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「原子爆弾は、核分裂しやすいウラン235(またはプルトニウム239)の割合を100%近くまで濃縮し、瞬時に核分裂連鎖反応を引き起こして大量のエネルギーを一気に発生させます。一方、原子力発電ではウラン235が3〜5%しか含まれていない燃料を使い、3〜4年かけて核分裂させて、少しずつエネルギーを取り出していきます。この燃料は、一気に核分裂させようとしても、ウラン235と一緒に含まれる核分裂しにくいウラン238が中性子を吸収するため、核分裂連鎖反応の増大を抑えています。したがって、原子爆弾のように爆発する心配はありません。
また、プルサーマルで使用するMOX燃料には、プルトニウムが含まれていますが、核分裂しやすいプルトニウムは4〜9%しか含まれていないため、こちらも爆発する心配はありません。」
「原子力を考える」から
http://www.geocities.jp/atom2314/sikumi/gennsibakudan.html
原子炉と核爆弾の違い
原子炉といえば、すぐに核爆弾と結びつけて、危険なものと考える人がいる。ことにわが国は、第二次大戦の際、広島と長崎に核爆弾が投下され、その威力の恐ろしさや被害の悲惨なことを身にしみて感じている世界で唯一の国であるから、国民が原子力に対して警戒心をもつのは当然である。また、原子力に対しては、これを軍事に利用することを極力回避しなければならないことはいうに及ばないが、平和利用においても安全確保には十分な配慮をしなければならない。
したがって原子力開発は極めて慎重に行われなければならないが、国民もこれをよく見守っていかなければならない。それには平和利用を目的とした原子炉と、軍事目的の核爆弾との違いを知っておくことも必要である。
核爆弾のうち、ウランやプルトニウムを使った爆弾は、核分裂の連鎖反応を使ったものである。また水素爆弾は水素原子核の核融合反応を使ったもの。原子力発電もウランやプルトニウムの核分裂連鎖反応を利用している。また、将来、核融合反応を利用する炉も実用になると思われる。このように爆弾も原子炉も原子核反応を使うことにおいては同じであるが、いうまでもなく核兵器は爆発による大量殺傷破壊が目的であるのに対して、原子炉のほうは原子核反応によって放出されるエネルギーを制御しながら少しずつ長時間にわたって取り出して、これに仕事をさせようとするものであって、全部のエネルギーを瞬時に出させてしまう核爆発は起こさないしくみになっている。
核爆弾がどんな構造になっているかは、軍事機密によって細かいことはわからないが、おおよそのしくみはわかっている。
まず、核爆弾にウランを使う場合は、ウラン-235を100%近くに濃縮したものである。天然のウランのなかにはウラン-235は0.7%しか含まれていない。この天然ウランをそのまま燃料に使う型の発電炉もあるし、また軽水炉ではウラン-235を3%ぐらいに濃縮して使っているが、爆弾の場合はウラン-235を純粋に近くするから、その点でも大きな違いがある。というのは、ウラン-235を純粋に近くまで濃縮するということは高度な技術と膨大な設備とエネルギーを必要とする。
ただし、プルトニウムで爆弾をつくる場合はウラン爆弾の製造ほど面倒ではない。それだけにプルトニウムの保管管理にはより厳重な注意が必要だ。
これら純粋のウラン-235またはプルトニウム-239を図のように2つ以上のかたまりに分けておき、それぞれのかたまりは臨界質量以下にしておく。それらのかたまりを火薬の力で急激にぶつけ合うと、連鎖反応を起こし爆発する。
http://www.geocities.jp/atom2314/img2/kakubakudan.gif
数キログラム(kg)のウラン-235の中にある原子の数は、約1025個(10兆個の1兆倍)である。1個の原子核が核分裂を起こして放出する中性子の数は、平均約2.5個であるが、計算を簡単にするために、もし中性子2個ずつが次の原子核に当って核分裂の連鎖反応を起こすと仮定すれば、核分裂する原子核の数は2倍、4倍、8倍、16倍……と増加していき、84回目には1025個の原子核が全部分裂してしまうことになる。核分裂によって飛び出したスピードの速い中性子が、次の原子核に当って核分裂を起こすまでの時間は1,000万分の1秒ぐらいなので、84回くり返すとしても10万分の1秒もかからない。したがって、ウラン235の核爆弾の2つのかたまりが、火薬の力でぶつかり合って1つになったとき、中性子が飛んでくれば10万分の1秒以下で全部の原子核が核分裂してしまい、同じ量の良質の石炭(約6,700cal/g)の約300万倍のエネルギーが放出される計算になる。
しかし、実際は核分裂がはじまると、大量の熱によって温度や圧力が急に上り、まだ核分裂していない残りのウラン-235を吹き飛ばしてしまうので、不完全な爆発に終る。そこでこれを外からおさえつけて10万分の1秒間もちこたえる工夫をしなければ、全部の核分裂は起こらない。そのために外側から、よほどの力でおさえこむことが必要となる。以上が核爆弾の基本的な構造である。
これに対して原子炉の場合は、核分裂が進みすぎて中性子の数が増えすぎるようなことが起これば、自動的に制御棒(安全棒)が炉心に深く入り込んで中性子を吸収し、連鎖反応をおさえてしまう。したがって原子炉では核分裂を起こす中性子がねずみ算式に増える状態にはならない。これが核爆弾と原子炉の大きな違いの第1である。
さらに第2の相違点として、原子炉の場合は核分裂によって飛び出した中性子が次の核分裂を起こすまでの時間が核爆弾の場合よりも長いことがあげられる。核爆弾では速い中性子で核分裂を起こさせるので、1回の核分裂が1,000万分の1秒という短い時間の間隔で起こすが、原子炉の場合は減速材を使って遅い中性子にして核分裂連鎖反応を起こさせるので、1万分の1秒ぐらいになる。その上、この場合は核分裂で発生する中性子のうち、99.3%は即座に飛び出してくるが、あとの0.7%は飛び出し方が遅くて、平均12秒たってから出てくる。これを遅発中性子といい、実はこれがあるために原子炉は安全に制御できる。
この遅れて出てくる中性子のために、次の核分裂を起こすまでの時間がゆっくりとなる。たとえば、原子炉の熱出力を10倍にしょうとするときに、それまでは毎回の核分裂ごとに平均1個の中性子が次の核分裂に使われていたのを、かりに平均1.003個ぐらいに上げたとする。このとき次の核分裂までの時間は約1/20秒に相当すると考えてよい。そして、毎回の核分裂ごとに中性子の数が1.003倍になるので、これを約770回くり返すと10倍になる。それには約40秒かかる。もし、遅れて出てくる中性子がないと、出力を10倍にするのに1/10秒ぐらいしかかからないので、制御が非常にやりにくくなる。
ところで、この中性子の数が平均1.007個以上になると、この遅発中性子の働きがきかなくなる。そのため原子炉では出力を上げるときには、1回の核分裂による中性子の数が1.007個以上になるような制御棒の引き抜き方は決してできないしくみになっている。
遅発中性子があることは非常に都合がよいことである。もしこの現象がなかったら、人類史に核爆弾はできても原子炉は登場しなかったかも知れない。このように、原子炉と核爆弾はいろいろの点で違っているので、発電用の原子炉では核爆発を起こさせることはできない。
http://www.geocities.jp/atom2314/img2/kakubunretubakudan.gif
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