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東京電力の「未来」は分割・破綻方式で開ける 先送り方式は限界。新スキームに移行するべき (週刊東洋経済) 
http://www.asyura2.com/13/genpatu35/msg/293.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 12 月 15 日 07:21:00: igsppGRN/E9PQ
 

東京電力の「未来」は分割・破綻方式で開ける 先送り方式は限界。新スキームに移行するべき
http://toyokeizai.net/articles/-/26029
2013年12月15日 中村 稔 :東洋経済 記者


「年内にまとめ上げるのは難しい。発表は年明けだろう」。原子力損害賠償支援機構(以下、機構)の関係者はこう話す。難航しているのは、「総合特別事業計画」、通称“総特(そうとく)”の見直しだ。これは2011年8月成立の機構法に基づき、東京電力と機構が12年4月に策定した東電再建計画のこと。その見直し案の公表が当初計画の年内には間に合わず、来年1月にずれ込むという。

原因は、自民党の東日本大震災復興加速化本部が11月にまとめた提言を受けて、安倍晋三政権が除染費用に国費を投入しようとしているため。この内容を総特に反映させる作業が難航しているのだ。

提言がそのまま通れば、東電は福島事故の賠償費用を従来どおり全額負担するが、除染費用は、すでに計画済みの分(2兆円程度)だけとなり、中間貯蔵施設の建設費を含む残りを国が肩代わりすることになる。除染費用の総額は5兆円超ともみられており、東電にとっては大きな負担軽減だ。逆に国の負担、すなわち国民負担は膨張する。

そもそも東電が総特の見直しを迫られているのは、計画と現実が大きく乖離しているためだ。現在の計画は、13年4月から新潟県の柏崎刈羽原子力発電所が順次再稼働することを前提に、今13年度は900億円強の経常黒字を見込んでいた。

ところが、実際には再稼働のメドはまったく立たず、今年度中の再稼働は不可能な情勢。修繕費の先送りなどで3期連続の赤字を回避し、250億円程度の黒字を確保する見通しとはいえ、計画は大きく狂っている。

■金融機関の事情

今のままでは、総特の実施を前提に機構経由で1兆円を出資した政府や、11年3月の震災直後に約2兆円の緊急融資を行い、さらに12年4月以降に約1兆円の追加与信を約束した金融機関の理解が得られない。ちょうど12月末は、1兆円の追加与信のうち、3000億円の新規分と2000億円の借り換えのタイミング。東電としては、計画どおりの融資を受けるためにも、金融機関が納得しうる新計画に練り直す必要がある。

金融機関に打診している見直し案の焦点は、与信の扱いだ。特に、震災直後に実施した約2兆円の緊急融資をどうするか。この約2兆円の融資は期間3〜10年の長期かつ無担保。その一部が来年春から返済期限を迎えるのだ。

6000億円を出したメインバンクの三井住友銀行をはじめ、緊急融資に応じた金融機関としては、できれば回収、最低でも債権の保全を図りたいのが本音だ。

これまでも金融機関は、期限を迎えた無担保融資の借り換えや追加与信を私募の一般担保付き電力債に切り替えることにより、債権保全を図ってきた。

一般担保付き電力債とは、他の債権者(被災者を含む)に優先して弁済を受けられる社債のこと。社会インフラへの投資を円滑にする目的で、電気事業法37条で電力会社に特別に認められたものだ。この1年で金融機関が引き受けた私募債は9月末で8156億円に及ぶ(グラフ)。先の見えない東電に対し、金融機関は不安を感じており、一部の債権についてはリスクヘッジを進めているのだ。

今年末の与信についても、極力私募債で対応し、債権の保全を図りたい──。これが金融機関サイドの本音だろう。元経済産業省大臣官房付の古賀茂明氏はこれを問題視する。「国民感情から見て、とても納得できるものではない。電気事業法37条を即時廃止して電力債発行をストップする必要がある」と指摘する。

ただ、震災直後に行われた約2兆円の緊急融資まで私募債に切り替えていけば、「東電の事故処理に国費をつぎ込もうとしている時に、金融機関だけ逃げ道をつくるとは何ごとか」と国民の非難が高まるのは必至。そのため、金融機関側も現状の無担保融資をロールオーバー(繰り越し)することも含め、対応を検討している。

メガバンク関係者は「新しい総特が十分なキャッシュフローを生む計画になっていれば、その範囲内で無担保融資を行うことは成り立つ」と、受け入れ余地を認める。

金融機関は私募債に切り替え
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■原発早期再稼働は困難

しかし、問題の根源は、見直し後の総特に実現性があるのか、だ。これには大きな疑問符が付く。

なにしろ前提条件が机上の空論だ。柏崎刈羽原発の再稼働について、見直し案ではいくつかのシナリオを想定しており、当初計画より1年余り後ろ倒しの14年7月に6、7号機、16年度の全7基稼働をメインシナリオにしようとしている。

6、7号機は11月21日に原子力規制委員会の安全審査に入ったものの、再稼働のメドは立っていない。審査は順調なら約6カ月間とされるが、柏崎刈羽の場合は、敷地内断層を含め、審査が長期化する要素が多い。田中俊一委員長は、東電が11月8日に発表した福島第一原発の作業環境改善策が守られなかったり、再び大きなトラブルが発生したりした場合には、審査を凍結する考えを示唆している。

最大の壁は、立地自治体の長である泉田裕彦・新潟県知事だ。泉田知事は9月26日、フィルター付きベント(排気)装置の運用開始に当たり、新潟県の了解を得ることを条件に東電の審査申請を了承。だが、審査を指揮する規制委の更田豊志委員は11月28日の審査会合で、「(ベントの)運用手順そのものが(地元によって)変更される可能性がある。審査に入れるか懸念を持たざるをえない」と、現状での審査継続に疑念を示している。

もとより泉田知事の再稼働反対姿勢は一貫している。「福島第一原発事故が収束せず、事故の検証、責任追及が不十分なままでの再稼働は、到底、国民の理解は得られない」というもの。たとえ審査に合格したとしても、その後に必要となる地元合意が得られる保証はまったくない。

泉田知事自身、新しい総特で再稼働時期を14年7月とする案が浮上していることに対し、「何の根拠もない。絵に描いた餅だ」と批判している。原発再稼働のメドが立たない以上、再稼働を前提とした収支計画も、電気料金値下げ方針も、まったく当てにならないと言える。

今は、帳尻合わせのような彌縫(びほう)策を練っている場合ではない。本当に必要なのは、総特以前の問題である東電の賠償スキーム全体の見直しだ。

これまでの賠償スキームは、国が機構を通じて東電に資金を交付して経営破綻を防ぎながら、被災者賠償については東電が無限責任を負うというもの。機構の交付金は、会計上は贈与金(特別利益)の性格にして計上するという手法を取ってはいるが、実質的に貸し付けで、東電が長期間かけて返済する構図だ。

しかし、除染費用に国費を投入し、東電の無限責任を回避できる道を作った時点で、現行スキームは瓦解している。「原子力損害賠償法と原子力損害賠償支援機構法に基づく従来の枠組みは、すでに成り立たなくなった」(植田和弘・京都大学大学院教授)。

「総特」見直し案は“絵に描いた餅”
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国費投入は破綻が前提

震災当初、進む道は二つあった。一つは巨大な天災であることを理由に東電を免責にする道。この場合には被災者への補償は国が直接行う。

ところが、政府(当時は民主党政権)は免責申請をしないよう東電を説得し、残るもう一つの道、東電による無限責任を選択した。賠償責任が政府補償(1200億円)を超える場合は政府が「必要な援助」を行うとされている。

援助という言葉の解釈は「低利融資」から「賠償損失の負担」まで幅広い。福島事故の国会事故調査委員も務めた、中央大学法科大学院教授で弁護士の野村修也氏は「国が賠償損失を負担するならば、東電がすべての責任を果たした後だろう。つまり破綻後を想定していると考えるのが妥当」と指摘する。

もし政府が除染費用に国費を投入する方針を固めるのならば、東電を破綻処理し、株主や金融機関などの責任を明確にしたうえで投入するのが筋なのだ。

機構法の附則第6条で「政府は早期に原子力事業者(東電)と政府、株主その他利害関係者(金融機関など)の負担のあり方を含め、必要な措置を講ずる」と規定したのは、将来、株主や金融機関が責任を負わないまま、巨額の税金が投入されることに、国民の納得が得られない日が来ることを見越していたとも考えられる。今まさにその時が来たということだ。

破綻処理論は11年3月の震災直後からある。しかし、ここまで2年半、破綻処理を避けてきた。安倍首相も破綻処理の手法は取らない旨の答弁を国会で行っている。破綻処理を避ける主な理由は、電力の安定供給に支障を来すかもしれない、金融市場が大混乱に陥るかもしれない、被災者への損害賠償支払いが滞るかもしれない、といった不安感だろう。

しかしこうした漠とした不安は、すべて誤解によるものだ。破綻処理とは法的整理であり、株主、金融機関にも応分の負担をさせるための手法。事業は従来どおり行うため電力供給への不安はない。金融市場の混乱も限定的であり、被災者への対応は国が責任を持ってやれば済む話だ。

ただ震災直後とは異なり、この2年半で債権債務関係は大きく変化している。現在の株主や債権者の責任を100%追及するのは、無理がある。金融機関の立場としても、融資全額分の貸手責任を負うことには到底納得できないはずだ。

そこで破綻処理には工夫が必要になる。株主や債権者の言い分をある程度くみ上げ、責任の割合を調整する手法だ。それが「企業分割による破綻処理」であり、野村教授らが主張している手法だ。

完全分割しかない!
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事故処理会社も有望

具体的には、今の東電から廃炉・汚染水処理、除染作業を行う「事故処理専門会社」を設立し、本業の電力事業を行う「電力会社=新生東電」から切り離す。株式も銀行債権も2社分に切り分ける。そして事故処理専門会社は法的整理を行い100%減資と債権放棄で身軽に。同時に国が出資して国営化する手法だ。

ここで問題になるのが銀行の債権をどう2分割するか、だ。野村教授は、「震災の前後で銀行の債権を分ければ納得しやすいはず」と言う。震災直前の銀行債権分(2ページグラフの1兆9765億円)を事故処理専門会社のほうに割り振り、放棄させる。その代わり、それ以降に緊急融資等で貸し出した分は新生東電の債権として残す。

被災者の損害賠償債権については、新生東電が負い続けてもいいし、新生東電から負担金の形で事故処理専門会社へ定期的に支払う手法も考えられる。

また、一般担保のついた電力債については、すべて新生東電が責任を負えばいい。そうすれば多くの金融関係者が懸念する「社債市場へのショック」は回避される。

こうした分社化・破綻処理スキームは、特別措置法によって実施可能だ。新たな枠組みを作ったうえで、債権者間で調整を行い、それを法律でフィックスさせればいい。法律で強制的に債権調整する形だから、金融機関も株主代表訴訟を受ける心配が少なく、負担に応じやすい。

重要なのは、事故処理専門会社と新生東電が共に優良企業になる可能性がある、ということだ。

事故処理専門会社は最先端の廃炉技術を蓄積する。世界中の研究者が福島に集まれば、世界最高水準の廃炉技術を確立し、日本国内だけでなく世界でビジネス展開できるかもしれない。

一方の新生東電は、放置すると震災前の東電に先祖返りしかねない。現在進めている調達改革や資産売却の手を緩めないよう株主、金融機関のプレッシャーが必要だ。調達改革担当幹部は「東電の構造改革は、サプライヤーを含めた電力業界全体の構造改革につながる」と強調する。特別措置法の中で発送電分離についても明示し、これを着実に実行すれば、電力自由化のフロントランナーとして記憶されるはずだ。

「分社化したとしても、新会社のトップのなり手がいないだろう」「国営会社が事故処理をうまくやれなかったら誰が責任を取るのか」──こうした懐疑的な意見は根強い。それを乗り越えて一歩踏み出せるか。安倍政権の覚悟が問われている。

(撮影:Getty Images By The Asahi Shimbun =週刊東洋経済2013年12月14日号)

 

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