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検証前に原発影響否定 骨抜きにされた福島県の県民健康調査改革
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2013年12月16日 東京新聞:こちら特報部 :俺的メモあれこれ
秘密会の開催などで、県民の不信が募りに募った福島県の県民健康管理調査。専門家がつくる検討委員会の委員を入れ替え、体制刷新を図ったが、雲行きが怪しくなっている。福島原発事故の健康への影響を客観的に議論するはずだった甲状腺検査評価部会が骨抜きにされているようなのだ。事故の影響はないという「結論ありき」が透ける。不信を拭い去るにはほど遠い現実が横たわっている。(榊原崇仁)
◆体制刷新も結局骨抜き
「いま話に上がっているがんは、原発事故から1、2年という段階なので、放射線の影響で出てきたがんではない」
部会を代表して会見した甲状腺検査評価部会の副部会長を務める山梨大の加藤良平教授(人体病理学)はこう話した。
この部会は県民健康管理調査の検討委員会の下部組織で、初会合は先月27日に開かれた。検討委のメンバー5人に加え、加藤氏ら外部有識者4人が委員となった。
「現段階での原発事故の影響」を検証するはずの部会だが、初会合後の記者会見で、既に結論めいた言葉が出たため、会場は一気にしらけた。
この部会の設置が提案されたのは6月の検討委だった。議論を事前に打ち合わせる秘密会が暴露され、委員が大幅に入れ替わった時期だっただけに期待が膨らんだ。
提案者は日本学術会議副会長の春日文子委員。検査結果を専門的な部会で審議するよう求めた。新たに検討委の座長に就いた県医師会の星北斗常任理事も8月、「検査結果は第三者、複数の専門家により検討する」 「統計的な結果のみならず、個別症例も検証する」と部会の役割を示した座長案を提出した。
星氏はさらに「現段階で事故の影響なし」と繰り返してきた調査主体の県立医科大に対し、「見つかったがんが本当にがんかを含めて確認する」 「医大を訪れてどんなデータのやり取りをしているのか見たい」と言明。県医大側の責任者である鈴木真一教授に「まな板の上に載ってもらうしかない」と宣言した。
だが、その後、そうした勢いに陰りが見えてくる。初会合前に公表された部会設置を定めた県の要綱には座長案にあった「第三者的な検討」 「個別症例の検証」という趣旨の言葉が消えていた。代わりに部会で扱う事項には「検査結果の検証、評価」 「検査の実施に必要な事項」という抽象的な表現が記された。
さらに初会合では春日氏ら3人が欠席し、部会長の日本甲状腺外科学会の清水一雄前理事長も所用で途中退席。決まったことは、次回開催の時期ぐらいだった。
その時期についても、春日氏がそれまで「開催頻度を多く」と求めていたにもかかわらず、副部会長の加藤氏が「関係資料は膨大。精査が必要」という理由で、来年3月の開催を主張。この案が通ってしまった。
記者会見で、星氏は「(部会の役割や日程は)私が一方的に決めるわけではない」と釈明。加藤氏は部会の役割について再三問われたが「しっかりした方々がいろいろなことにコメントする」と述べるにとどまった。
◆結論ありきの制度設計
改革は失敗したという空気が漂っている。実はこの制度をもう一回精査してみると、制度自体に結論が刻まれている。
それは検査の区分けに如実に表れている。甲状腺検査は時期に応じ、2つに分かれる。スタート時の2011年10月から来年3月までが「先行検査」、それ以降は「本格検査」とされている。
この2つはどう違うのか。県医大の鈴木氏によれば、「チェルノブイリ事故では、事故の影響で甲状腺がんが出たのは事故発生の4年後」という知見を元に、先行検査で事故前からあるがんを洗い出し、本格検査で事故による被ばくの影響でがんができたかを調べるという制度設計にしているのだという。
つまり、「今見つかるがんは事故前からあるもの」という結論を前提にして、先行検査は進められている。ちなみにチェルノブイリの知見なるものには、多くの異議が指摘されている。
実際、部会の初会合で副部会長の加藤氏は「県民は今やっている検査の意味が分かってない。理解してもらう場がないといけない」と述べた。
この発言に対し、「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク」副代表の福田健治弁護士は「『県民は無知』という前提に立った発言。県民はそこまでバカじゃない。県側の意図が理解されないのは、結論ありきの姿勢が見え見えだからだ」と強く反発している。
秘密会の存在が昨年10月に暴露されて後、検討委は座長だった県立医科大の山下俊一副学長ら4委員の退任など、態勢の刷新を図った。しかし、こうした現状を見てみると、改革をどれだけ本気で推し進めようとしたのか、疑わしくなる。
こんな経緯がある。秘密会が表沙汰になった直後、県は検討委の委員に弁護士を推薦してもらうため、県弁護士会に協力を要請した。ただ、弁護士を頼りにしたのは公正中立な観点から検討委の改革を進めるためではなく、「検査では個人情報を多く扱うので、管理のための助言がほしい」という名目だった。
県の本気度を疑った弁護士会は要請を断る一方、放射線の影響を懸念する専門家を検討委に入れるなどの抜本的な改革案を文書にまとめ、昨年末に県側へ提出した。
今年に入って検討委の委員が入れ替わった際、「原発マネー」を追及してきた福島大の清水修二教授(財政学)らが委員に加わった。だが、弁護士会に協力要請が来ることはなかったという。
県弁護士会の小池達哉会長は「非常に残念な思いをしている。『抜本改革に向けて、強い圧力をかける存在』と受け取られて嫌われてしまったのか」と憤然と語る。
結局、県が自浄作用を十分に働かせることはなかったように見える。
国会事故調の委員を務めた放射線医学総合研究所の元主任研究官、崎山比早子氏は、その理由について「人口流出を嫌う県にとって、原発事故による健康被害が深刻というレッテルをはられるのが一番困る。そうならないよう放射線の影響を真正面から捉えようとしないのだろう」と指摘。さらにこう続けた。
「加えて、国は再稼働を急ぎたいという立場。福島原発事故の影響を過小評価すれば、住民を帰還させ、東京電力の補償額も抑えられる。だが、大切なのは子どもの将来を第一に考えることだ。そのためにはまず影響を客観的に捉えること。治療の支援や避難のサポートが必要ならば、早急に手を打たなければ…」
[デスクメモ]
福島原発事故は事実上、国土を損ねた。数十年人が住めない土地がある。尖閣問題で血眼になる右派がこの件では沈黙を続ける。彼らなりの「ありき」の判断が直視を妨げるのだろう。でも、事実をゆがめる判断は必ず破綻する。先の敗戦が好例だ。残念ながら福島の健康調査も同じてつを踏んでいる。(牧)
2013年12月16日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013121602000137.html
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