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福島第1原発でタンク設置工事に従事した状況を語る上地剛立さん=沖縄県うるま市で、前谷宏撮影
<福島原発>汚染水タンク 期日優先ずさん工事 作業員証言
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131223-00000012-mai-soci
毎日新聞 12月23日(月)9時7分配信
◇「さび止め不十分、基礎でこぼこ。また漏れる」
8月に東京電力福島第1原子力発電所の地上タンクで大量の汚染水漏れが見つかった問題で、タンクの設置作業に携わった沖縄県うるま市の上地剛立さん(48)が毎日新聞の取材に応じ「現場はとにかく『早く、早く』という雰囲気だった。タンクのさび止めは不十分でコンクリートの基礎もでこぼこだった」などと証言した。東電や元請けの大成建設は施工不良を否定するが、上地さんは「作業環境や労働条件を改善しないと、また汚染水漏れが起こるのでは」と警告している。
上地さんは沖縄県で求人広告に応募し、大成建設の孫請け業者の作業員として昨年6〜12月に派遣された。現地では、汚染水漏れが起きたH4エリアの隣のH3エリアなどで、水漏れしたのと同じ「フランジ型」と呼ばれるタンクの組み立てやコンクリートの基礎を打つ作業に従事した。
フランジ型は鋼材に樹脂製の止水材を塗りながらボルトで組み上げていく簡易タイプ。上地さんによると、鋼材の接合部にさびが発生すると止水材がはがれて水漏れの原因になるため、さび止め処理をする。だが、さびを落とさないまま組み立てる作業員がいたり、雨や雪の中で塗ったさび止めが溶け出したりした。ボルトや接合部の油分の拭き取りが不十分で、止水材が密着しなかった可能性もあるという。
また、基礎のコンクリートを打つ際、表面を平らにするため通常は大型の定規を使うのに、現場では小型のコテでならすだけで凹凸ができることが多かった。その上にタンクを組み上げると、土台の足元に指が入るくらいの隙間(すきま)ができた。コンクリートを扱った経験もある上地さんは現場の班長に問題を指摘したが、「どうせ上は聞いてくれないから」と取り合ってもらえなかったという。
汚染水漏れの原因を巡り、東電は今年10月、原子力規制委員会に「気温変化による接合部の熱膨張や収縮、水圧などにより止水材が徐々に落下したため」と報告している。
毎日新聞は▽タンクの止水処理は十分だったか▽さび止めの施工が不良だったのではないか−−など12項目について東電と大成建設に文書で質問。東電は「事前に水張りをして漏えいがないか確認している」(広報部)、大成建設は「施工および施工管理については適正に行っている」(広報室)と答えたが、各項目に対する回答はなかった。
上地さんは「工期が最優先され、さび止めをきちんとやろうとすると『そこはもう終わっているだろう』と言われた。周りの作業員は詳しいやり方を教えられず、見よう見まねで慣れない作業をしていた」と話している。【前谷宏】
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