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国民負担の増大がとまらない!廃炉と汚染水処理「公共事業的観点」で「加速化」の"罠"
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37502
2013年11月12日(火)町田 徹 :現代ビジネス
東京電力の福島第一原子力発電所の事故に関し、「政府が前面に出る廃炉・汚染水」対策に続いて、先週(11月5日)、政府・自民党が「除染・中間貯蔵施設の加速」を打ち出した。
周辺住民の生活再建の立ち遅れが目立つ中で、半永久的に帰宅できない地域が存在する事実を隠そうとして無駄な除染を続けるという民主党政権時代の誤った政策を正すのは、筆者も繰り返し求めてきたことだ。
それを軌道修正するのならば筋の通った判断で、むしろ遅すぎたぐらいである。
■修正案に潜む歓迎できない罠
ところが、いかにも自民党政権だ。修正策に、手放しで歓迎できない罠が潜んでいる。
というのは、東電が負担するはずだった費用を「公共事業的観点から検討」「国が負担」などとしているのだ。
要するに、新たな土木業界へのばら撒きを国民負担でやろうという本音が透けて見えるのである。しかも、肝心の問題点に大胆なメスが入ったとは言い難い。
大切なのは、被災者の生活再建を加速することであり、ばら撒きを拡大することではない。政府・自民党には、電気料金であれ、税金であれ、いたずらに国民負担を増やさないと確約してほしい。
民主党政権がポピュリズムとしかいいようのない除染を打ち出した直後から、筆者は本コラムで繰り返し、「復旧・復興」に名を借りた無駄遣いになると警鐘を鳴らしてきた。
2011年10月18日付の 『問題はIAEAが警告した「除染」だけか? 「破たん」へひた走る民主党政権の電力政策』は、その最初のものである。
簡単に言えば、民主党政権の最大の問題は、福島第1原発周辺の除染の目標を「5ミリシーベルト以下」(健康被害の懸念がないとされる水準)ではなくて、「1ミリシーベルト以下」(事故がまったくなかった時の状態)としたことだ。
この目標は、当時から国際原子力機関(IAEA)の調査団が無駄遣いとみなす内容だった。
にもかかわらず、原発事故の収束を所管した細野豪志内閣府特命担当大臣が思いつきのように打ち出した。
結果的に、深刻な事故を引き起こした責任を政府や東電が免れる効果を生じた。
実際には、福島第一原発の周囲にはいくらおカネをかけても生活できるレベルまで除染するのは困難な地域が少なくない。
それなのに、いずれ帰宅できるかのような幻想を振り捲いて除染を続けることは、単に国民負担を増大させるだけでなく、被災者が他の土地に移住して生活を再建するという決断を下す妨げにもなった。
■提言は具体策となるととたんに危うく
早期に政策の軸足を、被災地の住宅の買い取りや移住先での生活を立ち上げる支援に移して、無駄な除染をやめることが最大の課題になっている。
そこで、問題なのが、今回、自民党の東日本大震災復興加速化本部(大島理森本部長)が打ち出して、政府が政策を見直す叩き台にしようとしている「提言」の内容だ。
同党のホームページには、「原発事故からの復旧・復興に特化しました」としたうえで、「国・東電・自治体その他事業者の役割と責任について検証し、オールジャパンで福島の再生を実現していく」と尤もらしい言葉が並んでいる。
ところが、具体策となると、途端に危ういものになる。
現実問題として、国による負担の肩代わりについては、東電の体力を考えればやむを得ない面はある。
しかし、その場合、まず東電の破綻処理などを通じて、株主や貸し手(銀行)が応分の負担をすることが必要だ。提言はその点を有耶無耶にしたまま、「廃炉・汚染水対策では東電と国の責任を明確化した上で、国がより一層前面に出て取り組むこととしました」と、東電の負担軽減を打ち出している。
新聞報道によると、これまでは、最終的に東電が負担することになっていた除染の費用を、今後は国が肩代わりして負担するという。
しかし、これでは、国民負担がいたずらに増大することになりかねない。
これまでの、いずれ電気料金の値上げで国民が負担する方式ならば、値上げの際に審査があるため、一定の歯止めがかかるが、税金を湯水のように投入するとなるとそうした歯止めが効かないからである。
■除染方法の変更で土木業社へのばら撒きが強化される?
さらに、除染方法についても不安が出て来た。
「公共事業的観点から検討」としている点が問題だ。これは、放射性物質で汚れた土地を水で洗い流すこれまでの手法を減らして、汚れた土をはぎとるスタイルの除染に置き換えるものとみられる。
つまり、土木事業者へのばら撒きを強化する方針と受け取れなくもないのである。
自民党のホームページの解説には、今回の修正が本質的な転換に繋がらないリスクを感じさせる文言もある。
「帰還よりも新しい生活を選ぶ人に対する支援も盛り込みました」という部分だ。
要するに、半永久的に帰還できない地域が存在する事実は告げずに、他の地域に移転するかどうかを、被災者の選択に委ねる姿勢を示唆しているのである。
これでは、無駄な除染をやめてコストを節約し、おカネやヒトのリソースを被災者の生活の立て直しなどに振り向けることは極めて難しい。
政権交代をして、来月でほぼ一年が経とうとしているにもかかわらず、今回、政府・自民党が進めている原発の事故処理の修正は、あまりにもお粗末なものにとどまる可能性が残っている。
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