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福島第一原発4号機の核燃料プール内の使用済み燃料。各地の原発にトラブルを抱える核燃料が存在する=昨年11月、福島県大熊町で
核燃料トラブル184体 使用済み全国で抱える
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014011402000116.html
2014年1月14日 東京新聞 朝刊
全国の原発に、表面に小さな穴が開くなどトラブルが起きた使用済み核燃料集合体(核燃料)が計百八十四体あることが、各電力会社への取材で分かった。多くは原発が導入された初期のものだが、トラブルはその後も発生しており、危険が付き物の原発の実態があらためて浮かんだ。 (清水祐樹)
ウラン燃料を包む金属製の筒は、放射能が外に漏れないよう閉じ込める重要な「壁」の一つ。そこに異常があり、事態が進めば、深刻な原子力事故につながる恐れがある。
本紙は、東京電力が福島第一原発でトラブルを抱えた核燃料が計八十三体あると明らかにしたのを受け、他の電力会社にも現状を取材し、表にまとめた。これとは別に、既に原発の外に搬出した分もあり、トラブルが起きた核燃料は二百体を超える。
福島第一原発以外では、東電柏崎刈羽原発が計三十八体と多く、関西電力大飯原発が二十四体、高浜原発が十体など。
単体の原発として最多の七十体がある福島第一1号機は、日本で四番目に古い一九七一年に営業運転を始めた。当時の技術者が残した記録によると、核燃料は「きゃしゃ」と表現され、ウラン燃料を包む金属製の筒に穴が開くなどのトラブルにしばしば見舞われていた。
開いた穴から放射性の希ガスが漏れて原子炉建屋内に広がり「放射線量が突如として高くなった」「作業員の被ばくを抑えることが重要だった」との記述も。このため東電は当時、数百億円をかけて建屋の配管の密閉性を高め、しのいだという。
その後、核燃料の改良が進み、トラブルは大幅に減ったが、それでも根絶できていない。
ずさんな扱いにより、核燃料が変形したケースもあった。柏崎刈羽では一九九〇年代半ば、多数の核燃料棒を金属製の覆いに詰めて集合体にする際、作業員が上に乗ったり、揺すったりして無理に核燃料棒を押し込んだため、冷却材が流れる内部の管が曲がった。核燃料棒同士が接触したまま運転した例もあった。核燃料が溶融する最悪の事態も起こり得た。
百八十四体のトラブルの大半について電力各社は、外部に影響する放射性物質の漏えいはないなどとして、あまり問題視していない。トラブルの多くは、使用後に核燃料プールなどに移された後に判明している。
エネルギー総合工学研究所の内藤正則部長は「現在確認されている核燃料のトラブルは、すぐに大事故につながるものではないが、作業員の被ばく管理や、取り出し作業には注意が必要だ」と話している。
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