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12月2日に放送された報道ステーション「原発大国フランス“核のゴミ”最終処分の現状」を見ての感想
多分、一番重要なことは、フランスでは再処理を行っていて、日本で言うところの高レベル核廃棄物に当たるものがガラス固化体であるということだと思う。日本では、六ヶ所村の再処理工場が稼働できていないため、高レベル核廃棄物というと、アメリカと同じで、使用済み核燃料のことをイメージすると思う。つまり、再処理をしないで使用済み核燃料棒をそのまま処分するためには、ガラス固化体よりもずっと広大な処分場が必要になる。
地元の反対派にインタビューしたシーンで、「こんなに進展が早いのは金の問題」というような発言が地元の方からあったが、これは、粘土層なので、岩盤を掘るよりずっと簡単で工事が早いという意味だと思う。当然、工事費もかからない。ドイツで岩塩層に処分場を造ったのも岩塩層で岩盤に比べたらずっと掘りやすかったからのはずだ。つまり、本音では両国も地下処分場を使うつもりはなく、単に真似事をやっているだけだということのはずだ。
では、なぜ真似事をやっているか。それは自国内の原発廃炉が迫っているからだ。原発廃炉になれば、再処理をするにしろしないにしろ高レベル核廃棄物を地層処分しないと地上で保管するのはコストもかかるし危険でしかたないので嫌だという一般市民感情があるからだ。こうやってちゃんと処分場を確保することをやっているから、きちんと廃炉も進みますよと一般市民に言いたいからだ。
2015年に建設申請、2019年に着工、2025年に操業開始と言うのはそれだけ原発廃炉が待ったなしだからだろう。しかし、この番組の後半でテクニカルセンターと言う見学施設で、横穴に高レベル核廃棄物が入った容器をセットする方法自体がまだ研究段階だと言っていたことから分かるように、とても2015年に建設申請ができる状況ではない。ビュールで地下研究所建設が始まったのがそもそも2000年であり、やっとある程度の施設が完成したというだけだ。
なぜ、こんなに急いでいるかというと、どうも2000年ごろからアメリカやフランスを含めたヨーロッパで、地下から大音響が聞こえてきたり、建物が地震計で地震波が計測されないのにガタガタ揺れるという現象が観測されだしているからだと思う。一般市民やある程度の専門家、そして、電力会社の関係者が地震が来ると感じていて、早く廃炉にしたいという気持ちが強まりつつあるはずだ。
ドイツで、ゴアレーベンだったか、低レベルの核廃棄物を一度埋設したのに地下水汚染があるからということでもう一度掘り出すことをやっている。これは、主に一般市民レベルでフランスのビュール村での処分場から地下水汚染が起こることを心配する声が出ていて、それなら、ドイツ国内で低レベル処分の地層処分を止めて、フランスにも地層処分を止めさせようという意味なのだと思う。
多分、官庁か広告を出している企業の意向なのだろうが、ネット討論会での発言として「放射性物質は遅かれ早かれ自然のものに戻るので地下に埋めておけばいいと思った」というような発言が紹介されている。これ、しかし、巧妙な世論コントロールだ。高レベル核廃棄物はほぼ例外なく放射能だけではなく重金属毒性があり、重金属毒性は永遠に消えないからだ。自然のものに戻っても重金属毒性は残る。
地下水の問題があるのは、例えば現在でもヒ素の問題があって地下水利用ができないことがあるのと同じで、地下のある程度狭い地域へ重金属毒性のあるものを何万トン、何十万トンもまとめて埋設すれば、その付近一帯が地下水使用ができなくなり、しかもそれが何万年か経過して非常に広い地域へ影響を及ぼす可能性が強いからだ。
日本の地下へ埋める計画があるはずだと自分は以前主張していたが、この1年程度で、日本の地下へ埋めることは不可能であり、かなり前に日本の地下へ埋設しようという計画は放棄されたのではと感じている。そして、この番組を見てやはりそうだと思いなおした。なぜなら、地下へ埋設するという技術開発がほとんどされていないからだ。日本に埋設するにしてもしないにしても、本気で地下へ埋設をするという
計画があるのであれば、もう少し技術開発がされているのではないかと思う。
ところで、地下へ埋設しないのであれば乾式キャスクでの保管しか多分やりようはない。今のところキャスクの耐用年数は50年程度でこのぐらいの期間ごとにキャスクの詰め替えが必要になる。しかし、キャスクは詰め替えればいいにしても、高レベル核廃棄物自体の容器が痛み出すはずで、地上保管も困難であることに変わりはない。更に、10万年後にほとんど放射能が無くなったとしても重金属毒性があることに変わりはなく、永遠に管理が必要になる。
その意味で、原発が核廃棄物を生み出してしまっていて、原発のおかげで我々の手におえないものを背負わされてしまっているというのは事実だが、なぜそんなことになっているかと言えば、もともとは原子爆弾を使って軍事的に優位を保ちたいという勢力がいるからだ。もともと、原爆がなければ原発も存在しえなった。
番組の最後に、「金の問題で解決しようとするのは間違っている」というようなことがを言われたが、少し注意が必要だと思う。「迷惑施設を金を払って誰かに押し付けるのはよくない」というレベルの話では本来ないからだ。放射性廃棄物、そして、重金属毒性の問題は自分たちの世代どころか、何百世代、何万世代の後も永遠に残る。また、現実問題として、日本では数十年もかからずにそう言った施設が放射能漏れを起こしてずっと広い地域へ環境汚染をもたらす可能性が強いからだ。ある一定の地域が豊かかどうかとか人口が多いかどうかという問題ではなくて、いかにその場所が安全な保管場所になり得るかどうかで判断するべき問題だ。そして、その意味で言えば、国会議事堂の横あたりは最もふさわしい場所の一つだと思う。
2013年12月03日22時35分 武田信弘 ジオログのカウンターの値:39699
- フランス東北部ビュール村に計画されているという核廃棄物最終処分場問題 taked4700 2013/12/04 11:30:46
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