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関電に遠慮 物言えぬ空気 新日本原発ゼロ紀行 大飯編(福井県)
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2014年1月14日 東京新聞:こちら特報部 俺的メモあれこれ
福島第一原発事故の後、唯一再稼働を許したのが関西電力大飯原発(福井県おおい町)である。なぜ大飯だけが阻止できなかったのか。地元を歩くと、地域経済を事実上支配する関電への恐れにも近い感情が充満していた。脱原発どころか、自然エネルギーの普及を訴えるのも容易ではないのだ。(林啓太)
◆再稼働に3割反対も
2013年9月に竣工(しゅんこう)したおおい町総合運動公園の球戯場。一面に人工芝を敷いた豪華な造りだ。9億2200万円にのぼる建設費の約9割は、原発関連の交付金で賄った。
「小さな町にとって分不相応な施設。本当に使いこなしていけるのか」。大飯原発の約2キロ南で原発作業員向けの民宿を営む森下弘治さん(56)は、誰もいないグラウンドを眺めながら腕を組んだ。再稼働の直前に意を決して原発の危険性を指摘した。「オレは言いたいことは言う性分だが、町民の多くは疑問があっても口に出せない」
原発事故後に定期検査で停止した大飯原発3、4号機は、国内の全原発が停止してから約2カ月後の12年7月に相次いで再稼働した。13年9月に定期検査で再び停止した。
再稼働は福島事故の原因究明が不十分な中、民主党政権の暫定基準に基づき強行された。関電は夏の電力需給が逼迫(ひっぱく)する可能性を挙げたが、「猛暑の年の実績で過大に見積もった」との批判もあった。
当時から町民の側には「物言えば唇寒し」の雰囲気が漂っていた。
「福島の事故の原因がはっきりするまで再稼働するべきではない」。西方寺(おおい町)住職の宮崎慈空(じくう)さん(70)は12年4月に町が開いた住民説明会で、原発への疑問を初めて公言した。
説明会直後に寺で釈迦(しゃか)の誕生日の法要があった。檀家(だんか)の女性が5人ほど寄ってきて「住職さん、よく頑張った」と激励してくれた。「報道機関の世論調査でも、町民の約3割が再稼働に反対だった。若い世代にも『原発反対』と打ち明けてくれた人がいた」
ところが、政府が同年6月、福井県の同意を受けて3、4号機の再稼働を決定すると、町は再稼働一色に染まる。「説明会の発言をほめてくれた女性らも口を閉ざした」(宮崎さん)
原発頼みの雰囲気は今も変わらない。
原発に頼る町への疑問を熱心に語った自営業の男性は、記者が「実名で発言を掲載させてほしい」と頼むと、「親族や知人に原発関係で生計を立てる人がいる。どうか匿名にしてほしい」と懇願した。
「原発は危険ではないのか」。飲食店で女性店員に問うと、笑顔が消えた。「お客さんは原発の関係者。原発が動かないと、経営が成り立ちません」
◆自然エネもタブー 町長選の争点ならず
原発に疑問を持った町民はなぜ思いを貫けなかったのか。
森下さんは「われわれはアホじゃない。原発事故で地元がどうなるか、福島を見て危険性は分かっている」と町民の思いを代弁する。「危険を引き受けている以上、関電に要求するべきものは要求していかなくちゃならない。それなのに原発の恩恵の方を重く見て、過剰にブレーキをかけてしまう」
なるほど町内で脱原発を声高に叫ぶのは難しい。宮崎さんは2013年4月、バイオマス発電など新たな地域産業の創出を目指す市民団体「ooi(おおい)自然エネルギー未来塾」に参加した。原発容認派の町民も参加し、脱原発とは一線を画す活動だ。「ここでは個人の思いは封印するしかない」と諦めた。
ところが、関電に配慮するあまり自然エネルギーの普及さえもタブーになりつつある。
原発関連の仕事をする男性が宮崎さんに言った。「原発をやめて自然エネルギーに移行せなあかんな、と友達に話した。すると『そのことを言っちゃだめだ』と口止めされた」。この男性はその後、容認派に再び転向してしまった。
未来塾は、団体名から「自然エネルギー」の削除を検討中だ。自然エネルギー以外も俎上(そじょう)に載せるためだが、宮崎さんは「自然エネルギーにアレルギーを持つ町民への配慮もある」と唇をかむ。
関電は13年11月、出力500キロワットの太陽光発電所の営業運転を町内で始めた。「エネルギー源の多角化」を目的に掲げるが、宮崎さんは「自然エネルギーに力を入れているふりをしているだけだ」と切り捨てる。
「再々稼働」に向けた動きは加速するばかりだ。
現在、大飯原発は関電高浜原発(福井県高浜市)などとともに、原子力規制委員会の安全審査を受けている。大飯を視察した更田豊志(ふけたとよし)委員は9日、「大飯も高浜も、夏になっても審査をやっているということはない」と言い切った。大飯の審査が高浜より先行していることも明らかにした。規制委は月内にも、大飯原発の重要施設の直下の断層について「活断層ではない」との有識者調査団の評価書案を確定する見通しだ。西川一誠知事は7日、新年のあいさつに訪れた関電の八木誠社長に「(両原発の)再稼働が現実のものとなる」と期待感を示した。
おおい町の時岡忍町長(76)は4月1日に任期満了で退任する意向を表明済みだ。町として再々稼働を了承するかどうかは新町長が判断するものとみられるが、再々稼働の是非は、3月下旬に予定される町長選で争点になりそうにない。
立候補を表明した松宮史知町議(54)は「安全が担保されていると国が判断すれば了承する」と再々稼働に前向きだ。同じく出馬予定の中塚寛町議長(54)も「町民の多くは、原発と共存共栄していくという立場だ」と強調した。一方、町議会の中で脱原発を唯一、主張する共産党の猿橋巧町議(59)は「党として候補者を立てるかは情勢を見極め判断する」と慎重な姿勢を崩さない。「脱原発を掲げて当選する可能性は極めて低い。都市部とは違う」
大飯原発の地元民は、再々稼働を許すのか。宮崎さんは「われわれ町民は、町を変える決意を持たなければならない」と繰り返す。「原発がダメなら別の雇用を持ってこいといった受け身の態度ではダメだ。事故が起きたら福島と同様『棄民』になることを自覚しなければならない」=おわり
[デスクメモ]
福島原発事故後、民主党政権は「反原発と原発推進の二項対立を乗り越えた国民的議論を展開する」と呼び掛けた。青くさい。原発は二項対立にならざるを得ない。原子力ムラにはアクセルしかないからだ。案の定、すべての原発の再稼働をもくろんでいるではないか。対抗するには即時ゼロしかない。(圭)
2014年1月14日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014011402000133.html
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