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2013-10-31 06:55:06
「実質的に脱原発を実現した国はどこか。いうまでもなく日本である」と、慶応大の小熊英二教授。私たちを勇気づけてくれる指摘ではないでしょうか。朝日新聞の本日10月31日朝刊、オピニオンのページ(15面)に、「政府は宣言していないが、実質的に脱原発を果たした国は、日本である」と明快に断言する論考を寄せています。
「日本には偉大なリーダーはいないが、民衆の実行力はすごい」というのが一貫した日本評価であり、「あとは政治家が、この(民衆の)趨勢を認識し、応えられるかの問題だ」と、結論づけています。
脱原発と言えば、ドイツ。フクシマのあと、ドイツのメルケル政権は「脱原発」を宣言しました。日本からも、多くの政治家が視察に訪れました。しかし、そのドイツでは、実際には今も多くの原発が操業しています。
それに比べ、日本はすでに「脱原発してるんだ! なんか文句あっか」といわんばかりの小気味いい小熊教授の論考です。「日本に偉大なリーダーはいないが」という指摘はその通りだと思います。ただ、「民衆の実行力はすごい」というのは、少し持ち上げ過ぎでは、と面映ゆい。
とはいえ、日本の大衆が毎週金曜日に首相官邸で抗議の集会を続け、経産省前で「フクシマ原発事故の責任を問い、脱原発をめざすハンスト」などを続けてきたのも事実。世論調査の結果は、「段階的に減らし、将来は止める」がいつも7割の圧倒的な多数を占めています。それは時間とともに減るどころか、小熊教授によると、「脱原発を求める民意の水準は上がってきている」。
でも、不安が残るのも事実です。それは原発ムラの巻き返しが着々と進められているからです。原発再稼働に反対の泉田・潟県知事にはさまざまな圧力がかかり、再稼働を望む原発関連企業関係の県民からの意向もあるなかで、柏崎刈羽原発は再び動き始めるのではないか。
関西電力も、大飯原発を先頭に押し立てて、原発再稼働の先兵役を引き受けています。
何よりも安倍政権の原発へのこだわりが強烈です。多くの国に原発を輸出しようと、首相自ら原発セールスに力を入れています。
脱原発の活動には、「原発輸出反対」「原発をよその国に造るな」をメイン・スローガンのひとうに格上げする必要があります。
小熊教授は、「あとは民意に政治家が応えられるかの問題だ」と、紋切り型の結びにしましたが、政治の実態は「いかに民意を裏切って、原発を推進するか」で動いています。その実態を全く無視したかのような小熊さんの論考は、お手軽すぎます。
私たちが、手を緩めず、粘り強い脱原発の運動を求められている現実は、少しも変わっていません。
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