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日本記者クラブで会見する小泉純一郎元首相=12日午後、東京都千代田区、内田光撮影
:朝日新聞
「原発ゼロ、総理の決断次第」〈小泉元首相の会見全文〉
http://www.asahi.com/articles/TKY201311120472.html
2013年11月13日01時23分 朝日新聞
小泉純一郎元首相が12日、日本記者クラブで会見した内容は次の通り。
【原発ゼロ】
本日はお招きいただき、ありがとうございます。総理を退任してからテレビ出演もしていないし、インタビューも全てお断りしてきた。毎日新聞の山田(孝男・専門編集委員)記者が8月、私のオンカロ(フィンランドの高レベル放射性廃棄物の最終処分場)視察をコラムで取り上げてくれた。短い文章だが、実にうまく要点を取り上げていた。あれから、一斉にマスメディアが私に注目し出した。3・11の事故が起きて以来、ずっと似たような話をしてきた。記者が来て何を書こうが勝手だった。毎日の記者が書くまでは無視していた。コラムが出てから、いろんな方から(インタビューの)申し込みがあってお断りするのも大変だった。
最初に、原発問題だ。10月、読売新聞が社説で「『原発ゼロ』掲げる見識を疑う」と題して私の発言を批判していた。この批判に対する意見から始めたい。一つは、「原発ゼロ」にした後の代替策を出さないで発言するのは、楽観的で無責任だということだ。しかし、原発問題は広くて大きくて深い問題ですよ。国会議員だけで代案を出そうったってなかなかできない。まして私一人が代案をだすのは不可能だ。だから、政治が一番大事なのは、方針を示すことだ。「原発ゼロ」という方針を政治が出せば、必ず知恵のある人がいい案を出してくれる、というのが私の考えだ。「原発ゼロ」に賛同する専門家、文部科学省、環境省、官僚、識者を集めて、何年かけてゼロにするか、どういうふうに促進するのか、40〜50年かかる廃炉の技術者をどう確保するか、「原発ゼロ」後の地域の発展や雇用をどう考えるか。こういう問題を、国会議員、一政党、一議員だけで出せるわけないじゃないですか。だから、専門家の知恵を借りて、その結論を尊重して進めていくべきだというのが私の考えだ。
■新技術で代替エネルギー確保は可能
もう一つの批判は、ゼロにすれば火力発電やさまざまな電源の調達のため電気料金が上がり、CO2の排出量が増えると。しかし、日本の技術は、時代の変化を読むのに非常に敏感だ。つい最近も、新日本石油の社長をしていた渡(文明)さんにお会いして、「数年以内に燃料電池車が実用化される。うちはもう水素供給スタンドを用意している」と。電気自動車よりも早く燃料電池車が実用化する、と自信を持った。燃料電池車はCO2を出さない。トヨタにしてもホンダにしても日産にしても、自動車会社はハイブリッド車を必死に開発している。夜中に寝ているうちに充電できる。できるだけCO2を出さない自動車の開発が進んでいる。LEDだってそう。設置費用が多少高くても、省エネの観点からLEDを使う家庭が白熱灯を使う家庭より多い。日本の国民は、実に環境に協力的だ。
先日、清水建設にいった。去年建て替えた新本社になってから、CO2の排出量は7割削減したという。太陽光パネルにしたからだ。そして、本社内はすべてLEDを採用している。明るいときは太陽光パネルだけで仕事ができる。曇ればLEDの電気がつく。自動調節だ。なお、エネコン。輻射熱(ふくしゃねつ)によって音のしない、自動的に快適な温度にするエネコンを全社のビルにつけちゃった。今までは(エアコンの)風の音で騒音が入ってこなかったが、新本社で外の騒音が入ってくるようになっちゃったぐらい静かになった。そういう技術を持っている。新しいコンサートホールはいずれ、音のしないエネコンを導入するだろう。日本の技術力はたいしたもんだ。
先日、三菱重工が石炭火力発電所を建設する際に大気汚染を防止する技術を開発したという記事が日経新聞にあった。さまざまな再生可能エネルギー、水力、太陽光、風力、地熱。原発の建設に向けた費用を、そちらにふり向ければいい。さまざまな代替エネルギーの開発技術を日本の企業は持っている。そういう企業に、日本国民は協力する。多少高くても。
「原発ゼロ」政策を進めるドイツに8月行ってきた。太陽光、風力、バイオマスの施設に行って担当者と話したが、最初に会社を立ち上げるときは数名だった。お金がない、投資する人がいない。ところが政府が進めて、採算がとれるようになって大規模になった。だいたいが地産地消(のエネルギー)だ。地域の電力をまかなうためにつくればいい。バイオマスは、牛の糞(くそ)や馬の糞まで電気に変える。トウモロコシも電力用に分けてつくる。出た残りカスは地元農家の肥料となる。まさに地産地消態勢だ。日本だってこれはできる。廃材もバイオエタノールにできる。ブラジルにも行ったが、町の中にはガソリンスタンドと一緒に、砂糖キビからつくるバイオエタノールが併設され、同じスタンドで供給できる。さまざまな知恵がある。
太陽光は日が陰ればダメ、風力は風がやんだらダメと言うが、太陽光も風力も蓄電技術が開発される。陸上だけじゃなくて洋上でもできる。地熱だって蒸気で電気が起こせる。専門家や発明家の知恵を借りていけば、今では想像できないような代替エネルギーが確保できるのではないか。
■核のごみ、原発必要論者こそ楽観的で無責任
もう一つ、これが「原発ゼロ」批判の中心だが、核のごみ。(高レベル放射性廃棄物の最終処分場は)技術的に決着していて、問題は最終処分場が見つからないことだと。ここまでは原発必要論者とわたしは一緒だ。ここからが違う。必要論者は「処分場のめどがつかない」と言う。めどをつけるのが政治の責任ではないか。めどをつけないのがいけないんだ。
私の結論から言うと、日本において、核のごみの最終処分場のめどをつけられると思う方が楽観的で無責任すぎる。10年前から技術的に決着している、10年以上かけて一つも見つけることができない、政治の責任で進めようと思ってもできなかった。原発事故の後、これから政治の責任で見つけなさいというのが、必要論者の主張だ。よっぽど、楽観的で無責任だ。
フィンランドのオンカロに行った。世界で唯一、原発から出る核の廃棄物を処理する場所だ。オンカロというのは、フィンランド語で「洞窟」とか「隠れ家」という意味。最終処分するためにつくられた地下だ。フィンランドは岩盤でできている国。岩盤をくりぬいて道路を造っている。オンカロに着くまでに、首都ヘルシンキから飛行機で50〜60分。200キロ以上ある。飛行場から海岸に出て、海岸から船で10〜20分。島の中に、高レベル放射性廃棄物の最終処分場をつくった。それがオンカロだ。簡単にヘルシンキの近くで見られると思っていたら、認識が甘かった。そこで防護服、ヘルメットを装備して、400メートル地下に降りる。縦横2キロ四方の広場を造り、円筒形の筒に核のごみを埋め込んだ。2基分しか容量がない。フィンランドには原発が4基ある。あと2基分はまだ場所が決まっていない。住民の反対のためだ。10万年もつかどうかを調べなきゃいけない。振り返って日本を考えてみてほしい。400メートル掘るうちに温泉出てきますよ。原発2基分でも2キロ四方。原発が54基あれば、最終処分場をどれだけ造らなきゃいけないのか。放射能は危険だが、色がない、においがない、近づいても放射性物質ってわからない。それを10万年後の人間が、オンカロに来て果たして放っておいてくれるか。人間は好奇心が強い。わからないものがあると掘り出そうとする。絶対掘り出しちゃいけないということがわかるように、どういう文字がいいかを考えている。考古学者はピラミッドを発掘してもあの文字が読めない。それを10万年ですよ。掘り出しちゃいけないという文字を何語にするか。しかし、文字は変わる。日本語だって最近、私なんてついていけない若者の言葉がある。若いころは、「あの人きれるな」というのは頭がよいという意味。今は、ちょっとおかしいという意味。最近、また驚いたことがあった。食事をしていたら、「やばい」って言うんですよ。悪いものが入っているのかと思えば、やばいほどうまいというんですね。本当にやばい時代になった。言葉を10万年後も分かるように考える、笑い話ではないんですね。それが本当にできるのか。
原発事故の前でも(最終処分場の候補地は)見つからなかった。それでも政治の責任で処分場を早く選定して建設しなさいと言う。このほうがよほど楽観的で無責任ですよ。繰り返し言いますが、そう思いませんか。
■このチャンスの活用が大事
総理大臣は、確かに権力強いですよ。しかしね、総理にはいかに権力がついても、使える権力、使っても実現できない権力、そういう権力もあるはずだと思うんです。いま総理が決断すればできる権力、それが「原発ゼロ」の決断ですよ。こんなに恵まれた環境はないですよ。私の総理在任中、郵政民営化のときよりもはるかに環境いいですよ。私が総理のとき、外人記者から質問された。「小泉さん、あなた郵政民営化が必要だと言って総理になった。国会の多数派の支持を得ないと、郵政民営化法案は成立しない。与党も野党も反対でどうして実現するのか」と質問された。私は笑って「まあ見ていて、いまに分かるから」と言った。しかしね、結果的には、国会で賛成多数の結論が出なかったですね、否決されちゃいました。ともかく郵政民営化は全政党が反対だった。2001年3月、森(喜朗)総理が退陣表明する自民党大会で、自民党執行部は「郵政国営堅持」という決議をした。なぜなら、4月の総裁選に小泉が立候補したら郵政民営化を主張するに違いないと。そして2005年8月、参院で郵政民営化法案が否決された。普通はこれでおしまいですよ。そのとき、私は「郵政民営化法案の否決は、小泉内閣の不信任と同じだ」と言っていた。暗に、否決したら解散するぞ、という方針だったんです。しかし、反対派の議員は信用しなかった。それは無理もない。衆院を解散しても参院の構成は変わらないから、「解散なんてできっこない」と。ところが私は2年後の8月8日に「追い込まれ解散」した。
私は本当は賛成してもらいたかったんです。8月は暑い、暑い。解散(・総選挙)なんて体がもつかな、勝利を得てもまた参院で否決されるのかな、でもこれは国民に聞いてみるしかないと。あの解散はまさに「乾坤一擲(けんこんいってき)」という文字がぴったりの解散だったんです。一か八か、国民に聞いてみた。すると、国民が支持してくれて9月11日の投票日、郵政民営化賛成の公認候補が多数派を占め、勝利をおさめた。そしたら、参院の反対派はくるっと賛成にまわった。
それに比べれば、いまはどういう状況ですか。野党は全部、「原発ゼロ」に賛成ですよ。「原発ゼロ」反対は自民党だけ。しかし、本音を探れば、自民党議員で賛否がどうかと言えば、私は半々だと思っている。ここでもし安倍総理が「原発ゼロにする、自然を資源にする国家をつくろう」と方針を決めれば、反対派はもう反対できません。必要論を唱えているマスコミも意見が変わる。正面きって「あくまで必要だ」と盾突く議員は一握り。安倍総理として、国民から与えられた権力を望ましいあるべき姿に向かって使う。こんな運のいい総理(は)いない。使おうと思えば使えるんですよ。総理が決断すれば、「原発ゼロ」反対論者も黙っちゃいますよ。顔が浮かびますが。できるんです。国家の目標として、ほとんどの国民が協力できる体制が。もし自民党がゼロ方針を決めれば、全政党が賛成する。このチャンスを生かす。活用、大事だと思いますよ。
逆に、「どうしても政治の責任で最終処分場をつくるんだ」といって、住民の反対を押し切れますか。押し切ろうと思って権力を使うより、久しぶりに珍しく国民の多数が総理と真に協力しようという体制ができる状況はめったにない。しかも壮大な事業です。夢のある事業。自然を資源にする事業です。それに総理の権力をふるうことができる。それにこんな運のいい総理はいない。いま、政治の出番だな。総理はどのように権力を行使すべきか。国民は「こういう望ましい方向に権力を使ってください」と期待している、国民がお膳立てしてくれると思うんですよ。これは結局、総理の判断力、洞察力の問題だと思いますが、そういう方向にカジを切ってもらいたい。
私はつい最近、河野太郎代議士からある本を贈られた。「これ読んだら参考になりますよ」と。米国の物理学者エイモリ・ロビンス博士の著書「新しい火の創造」。ロビンス博士はロッキーマウンテン研究所の会長で、日本の旭硝子財団からブループラネット賞を受賞。2009年にタイム誌が「世界でもっとも影響力がある100人」に選んだ。読んでみたところ、なんと「米国で脱原発が必要だ」と説いている。しかも「2050年には脱原発、脱石炭、脱天然ガスも実現できる」と。うかうかしていると、日本より米国が先に「脱原発」するかもしれない。ぜひとも、安倍総理はこの大きな権力を、久しぶりに多くの国民が協力できる壮大な事業に使っていただきたいと期待している。
【日中関係】
■首脳会談できず中国も困っている
総理大臣のとき、中国問題でおもしろいことがあったので披露するが、2004年にチリでAPEC(アジア太平洋経済協力会議の)首脳会議が開かれた。太平洋に面した22カ国の首脳が集まる会議だ。毎年、私はその会議が始まる前、米国大統領、ロシア大統領、中国国家主席と会議の合間をぬって2者会談を決め、それからほかの首脳との2者会談を決めていた。チリでの首脳会議で、米国とロシアとの首脳会談は早く決まった。出発する前に中国との首脳会談を決めておこうと思っていたら、なかなか返事が来ない。ところが、外務省の担当者が「困ったことがある」と。中国側は「来年、小泉総理が靖国参拝しなれば首脳会談を行う」と言ってきたが、どう返事をしましょうかと。私はこういう返事をしろと言った。「来年、小泉総理は必ず靖国参拝します。それで首脳会談を断られるなら仕方がない。しかし小泉は日中友好論者だ」と。これでもうチリで日中首脳会談はできないな、と思った。ところが、しばらくするとOKの返事が来た。ただし、「記者団が必ず小泉総理に来年靖国参拝するか聞くだろうが、会談する前も後も言わないでくれ」と。あれから、記者に質問された場合、私は「適切に判断する」と言ってきた。
いまね、日中首脳会談ができないですが、中国も実は本心では困っていると思う。会談したくても内政の事情でなかなかでできにくい事情がある。私は日中首脳会談ができないなら、大変非難された。私が総理を辞めた後、総理大臣は1人も参拝していないじゃないですか。それで日中問題はうまくいっているんですか、首脳会談できているんですか、そうじゃないと分かったでしょ。尖閣問題で日本は当たり前の主張をしているだけだ。戦没者に対して哀悼の念を総理が表する。それを批判する首脳は中国、韓国以外ありませんよ。ある一部の人が「小泉は中国、韓国が言っても聞かない。米国のブッシュ大統領が『靖国参拝するな』と言えば聞くだろう」との意見を出した。それを聞いたから、ブッシュ大統領との会談で尋ねたら、ブッシュ大統領は「オレはそんなこと言わないよ」と笑っていた。外国の首脳で靖国参拝を批判する首脳は中国、韓国以外いませんよ。日本国憲法19条にも、思想及び良心の自由、これは犯してはならないと明記されている。批判するほうがおかしい。中国への対応は、いまの安倍総理の対応でいいんですよ。首脳会談ができなければ、ほかのレベルの政治家同士の対話、行政官、役所同士の交流、文化やスポーツなどさまざまな交流が開かれている。いずれ首脳会談を行わないのは両方によくないな、と分かります。中国だって、「あのとき日本の総理の参拝を批判したのは何と大人げない、まずい対応をしたのか」と恥ずかしい思いをするときがいずれは来ますよ。中国との友好関係を保つのがいかに重要か分かっているから、ここまで中国側とさまざまな分野で協力してきた。これからもその方針は堅持しないといけない。
【日米関係】
■米国に代わる同盟国はない
一時期ね、自民党や民主党の一部に、日米中の「正三角形論」が出た。日米と日中関係は同等だと。私はこれはおかしいと思っていた。民主党政権になってようやく正三角形は同じだと思わなくなったのは一つの進歩だと思いますが。日本一国で安全は確保できない。同盟国として米国に代わる国がありますか、ないですよ。米国の影響力は昔より落ちたとはいえ、世界で、政治的にも経済的にも軍事的にも、日本の同盟国として米国に代えてもいい国は見あたらない。そういうことを考えれば、日米関係がよければよいほど中国ともいい関係を築ける。そう言ったら、「(小泉は)米国さえよければどうでもいい」と歪曲(わいきょく)する。誤解と知っていながら批判のために言ったんでしょうね。民主党政権になって、日米関係が悪くなって、その分をほかの国で補おうという考えはもたないほうがいい、日米関係がいい方がほかの国とも良好な関係を保つことができるとわかったんでしょうね。これからもそうだと思う。「米国は日本を守ってくれる」と言う人がいるけど、その前に、同盟国として日本は米国にとっても信用できる国なのか、ということを考えたほうがいい。同盟国の相手として、日本は米国にとっても同盟国として信頼たる国なのかを常に考えながら、日米関係を友好に保たないといけない。総理の時代も退任してからも、その考えは変わりませんね。
【メガフロート】
私がまだ1年生議員のころ、出身の横須賀で「メガフロート」構想が持ち上がった。海上に基地みたいな航空母艦をいくつか重ね合わせて飛行機が離着陸できる、それが「メガフロート」。しかし当時は海上といっても、くいを海底にうめないといけない。費用もかかるということでうやむやになった。私は沖縄の基地負担軽減、日本の安全保障、さらに海洋国家日本としてメガフロートを真剣に政府が検討したほうがいいと思う。航空母艦なら非常に莫大(ばくだい)な費用かかるでしょうが、海上移動基地の「メガフロート」を真剣に考える時期がきている。沖縄の基地負担を軽減したくても、なかなか日本本土でも、陸地にそういう離着陸訓練基地を新たにつくるのは困難を伴う。日本の技術だから、航空母艦をつくるつもりで海上に移動できる、航空母艦をはじめてつくったのは1920年の英国。2年後に日本は航空母艦をつくっている。いまの技術からいえば、移動式で「メガフロート」の海上基地をつくれば、これはいざ災害がきたときに自衛隊が被災地に救援に向かう場合にも役に立つ。新しい領土ができたようなものだ。台風から逃げることもできる。日本は新たな展望が開けるんじゃないか。日本の安全確保を考えるためにも、基地問題を考えるためにも有効な手段として、「メガフロート」はいけるのではないか。世界も注目しますよ。海洋国家日本が海を利用して、こういう新しいものをつくり始めたと。
【再び原発ゼロ】
原発問題も、将来「原発ゼロ」。米国の博士が考えているように、脱石油、脱石炭までいかなきゃ。夢のある事業にのりだした。日本は世界の模範となる国家としてまた発展できる時期が来ているのではないか。何事もピンチはチャンス。過去の歴史をみると、本当にすさまじいピンチを日本は乗り越えてきた。関東大震災はまだ90年前ですよ。東京を中心に10万5千人が命を失った。その後も昭和恐慌、そして第2次世界大戦、東京焼け野原、広島、長崎に原爆を落とされた。なんと300万人以上の国民が命を落とした。それでもくじけなかった。最大の敵、米国を最大の味方にしてしまって、今日の世界で一番平和な国家をつくり上げた。あの敗戦からは夢のような状況だ。
いま再び、大震災のピンチをどうやってチャンスに変えるか。1973年の石油ショックのピンチがあったからこそ、日本は環境先進国になった。今度の大震災のピンチを夢のある事業に、国民のほとんどが望ましいと思う方向にもっていく権力を安倍総理は持っている。今の自民党議員、ほとんど従いますよ。そうすると、全政党が総理の方向に協力できる。夢のある方向です。それをぜひご理解頂きたい。
【質疑応答部分】
Q 「原発ゼロ」の流れをどう実現していけばいいのか。小泉さんはその中でどういう役割を果たすのか。
A 今日の新聞に石破茂・自民党幹事長の談話が載っていた。「(自民党は)小泉さんの方向と違わない」と。ずいぶん違ってきたなと思うんです。確かに、自民党の参院選公約を見ると、再生可能エネルギーに最大限努力すると。だから、これから石破幹事長が音頭を取って、原発を含めてこれからのエネルギー政策を党内で議論しよう、と。賛否両論出ますよ。賛否両論を総理に上げていけばいい。必要論者とゼロ論者と、両論併記。「総理、どちらに判断しますか」と安倍さんが判断しやすい環境をつくっていく。そんなに難しいことではない。
自民党の議員の中にも、本心はゼロにした方が望ましいなと思っている人はかなりいますから。総理の力は絶大ですから、総理がゼロにしろと言ったら、そんなに反対は出ませんよ。そういう環境をつくっていくことによって、政治的に安倍総理の在任中にその方向を出した方がいいと思う。
Q 小泉さんは安倍さんを要職に置いて育てた。今のようなかじの切り替えは安倍政権時代にあり得るか?
A いや、あり得る方向にいってもらいたいと期待しているんですよ。総理の胸中を推し量るのは難しいでしょうし、私は望ましい方向に総理の権力を使ってもらいたいなと。権力を使うのに、こんな恵まれた時期はないと。ピンチをチャンスに変える権力を総理は持っているんです。もったいないと、この環境を生かさないとわかってほしいなと思っています。
Q 尖閣問題。もし小泉さんが政権担当者であればどう打開するか。
A 尖閣に対する日本の考えを変える必要がない。毅然(きぜん)として主張を中国側に対してはっきりと述べることが大事だ。それで首脳会談を中国側が拒否するなら、そのほかの交流はできるだけ多く進めていくという方向でいいと思います。
Q 今回の脱原発は小泉さんにとって郵政民営化と同等くらい命をかけるテーマなんでしょうか。
A 原発ゼロにして、自然を資源にエネルギー施策を展開しようというのは、郵政民営化どころの比じゃない。壮大な夢がある。大きな事業ですよ。今、党内で議論させれば、推進論者がそんなに多いとは限らない。ゼロ論者がいるのはわかっている。どっちの論でも、総理が決めた方に従うんですよ。今、「原発ゼロ」の声がなかなか自民党で上がってこないのは、総理が「必要だ」と言っているからですよ。それをゼロにすると言えば、まったく変わっちゃいますよ。最終的には国民ですね。世論というのは軽視できないですから。世論に抗してやらないといけないこともある。しかし、大きな底流となっている根強い世論というのをどう読むかというのも、政治家として大事だと思うんですよ。
国会で郵政民営化法案を廃案にした。しかし、選挙で国民が支持すると国会議員も変わっちゃうんですよ。総理の権力は国民から与えられているんですから。その国民の声を総理も聞かざるを得ない時期は来ると思います。あきらめちゃいけないんです。
私はいろいろな人から、「新党を考えたらどうか」とか「『原発ゼロ』を展開している人と連携したら」と言われるが、それぞれの立場でやった方がいいんじゃないかと。主張を展開するときには、誰が賛成しているか、誰が反対しているかというよりも、やっぱりやむにやまれぬ気持ちがないと公に自分の主張は展開できない。「一人でもやる」という気持ちでやらないとダメだ。連携を呼びかけている人には、そう言っているんです。「自分は本当にこう思うんだ」ということを展開していかないと、なかなか世の中は動かせない。国民が本当に「原発ゼロ」の社会を望むなら、国民の皆さんもそういう気持ちを持って運動していけば、必ず政権に届くはずですよ。
自民党というのは、国民世論にかなり敏感な政党。だから政権を長く担当したんです。一部の支持があれば当選できるという政党じゃないんです。国民の過半数の支持がないと(選挙区の)議員になれないということをよくわかっている政党が自民党。だから、国民の声が「本当に原発ゼロが望ましい」とだんだん政権に届いていけば、総理だって気づいてくる。長いようで、それが民主主義として質が高いですよ。
Q 「原発ゼロ」にする時期をどう考えるか。
A 私は「即ゼロ」がいいと思います。その方が企業も、国民も、さまざまな専門家も準備ができる。「安全な原発を再稼働させる」と政権は言いますが、再稼働をするにしても、そんなに多くは再稼働できないでしょう。再稼働するとまた核のごみが増えていく。再稼働させると言っても、最終処分場が見つからないでしょう。だったらすぐゼロにした方がいいと思いますよ。そして、原発に代わる代替エネルギーに対して、原発に向けていた費用を回してはどうか。日本の企業なら、原発に代わるエネルギー源は発明し、開発していきますよ。だから早い方がいい。もう今、原発がゼロなんですから。ずっと再稼働を中止する。早くゼロにする。
しかし、何年かかって廃炉が実現するか。これも難しいですから。そういう点では、「将来ゼロにする」という方向でやった方が中間貯蔵施設を建設するにしても理解を得やすい。だから、私は早い方がいいと思う。今もゼロですから。
Q それは核燃料サイクルも含めて?
A もちろん核燃サイクルもです。その手当てをするのも早い方がいい。進んでいってから「やめろ」と言うよりは、どうせ将来やめるんだったら今やめた方がいいでしょう。
Q 小泉さんが触れた「メガフロート」は、米軍普天間飛行場の移設先の話と受け止めた。名護市辺野古への移設案をどう思うか。
A 沖縄・名護市の基地の問題。あれは埋め立てをもっと沖合に出せという、私は埋め立てが少ない方がいいということで、あそこに決めて、今はもう政府として、何とか理解を得るために協議中ですから、これはできれば進めてもらった方がいい。「メガフロート」は将来の問題だ。技術的には十分できると思う。これは防衛省だけじゃなくて、さまざまな企業がありますから、そういう専門家を集めて、将来どういう「メガフロート」移動基地みたいなかたちができるかということをこれから検討した方がいい。
Q 普天間に代わる政策ではないと?
A それはそう。将来の、国全体の問題ですから。海上を有効に活用しようと。できるだけ国民の理解の得やすい基地をつくるということを考えた方がいいということであります。
司会者 揮毫(きごう)していただきました。達筆です。
A 「百考は一行にしかず」。百考えるのも一つの行動には及ばない。
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