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『福島・生きものの記録』「(1)被曝」から「(2)異変」へ 成川順(JanJanBlog) 
http://www.asyura2.com/13/genpatu35/msg/451.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 12 月 25 日 19:11:00: igsppGRN/E9PQ
 

『福島・生きものの記録』「(1)被曝」から「(2)異変」へ
http://www.janjanblog.com/archives/106245
2013年 12月 25日 18:28 成川順


映像作家の岩崎雅典監督が、福島原発事故後の「動物たちの変化」を記録に収めている。これは、今後の地球環境を考える上での巨大なテーマであろう。予告通り、「(1)被曝」が今年完成し、昨年私がその予告記事を書いていた関係で、岩崎監督自身が、忘れずDVDを送ってくださった。

http://www.janjanblog.com/archives/84572

今回の作品でも2つの映画賞を受賞した岩崎さんはすでに70歳を過ぎている。このテーマは長期戦になることが予想されるので、ぜひ完成させてほしいと願っている。マスコミがなぜか、この貴重なドキュメンタリー映画を取り上げてくれないので、上映には苦戦しているようだ。現在は、来年完成予定の「(2)異変」の取材・撮影にとりかかっているという。そこでは、今回の「被曝」より劇的な映像が見られることだろう。放射能の影響がより顕在化してくるはずだからである。

http://www.janjanblog.com/wp-content/uploads/2013/12/f5bd352a0bf379f4b3261c9ae62e4fe1.jpg

(放射能汚染の拡散)

私は、「グリーン市民ネットワーク高知」という反原発団体に設立時から所属している。そこでは、現在、有志がお金を出し合って、高知県産の食品の放射能検査を測定所に依頼しているが、2013年12月、土佐沖で獲れたカツオと大豊町のシカ肉から微量ながらセシウム137が検出された。高知市は福島第1原発から約800km離れているのだが、高知県ですら海も山も福島原発事故の放射能と無関係ではないのである。1986年のチェルノブイリ原発事故では、8000km離れていたにもかかわらず、やはり放射能は日本に飛来してきたのである。

福島第1原発周辺の放射能汚染はいかばかりであろうか。映画の中で、岩崎さんたちは、年間60ミリシーベルト(国際的な許容量の60倍)というような場所まで入り込んで、撮影していた。映像を見ていると、警戒区域のツバメやウシの中には、部分的に白化現象が起こっていたし、モグラの体毛には、体表の3分の1くらいが変色しているように見えた。第1世代にすでに異常が現れているのである。放射能はDNAを傷つけるが、第2世代以降はどうなっていくのであろうか。

放射能汚染地帯の故に、人間が居住を放棄した場所がある。そこには、見捨てられた家畜やペットが今も生存している。人間がいないので、野生動物たちも山野から人里に移り住んできている。チェルノブイリの場合と同じである。放射能は、無色無味無臭なので、危険が実感を持って迫ってくるわけではない。そこに住み、そこの食物を食べ続けると、やがて命にかかわる危険があることがわからない。人間にもよくわからない人が多いのだから、動物にはまったく分からない。野生動物たちには、人間の気配がないこと、食べ物があることが重要なのである。放射能汚染地帯は、期せずして、被曝の実験場になっている。

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(楽観は許されない)

私は、「NPO土佐の森・救援隊」という自伐林業(小規模林業)を全国に広げようとしている団体に所属しているが、大豊町のシカ肉からセシウムが検出され、山での間伐が少し不安になっている。震災後、東北地方に自伐林業の指導に行っている仲間に、「東北の山の放射能は大丈夫か?」と聞くと、神経質なことを言うな、というような顔をされた。また、「放射能とは、今後200年付き合っていかなければならないのだから、……」というような答えが返ってきた。

私は、これまで、多くの科学者や医師の話を聞いたり、本を読んだりして、放射性廃棄物、原発事故、放射能関連の記事(JanJanに11本、JanJanBlogに40本)を書いてきたが、放射能に楽観的に対処すると命にかかわる、という結論に至っている。放射能に対しては怖れすぎる、ということはない。『福島・生きものの記録』は、時間の経過とともに、そのことを明らかにしてくれることになるだろう。

http://www.janjanblog.com/wp-content/uploads/2013/12/bee16537d0799c256e6b0a6f83d004e7.jpg

(心優しき日本人?)

原発から6.5キロメートルの地点で、見捨てられた家畜やペットの世話を淡々とこなす松村直登さんがいる。また、国の「殺処分」命令に抗して、ウシの世話をし続ける吉沢正巳さんたちがいる。動物たちが生き続け、子孫を残し、世代が交代していく中で、研究者や岩崎さんたちの仕事もより意義深いものとなるのだろう。

76分の映像には、動物のこと以外の情報も流れている。原発事故当時、浪江町のエム牧場を、県警の通信班が基地にしていたが、原発事故の発生を知らされ、本部から撤退命令が来た。その時、撤退する警察官がこう言ったという。「牧場の皆さんもここにいないほうがいいよ」しかし、浪江町の住民には、国からも、県からも、東電からも一切の情報がなく、避難命令が出されることはなかった。町長の独自の判断で、浪江町の住民は避難を始めたのだ。

(現代の探検)

岩崎さんは、早稲田大学探検部のOB会長を長く務めた人である。放射能ドキュメンタリーの鎌仲ひとみさんは学生時代、岩崎さんの『最後の丸木舟』を観て、映像作家になる意志を固めたのだという。鎌仲さんは、早稲田大学探検部のOGである。岩崎雅典監督は、鎌仲ひとみ監督の大先輩なのである。世間では、探検部というと「秘境探検」をイメージされるかもしれないが、こういう仕事こそが、「現代の探検」なのだろう。

福島原発事故は、チェルノブイリ原発事故と同じ「レベル7」である。人類がこれまでに経験した最悪の原発事故なのである。今現在も、1時間当たり1000万ベクレルの放射能を放出している。原発事故は、コントロールなどされていない。今後、福島の人と動物たちはどうなっていくのだろうか?

http://www.janjanblog.com/wp-content/uploads/2013/12/083cc8e221f342963a02775529dfbc6e.jpg


成川順記者のプロフィール
〇 フォト・エッセイスト
〇 2007年5月から2012年12月末までに合計すると315本の記事をここに書きました。元JanJan契約記者。記事のテーマは「自然生態系の保全」「脱原発」「反戦平和」「人権問題」「歴史再発見」など多岐にわたっています。
〇 カテゴリーの「高知」をクリックすると、JanJanBlog(2010・5・1以降)の私の過去記事一覧が出てきます。関心のあるテーマがあれば、一読ください。
☆ ホームページ : http://www.kcb-net.ne.jp/narijun/ 


             ◇

「福島 生きものの記録」予告:「Fukushima:Record of a Living Being
http://www.youtube.com/watch?v=rZdJGincl1c


 

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コメント
 
01. 2013年12月25日 20:53:20 : bJMT2Arnjc
法律の美名のもとに弾圧されないようにフォローして
いかないと政権の闇に葬られるのではないかと危惧される。

02. 2013年12月25日 21:23:59 : p4TlRONmCI

 小動物は 放射能の影響を 人間の何十倍 何百倍受けるのだが

 すぐに 死んでしまうわけで 生き残った正常な個体が

 猛烈なスピードで 増えるので 外見上は 被害を受けていないように

 見えるわけで

 ===

 結局 放射能の被害を証明する物としては 適当ではない
 


03. 2013年12月26日 00:29:27 : ShifDN0kf6
>放射能はDNAを傷つけるが、第2世代以降はどうなっていくのであろうか。

放射能はDNAを傷つけっぱなしにするので、広島長崎などというところはもう、とてつもない奇形児地帯であることは言うまでもない。

[12削除理由]:意味なし

04. 不乱坊 2013年12月26日 05:17:01 : kbTBOGSw0930o : 9zW7MoX7pk
>放射能は、無色無味無臭なので、危険が実感を持って迫ってくるわけではない。
問題はここなのだ。手にとって触れるわけでもないし、迫り来る音が聞こえもしない。
五感で感得できないから、実感がわかない。
>人間にもよくわからない人が多いのだから、動物にはまったく分からない。
武田教授は、学んだ知識で「補正」するんだと書いていたと思う。
太陽が地球の周りを回るんじゃなく、地球が太陽の周りを回るんだ。
それと同じように理解しないと、人間以外の生き物にも迷惑なんだ。


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