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原子力資料探訪(1) 原子力基本法の精神
http://takedanet.com/2014/01/post_e52d.html
平成26年1月18日 武田邦彦(中部大学)
音声解説
原発の再開が本当の意味での日本の将来を左右する大きな問題になってきた。このブログでは思想的に左右に偏することなく、「いったい、私たちはどのようなことをしてきたのか、原発とは何なのか、どうするべきなのか」ということを初心に帰り、重要な「資料」の断片を参考にしつつ、整理を進めていきたいと思う。
つまり、このブログは「原発反対だからこうする」とか「原発推進だからこの資料」というのではなく、損得もなく、純粋に日本民族のために整理をして多くの人の参考にしてもらいたいと思って書くことにする。私は学者だから、あまりにも当然のことだが、現在の日本では学者も「何かのためにする」という傾向があるので、ここで断っておきたい。
第一回は原子力基本法の精神だが、このシリーズは必ずしも「基本から」というのではない。たまたま第一回が基本法になったということだ。
日本の原子力は「原子力基本法」によっている。もともと法律というのは「お上が決めて国民に強制する」というものではなく、民主主義では「国民同士の約束」であり、お上と言われる公僕(役人)は国民同士の約束を守るために仕事をする。
特に基本法は、国民同士が「こうしよう」という精神的で基本的なことを決めるのだから、それを役人(公僕)が勝手に変えたり、解釈したりはできないものである。
原子力には「自主、民主、公開」という3原則があり、それが法律の第二条に(基本方針)として明記されている。現在では「えっ!原子力は公開なの? 秘密が大切なんじゃないの?!」と驚く人が多くなったが、皮肉なことに私が人生で「なんでも公開するのは大切なことなのだな」と知ったのは原子力の会議だった。
40歳代の第一線の研究者だった時、はじめて国の原子力の委員会に出席した。委員会に行くと傍聴席やマスコミ席があって「公開」になっている。私はびっくりして「原子力が公開なんですか?」と思わず聞いた。
その時に私を紹介してくれた人が、「武田さん、原子力はすべて公開なんです」と教えてくれた。今ではこのような「創業者魂」はすっかりなくなり、官僚主導で「いかにして隠すか」ということに終始している。
日本は広島、長崎の原爆を経験し、原子力をやるなら、平和利用に限り、現実にそれを達成するために、民主的に進め、アメリカなどに影響を受けずに自主的であることを守り、さらに公開を原則とするということになった。それが「国民の約束」であり、官僚はそれを守るために私たちが税金で雇用している。
私は原子力の公開の原則を知り、現実に「なんでも公開」の世界を経験すると、それまで何かと秘密にしてきたことの多くが実は必要がないことを知った。のちに大学に移り、建築の橋本先生から「教授会の公開の原則」を学び、私の人生に大きな影響を与えた。
つまり、原子力や教授会を知らなかった私は、世間の常識に従って自分に不利なものや公開しなくても良いものは秘密にしていた。でも、現実に人間は言ったことすべてを覚えているわけではないので、いったん、隠し始めると発言するときにいちいち、「どういったかな、これは言ってよかったかな?」と考える必要を生じた。
ところが、特に個人的なこと以外はすべてそのまま言うようになって、一つは頭がすっきりして物事の整理ができるようになったこと、第二にすらすら言えるようになったという大きな進展があった。
さらにそれを続けていると、「武田さんは素直な人ね」か「正直だ」と言われるようになり、信頼感も上がってきた。何しろ秘密がないので、いつもすっきりしていて言うことがつじつまがついている。どんな複雑なことでも「自分が正しいと思っていることをそのまま言う。損得を考えない」というのだから気楽なものだ。
でも、私が「すべて公開」という原則を学んだ原子力の方は、少しずつ少しずつ公開の原則が守られなくなってきて、今から20年ほど前には、秘密だらけの原子力村になってしまった。もちろん、それが福島原発が爆発した一つの原因となっていて、原子力は自らが自らの首を絞めることになったのだった。
福島原発の事故が起こった後、科学的事実どころか、原子力の法律で決めてあることや、かつて原子力安全委員会が出した指針まで「何とか国民に知られないように」と隠す役人や専門家、はては情報を業としているマスコミまで出現するようになった。
もう一度、原子力は「民主、自主、公開」の原則に帰るべきだし、原子力の発展にはそれが一番良い。
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