http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/106.html
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http://ameblo.jp/eiichiro44/entry-11451594360.html
ここのところ、昨年末からの「円安トレンド」について、以下の論調を見掛ける事がある。
「ECBによるOMT(一般的には無制限緩和といわれる財政支援策)によって、欧州危機が沈静化し、円やドルからユーロに資金が流れるといったリスクオンが生じた」。
よって、「安倍総裁の(日銀への)強力な緩和要求によって円安トレンドが発生した訳ではなく、たまたま(円安発生)」 といったものだ。
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これはどこまで本当なのだろうか?
結論からいってしまえば、今回の円安トレンドの原因は、米大統領選と11月のファンド解約期を通過した機関投資家が、ユーロリスクを取るようになった。しかし安倍首相の「日銀への脅し」も、それを助長している。米株、米国債利回り、ユーロドル、ユーロ円、上昇し始めたのはすべて11月中旬からだ。(以下説明)
まず、この話の前提となっているような、「ECBの財政支援政策(OMT)によって、欧州危機が沈静化」、という論調はどうだろうか?ECBのOMTが公表されたのは9月5日、ユーロ(ユーロドル)が上昇し始めたのは11月の中旬からなので、1ヵ月以上のタイムラグがある。この事実だけを踏まえれば、OMTが発表されて欧州危機が沈静化したとは言い難いように思える。タイムラグがあったのかも知れないが、実際のところ(欠陥だらけの)OMTが欧州危機を沈静化したとは考えていない。
OMTは各国政府への緊縮条件付きの政策であり、それに対してスペインが(条件を)すんなりと受け入れる事がなかった為、ECBとスペインとでもめていたのは周知の事実。OMT発表は9月5日だが、解決までに少々の期間を要し、そして危機が沈静化した、と見る事も可能だが、このユーロドルが上昇し始めた11月中旬、スペイン国債利回り(10年)はどうだったかといえば、11月15日には「危機水準」手前、5.9%を付けており、とても危機が終息した、といえるような状況ではなかった。(下図、スペイン国債利回り)
実際のところ、ECBとスペインの主張は平行線を保ったままであり、折り合う気配がつかなかった。そうするうちに、市場の話題は欧州危機から米国の危機、すなわち「財政の崖」議論へと焦点が(自然と)移っていった。 つまり、ECBの財政支援策OMTは、実際には欠陥だらけのシステムで、スペインはそれを信用していなかった。そうこうしているうちに、市場の焦点が勝手に米国に向かったものだから、何となく危機は沈静化していった、という風に見られるようになってしまった。(市場はそんなもの)
欧州危機は忘れ去られ、「結果として」沈静化した。なので、「欧州危機の沈静化によってユーロ投資(リスクオン)が促進された」というのは、その経緯うんぬんを差し引けば、この表現自体は間違いではない。 ただ、ここで言いたいのは、「11月中旬からのユーロ上昇」となったのには、(冒頭で述べたように)機関投資家が、2つのイベントを通過して、運用リスクを取るようになった事がその要因となっている。
当レポートでは、「11月のアノマリー」といって米系ヘッジファンドの解約期に、毎年注目しているわけだが、今年も注目していた。下図(07年ー11年、11月ダウの値動き)は、11月に大きな下落の時期(黒枠)が市場アノマリーとして存在する事を示している。 (10月ニューノーマルレポートから)
そしてもう1つ、11月といえば、6日に米大統領選が行われている。
この「2つの時期」を跨ぐ事によって、機関投資家はリスクをとれるようになった。というのは、株式市場の中心である米株の値動きは、機関投資家の運用面に大きな影響を及ぼす。簡単にいえば、米株が上昇すれば、機関投資家は運用リスクを取れるようになるし、米株が下落すれば、(国債投資など)「質への逃避」が起こる事になる。
今年の米大統領・議会選は「ねじれ議会」が再び注目されていた。接戦選挙を嫌う米株式市場は、神経質な展開となる事が多いが、下チャートのように、米株(NYダウ)は、11月6日の大統領選、そして中旬(解約期)に掛けて下落していった。2つのイベントを終え、米株が上昇(下図)するとともに、機関投資家のリスクを取る動きが活発化、米株はさらに上昇し、ドル・円は売られユーロが買われる事になった。
前述のように、スペイン国債は、11月15日に5.9%付けており、完全に危機が沈静化したとはいえない状況だったが、身軽になった機関投資家は円売り・ユーロ買いを進める事になった。これは、安倍総裁が「日銀への脅し」を公に主張し始めた(11月17日)事が関係している。同時期(11月中旬)からのユーロ上昇と、円下落は「たまたま」と言うわけでは無い。円売りもユーロ買いも全く同じ時期に始まっている事が各チャートから確認できる。
ついでに米国債10年利回り。機関投資家の「質への逃避」は11月中旬まで続き、そこから(利回り)反発している。
個人的に、安倍首相の「アベノリスク 」は大変滑稽だと言わざるを得ないが、円安トレンドに関しては安倍首相も一役買っている。ただし、彼一人で起こした事では決してない。機関投資家のリスク運用は11月中旬以降、始まる予定だった、といっても過言ではない。安倍首相の発言が、機関投資家のリスク運用を(たまたま)サポートした、というのが実際のところだといえるだろう。
◆市場関係者を震撼させるウワサが出たが、
「やはりウワサであったの売り」前夜か?
http://zai.diamond.jp/articles/-/140939?page=2
■日銀政策変更に関するウワサで米ドル/円はさらに上昇!
円安の勢いが止まらない。
執筆している現時点では、 米ドル/円は90円の節目をタッチ、ユーロ/円、豪ドル/円もそれぞれ120.60円、95.02円の高値をもって、1月14日(月)の高値を更新している。
ロイターは「関係筋」の話として、「物価目標を2%に引き上げるのみではなく、同ターゲットが達成されるまで 、無制限に国債買い入れも実施する」と報道している。
インフレターゲットの2%はともかく、無制限に国債買い入れを実施するという話はインパクトが大きい。本当に実施されたら、それこそ2013年初のサプライズとなろう。
市場関係者を震撼させるに値する、たとえウワサでも十分すぎるほどの迫力を持つ話だ。今朝まで急伸している米ドル/円のチャートにも納得できるほどである。
■「無制限国債買い入れ」はあまり現実的ではない
しかし、日銀は本当にこういった政策を実施するだろうか。
この質問、本来ならエコノミストに今すぐにでも答えてもらいたい心境だが、おそらく彼らは得意とするあいまいな表現で(日本語だからより好都合)、明言を避けるだろう。そこで、テクニカルしかわからない筆者が彼らの代わりに 「無責任トーク」を披露しよう。
ズバリ、2%のインフレターゲットについては日銀は妥協して明記するだろうが、目標達成のために無制限な国債買い入れをするという過激策には抵抗し、それを明言はしないだろう。
「無責任トーク」だから根拠なしだが、あえて言うなら以下の2点を挙げてみたい。
1つはカンだ。
「そんなもん、根拠になるかよ」といったお叱りを受けるのも承知しているが、迷った時には意外にカンが効いてくることが多いから、たまにはいいだろう。
たとえばの話だが、(筆者のような)普段自転車しか乗れない者が「明日からフェラーリに乗る」と言ったら、どう思われるだろうか。
日銀による無制限国債買い入れは、不可能ではない。しかし、 いきなりというのはさすがに無理があるのではないだろうか。
次回の会合でこのような大胆な政策を打ち出す可能性は、マーケットの期待ほど高くないと思う。
■焦点は「米ドルがさらに買われる余地がどれくらいあるか」
次に、ちまたの常識の逆説(いつも、すまないが)となるが、 サプライズ政策の有無をマーケットほど事前に察知できるものはないから、相場は相場に聞くべきだ。
言い換えれば、 米ドル/円がさらに高値を大きく更新するのであれば、日銀の過激政策の実施あり。逆の場合は、少なくとも次回の会合ではいったん見送りされるのではないかとみる。
したがって、「価格から材料を予測する」といった通常と逆のアプローチになるが、肝心なのは、今、米ドル/円の状況がどうなっているかにある。
中長期スパンはともかく(そういえば、昨日(1月17日)、うちの母が電話で米ドル/円の100円突破を予測し、米ドル買いを勧めてくれた(汗))、短期スパンでは、 「米ドルがさらに買われる余地がどれぐらいあるか」が焦点となるだろう。
短期スパンに限って一般論を言うと、 米ドル/円をはじめ、円売り自体がすでに行きすぎの段階にあり、さらなる高値余地は限られる。
もちろん、テクニカルアナリシス上のいわゆる「買われすぎ、売られすぎ」は相対的な程度を示すにすぎず、絶対的なものではないが、それにしても参考にする価値があると思う。
状況を測る手法としてはいろいろあるが…
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■RSIの分析ではこれ以上の大幅上昇はイメージできない
状況を測る手法としてはいろいろあるが、ここではシンプルな見方を挙げてみたい。
まずは200日移動平均線(200日線)との乖離から見てみよう。
米ドル/円の過去の相場は、少なくとも2007年からのデータを見る限り、 200日線から10円前後離れると必ず修正が入ってきていた。一方通行にしても限度があるのだ。
今朝(1月18日)の高値から200日線との距離を測ると、すでに973pipsに達していることから考えて、 さらに3円、5円といった値幅で上乗せしていくイメージは湧かない。
が、前述の日銀の過激政策が本当であれば、3円、5円程度の値幅は簡単であろう。そこに矛盾が生じるわけだ。
次に、オシレーター系指標を見てみよう。まずは下の週足をご覧いただきたい。
RSIを表示しているが、 週足で見る限り、RSIは現在84.36という非常に高い数値を示しており、1997年2月に記録した83.22よりも高いことが確認できる。
確かに1997年2月以降も米ドル/円は上昇し、その年の8月まで高値を更新していたが、その間、4月安値まで 最大16円超、調整の下落が起こったことも見逃せない。
この意味では、日足におけるRSIのシグナルを過少評価すべきではないだろう。RSIが上昇ウェッジのフォーメーションを示し、反落しやすい状況を暗示、そして 直近では弱気ダイバージェンス(※)の度合いが増している。
(※編集部注:「ダイバージェンス」とは、相場の値動きとテクニカル指標の動き方が逆行すること)
弱気ダイバージェンスと言えば、ごく短期の4時間足でも確認できているが、こちらのほうはより煮詰まりつつある状況であることを確認できる。
■現状は「やはりウワサであったの売り」前夜か
ということで、テクニカルアナリシス上の視点では、 短期スパンに限って言うと、米ドル/円の高値があっても限定的で、インパクトの強い材料が出てこないことを示唆しているか、あるいはこういった材料の大半を消化するかのどちらかを暗示しているように思う。
米ドル/円相場で、米ドルが現在置かれている状況は「ウワサの買い、事実の売り」、いや 「ウワサの買い、やはりウワサであったの売り」の前夜なのではないかとみる。
ちなみに、もう1つの要素も見逃せない。それは前回提起した「法人様踏み上げ」相場の終焉である。(抜粋)
【参考記事】
●急激な円安は投機筋によるものではない。では、誰が円をガンガン売っているのか?(2013年1月11日、陳満咲杜)
結論から申し上げると 、いわゆる実需筋の損切りや将来に対する布石が一段落したからこそ、円安も一服しやすいのではないかと思う。このあたりの話は、また次回に続けたい。
最後に、日銀政策に関する筆者の見方は、あくまで「無責任トーク」であることに注意していただきたい。
そして、仮に筆者が間違っていた場合は、悪いことは言わない。 FXをやる証拠金があるくらいなら、早めにローンの返済をすることを、みなさんにはお勧めしたい。はい、それだけは確かである。
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