07. 2013年1月25日 00:13:11
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JBpress>海外>The Economist [The Economist] ブラジル経済:悪化の一途 2013年01月25日(Fri) The Economist (英エコノミスト誌 2013年1月19日号)高まるインフレ、落ち込む成長――。 ブラジル人にとって残念な経済ニュースがひっきりなしに出てくる。昨年11月末に第3四半期の弱い国民総生産(GDP)統計が市場エコノミストと政府に衝撃を与えた後、両者は2012年の成長予測をわずか1%に引き下げた。 政府はその後、GDP比3.1%という注目されているプライマリーバランス(利払い前の基礎的財政収支)の黒字目標は、一部のインフラ投資を計算から外し、国営企業から得られる配当金を前倒しで繰り入れたうえ、2008年に設立した政府系ファンドの資金を取り崩すことによって初めて達成できると認めた。 そして今度は、物価統計がさらなる憂鬱をもたらした。2012年にブラジルの物価は5.84%上昇した。これは市場予想を上回る数値であり、3年連続で中央銀行が目標とするレンジ(2.5〜6.5%)の上限に近い水準となった。
実際、この消費者物価指数はインフレ圧力を過小評価している。 もし仮に連邦政府がガソリン価格を抑制せず、自治体が10月の地方選挙前に公共交通機関の料金を凍結していなかったとしたら、昨年のインフレ率は6.5%近くに達していただろう。 ガソリン価格も公共交通機関の料金も2013年には上昇する見通しだ。 自動車に対する工業製品税の減免措置の終了もインフレ率を押し上げるだろう。大方のアナリストは今、今年のインフレ率がおよそ6%になると予想している。彼らは毎週のように2013年の経済成長見通しを下方修正しており、現在は約3%と予想されている。 政府の対応が煽る不安 悪いニュースに対する政府の対応は、ブラジルがこれから、高インフレと低成長が長期間続く時代に入るのではないかとの不安を煽っている。 批判の矢面に立たされたジルマ・ルセフ大統領は、ブラジルはまだ欧州よりも早いペースで成長を遂げていると指摘した。確かにその通りだが、これは華々しい比較とは決して言えない。中南米諸国を含めた大半の新興国は、ブラジルよりもずっと高い成長を遂げている。 財政目標のごまかしは、失望を招いたが、特に意外ではなかった。2010年に目標が達成されたのは、ひとえに、財務省と国営石油大手ペトロブラスの間で複雑な債券スワップが行われ、魔法のようにGDP比0.9%分だけ黒字が増えたおかげだった。 恐らくブラジルは、プライマリーバランスの黒字を減らしても、苦労して手に入れた堅実な財政の評価を損なわずに済むはずだ。だが、その場合は、会計操作を用いるより目標を変更した方がいいだろう。 それより心配なのは、2000年の財政責任法を緩和する計画だ。財政責任法は、数十年間にわたる高インフレが後に残した問題を一掃する取り組みを完結させた法律である。概ね見込まれている通りに議会が同意すれば、連邦政府は今のように歳入不足をいかに補うかを説明することなく、減税できるようになる。 このことは、2014年に大統領選挙を控えた今、当局者らがどんな手段を使っても4%という今年の成長予測を達成しようとすることを示唆している。追加の景気刺激策は、部分的には、国営銀行による低利融資という形で実施されるかもしれない。 これ以上の政策緩和は逆効果になる恐れ だが、ブラジルの政策は既にかなり緩和型だ。中央銀行の基準金利は、実質ベースで1.5%を下回っている。元中央銀行総裁のカルロス・ランゴーニ氏は、追加の刺激策は成長よりインフレを押し上げる可能性が高いと考えており、「問題は構造的なもの、すなわち競争力の欠如だ」と話している。 来年の選挙で再選を目指すなら、ジルマ・ルセフ大統領(写真)は経済成長を回復させなければならない〔AFPBB News〕
政府も競争力の問題に取り組んできたが、断片的な措置しか取ってこなかった。 政府は給与税を引き下げている。しかし成長鈍化にもかかわらず、6大都市の失業率はたったの4.9%だ。雇用主が余剰人員を抱えたままでいるのは、1つには、人員の解雇が高くつくからだ。 投資銀行イタウBBAのイラン・ゴールドファイン氏によれば、厳しい雇用情勢は、減税措置が結局、企業のコスト軽減よりむしろ賃金上昇につながることを意味した。成長ペースが高まらなければ、企業が労働者を抱え込んでおく状況は永遠には続き得ない。 企業の間で楽観論が生まれる可能性が最も高いのは、年内に計画されている一連のインフラ事業の入札が成功した場合だろう。入札が成功すれば、政府がボトルネックの解消に本気であり、国家統制主義的なやり方にさほど執着せず、投資家に魅力的な投資リターンを提供できることを示せる。 それでもなお、2013年は苦戦を強いられそうだ。事態を一層複雑にしているのは、昨年の干ばつがブラジルの大型水力発電プラントの発電を脅かしていることだ。通常は乾季にだけ電源が入れられるガス・石油火力発電所がフル稼働している。ダムの貯水量が今回の水準まで低下した2000年には、電力配給規制が敷かれた。 泣きっ面に蜂の電力危機も 雨が救いの手を差し伸べてくれる可能性もある。だが、もし降らなかったら、どうなるのだろうか? 政府は電気料金の大幅値下げを断行しようとしている。これは昨年、貯水池の水位が下がっているにもかかわらず約束された対策だ。エネルギー価格の引き下げは、産業の競争力向上を図る政府の計画の大きな柱であり、政治的にも評判がいい。だが、それにこだわると逆に高くつく可能性もある。 ガスは水力発電よりずっと割高だ(政府が民間セクターのガス探査を阻んできたことも一因だ)。もし電気料金を引き下げれば、差額は政府が支払わざるを得ない。それに安い電力は需要を刺激することで、配給制のリスクを多少引き寄せてしまうことになる。 ルセフ大統領は、過度に信仰心が厚い人物ではない。けれども今は雨が降るよう祈っているかもしれない。
JBpress>海外>Financial Times [Financial Times] 三番底の景気後退への不安でポンドに売り圧力 2013年01月25日(Fri) Financial Times (2013年1月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
英ポンドが足をすくわれ、支えを失っている。ユーロ圏の危機を巡る不安の中で、投資家はしばらくの間、比較的安全な逃避先としてポンドを買うことを好み、英国経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)から目を背けてきた。 ところが今、欧州周縁諸国の資産が人気を取り戻し、単一通貨圏が安定性を増しているように見えるため、投資家が再び周縁国に押し寄せている。その結果、ポンドは無防備な状態に置かれている。そして、その光景は芳しくない。 問題だらけの英国経済、避難先通貨の地位を失う恐れ 避難先通貨として買われてきた英ポンドが支えを失っている〔AFPBB News〕
「ポンドは安全な逃避先としての地位を失う過程にある」とインベステック・アセット・マネジメントの債券部門責任者ジョン・ストップフォード氏は言う。 「経常赤字は拡大しており、財政赤字はあまり改善しておらず、連立政権は弱体化しつつあり、インフレは依然問題含みで、英国は近いうちに格下げされる可能性が高い」 ポンドは年初来、最もパフォーマンスの悪い先進国通貨だ。ポンドの対ユーロ相場は10カ月ぶりの安値にあり、対ドルでは昨年8月以来最も低い水準で取引されている。 25日に発表される第4四半期の国内総生産(GDP)統計は、英国経済が再び縮小したことを示すと見られており、今四半期に成長率がプラスにならなければ三番底の景気後退に陥るという不安をもたらしている。 格下げなら、中銀などがポンド売りへ 大手格付け会社3社はいずれも英国を「ネガティブウオッチ」にしており、格下げがあれば、中央銀行の外貨準備の運用担当者など、最高格付けの資産を購入する義務を負う投資家がポンドを売る可能性が高い。 一方、23日発表のイングランド銀行の金融政策委員会の議事録には、緩和バイアスの変化がないか、アナリストの注目が集まっていた。 *1=23日に発表された議事録では、資産買い入れ再開の必要性に疑問の声が強まっていることが分かった ユーロ圏から逃避先に向かう資金の流れがどんなポンド安効果にも勝っていたこれまでの金融緩和期と違い、今後はイングランド銀行が追加緩和に踏み切れば、ポンドを下落させる原因になるとアナリストらは考えている。 「英国経済が三番底の景気後退に入る瀬戸際にあり、物価が安定しているため、イングランド銀行の議事録から、2月の追加緩和に向けたシグナルが読み取れないかどうか市場は探ることになる」。シティグループの為替ストラテジスト、バレンティン・マリノフ氏はこう言う。 「特に、1月に資産買い入れの拡大を支持する金融政策委員会のメンバーの数が増えていたことを示す兆候があれば、ポンドに対する景気循環的な逆風が全面的に強まる可能性がある」 外国人と中銀が英国債を買わなくなったら・・・・ 債券投資家は怯えている。有力ファンドマネジャーは既に英国債を売り始めており、10年物国債の利回りは2%を超え、9カ月ぶりの高水準に近づいている。 「英国債市場を見ると、落ち着かなくなる」とアバディーン・アセット・マネジメントの債券部門責任者ポール・グリフィス氏は言う。「米国債市場は過大評価されており、ユーロ圏の債券市場も過大評価されているが、西側諸国の市場でどこよりも私が心配しているのは英国債市場だ」 2012年はほぼ一貫して、ユーロ圏の危機がポンド資産に対する需要を支えてきた。スイス国立銀行(SNB)は、逃避先への資金流入によるスイスフラン高を抑える戦いの中で大量にユーロを購入したが、今度はそのユーロから他通貨に資産を多様化させる取り組みの中で、ポンドを購入する最大の外国人投資家の1つになった。 外国人投資家が保有する英国債は、ユーロ圏の危機が激しくなり始めた2010年第1四半期末の2436億ポンドから、昨年第3四半期末には過去最高の3983億ポンドまで増加した。 英国の債務管理庁(DMO)によれば、相対的に見ると、外国人投資家による英国債の保有額は市場全体の約30%で比較的安定的に推移していたという。 だが投資家は、この事実は、英国の国債利回りを抑制するうえで外国人による買いがいかに重要だったかを浮き彫りにしていると言う。そして今、欧州危機が和らいだため、外国人による英国債の購入ペースは昨年末に向けて減速したという見方が広がっている。 「外国人が購入せず、イングランド銀行も購入しなければ、英国債市場は近年の最大の買い手を失うことになる」。投資会社M&Gのリテール債券部門責任者ジム・リーヴィス氏はこう言う。「ポンドにとってはほとんど最悪の事態だ」 弱気な見方の高まりは、多くの投資家とトレーダーがまだ英国資産に多額のポジションを持っている時に起きている。米国商品先物取引委員会(CFTC)のデータは、最近の高水準からは減少しているものの、トレーダーたちがまだポンドで買い持ちポジション(ネットベース)を取っていることを示している。 バンクオブアメリカ・メリルリンチは、同社の投資状況のデータは、ヘッジファンドがこの1週間でポンド売りを増やしていることを示しており、ここ2週間では英国債がG10諸国と新興市場全体で唯一資金流出を記録していると話す。 対ユーロで10〜15%安くなるポンド危機も 為替ストラテジストのリチャード・コチノス氏は、投資家はポンドを非常に大きくオーバーウエイトにしているため、ポンド売りは「まだ始まったばかりだ」と言う。 それでも、ポンドがさらに下落すれば、英国の当局者たちに歓迎されるだろう。イングランド銀行の金融政策委員会のメンバーであるイアン・マカファティー氏は先週、ポンドは英国経済が回復するだけ十分に競争力のある水準にあるのかどうか疑問を呈していると伝えられた。 「ポンドが対ユーロで10〜15%下落するようなポンド危機は起き得る」とリーヴィス氏は言う。「経済にとっては朗報だろうが、これは綱渡りになる。当局はポンド安が暴落に発展しないようにしなければならない」 By Alice Ross and Robin Wigglesworth
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