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原発紀行・玄海編 九電と佐賀県、玄海町、癒着構造のたそがれ
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2014年1月13日 東京新聞:こちら特報部 俺的メモあれこれ
福島原発事故は各地の原発の利権構造をえぐった。九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)をめぐっても、九電と県、町との間の癒着が表面化した。それから間もなく3年。3者のもたれ合いはいまだ続いている。しかし、原発の運転停止が続く中、原発ありきの町政、県政のもろさが際立ち始めている。(小倉貞俊)
◆再稼働の先頭グループ
「町民の半数が原発関連の仕事をしている。このままでは深刻な影響が出かねない。再稼働していただけるものと信じている」
佐賀県北西部の玄海町役場で、岸本英雄町長はそう語った。九電は昨年7月、3、4号機の再稼働に向けた安全審査を原子力規制委員会に申請。両機は再稼働の“先頭グループ”に入っているとみられている。
福島原発事故の直後、町政が原発マネーに依存し切っていることが浮き彫りになった。実際、町の2013年度一般会計当初予算68億円のうち、歳入の7割近くは原発の固定資産税や交付金などが占める。
1号機の運転開始(1975年)から12年度までの交付金などの総額は310億円超。約6000人という人口規模には不釣り合いな豪華な役場庁舎や温泉施設などに使われてきた。
ただ、事故後、癒着への疑惑が膨らんだ。これらの事業を手がけてきたのが岸本町長の実弟が社長のゼネコン「岸本組」(同県唐津市)であるためだ。
町長自身も大株主の同社は町長就任の06年8月から福島原発事故までの間、原発マネー絡みの町発注工事や九電発注工事を約17億円も受注していた。「地域の雇用を担っているだけ」という町長の言葉に、住民は冷たい目を向けた。
町を歩くと実情は変わっていない。3月に完工が予定されている役場近くの町道「長倉─藤平線」の拡幅工事。わずか1.9キロ区間を50センチ拡幅するだけの事業だが、総工費は計28億円。うち15億円は核燃料サイクル交付金だ。
町は西九州道北波多インターチェンジ(唐津市)につなぎ「災害時の避難道路にする」と説明する。つなぐには唐津市側の拡幅も必要だが、「玄海町から何の打診もなく、整備の予定もない」(同市)という。
さらに昨年6月オープンの子供向け体験型施設「次世代エネルギーパークあすぴあ」。同交付金の10億円を使った計14億円の事業で、町は年間入場者数を20万人と見込んだが、開業後の5カ月間で3万人にも届いていない。年間の維持費に1億円がかかる。
「これらは原発の交付金を充てたので『もったいない』という感覚はない。でも維持管理費が想像以上で将来が不安だ。失敗ではないが、誤算だったかもしれない」(岸本町長)
町議会(定数12)でただ一人、再稼働に反対する藤浦晧(あきら)市議(76)=共産=は「各事業とも町長と親族企業がお金を使いたいだけ。維持管理費で財政の悪化は必至。町の人口は原発の運転開始から約1000人も減っており、原発に頼らない町づくりをしなければ立ち行かなくなる」と警告する。
◆もたれ合い…もろさ見えた
県と九電との関係も同様だ。11年6月に発覚した九電の「やらせメール問題」が代表例だ。古川康知事が関与した疑いが浮上したが、現在に至るも「灰色」の状態が続いている。
この問題は、福島原発事故の後、九電が定期点検中だった玄海2、3号機の運転再開を中止した際、再稼働の賛否を話し合う国主催の番組に九電が組織的に社員らに賛成メールを送らせたというものだった。
古川知事が九電幹部に「再稼働容認の立場からも意見を出してほしい」と伝えたことが問題を誘発したとされ、「世論操作」との批判が噴出。県議会からの追及に対し、知事は責任を否定し続けた。結局、昨年8月の県議会で各会派が問題の棚上げを決めた。
九電社員だった父親を持つ古川知事も、九電幹部から自身の政治団体に個人献金を受けていたことが判明し、「事実上の企業献金では」と指摘されもした。
11年度予算では原発関連の交付金を唐津市の国特別名勝「虹の松原」の整備費や、県立高校でのタブレット端末の購入費に充てたりと原発マネーへの依存を深めた。表立って再稼働を主張してこそいないが、知事が推進派であることは衆目の一致するところだ。
一方、九電は原発停止による危機感を募らせている。昨年3月期連結決算では、純損失が3324億円と過去最大の赤字に。企業・家庭向け電気料金の値上げに踏み切った。
3、4号機の再稼働申請に先立つ昨年5月には、九電のあせりがかいま見える出来事があった。同社は県内の自治体に寄付を続けているが、がん治療施設「サガハイマット」(佐賀県鳥栖市)への約40億円の寄付が停滞していた。
これについて、九電相談役の松尾新吾九州経済連合会会長(当時)が「(原発の停止で)1日10億円の赤字(が出る)。4日早く運転すれば、何ということはない。再稼働も合わせ…」と発言。「寄付を引き換えにした再稼働への圧力」という批判が相次ぎ、松尾氏は謝罪に追い込まれた。
古川知事も12月県議会で「サガハイマットへの寄付と原発の再稼働はリンクさせずに判断していく」と答弁。表向き、九電からの寄付と再稼働とは無関係であると強調している。
玄海原発の再稼働の行方はどうなるのか。専門家からは「炉心溶融を防ぐ対策が不十分」など、安全面を懸念する指摘が上がっている。昨年11月末には、玄海原発の周辺3県(佐賀、福岡、長崎)で実施した過酷事故を想定した防災訓練で、交通手段の確保や受け入れ態勢についての不備が見つかった。周辺住民には不安が広がっている。
原発の恩恵にひたっているお膝元の玄海町では、表立って反対の声を上げる町民はいない。だが、本心はどうか。市民団体「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」は昨年2月までの1年間、メンバーがチラシを手に町内の全2000世帯を直接訪問。留守や門前払いを除き、約800世帯に原発の危険性を説明したという。
同会の石丸初美代表は「会ってくれたうちの9割の住民は『原発はないにこしたことがない』『事故が不安だ』と本音を明かしてくれた。潜在的な抵抗感は強いと確信した」と話す。
福島原発事故後、原発の稼働抜きには立ち行かないという県政や町政のもろさが可視化された。現状維持か、それとも変革か。石丸代表はこう考える。「もろさは癒着構造と一体だ。危険な未来のみならず、汚れた関係を断ち切るためにも再稼働は許されない」
[デスクメモ]
正月に訪ねたカイロの空港でのこと。目の不自由な人が待合室に来た。肌の色も言葉も違う人びとが譲り合って席を空けた。容易に越えられない壁は前提だ。それでも人は倫理でつながろうとする。日本も昔はそうだった。変革を拒む理由はいくらでも。でも挑みは人を明るくする。こわばった心を緩めたい。(牧)
2014年1月13日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014011302000138.html
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