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保守派の取り込み奏功 島根、脱原発条例求め9万人署名
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2014年1月17日 東京新聞:こちら特報部 俺的メモあれこれ
民意は脱原発にある。原発ゼロを掲げた民主党から自民党への政権交代も民意ではあるが、安倍政権の原発回帰には「ちょっと待て」と言いたい。中国電力島根原発(松江市)を抱える島根県では、脱原発条例の制定を求める住民団体が、県内有権者の16%に当たる9万人分の署名を集めた。福島事故後に東京都などで盛り上がった原発住民投票の動きはいずれも頓挫した。民意を政治行政にどう反映させたらいいのか。(荒井六貴、榊原崇仁)
◆「地域のエネ政策提示」に指示
「脱原発だけでなく、地域のエネルギー政策の展望を示したことが支持された。島根は保守的な土地柄だが、福島の事故で考え方も変化した」
署名を集めた住民団体「島根原発・エネルギー問題県民連絡会」事務局長で島根大名誉教授の保母武彦さん(72)は、確かな手応えを感じている。
全国で唯一県庁所在地に立地する島根原発は30キロ圏内に46万人が住む。2012年1月に2号機が定期検査で停止した。先に点検入りした1号機とともに、中国電管内の全原発が止まった。中国電は13年12月、2号機の再稼動に向けた安全審査を原子力規制委員会に申請した。
連絡会は13年10月、再稼働の動きに対抗する形で、「みどりのエネルギー条例」を県条例として制定すべく署名活動を始めた。「原発からの計画的な脱却」「地域特性に適合的な再生可能エネルギーの開発と普及」が条例の柱だ。
わずか2カ月間で集めた署名は、必要数(有権者の50分の1)の8倍近い9万2827人分(全19市町村)。現在、各自治体の選挙管理委員会で審査中だ。署名数の確定後、2月上旬にも県に提出する。有効と認められれば、知事が20日以内に議会を招集して条例制定の賛否を問うことになる。
署名活動が成功したのは、脱原発を求める県民世論のうねりもあるが、「保守系の人たちを巻き込めたことが大きい。保守派も、エネルギー浪費によるむちゃくちゃな成長を望んでいない」(保母さん)。
離島の海士(あま)町では、有権者の約40%の769人が署名した。町議会議長の上田正子さん(76)も、署名集めに奔走した一人だ。町議9人中7人は自身も含めて自民党員。上田さんは「原発は怖いという思いと、将来の振興策をからめて賛同した。党員といっても、特定秘密保護法には反対だし、党の方針にすべて賛成しているわけではない」と説明する。
原発近くの宍道湖・中海の保護運動の経験も大きい。国の淡水化事業が1963年にスタートしたが、シジミ死滅の危機感を抱いた住民や漁師が大規模な反対運動を展開した。事業は88年に凍結され、02年に中止に追い込まれた。
運動の中心にいた保母さんは「この時も、ただ反対や否定するのではなく、豊かな漁業の振興策を提示した。それで保守層にも浸透した」と振り返る。
とはいえ、脱原発条例は否決の可能性をはらむ。県議会は、自民党だけで過半数の22人を占めるからだ。16日、松江市で開いた連絡会世話人会議の席上、保母さんは「県議や知事への働き掛けを強めたい」と気を引き締めた。
◆住民投票 活用強まる
なるほど議会のハードルは高い。福島事故の後、東京都と大阪市、静岡県、新潟県では、市民グループが、原発の是非を問う住民投票条例制定を直接請求したが、いずれも議会が「国策で決めること」などの理由で否決した。島根の脱原発条例と性格は異なるものの、脱原発への議会のアレルギーは強いわけだ。
住民投票に詳しいジャーナリストの今井一氏は、議会の対応について「都の場合、東京電力の大株主であり、電力の大消費地でもある。原発は地域に関係する問題だ」と批判する。
総務省によると、条例に基づく住民投票の実施例は10年10月までの28年間で401件。多くは自治体の合併に関することだが、最近は、大型事業の是非を問うケースが続く。原発では成果が得られていないが、住民投票の流れは強まっている。
徳島市の吉野川河口堰(ぜき)の住民投票に携わった武田真一郎・成蹊大大学院教授(行政法)は「環境や財政に対する住民の意識が高まり、住民投票を求める動きが多くなってきた。議会や首長が民意を反映できず、間接民主制が機能不全に陥っている側面もある」と解説する。
例えば、JRの新駅建設をめぐる埼玉県北本市の住民投票(13年12月)。石津賢治市長が「民意」のお墨付きを得るために仕掛けたものだったが、結果は建設反対が多数を占めた。計画は撤回された。
反対派の住民団体「北本のまちづくりを考える市民の会」代表の杉田仙太郎さん(61)は「新駅建設が進まない中、市長は住民に判断を投げた」とみる。
鳥取市の市庁舎建設では12年5月、「新築移転」か、割安の「改修」かを判断する住民投票があった。議会は住民側の条例制定請求を否決したものの、「(住民の声は)無視できない」と議会作成の条例を可決した。結果は改修派の圧勝に終わったが、竹内功市長は13年11月、新築移転をあらためて表明した。
住民団体「市庁舎新築移転を問う市民の会」事務局長の浦木清さん(73)は「結果に拘束力がないと、投票の意味がなくなるが、拘束力があれば、議会が住民投票を認めない。難しい」とため息をつく。と同時に、4月の市長選で「決着をつける」と
意気込む。
住民の思いと議会のねじれ、直接民主制と間接民主制の間合い…。現実の政治行政に民意を反映させるのはなかなかに困難だ。いま最もホットな話題である都知事選も、そうした問題をはらむ。まさに原発が俎上(そじょう)に載っている。
脱原発を前面に押し出す宇都宮健児氏や細川護煕氏が立候補を表明した。安倍晋三首相は「エネルギー政策は国民みんなの課題だ」とけん制するが、原発が一大争点にせり上がったのは間違いない。
今井氏は「候補者が立場を明示するのは歓迎だが、選挙を単一の争点にするのは疑問。都政は、五輪や福祉などの課題を抱えており、総合的に判断すべきだ。むしろ、原発の反対派も賛成派も『住民投票を実施して方針を決める』と公約してほしい」と提起する。一方、武田氏は「鳥取市の件もそうだが、最後は選挙で信を問うしかない。都知事選でも、電力の最大消費地から原発政策を変えていくという主張は合理性がある」との見方を示す。
出石稔・関東学院大教授(地方自治論)は、首長や議会の自覚を促す。「住民投票に拘束力がないのは、選挙で選ばれた人が常に民意を反映させることが期待されているからだ。住民投票は伝家の宝刀で、首長や議会は、住民投票にならないように、民意を吸い上げていくことが大事だ」
[デスクメモ]
都の住民投票条例制定をめぐる動きに冷めていた。福島事故に直面してなお、「原発の是非」を問わなければならないのか。脱原発が大前提ではないか。筋の悪い話だ、と。甘かった。国のエネルギー基本計画は「原発は重要なベース電源」と言ってのけた。永田町の感覚は3・11前と何も変わっていない。(圭)
2014年1月17日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014011702000162.html
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