http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/105.html
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■ドイツが、通貨体制崩壊への準備を進めているようだ。
【ドイツ連銀、パリとNYで保管の金準備674トンを移管へ】
ドイツ連邦銀行(中央銀行)はパリとニューヨークの保管庫にある金674トンを2020年までに本国に移す方針だ。ドイツの金準備に対する国民の信頼感を回復させるのが狙い。
独連銀が16日発表した文書によると、金の段階的な移管は今年開始し、ドイツの金準備の半分を20年末までにフランクフルトで保管する方針。移管する金は約270億ユーロ(約3兆1800億円)に相当する。フランス中央銀行に保管されている374トンが全て、ニューヨーク連銀からは300トンがそれぞれ移管されるという。イングランド銀行(英中央銀行)で保管されている金は移管されない。
独連銀は「この新たな保管計画で、ドイツ連銀は金準備の2つの主要な機能に重点を置いている。それは、国内での信頼と自信の構築、そして国外の金取引拠点で短期間のうちに金を外貨と交換する能力だ」と説明。パリで保管されている金準備を全て移管するのは、ドイツとフランスが共にユーロを利用しているためドイツがもはや金取引拠点としてのフランスに依存していない事実を反映していると表明した。
独会計検査院は昨年、国外の金準備の存在についてこれまで検証されたことがないとして連銀に調査を要請。これをきっかけにドイツでは金準備に関する議論が巻き起こった。ドイツの金準備は米国に次ぎ世界2位で、昨年末時点で3391トン、1375億ユーロ相当に上る。【ブルームバーグ 10:00】
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記事にもあるように、昨年11月に独連邦会計検査院が独連銀に対し、国外の金準備が本物なのかどうか溶解検査を行うことを求め、NY連銀から年間50トンの金準備の検査を3年間行うと表明していた。
それだけ国外に保管されている金の品質が"疑問視"されていたわけだが、中銀の秘密主義として、これまでタブーとされてきたことだ。
特にNY連銀にある金準備は怪しいとされる。
タングステンのまがいもの疑惑はともかく、金リースによりJPモルガンなどのブリオンバンクに貸し付け、デリバティブ商品として運用していた経緯がある。
ドイツの銀行もからんでいるが、損失補てんとして金準備が流出している可能性が指摘されている。
無論、今回の場合、20年までの話であるから、その間にどこからか補填されることになろう。(ちなみにNY連銀には1536トンを保管されている)
示唆深いのは、フランスから全量を移管するが、イングランド銀行(保管量は450トン)は除外されていることだ。記事では、フランスが同じユーロを利用しているためとされているが、これは口実だろう。
記事にも<国外の金取引拠点で短期間のうちに金を外貨と交換する能力>とあるように、米国、フランスは"交換能力を失う"ことが暗示されている。
★ドル、ユーロまでも交換能力を失うということは、基軸通貨ドル体制は崩壊するということだ。したがって、交換可能となるのは、現行の外貨ではない。
つまり、新通貨体制における金兌換幣ということだ。
それはまた、英・スイスの非ユーロ国が主体となり、そこでは交換可能な金兌換幣が発行される可能性を匂わせている。
さらに付け加えれば、ドイツに限らず、世界の多くの国が米国に"分散保管"しているメリットよりもリスクが高まることを意味している。
圧倒的な軍事力を背景に本土が戦場とならない安全な国として米国が選好されてきたが、米本土が戦場となるような有事テロが起きる可能性も示されている。
いずれにしても、最後のハードカレンシー、無国籍通貨、「金」(ゴールド)の時代が復活する日が近づいているのである・・・。
◆黄金時代の胎動・・新たな金本位制が生まれつつある
http://precursor.blog55.fc2.com/blog-entry-551.html
新政権の圧力に屈し、我が国の中央銀行は責任の伴う義務として「2%のインフレ目標」を掲げさせられるやに報道されていますね。 一方では、あからさまな円の安値誘導を「近隣窮乏策」として非難する声も上がり始めている様です。
しかし、この様に為替レートの激しい変動で各国経済が甚だしく影響を被るという現代の通貨構造自体を問題視する向きは少ないように思うのです。
■A new Gold Standard is being born
新たな金本位制が生まれつつある
G20の指導者達による如何なる発表又は祝福を伴う事無く、世界は事実上の金本位制に向かって一歩ずつ移動している。
トン数という表現にて世界中の中央銀行が過去半世紀の如何なる時期よりも大量の金塊を昨年に購入したという事を報告した、2012年の GFMS ゴールド・サーベイを一部の読者達は既に目にした事があるだろう。
彼等は4つの疑わしいフィアット通貨:ドル、ユーロ、ポンド、そして円、を避けて新たな準備高を多様化した為、2012年に正味536トンを追加したのである。
英国、スペイン、オランダ、南アフリカ、スイス、他の国々が毎年大量のゴールドを売却する事となったワシントン協定は、既に別の時代になった様に見える - 貴方はゴードン・ブラウン時代と呼ぶかもしれない。
ドルと並んでユーロが新しいG2の共同住宅における二つの柱の地位に就くと投資家達が考えたのは幻想の期間であった。 その期待は薄れた。 中央銀行のユーロ債保有高は、ほぼ10年前と同じ26%の低さに戻ってしまった。
異なる理由ではあるが、ユーロ及びドルの何れも完全な信頼を抱かせる事ができないのである。 欧州通貨同盟は互換性の無い二つの経済をカバーしている機能不全の構造体であり、後ろ盾となる統合された財政を持つ事無く、危機から危機へとよろめきながら傾いているのだ。 ドルは債務のピラミッドの上に立っている。 我々は皆、良かれ悪かれ - この債務が時間の経過と共に膨張していくという事を知っている。 唯一の見解の相違は、その速度だけである。
中央銀行の買い手達というのは、勿論、今や世界の$11兆の外貨準備高の3分の2、及びその準備高の増分の全てを保有し、アジア及び資源国ブロックの台頭しつつある力なのだ。
自国の外貨準備に占めるゴールドの比率を2%よりも多くしようとの意欲を持っている中国が押し目で購入している事は秘密でも無い。 ロシアは公けに10%の比率を目標とした。 これの変形が太平洋地域から湾岸そしてラテン・アメリカへ至る場所にて起きている。 そして現在、ドイツ連邦銀行は彼等のゴールドの一分をニューヨーク及びパリから引き出す事を選択したのである。
保守的白人層が何らかの秘密のアジェンダを抱いていた、或いは彼等以外の者から隠している何かを知っているという事について、個人的に私は疑っている。
★それは、ドイツのゴールドを本国へ戻せという大衆の大きな圧力及び連邦議会議員達からの追求に応じたものなのだ。 未だ、話はそれで終わりという訳では無い。 この大衆の圧力が存在する - そして、非常に組織立っている - という事実は、主要な民主主義国及び経済大国の間での信頼の崩壊を反映しているのだ。 それはグローバルなシステムにおける新たな政治的事実なのである。
★これは波及効果を持つかもしれないとピムコのエル・エライアンが語った:
「先ず第一に、それは他の国も彼等の保有するゴールドの一部を本国へ送還するという圧力に繋がるかもしれません。 結局、もしも貴方が自分のゴールドを自国で安全に保管する事が出来るのであれば - 一部の国においては大きなものとなるでしょうが -、何れの国の政府も、この作業の全てを外国の中央銀行へ委託する最後の一国と見られたいとは思わないでしょう。」
もしも本件の展開がこの問題だけに留まるのであれば、機能しつつ健全な状態にある世界経済へ重大な影響は無いであろう。 しかし、もしも増大しつつある相互不信の認識が更に大きな多国間の緊張に繋がる場合、国際収支不均衡の解決及び近隣窮乏策という国家の方針に抗う事への更なる困難に世界が直面しているという事に自ら気付くであろう。
「現在最も可能性の高い結果は、ドイツの決定が最少のシステミックな影響を持つという事でる。 しかし、これは間違いであり、その決定が更に大きな疑心 - 基本線よりもリスクを想定したシナリオ - に燃料を注ぐかもしれず、その結果が多国間の政策協調として残されているものを直撃する事は、実質的に全ての者にとっての問題となるでしょう。」
私が火曜日に報告した様に、3年後にニクソンがゴールドとの兌換を停止する事となったブレトン・ウッズ体制崩壊の前兆である - フランスのゴールドをニューヨークから引き戻すという1960年代後半のシャルル・ド・ゴールの決定と比べながら、それは地震であるとゴールドのベテランであるジム・シンクレアは考えている。
★ドイツ連邦銀行の行動はドルの力に死を告げる一撃である事が証明されると、シンクレア氏は予想している。 この主張がどこから出てくるものなのか、私には本当に判らない。 ド・ゴールの時代には通貨が固定されていたのだ。 今日(こんにち)、それらは変動している。 その全ての破壊的な力及び常に存在する突発的な破裂のリスクと共に、欧州通貨同盟の固定相場制の中 - つまりドイツとスペインの間 - において、(古き)金本位制の力学を我々は目にしているのだ。 世界のシステムはしなやかである。 それは圧力に応じて変形する。
如何なる新たな金本位制も「めづらかな」ものとなり、より良いものとなるだろうというのが私の推測である。 切り下げる事ができず、他の物を換算するが、我々の修正された運命をインフレ的な上昇(そう、コンキエスタ以降ゴールドはインフレ的だった)や、世界の採掘供給のデフレ的な下降へ引き付ける程には支配的で無いものとして、ゴールドに3番目の準備通貨としての地位を与えようではないか。 それは本当に野蛮な遺物への回帰である。
願わくば、それは戦争と戦争の合間のシステムの様なものであって欲しくない。 FRBが1928年に過剰に引き締めて1930年に荒れ狂った時、米国のデフレを全世界へ伝搬させたのはドル・ペッグであったのだ。
第3の基軸通貨は、正にアメリカが必要とするものなのである。 北京大学のマイケル・ペティス教授が主張した様に、世界の基軸通貨を保有する事は、米国も避ける事ができなかった「途方も無い負担」なのである。
1960年代にベルギーの経済学者ロバート・トリフィンによって確立した - トリフィンのジレンマは、支配的な通貨の保有者が特有の矛盾に直面する事を示唆している。 システムを維持する為に、保有者は時間の経過と共に構造的な赤字を抱える事となるが、これは自国の経済を弱体化させる事になるのだ。 システム自体が自己破壊的なのである。
部分的な金本位制 - 世界市場によって生み出され、誰にも恩を受けていない - は、全ての世界にとっての最善策である。 それは(利息が付かないものの)価値の蓄積を可能とする。 それは均衡化の力として動く。 それはシステムを押し潰すのに十分な程に支配的では無い。
3番目の世界通貨、黄金の足を備える三脚を持とうではないか。 それは安定したものとなるかもしれないのだ。
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お馬鹿な政治家のセンセー方も、狡猾な官僚の方々も、短視眼的な経済/金融関係の人々も、現在の変動相場制が不変的な絶対条件であるかの様な先入観に捉われているのかもしれません。 世界経済を閉塞状態に陥らせている問題の本質を追求すれば、現行のシステムに拘る事無く全く新たな発想を持つ事もできると思うのですけど。
通貨の問題については本稿でも再三触れていますが、私はプラザ・ホテル所縁(ゆかり)の食器を手にする度に国際的通貨制度の歴史的変遷に想いを馳せるのですよ。(「通貨は変化するものなのだ」)
(関連参考記事:)
米国の銃規制とドイツの金塊回収
http://d.hatena.ne.jp/rebel00/20130118/1358499675
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