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【 終わるはずの無い環境破壊 – 止まっていない!大気中・海洋中への放射性物質の漏出 : 福島第一原発 】《前篇》
http://kobajun.chips.jp/?p=14746
2013年11月1日 星の金貨プロジェクト
『新たな事故』が作られつつある福島第一原発、偽りの安全、偽りの安定を信じるのは危険!
新たな汚染水の漏出は、別の深刻な問題を作り出している
マーティン・ファクラー、田淵ひろ子 / ニューヨークタイムズ 10月24日
事実が明らかになってから数か月たった今も、破壊された福島第一原発からもたらされる悪い知らせの氾濫が、止めどなく続いています。
今年の夏、福島第一原発を管理する東京電力は汚染された地下水が毎日数百トンという単位で海洋中に流れ込んでいることを認めましたが、新たな事故の発生により、福島第一原発から環境中に放出されている放射性物質の量は、減るどころかむしろ増え続けている有様です。
今週新たに報じられたのは、汚染された雨水が擁壁を乗り越えて溢れだしてしまったというものでした。
その2週間前には作業員が汚染水の配管を誤って外してしまい、10トン以上の汚染水が流れ出して付近の地面を水浸しにした上、作業員自身も複数が汚染水を浴びてしまいました。
こうした事故が相次ぐ状況により、福島第一原発の事故について新たな疑問が持ち上がることになりました。
染水の漏出が続いているが、周辺環境への漏出はどの程度の規模なのか?
そして、2年半前に発生したそもそもの事故に新たな事故が加わったことにより事故の規模は拡大し、日本の人々は新たな危険にさらされているのではないか?
さらには長い時間を必要とするものの、多方面から期待されている、環境中に放出された放射性物質の放射性崩壊が進むことによる、環境の回復始まっているのか?
などの問題です。
この数週間の間に行われた複数の科学者に対するインタビューは、専門家といえどこうした問題に対する答えを出すことは困難であるという状況を示唆しています。
その中には、福島第一原発の沖合、海底の幅広い場所で放射線量が異常に高いホットスポットが複数確認されましたが、それが2011年3月の事故によるものなのか、それとも最近の汚染水の漏出によるものなのかの判断なども含まれます。
しかしこうした研究者や福島第一原発を管理する立場の東京電力が確認した様々な事実は、福島第一原発周辺が予断を許さない状況にある事を示唆しています。
最近明らかになった汚染水の太平洋への漏出は、事故当初よりも大規模になってしまっていることが疑われています。
そして汚染水の漏出量は、2015年に完成を予定している凍土壁が完成するまで、減少させる手立てが見つからない可能性があります。
この問題とは別に、今や多くの日本人は福島第一原発からの大気中への放射性物質の放出は止まっているものと考えていますが、実際には大気中への放出は現在も続いているのです。
「この状態が続けば、深刻な環境破壊がゆっくりとではあっても、進行し続けることになります。」
福島第一原発の汚染水の漏出状況について調査を続けている、産業技術総合研究所・地質調査総合センターの地球物理学者である丸井敦尚(あつなお)氏がこのように語りました。
「汚染水の漏出に終止符を打たなければ、我々は新たな『人災』を引き起こす危険を冒すことになります。」
しかしインタビューを行った福島第一原発の現状について最も懸念している科学者の中にも、今回の汚染水の漏出が直ちに人間に対する脅威が拡大していると考えている科学者はいませんでした。
福島第一原発周辺で生活していた80,000人の住民たちは事故後、ただちに避難を行い、周辺海域での漁業は現在厳しく制限されていることから、新たな汚染水の流出が、ただちに人間に被害を与える可能性はほとんど無いとしています。
しかしこの科学者たちも、環境への影響は全くの別問題だと語っています。
そして現在大気中、そして海洋中に漏出が続いている放射性物質の量は、事故直後のものと比較すればかなり低いものであるとはいえ、正常に機能している原発に課される制限をはるかに超える量の漏出が、現在も続いていると語りました。
東京電力、日本政府ともに、汚染水問題は目下の緊急課題というほどではないという態度をとっています。
外洋に流出した放射性物質は広大な太平洋の中で希釈され、高濃度の汚染水は福島第一原発の専用港内に閉じ込められた状態にあり、それ以外の潜在的脅威は存在しないという立場をとっています。
しかし、太平洋に流出した放射性物質が、ほとんど影響がないところにまで希釈されていること、そして事故の影響を受けた東日本各所の地下水や水道水の放射線量が、安全基準を満たしていることには同意する科学者も、新たな汚染水の漏出が別の深刻な問題を作り出している可能性について懸念を深めています。
広範囲にわたる場所で、放射線量が異常に高いホットスポットが確認されている問題とは別に、日本の水産庁は、福島県沖で獲れた海底棲息魚介類の10分の1以上から、政府が定める安全基準を超える放射性セシウムが検出されていることを明らかにしています。
〈 後篇に続く 〉
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福島第一原発の『本当の状況』を私たち一般市民が理解するには、ニューヨークタイムズとフェアウィンズに勝るものは無い。
それが3.11以降、数百本の原発関連記事を翻訳してきた私の『個人的な』感想です。
もっと言えば、マーティン・ファクラー氏、田淵弘子氏、そしてアーニー・ガンダーセン氏に勝る人はいません。
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【 終わるはずの無い環境破壊 – 止まっていない!大気中・海洋中への放射性物質の漏出 : 福島第一原発 】《後篇》
http://kobajun.chips.jp/?p=14750
2013年11月2日
海洋中のホットスポット、その存在は今後の海洋環境にどう影響するのか
一時間当たり1,000万ベクレルの放射性物質の放出は、現在も続いている
マーティン・ファクラー、田淵ひろ子 / ニューヨークタイムズ 10月24日
直近の福島第一原発の問題は、今年6月、東京電力が事故を起こした原子炉のうちの2基付近の地下水から、ストロンチウム90を含む高濃度の放射性物質を検出したことから始まりました。
この事実について東京電力は、事故発生当時、原子炉に付属する配管に閉じ込められた高濃度の汚染水が、徐々に周囲にしみ出した結果であろうとしています。
現在計画が進んでいる凍土壁は、このもともとある汚染水が周囲に漏れ出さないようにするとともに、西側にある丘陵地帯から福島第一原発の敷地内に流れ込む地下水が原子炉建屋付近に到達するのをブロックし、汚染されて海に流れ込む状態を解消しようとするものです。
(現在メルトダウンして原子炉建屋の基礎部分に広がる溶けた核燃料により汚染された地下水は、敷地内の膨大な数のタンクの中に収容されています。)
今回の放射線の放出規模、そして地下水に含まれる放射性物質の量について、海洋の放射能汚染問題の権威で政府の気象研究所の主任研究官を務める海洋科学者の青山道夫氏は、現在1日あたり300億ベクレルの放射性セシウム137が太平洋に流れ込んでおり、その量は昨年の3倍に達しているとしています。
青山氏はストロンチウム90の流入規模も、ほぼ同程度であろうと見積もっています。
青山博士は事故発生当初太平洋に流れ込んだセシウム137の量を18,000兆ベクレルと見積もっており、その量と比較すれば、現在の流入量は際立って少ないと語りました。
しかし別の科学者は、新たに判明した汚染水の流出は、専用港の外にも影響が及んでいると考えています。
東京大学・海洋工学研究センターのブレア・ソーントン准教授は、ホットスポットを見つけ出す作業に参加しましたが、対象を福島第一原発の沖合い380平方キロにまで広げて海底の調査を行いました。
ソーントン准教授はセシウムとストロンチウムのように水より重い放射性物質が、海溝のような他よりも深い場所に集積することによって、ホットスポットが形成されていたようだったと語りました。
ソーントン准教授によれば、海流が新しい沈殿物をこれら有害な放射性物質の上に堆積させるため、時間の経過とともにホットスポットの放射線量も徐々に低下して行きます。
しかし現実にはこれらのホットスポットの放射線量は他の場所と比べ、数百倍、あるいは数千倍という高さであり、福島第一原発から放出され続けている放射性物質が、その場所に次々と堆積している可能性があるのです。
ソーントン博士によれば、もう一つ考えられるのは、最初の事故で放出され、その場所に集まって泥の中に沈殿した放射性物質が、期待したほど早くは減少していない、という可能性です。
海洋科学の研究者によれば、いずれの場合であってもエビや小さな魚などは自分の身を守るため、こうした深みに身を隠す習性がある事から、ホットスポットの存在は気がかりなところです。
前述した放射性物質がこれらの小さな海洋生物の体内に入り込めば、食物連鎖によって魚介類への放射能汚染が広がることになり、地元の漁師が切望する漁の再開は一層先のことになってしまいます。
一部の科学者は海底のホットスポットの存在こそが、なぜ未だに放射線量の高い汚染された魚が獲れるのか、その理由を説明するものだとしています。
これら汚染された魚の放射線量は、下がることは下がってはいるものの、期待された程の早さではありません。
「現在でもセシウム137の放出を続けている汚染源があることは明らかである、そう考えるべきです。」
東京海洋大学の海洋科学者である神田穣太教授が、こう語りました。
「現在何が起きているのか、その事をはっきりさせることはできません。しかし私たちの予測を上回る規模で、環境に対し悪影響が及んでいるものと考えなければなりません。」
これまではあまり懸念されることがありませんでしたが、福島第一原発は未だに放射性セシウムを大気中に放出し続けています。
これらを食い止めるべきフィルター設備が事故により損傷、あるいは破壊されているためです。
東京電力によれば、福島第一原発からは一時間当たり1,000万ベクレルの放射性物質が、大気中に放出され続けています。
事故直後、東日本の広域で放射線量が著しく上昇しましたが、その後は低下を続け、2012年2月以降は安定して低い状態が続いていると、東京電力側は語っています。
東京電力は放射性物質の大気中への放出を止めるため、破壊された原子炉を覆うカバーを建造するなどの対策を採ってきました。
しかし放射性物質はこのカバーの微細な隙間や換気設備の配管の裂け目、あるいは破壊された原子炉建屋などから漏出し続けており、東京電力もその事実を把握しています。
しかし複数の専門家がこう警告しています。
大気中と海洋中への放射性物質の放出が止まらない限り、福島周辺の環境破壊は着実に進み、決して終わることは無い、と。
最近日本政府が行った海洋調査に参加した研究機関の研究員である日下部正志氏が、次のように語りました。
「現在起きている汚染水の流出のレベルは、直接人間に被害を及ぼす程のものではありません。」
「だからといって、この流出をこのまま放置してよいという訳ではありません。」
日下部が続けました。
「現在起きているようなことは、人類は未だ経験したことが無いのです。これから何が起きるのか、その本当の答えは誰にもわからないのです。」
< 完 >
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