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再稼働 秘密法案 告発小説の著者「覆面官僚」が怒り
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2013年11月16日 東京新聞:こちら特報部 :俺的メモあれこれ
今、霞が関に波紋を広げている「内部告発」小説がある。「原発ホワイトアウト」。著者は、覆面作家の若杉冽(れつ)氏。現役のキャリア官僚だという。原発をめぐる政治家と官僚、電力業界の癒着のトライアングルをリアルに描く。安倍政権が進める原発再稼働、そして特定秘密保護法案は著者の目にどう映っているのか。内情を聞いた。(出田阿生、荒井六貴)
◆裏側リアルに暴露
ダークスーツに地味なネクタイ、白いシャツ。若杉氏は周囲を慎重に見回しながら、待ち合わせ場所に現れた。あまり特徴のない外見。東大法学部卒、国家公務員T種試験合格、霞が関の省庁に勤務するキャリア官僚。明らかにしている経歴はこれだけだ。若杉冽はペンネーム。実名や所属部署などは一切、名乗らない。「誰に見られているか分からない」。しばらくの間、表情は硬いままだった。
「原発事故の原因も解明されず、対策も講じられていない。15万人が避難している中、大半の国民は性急な再稼働を望んでいない。そんな中、官僚や政治家、電力会社は着々と再稼働へと突き進んでいる」
若杉氏は熱っぽい口調で語り始めた。2カ月で書き上げたという執筆の動機は、噴き出すような怒りだったという。
「国民のみなさんに給料をもらって働いているのに、自らの利益のために国民の目をかいくぐり、再稼働にひた走っている。青臭い正義感かもしれないが、こんなひきょうなことが行われていることを知ってほしかった」
書いた内容は、「直接見聞きしたのが半分、間接が半分」。伝聞の事実も伝えるには、ノンフィクションより小説の形態がふさわしいと考えた。
原子力の問題は慎重に、という「慎・原発」派だという。高レベル放射性廃棄物の「最終処分場がないから原発をやめよ」という小泉純一郎元首相の主張に「日本で核のごみ捨て場はつくれない。きわめて正論」と賛同する。
東京電力福島第一原発の事故を経験しても再稼働への動きが止まらない。その元凶を、若杉氏は作品中で「モンスターシステム」と名付けた。
やり方はこうだ。電力会社は、資材購入や工事の際、相場より割高に業者と随意契約する。割高分の一部は、業者が電力業界の任意団体に上納する。団体はその金を使って政治献金やパーティー券購入に充てる。浪人中の政治家のため、「大学客員教授」のポストをあてがうこともある。
政治資金報告書には関連業者の名前しか載らない。その額は400億円に上るという。
「合法なので、誰も文句を言えない。かつては2割くらい割高だったと聞いた。東電を調べた政府の第三者委員会も、取引額が競争入札より約1割高いと指摘した。その原資は、国民から吸い上げる電気代から出ている」
電力改革を進める改正電気事業法が13日に成立した。将来的には、電力会社の発電と送電部門を分離し、電力の完全自由化を目指すとしている。だが、作品中で経産省幹部の口から「電力改革は、改革をやると大衆にたんかを切って誤認させるため。本当は原発再稼働の手段にすぎない」という“本音”が語られる。若杉氏は「電力業界側の巻き返しはすさまじい。今まさに、自由化の賛成派と反対派がせめぎ合っているのは間違いない」
◆国民欺く原発推進 怒り
政府が「世界一厳しい」と胸を張る新規制基準にも疑問を投げかける。新基準には敷地外のテロ対策はない。作品では、雪の降りしきる「ホワイトアウト」状態の中、テロリストが原発の送電線鉄塔を爆破。外部電源が失われ、「第二の福島」事故が起きる。
日本の原発にはコアキャッチャーと呼ばれる安全装置が欠けていることも問題視する。コアキャッチャーは、事故で溶解した燃料を閉じ込めて冷却し、拡散を抑制するのに役立つ。欧州などの原発には備えてあるが、日本の規制基準では義務付けられていない。
「そもそも日本の原発はコアキャッチャーを付けるような設計になってない。費用もかかるため、無視された。国民に知らされることもなかった」
「原発事故を想定した住民の避難訓練をしているが、ちゃんちゃらおかしい」とも言う。「メルトダウンすれば樹民は自家用車で必死に逃げ、大渋滞が起きるだろう。自家用車で逃げることを禁じ、銃で脅すぐらいのことを考えないと避難計画の実効性はない。バスを使うにしても、命を投げ出して現場へ行けと運転手に強制できるような法律が必要になる」
◆情報リークで逮捕の場面も
新潟県の泉田裕彦知事が柏崎刈羽原発の再稼働に慎重な姿勢なのは、「経産省出身の元官僚だけに、避難計画の実効性のなさを分かっているからでしょう」。
作品では、原子力規制庁の審議官が天下りと引き換えに、原発事業者に内部情報を漏らす場面が出てくる。この件を、元テレビ記者の女性に促されてリークしたのは規制庁の若手男性職員。2人は、国家公務員法違反容疑で逮捕される。そして若杉氏はこうつづる。「何が秘密かということは、行政当局のさじ加減ひとつで決まる。当局が秘密と主張すれば、裁判所はそれを秘密と認めるだろう」
これは、特定秘密保護法案と重なる問題点だ。
公務員は仲間内で日頃から盛んに情報交換をしているという。「岩から水がしみ出すようにあちこちから情報が回ってくる」。それが、「特定秘密という名目で情報を扱う人数が限定されれば、公務員はまったく情報を流さなくなるだろう。政策を練るときに内部の多様な意見を反映させられなくなる。政策の質が劣化して、結果として国家の危機を招く」。
法案が成立すれば「私のところにも情報が来なくなる。こうした小説も書けなくなる」と危機感をあらわにする。
◆「犯人捜しに経産省必死」
「原発ホワイトアウト」について、第三者はどう見るか。
自民党の河野太郎衆院議員は「経産省が、あまりにリアルなので書いた犯人捜しに必死だと聞いている。痛いところに、からしを塗られたからだろう」と話す。「電力側が、原発推進派の議員に『河野太郎を黙らせれば、パーティー券を買ってやる』と言ったというのを聞いたこともある。小説は、実情を暴露している」と指摘する。
作品中で官僚が法案の細かい部分に、裁量の余地を入れ込む様子が描かれる。経産省の元官僚、古賀茂明氏は「官僚のDNAだ。省令や運用で抜け道をつくり、官僚たちが望むことをやろうとする」と解説する。「モンスターシステム」についても「東電の受注企業が官僚を接待したり、パーティー券を買うという話は、先輩から聞いたことがある。電力業界の構造をよく知っている」と話す。「官僚は出世を考えてなかなか声を出せない。若杉氏の勇気ある行動を応援したい」
若杉氏が、素性を知られたくないのは、情報が取れなくなるからだという。「これからも国民のみなさんに本当のことを知らせていきたい」
[デスクメモ]
悪者にされがちな官僚だが、中には若杉氏のような人もいる。法に触れない範囲で細心の注意を払って書いたという。それでも、ある勢力から狙われるのではないかと脅威を感じている。秘密法案が成立すれば、間違いなく若杉氏のような官僚は出てこなくなる。その先に国民の不幸が待っている。(国)
2013年11月16日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2013111602000134.html
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