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(Scientists downplay Fukushima radiation hazards: DW English)
http://www.dw.de/scientists-downplay-fukushima-radiation-hazards/a-17182633
環境
福島の放射線の危険を軽視する科学者たち
福島原発から出される放射線が「環境の大災害」であると同意するものの、その量は、1950〜60年代に実施された大気中核実験による降下物のごく一部でしかないと語る専門家たちがいる。
東京電力は火曜日、東日本大震災とそれが引き起こした津波によって2011年3月に損壊した福島原発から約1kmの沖合で、放射性セシウムが再び検出されたことを確認した。
10月18日に実施された検査では、海水1リットル当たり1.6ベクレルのセシウム137が認められた。これは10月8日に同じ場所で検出された数値よりも僅かに高い。しかし、発電所事業者は、この数値は1リットル当たり90ベクレルの法定上限値よりも遥かに低く、従って、環境への影響は「殆どない」と語った。
環境諸団体は事態の評価に異議を唱え、発電所から遠く離れた地点でセシウムの数値が上昇したことにより、発電所内の高濃度放射能汚染水の管理は「統御されている」と安倍晋三首相が繰り返し確約した根拠が崩れたと指摘している。
2年半余り前に大災害が襲ってから、地震が発生する前における様々な失敗と地震に続いて起こされた様々な間違いについて、発電所事業者と日本政府は幅広い国際的な批判を受けてきた。しかし、人類は半世紀以上の間、ずっと高いレベルの放射能汚染と共存してきたと語る専門家たちがいる。
既に環境中にある
「私たちが住む世界には既に多くのセシウム137が環境中にあることを、人々は忘れている」と、気象研究所海洋・地球化学研究部主任研究官の青山道夫博士はDWに語った。
東電は今月初め、福島原発で新たな水漏れが見つかったと発表した
そして、私たちの周囲にある土壌・食べ物・空気・水の中にある放射線の一部は元から存在しているが、青山氏の指摘によれば、米国などが1946年から1962年の間にマーシャル諸島などの太平洋の環礁で実施した数多くの核実験の影響について、同氏は相当な量の研究に打ち込んできた。
青山氏の研究によれば、北太平洋では1970年までに、大気中核実験に由来するセシウム降下物が、推定290ペタベクレル−29の後にゼロを15個続ける、驚きの数−あった。それに対して、福島原発から直接放出されたセシウムが約3ペタベクレル、大気中に放出されたセシウムの総量が−その約80%が太平洋に沈積している−約15ペタベクレルだったことが示されている。
青山氏は最も新しい論文で、1960年代末の太平洋の表層水には、1立方メートル当たり10〜100ベクレルのセシウム137が含まれていたと述べた。こうした濃縮は2011年3月までに、海水1立方メートル当たり1〜2ベクレルに拡散していった。
そして、大事故の直後、福島原発から非常に近い場所では、この数値は1立方メートル当たり1000万ベクレルに急上昇したが、現在は1立方メートル当たり1万ベクレルまで減少した。2012年6月、発電所から2000kmの場所では数値が1立方メートル当たり10ベクレルに過ぎないことを、青山博士は発見した。
バルト海では数値はさらに高い
これに対して、マサチューセッツに本拠を置くウッズホール海洋研究所で進行中の研究によれば、1990年、黒海での数値は1立方メートル当たり52ベクレル、アイリッシュ海−イギリス・セラフィールド原発の問題の遺物だ−では55ベクレル、そして、バルト海では125ベクレルだったことが示されている。
「大部分の人々は、こうした数値がどれだけ高いかを知らないか、本当に気にしてないかのいずれかだ」と、金沢工業大学未来デザイン研究所所長であり、同時に独立系の放射線監視団体セーフキャストでボランティアを行っている、環境問題専門家のアズビー・ブラウン氏は語った。
「マーシャル諸島の住民のように、非常に気にしている人々は勿論いる。彼らは核実験の影響を受けており、もっと補償を受けて然るべきだと感じている。しかし、核実験によって膨大な量の放射性廃棄物が全世界に投げ出され、それは北半球に顕著で、当時の政府はこれが実際に人々の健康に影響を及ぼすことはないという態度を示していた」と、ブラウン氏はDWに語った。
1963年に部分的核実験禁止条約が調印され、大気中と水中の核実験が禁止されるまでは、こうした姿勢が支配的だった。
「核実験が人体の健康にもたらす有害な影響について明白な証拠を示すのは、研究者たちにとってずっと難題だった」と、ブラウン氏は語った。「しかし、それは影響がなかったという意味ではない。」
食物の供給をめぐる強い不安
「食物は大いに懸念される分野であり、事態を綿密に監視する必要がある」と、ブラウン氏は語った。「それでも、政府・独立団体の双方が実施した信頼できる検査によれば、1日当たり1ベクレルもの量を食物から摂取する人は、現在は福島にも殆どいないことがはっきりと示されている。ところが1964年には、核実験による降下物のために、国中で1日当たり約5ベクレルを毎日食べていた。」
環境諸団体は安倍政権の評価に異議を唱えている
「人々に汚染のリスクを警告する努力もなければ、汚染された食物が店頭に出ないようにする努力もなかった」と、彼は指摘した。「そして、大部分の国ではこれが真実だった。」
こうした数字が現れたために一部の方面で怒り声が上がり、科学者たちは福島の大事故の影響を軽く扱おうとしているとの非難が起こった。しかし、ブラウン氏はこれに同意せず、こうした比較は得る物が非常に大きいと語る。
「海洋の観点から見れば、これは明らかに環境の大災害であり、そして、これはまだ進行中だ」と、彼は語った。「特に、福島沖の海洋底が受けた損傷は回復まで長い時間がかかり、そして実際のところ、母なる大自然の成り行きをじっと見守るしか選択肢はない。」
また、この専門家は「最も深刻な影響を受けた区域の汚染が過去に経験した多くのものより酷かったとしても、海産物の念入りな検査もあわせて行えば、人体の健康に危害が及ぶのを防ぐのに役立てることが可能だ」と語った。
「そして、これは、核実験が行われた期間における健康面への影響を十分に理解するために、私たちは2倍の努力をする必要があるということも示している。なぜなら、それが福島での将来の影響に私たちが備えることに役立つからだ。」
発表 2013年10月25日
記者 Julian Ryall, Tokyo
編集 Shamil Shams
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(投稿者より)
ドイチェヴェレの英語サイトに掲載された記事です。誤訳があるかも知れません。ご容赦下さい。
ペタは「10の15乗」つまり「千兆」ですから、1ペタベクレルは1000兆ベクレルです。ですから、「北太平洋では1970年までに、大気中核実験に由来するセシウム降下物が、推定290ペタベクレル−29の後にゼロを15個続ける、驚きの数−あった」"an estimated 290 petabecquerels - an alarming 29 followed by 15 zeroes - of cesium fallout was in the north Pacific ocean from atmospheric weapons tests"という記事の説明は間違いで、29の後に続くゼロは16個でなければいけません。このエントリーを何かで利用したい方は、ご自身でも検証なさってください。
1960年代までの大気中核実験による健康被害についての考察は、2011年3月以降、阿修羅の原発板で数多く見ています。それらを総合すると、「核実験が原因と断定はできないが、有意な差は世界的に確かにあった」ということが概ね言えたと記憶しています。興味がおありの方は、ご自身で発掘なさってみるとよろしいです。
さらに、私たちにはチェルノブイリの教訓があります。
ですから、この記事に示された一連の議論から「福島の放射能は大したことないんだ」と考えるのは間違いだと思います。勿論、違う見解が示される余地はあり、批判も出るかも知れませんが、多様な意見を知っておくのは悪いことと思いませんので、今回、投稿させていただいています。
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