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官々愕々 電力業界と「モンスター・システム」 古賀茂明「日本再生に挑む」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37564
2013.11.23 『週刊現代』2013年11月30日号より :現代ビジネス
『原発ホワイトアウト』(講談社)という本をご存知だろうか。発売から2ヵ月で10万部という、無名の新人作家としては異例の売れ行きを見せている。著者は覆面作家で、東大卒の霞が関の現役官僚。霞が関では、作者は誰かという犯人探しが始まっていると話題だ。
しかし、この本が話題になっている最大の理由はその内容のすごさだ。私のような元官僚から見ると、それぞれの逸話が実話に基づくものだということはおおよそ推測がつくが、一般の人から見ればいずれも「驚愕の真実」と受け止められるだろう。
中でも特筆すべきなのが、本書で「モンスター・システム」と名付けられた電力会社が社会を支配するための資金還流システムだ。
本書の例では、「関東電力」が市場価格の2割増しで取引先に発注し、受注企業は超過利潤の中から、取引額の4%を「東栄会」(取引先企業の集まり)に預託する。その総額は年間800億円だ。それが政治家のパーティー券購入や、学会・マスコミ工作などに使われる。もちろん全てはバーチャルの帳簿上のもので、表に東栄会や関東電力の名前は出ない。
福島事故を契機に、電力料金の値上げが相次いでいる。そうした中で、これまで一般には殆ど知られていなかった「総括原価方式」という、コストがいくらかかっても自動的に電力料金に上乗せできる仕組みが広く知られるようになった。
東電に対する財務調査や料金値上げ審査などを通じ、保養所や病院などが槍玉に上がったが、東電の調達価格が高い事例もいくつか明るみに出た。つまり、東電だけでなく取引先も超過利潤の配分を受けていたのだ。
実はこの仕組みは電力業界に共通のものだ。これを守るためには、政治家と世論をうまく誘導しなければならない。そのために超過利潤の一部を供出することは、関係企業にとって自らの利益を守るための合理的な出費である。本書のような「モンスター・システム」があっても不思議はない。
では、本当にそんなに不当な利益が関係企業にばらまかれているのかというと、それを示す様々な事実が明らかになっている。
東電の外部専門家による調達委員会が、福島以外の分野で調達・発注の見直しを進めていて、それによる節約額が、5年後までに年間1000億円になるという記事が10月23日の日経新聞に載った。私が取材したところ、調査を工事現場まで拡大してみると、本気でやれば1000億円をかなり上回る金額になる見込みだという。
11月7日には、公正取引委員会が、東電の電線工事で40社が談合しているとして課徴金命令を出すという報道もなされた。こうした談合でどれくらい工事費が高くなっていたのか。これも取材してみると、少なくとも10〜15%程度は高くなっていたらしい。
この構造は、東電だけでなく他の電力会社でも同じだと考えるのが自然だ。しかし、経産省が電力料金値上げを査定する過程では、現場での実態調査が行われず、放置されている。ある東電の取引先企業がこう心配している。「今後、東電は他電力管内の業者にも入札参加を認める。他電力管内では、談合でぼろもうけしている企業が、東電管内で安値攻勢をかけてくる。まじめに競争させられて疲弊する我々だけが倒産するのは確実だ」。
電力会社と癒着している経産省にこれ以上期待するのは無理だ。第三者委員会を作ってそこが現場に入り、徹底的に全電力会社のコスト構造を見直せば、電力料金は驚くほど下げられるし、「モンスター・システム」も崩壊するはずである。
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