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農と島のありんくりんから
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-d742.html
中国は意外に思われるかもしれませんが、地震多発国です。
中国人当人もどうもそう思っているようで、事実、写真で見る上海の高架都市高速道路を支える橋脚の細さは、首都高や阪神高速道路を知っている私たちには、おいおいこんなので大丈夫なんかね、というほど細いものです。
まぁ、逆に我が国が異常に丈夫(ただしメンテをケチったのでガタガタですが)だとはいえるわけですが、少なくとも唐山大地震や四川大地震で数十万人が死んだ国とは思えないほど耐震構造には気を配っていないのは確かです。
しかし、あいにく中国は世界的にも地震多発国であることは地震学的に裏付けられています。
「中国の地震防災の現状と展望」(何永年)によれば、
「中国の国土面積は、全世界陸地の14分の1にすぎないが、一方、陸上地震の発生数では全世界の直下型地震件数の3分の1が中国国内で発生している。」(同)
また「中国各地の広範な省、直轄市でM5 以上の地震が発生しており、国土の41%、都市の50%、人口100万人以上の中・大都市の70%で震度7の地震が発生している。」(同)
そして直下型が多いのも特徴です。
何氏によれば、中国の主要工業都市における地震発生は
・M8.0以上の巨大地震は10〜15年に1回
・M7.0〜7.9の大地震は3年に2回
・M6.0〜6.9の地震は1年に2回
というふうに多発しており、内陸部ではM8.5クラスの大規模地震が起きています。これは2度に渡った最近の四川大地震をみれば理解できます。
また中朝露の国境付近では直下型地震が起きているようです。唐山大地震などがこれにあたります。
「中国自然災害系統地図集」によれば過去の地震はこのような分布をしています。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/images/2013/06/03/photo_3.jpg
(図1 過去のM5から6の地震分布)
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/images/2013/06/03/photo_8.jpg
(図2 過去のM6から7の地震分布)
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/images/2013/06/03/photo_9.jpg
(図3 過去のM7から9の地震分布)
この地震マップに現在の原発所在地マップを重ねてみます。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/images/2013/06/03/hedianzhanfenbu.jpg
(図4 参照インサイトチャイナより引用)
もうあまり私のほうから説明する必要はないと思います。
中国の原発はM5〜6地帯に特に多く集中し、昨日触れた紅沿河原発などはM7から9地帯に立地しています。
たとえば、紅沿河原発近くの唐山市では、1976年に直下型の大地震が起き、 死者24万人を出した唐山大地震があった地域で、中国当局の発表は例によってありませんが、紅沿河原発直下には大きな活断層があるはずです。
地震学上では、渤海湾周辺には中国で最も地震を引き起こしやすいとされる2つの地震帯があるのはよく知られていることで、 今までもたびたび大地震が発生した「地震の巣」です。
こともあろうにその真上に建設しているのが紅沿河原発で、07年に1号機の建設が始まり、現在4号機まで着工済みです。
また、山東省は栄成原発、乳山原発、海陽原発と三カ所の原発がわずか三百キロの沿岸部に展開しています。
既存の大亜湾、嶺澳の両原発に加え、建設中の陽江、台山などでも建設中、計画中を合わせて山東省だけで六カ所もの原発が集中しています。
福島第1原発事故の教訓では、沿海部の原発は津波への備えは必須なはずです。
防潮堤の設置も、外部交流電源全喪失時の非常用電源の確保など、我が国規制委員会の基準も中国は知っているはずですが、やっているという話はついぞ聞きません。こういうことこそ無条件で模倣してほしいのですが。
あるいは、地震から原子炉建屋を守る免震構造や重要免震棟なども持っているとは到底かんがえられない以上、非常に危険な薄皮一枚の上にあるのが中国原発群なのです。
福岡−上海間の距離は890キロしかなく、チェルノブイリでは約600キロ超の距離を放射性物質は飛びました。ましてわが国は中国から年間を通しての偏西風の風下にあたっています。
「ところが紅沿河原発をはじめ中国の原発について情報開示はほとんど行われておらず、震災・津波対策の実態も定かでない。 こうした実態を把握するために、原子力産業協会は毎年、世界の原発に安全対策や稼働率を尋ねるアンケートを配布しているが、中国からの返答は皆無という。
安全対策の実態解明は全く進んでいない、と同協会の担当者はこぼす。」(産経新聞2013年3月14日)
今後10年で世界中の原発の総数に等しい原発が燐国に雨後の竹の子のように林立し、うち100基近くは北部九州の東1000キロ前後にあることになります。まさに悪夢です。
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※地震発生多発地域としては、
◆遼寧半島から渤海湾を経て、山東省、安徽省に至るライン
◆河北省、河南省、山西省一帯
◆陜西省から、四川省、重慶市、貴州省、雲南省に至るライン
◆雲南省南西部
◆甘粛省
◆新疆ウイグル自治区北西部
◆新疆ウイグル自治区中央から西に伸びるライン
◆チベット自治区中部を東西に横切るライン
◆チベット自治区とネパールなどの国境地帯
主要な過去の地震と現代の地震について欄外に載せておきます。
※20世紀に中国で発生した主な地震
(Mはマグニチュード)
●海原地震(1920年12月16日/M8.5/死者約24万人)
甘粛省南部の海原県(現在は寧夏回族自治区)で発生。
●古浪地震(1927年5月23日/M8/死者約4万人)
甘粛省の古浪県で発生。海原地震と同様、山崩れ。
●昌馬地震(1932年12月25日/M7.6/死者約7万人)
甘粛省の昌馬堡で発生。近隣都市の酒泉に大きな被害をもたらした。
●畳渓地震(1933年8月25日/M7.5/死者2万人以上)
四川省の四川県茂県畳溪鎮で発生。茂県地震とも呼ばれる。震源は2008年5月12日の地震に近い。
●察隅地震(1950年8月15日/M8.5/死者4000人)
ヒマラヤ山脈一帯のチベットのザユル(察隅)で発生。
●〓台地震(1966年3月8日、22日/M6.8、M7.2/死者計8064人)(〓は「形」のへん部分におおざと)
河北省の〓台地区で発生。中華人民居和国成立以後、人口密集地帯で発生した初めての大地震。同省・隆堯県で発生した地震の2週間後、規模が更に大きい地震が近隣の寧普県で発生して被害が拡大した。
●通海地震(1970年1月5日/M7.7/死者1万5621人)
雲南省・通海県で発生。当時の中国は文化大革命期で、重大な事件については極端「秘密主義」を取る場合も多かった。新華社は地震発生後4日目になって報道したが、被災状況などは伏せられた。
●海城地震(1975年2月4日/M7.3/死者1328人)
遼寧省の海城市で発生。中国国家地震局に「ネズミの大群が走り回っている」、「ニワトリが群れで飛んだ」、「井戸から水があふれ出た」など、地殻の異常を示す情報が次々と寄せられたことなどで、同局は地震発生が近いと判断。住民を緊急避難させていたため、被害が最小限に抑えられたという。
●唐山地震(1976年7月28日/M7.8/死者24.2万人)
河北省唐山市で発生。地震規模が大きい上、いわゆる直下型地震であったため、甚大な被害が出た。唐山市は石炭産業も発達し、中国有数の工業都市として人口100万人を有していたが、地震によって壊滅状態となった。中国は「自力更生の精神で困難を克服する」として、外国の救援を固辞した。
●瀾滄・耿馬地震(1988年11月6日/M7.6、M7.2/死者743人)
1回目の地震は雲南省臨滄市瀾滄ワー族自治県を中心に午後9時3分、2回目は約120キロメートル離れた同市耿馬タイ族ワー族自治県で13分後の午後9時16分に発生した。
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