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核のごみ処理 悩む世界
先進国、候補地選び難航 北欧2カ国は建設めど
【パリ=竹内康雄】原子力発電を推進する国々が原発の使用済み核燃料の処理に苦慮している。原発を使い続ける限り「核のごみ」を長期間にわたって閉じ込める最終処分場の建設は避けられない。だが処分場の候補地選定で地元住民などの理解が得られず、宙に浮いたままの国も少なくない。技術を確立したうえ行政への信頼を築くのは容易でなく、世界の国々も対応に知恵を絞っている。
電力の75%を原子力に頼るフランス。同国初の放射性廃棄物の最終処分場の候補地として東部の小村ビュールでの建設に向けた議論が進む。廃棄物の管理機関は2015年に処分場建設認可を取り、25年に稼働させる構え。現在は住民説明会の真っ最中だ。
フィンランドでは南西部オルキルオトに最終処分場を建設中で、脱原発を訴える小泉純一郎元首相も現場を視察した。計画は地下約450メートルに長さ5キロのトンネルを掘り、使用済み燃料を金属製容器に密閉・収納。約100年後に完全封鎖し、放射能の危険性がなくなるとされる数十万年間封じ込める。20年の稼働を見込み、世界で最も進んだ計画だ。
先進国で最終処分場の候補地の具体的な名前が挙がるのはフランスとフィンランド、スウェーデンの3カ国のみ。スウェーデンは30年以上に及ぶ調査や議論を経て09年、建設場所を中部フォルスマルクに決めた。
だが、住民らの反対で候補地選定に至らない例も多い。100基の原子炉が稼働中の米国では合計約6万8千トンの使用済み核燃料が各地の原発の敷地内などに保管され、毎年2千トンずつ増えている。
米政府は1982年の放射性廃棄物政策法に基づき、98年までに各原発の使用済み核燃料を最終処分場で受け入れることになっていた。だが予定地のネバダ州ユッカマウンテンは地元の反対で建設が難航。09年に就任したオバマ大統領は計画を白紙撤回した。
計画頓挫を受け、政策の見直しを進めていた米エネルギー省は今年1月、48年までに最終処分場を建設し、使用済み核燃料を地下に埋めて処分するとの新たな方針を発表。最終処分の前に試験的な中間貯蔵施設を21年までに建設し、使用済み核燃料を受け入れる。
さらに大規模な貯蔵施設を25年までに造り、最終処分場が稼働するまで受け入れるという3段構えだ。
原発を進める新興国でも、最終処分場の建設は喫緊の課題。中国は17基の原子力発電所を稼働させ、さらに30基以上を建設中。原発依存度が急速に高まるが、廃棄物の問題は長期的な検討作業の途上にある。ロシアでは処分場建設に向けた初期段階にある。
▼核のごみ問題 原子力発電で発生する使用済み燃料の処理方法は主に2つ。1つは再処理をしてプルトニウムなどを再び燃料として取り出し、残る高レベル放射性廃棄物をごみとして処分する方法。もう1つは使用済み燃料を再処理の工程を経ずに地下に埋める手法だ。前者は日仏や中ロ、後者は米国や北欧が採用。いずれも地中処分する最終処理の問題は避けられない。
国際原子力機関(IAEA)の推計では2010年時点で世界で発生した使用済み燃料の累積量はウランとプルトニウムの重さで約33万トン。20年には43万トンにまで増えると見込まれる。
日本では処分場の選定はほとんど手つかずだったが、経済産業省が20日、国が処分地の選定を主導するとの報告案をまとめた。地中深くに埋める手法が最も有望との見解も示した。
住民の理解 どう得るか 安全性や経済効果訴え
原子力発電を将来にわたって続けるにしろ、すぐにやめるにしろ、核のごみの最終処分は避けて通れない問題だ。現時点では解決の手段が事実上、地中処分に限られる以上、日本を含め各国はこの問題に正面から向き合うしかない。だが危険物質が地元で処分されることに住民が抵抗感を持つのは自然。不安感をどう和らげるかが課題となる。
フィンランドには核のごみは自国で処理するという法律がある。オルキルオトはもともと原発が立地しており、雇用や税収を生み出す原発に地元住民はおおむね好意的。今や1万人の雇用が創出され、自治体の税収の4分の1が原発関連だ。オルキルオトに最終処分場建設を決めた際、住民の6割が支持したという。
スウェーデンで計画を担う核燃料・廃棄物管理会社(SKB)のアンナ・ポレリウス氏は「立地の決定がすべてのプロセスの中でとりわけ重要だ」と話す。地盤の質など地理的な条件に加えて、住民の合意を引き出す努力が欠かせないという。候補地で対話集会を開いたり、住民投票を行ったりしてきた末に、地元から歓迎される形でフォルスマルクに決まった。
両国とも日本のような地震国でなく、地震による事故のリスクをそれほど考える必要がないことも、受け入れやすくしている一因のようだ。
一方、英カンブリア州では中央政府は多額の資金支援を提示したものの、観光地である湖水地方への影響に配慮して州議会が反対を決めた。1970年代から最終処分場の調査対象だったドイツのゴアレーベンは、地下水脈があることが分かり、地下水が汚染されるとの住民の不安が高まり、白紙撤回に追い込まれた。
[日経新聞11月22日朝刊P.7]
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