＜除染費用＞２兆円台半ば　東電の負担半減…政府調整
毎日新聞 12月12日(木)15時0分配信

　政府は１２日、東京電力福島第１原発事故に伴う除染費用の暫定的な見通しを、総額２兆円台半ばとする方向で調整に入った。除染費用は国が立て替えており、全額を東電に請求する。従来は５兆円超との見方もあったが、東電の負担額は半減する。ただ、これまで東電は費用の支払いを滞らせており、政府は迅速な支払いを見通し提示の条件にする方針だ。除染費用の減額は、避難している住民らから反発が上がる可能性もある。

　政府内の調整を経て、東電は除染費用の見通しを、見直し中の総合特別事業計画（再建計画）に盛り込む方向。東電は廃炉・汚染水対策や被災者への賠償と合わせた負担が青天井になることを懸念し、一定の目安を示すよう政府に働きかけてきた。

　除染費用の見通しは、産業技術総合研究所が福島県内だけで最大５兆円に上るとの試算をまとめている。政府は年内にも、「帰還困難区域」を中心とした地域には移住を選択肢とした支援策を打ち出す方針。除染を早期帰還を見込める地域に集中させることで、費用は減らせると判断した。

　政府は、放射性物質汚染対処特別措置法に基づく除染（約１．８兆円）に加え、同法前に緊急実施した除染（約２０００億円）や、放射性物質で汚染されたガレキの処理費用も東電に支払いを求める方針で、現時点で２．５兆円前後となる見通しだ。東電は「２兆円までに収めたい」（幹部）とするが、金額の調整がつかなければ、政府は提示を見送る可能性もある。

　除染費用は毎年度の予算編成で金額が決まるため、総額を現時点で決めることは難しい。福島県内では帰還を目指し、徹底した除染を求める声も強く、事業計画に金額を盛り込んでも、被災地の意向によっては今後も増える可能性がある。

　また、東電は、環境省がこれまで請求した除染費用４０４億円のうち、６７億円を支払っただけ。近く８７億円を追加で支払うが、返済は滞っている。政府内では「見通しを示す以上、東電がスムーズな支払いを約束する必要がある」との意見が強い。【清水憲司、大久保渉】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131212-00000053-mai-pol

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