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東電が裁判所の文書開示決定を拒否 不誠実の歴史にまた1ページ
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2014年1月20日 東京新聞:こちら特報部 俺的メモあれこれ
東京電力を相手取った福島原発事故の賠償をめぐる裁判の一つで昨秋、原告側である被災者の資料開示要求を認めた裁判所の決定を、被告の東電側が「必要ない」と拒否する事態が起きた。被告には決定を拒む権利はあるものの、事故を起こした張本人が原因に関する資料を抱え込んだ形だ。被災者たちは「東電の不誠実の歴史に新たな一ページが加わった」と憤りを隠さない。(白名正和)
◆原賠法楯に「争点にならない」
「事故を人ごととしか思わない東電の考え方を根本から改めさせたい」
19日、福島県二本松市で開かれた原告団総会。国と東京電力を相手取った「生業を返せ、地域を返せ!福島原発訴訟」の原告団長である中島孝さん(58)=同県相馬市=はそう語気を強めた。中島さんは原発から約40キロ離れた相馬市でスーパーを営んでいる。
この裁判は被災者らが昨年3月、「原発に故郷と生業を奪われた。原発も放射能もない福島を」と脱原発政策や賠償などを求め、福島地裁に提訴した。
原告数は当初は800人だったが、現在は約2000人。来月10日には3次提訴を予定しており、新たに数百人が加わる見込みだ。
裁判で、原告側は国と東電の過失責任を追及する立場から、東電に「福島原発事故以前に検討していた津波の予測、原発の安全性についての資料」を開示するよう求めてきた。
文部科学省の地震調査研究推進本部は2002年、太平洋の日本海溝沿いでマグニチュード(M)8級の地震が30年以内に約20%の確率で起きるとする「長期評価」を出した。
東電は6年後の08年、この長期評価をもとに「福島第一原発に最大15.7メートルの津波が来て、4号機の原子炉建屋周辺は2.6メートル浸水する」と予測した。にもかかわらず、東電は必要な安全対策を取らず、福島第一での事故が起きた。
事故原因については、これまで複数の調査委員会が調査内容をまとめた。そのひとつである国会事故調に対する提出資料で、東電は長期評価について「(長期評価の)即採用は時期尚早」と判断していたことが分かっている。
そのうえで、原告側は「過失の追及には一次資料から集める必要がある」と考え、東電にあらためて資料開示を要求。昨年11月の第3回口頭弁論で潮見直之裁判長は原告側の主張を認め、東電側に文書を提出するよう決定した。
しかし、東電側は「必要性がないと考えるため、(中略)応じかねる」と、裁判所の決定を拒否した。
決定には強制力がなく、東電側の対応に法的な問題はない。しかし、原告側は「裁判所を無視する許されない行為。普通の裁判では考えられない」と、一段と姿勢を硬化させた。
約300人が集まった19日の原告団総会でも、参加者から「誰かが事故の責任を取らなければいけないのに、資料を隠す方に考えが向かうのはなぜなのか」 「これだけ被害を出しておいて、証拠も出さないのはひきょうだ」という怒りの声が次々と上がった。
◆裁判長 過失の審理明言
東電は今回の裁判で、事故の際には、電力会社が過失の有無に関係なく賠償責任を負うと定めている「原子力損害賠償法」の規定を逆手に取り、裁判では過失の話を持ち出さず、賠償の話しかしない、という姿勢に徹してきた。
資料の開示拒否もその延長線上にあり、東電の言い分はA4判2枚の回答書に記されていた。「裁判では事故の過失が争点にならないので、過失に関係する文書を出す必要性がない」
これに対し、原告弁護団の久保木亮介弁護士は「自分たちの責任を追及されることを恐れ、都合の悪い情報は国民に明らかにせず、とことん隠す。東電の企業体質そのものだ。事故の情報は、国民に広く知らされるべきこと。本来は率先して出さなければいけない」と批判する。
「出さないということは出せない内容が含まれているからと考えられる。事故調にも、東電はすべての文書を出していなかったのではないか」
東電の「不誠実な姿勢」は、今回に始まった話ではない。二本松市のゴルフ場が11年、東電に汚染の除去を求めた仮処分申請で、東電側は「原発から飛び散った放射性物質は東電の所有物ではなく、除染に責任を持たない」と持ち主のない「無主物」論を展開。驚くべきことに東京地裁もゴルフ場の訴えを退けた。
昨年夏に発覚した汚染水問題でも、海洋への漏出を知りながら1カ月余りとぼけ続け、参院選直後の7月22日になって唐突に事実関係を認めた。こうした例は数多くある。
福島原発事故をめぐる東電の過失責任については、東京地検が当時の東電幹部や政府関係者ら42人の刑事責任を捜査したが、昨年9月に「過失を認めるのは困難」と全員を不起訴にしている。今回も結局、事故責任は明確にされないのだろうか。
そうとは言い切れない展開になっている。今月14日の第4回口頭弁論で、福島地裁の潮見裁判長は「過失は重要な争点」として、事故の過失を裁判で審理する考えを明言した。
原告弁護団の馬奈木厳太郎弁護士は「東電の思惑は外れた。今後の弁論で、自分たちが開示を拒否した文書を使って、自分たちの過失がないことを証明しなければならなくなる。『津波は想定していなかった』という形式的反論じゃ済まない。データは、結果として法廷に出てくることになるだろう」と期待する。
「東電側に拒否されたものの、文書の開示を裁判所が決め、過失も争点になった。裁判の流れは原告側に追い風となっている」
[脱原発要求 一線画す訴訟]
福島原発事故をめぐる東電への損害賠償は、直接交渉や原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)への申し立てによって請求されるが、話がまとまらない場合に訴訟となる。
全国各地で、避難者なら生活費、事業者は風評被害の穴埋めを求めるような訴訟が相次いでいる。
ただ今回の訴訟は国と東電の事故責任を追及し「二度と事故を起こさないよう脱原発に向けた政策を決めさせる」と求めている点で、ほかの訴訟とは一線を画している。
福島地裁への提訴とほぼ同じ趣旨で、同時に東京と千葉の両地裁、福島地裁いわき支部でも避難者らが訴えを起こしており、4地裁・支部での原告数は計1650人。その後も提訴が続き、現在までに全国13地裁・支部で、約4500人の原告が同様の訴えを起こしている。
[デスクメモ]
作家の故山田風太郎の傑作に「人間臨終図巻」がある。その中で、彼は先の大戦になだれ込む情勢を「日本は総発狂時代にはいる」と記した。無名の人びとが事故から3年近くたったいまも、こうした訴訟や東電本店前での抗議行動を続けている。狂気が覆う社会で正気を保つ貴重な空間である。頭が下がる。(牧)
2014年1月20日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014012002000155.html
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