ディスカバー21)、『日経新聞の「本当の読み方」がわかる本』、『日経新聞の数字がわかる本』(日経BP社)他多数。最新刊『ハニカム式 日経新聞1週間ワークブック』』(日経BP社)――絶賛発売中!
小宮コンサルタンツ facebookページ:
http://www.facebook.com/komiyaconsultants
皆様からお寄せいただいたご意見(2件)
1. 今回、小宮様は、年代間の不公平を取り上げられた。日本経済活性化のために解決が必要な課題の一つだが、量的な深刻さの認識が不足している。“年金の支給開始年齢の引き上げ、定年年齢の引き上げなど、制度そのものを変えていく必要”を指摘されているが、現在、年金の納付金は、退職後10年をカバーできる程度だ。1960年頃の役人は、当時の平均年齢70歳を根拠に、60歳で退職して70歳まで年金を払う制度を始めた。しかし、日本人の平均寿命は、女性が86歳、男性が80歳まで伸び、70歳以降の年金は税即ち現役世代の負担になる。世代間不公平をなくすには、早急に支給開始を73歳まで引き上げるか、支給額を60%減額しなければならない。お役人は、これほど酷い年金制度の設計ミスをしているが全く責任が追及されていない。
日本には、もう一つ酷い不公平がある。保護と規制で外国が参入できない国内向け諸産業と、殆ど保護なしに競争して外貨を稼いでいる輸出関連産業との産業間不公平だ。小宮様は“消費者物価指数を押し下げている最大の要因は…テレビ、ビデオ、パソコン、冷蔵庫など家電製品の大幅な値下がりだ”と書かれた。これら品目の値下がり原因は技術進歩だが、それは激しい国際競争で促されている。一方、国内向け産業は外国の参入が厳しく規制され、激しい競争で革新が刺激されることなく、結局日本の物価は、米国の1.7倍まで上昇した。小宮様は、日米間の物価比較に着目していただきたい。国内向け産業は保護され、輸出産業には何の保護もない。輸出産業への研究費助成は億円単位、農水省や国交省の補助金は兆円単位、これほど酷い不公平はない。
なお、昔大工場は集団就職列車で地方から来る人を万人単位で吸収したが、現在の大工場は数百人しか働いていない。大学誘致がよほど経済効果が大きい現代である。小宮様の書かれた“機械ができる仕事はそれほど熟練度を持った人材が必要ないわけです。つまり、「誰でもできる仕事」が増加しています。”は全く逆である。機械化自動化が進んで「誰でもできる仕事」はどんどん減っている。
国内向け各産業の保護規制を撤廃して効率化を迫り、輸出関連産業への助成と円安誘導を続けない限り、小宮様が最後に心配されている“経常赤字が定着する、あるいは経常黒字額が大幅に減少する状態”は間違いなくやってくる。 (富士 望) (2013年01月29日 17:47)
2. 昨日1/28の斉藤精一郎さんや日経新聞の経済教室の啓蒙記事とあわせて注目しています。さきほどJBのFT記事にも以下の投稿をしました。ご参考まで。
デフレ脱却というのがお国の大目標だというので、いまひとつピンと感じないものがありましたが、この記事でなるほどと納得できるものがありました。
デフレという言葉は、わたしたちの経済活動の結果やマクロな状況を表現するものとして理解はできるのですが、ミクロなことと結びつける観察が紹介されていました。わたし自身は現役時代、メーカに努めていましたから、半値八掛け五割引きという、いわゆる価格破壊で苦労していました。他方、消費者でもありましたから買い物は主に価格で決めていました。いわば自分自身で価格を下げることを求め、コストを下げることに苦労していたわけです。
こういうミクロな努力が、統計上はデフレをきたしているように思えてきました。記事で紹介されているように、欧米ならすぐ価格に転嫁する、欧米ならすぐ解雇する、ところ、わたしたち日本人は一生懸命頑張って、改善に努力してきたわけです。二宮尊徳の銅像を見ながら育ったわたしたちには当然なことだと思っていましたが、それはわたしたち日本人の良いところでもあるし、悪いところでもあるし、優れたところでもあるし、劣ったところでもあると思います。
デフレ脱却を機会に、いまそういうところから考え直そう、ということは大事なことだと思います。 (杉浦端) (2013年01月29日 15:42)
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20130124/337983/?ST=career&P=8


09. 高橋是清会 2013年4月11日 02:37:28 : fqnvpSFGv5aiA : owOsmKiWaI

日本経済 これからのシナリオ
http://nihonkeizaikorekaranosinario.web.fc2.com/



10. 高橋是清会 2013年4月11日 02:52:12 : fqnvpSFGv5aiA : owOsmKiWaI

日本経済  これからのシナリオ
http://nihonkeizaikorekaranosinario.web.fc2.com/



  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民79掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民79掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧