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電力会社は14基の原発が新たな規制基準を満たしていると主張して、原子力規制委員会に再稼働を申請している。安倍政権も再稼働に前向きだ。
その一方で、自治体の避難計画づくりは、思うように進んでいないという現実がある。
再稼働するなら、万一の事故に備えて避難計画を準備しておくことが最低限必要だ。安全装置をどう手厚くしても、想定を超える出来事は常に起こりえる。それが、福島の事故が示した手痛い教訓である。
■頭抱える自治体
ところが、計画づくりを任された自治体は、事の難しさにどこも頭を抱えているのだ。
福島の事故後、国は被害の大きさにてらし、防災計画を準備しておくべき自治体の範囲を、それまでの8〜10キロ圏から30キロ圏に拡大した。対象となる市町村は45から135へと急増し、経験したことのない大がかりな避難計画づくりを迫られた。
原発災害は、自然災害とは全く違う。放射線は目に見えないので、住民自ら危険を判断することができない。そして、被害は極めて広範囲に及ぶ。
自治体の悲鳴に応え、全閣僚でつくる原子力防災会議はこの秋、各省庁に計画づくりをバックアップするよう指示したが、それでも一筋縄ではいかない多くの困難が横たわる。
目に見えぬ敵を相手にするには、正確で迅速な情報が欠かせない。だが福島の事故では、パニックを恐れた政府が現実を正確に伝えない表現を多用した結果、放射線被曝(ひばく)の危険性が住民に伝わらず、無用な被曝を生んだ。正しい情報の冷静な発信だけでも実現は容易ではない。
避難路の確保も難題だ。過疎地に立地する原発の周辺は、逃げるための道路が限られている。何万台もの車が集中すれば大渋滞が起きる。地震や津波と原発事故が重なる複合災害となれば、道路そのものも寸断されよう。命綱となる自家用車が使えない人も続出するだろう。
まして入院患者など、容易に動かせない人をどこへどう避難させるのか。福島では、避難の過程で病が悪化したり死亡したりする悲劇が相次いだ。
加えて、それぞれの原発が固有の地理的な事情を抱える。
■安全度外視の立地
再稼働に向けた準備を進める愛媛県の伊方原発は、日本一細長い佐田岬半島の根元に立つ。事故となれば半島の先に住む5千人は孤立の危機に陥る。船での避難も想定するが、津波の危険もあり実効性は心もとない。
首都圏に最も近い茨城県の東海第二原発は、30キロ圏内に98万人の昼間人口を抱える。県の試算では、5キロ圏内の9割の住民が圏外に出るだけで15時間、常磐道が通行止めになれば倍以上かかる。
全国最多の14基の原発が集中する福井県は、1基が事故を起こして大量の放射性物質をまき散らせば、周囲の原発にも作業員が近づけなくなり、事故が連鎖する複合リスクを抱える。
自治体の苦悩から見えるのは、原発の多くを本来は建ててはいけない場所に建ててしまったという根本的な問題だ。
64年にできた原発の立地審査指針では、原子炉から「ある距離の範囲内は非居住区域であること」が条件となっている。
だが、福島の事故後に国会事故調で参考人に立った班目春樹原子力安全委員長(当時)は、指針は原発を建てられるように作られたとの認識を示した。
事実、極めて甘い事故想定のもとで「ある距離の範囲」が計算され、住民の避難が困難な場所でも建設されてきた。安全神話にもたれかかる形で、産業衰退に悩む過疎地に集中的に建てられてきたのだ。
■もう忘れたのか
アメリカでは、実効性のある避難計画がなければ原発を動かすことはできない。ところが日本の場合、新たな規制基準でさえ、避難計画を原発運転の必要条件にしていない。計画の作成は自治体に委ね、責任を持って実効性をチェックする国の機関もない。
安全神話が崩れた今、避難計画が立てられない原発については、すみやかに廃炉の決断をするのが筋だろう。
自治体によっては、地元経済への配慮から再稼働に期待せざるをえない事情もある。甘い計画しか立てぬまま再稼働を認める首長も出てこよう。首長のさじ加減で住民の安全が左右され、緊急時の安全確保が各地バラバラなまま再稼働へと突き進むのか。安全ネットを張らないまま空中ブランコをするようなものではないか。
「原発がなければ電気代が上がる」「日本経済に悪影響を与える」――そう主張する人たちも、住民の安全を棚上げにしたまま、再稼働を急ぐべきだとは思わないだろう。世界の原発では、30年余のあいだに5基でメルトダウンが起きている。人の力を過信して、安全神話を再稼働させてはならない。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
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