http://www.asyura2.com/13/genpatu34/msg/435.html
Tweet |
何とかこぎ着けた柏崎刈羽原発の申請だが、審査開始が遅れる可能性が高まっている(写真は廣瀬直己・東電社長) Photo:REUTERS/アフロ
http://diamond.jp/articles/-/43639
2013年10月29日 【第901回】
「結局、銀行の筋書き通り。カネの話ばかりで、エネルギー政策も何もあったものじゃないですよね」
東京電力の若手社員は深いため息をつく。福島第1原子力発電所の汚染水問題は、抜本解決の道が見えず、東電の経営問題はカネの論理ばかりが際立っている。
顕著だったのが、柏崎刈羽原発の安全審査申請だ。9月末の廣瀬直己社長との会談から一転、泉田裕彦新潟県知事が容認に踏み切った背景には、東電による安全面での対応強化以外に、金融機関による770億円の融資借り換えが10月に迫っていたことがあった。
借り換えの前提となる今期の経常黒字には、柏崎刈羽原発の再稼働か電気料金値上げが必須。金融機関側は柏崎刈羽原発について、「(実際の再稼働ではなく)安全審査の申請さえできれば借り換えには応じられる」(金融関係者)と説明していたため、東電や経済産業省も「再稼働前提ではなく、取りあえず安全かどうか確かめたい」という姿勢で、新潟県との水面下の交渉を進めていた。
安倍晋三政権も「消費税増税のほかに電気料金値上げだけは避けたかった」(経産省幹部)ことで、新潟県議会を通じて外堀を埋めていったという。こうした政権の後押しも泉田知事の翻意を促した。
修繕先送りで黒字化
だが、安全審査を申請したとはいえ、1件の融資案件のめどがついただけで、東電の経営をめぐる根本状況は何も変わっていない。あくまで、審査を申請しただけで、実際の再稼働時には再び知事の同意を得なければならないのだ。
また、12月に三井住友銀行や日本政策投資銀行から受ける予定の3000億円の新規融資も難航しそうだ。10月の借り換えにめどがついたことで新規融資も実行されるとの報道もあるが、東電側と金融機関は今も交渉を続けている。
交渉で東電が示しているのが、2014年度の柏崎刈羽原発の再稼働と、修繕費の先送りによる今期の黒字化だ。経産省幹部によると、「一番カネのかかる送電設備の修繕を全部遅らせれば、2000億円近い費用を削れる」ため、12月にも策定する収支計画にこうした数値を盛り込む方針だ。
金融機関側は「稟議を通すには1カ月はかかる」(関係者)として東電の計画が持続可能かじっくり査定する方針というが、本音を言えば、「東電救済にここまで使った以上、株主代表訴訟に耐えられるだけの論理があるかどうかが重要になる」(別の金融関係者)。
実は、金融機関と交渉しているのはもはや東電ではなく、国の原子力損害賠償支援機構や経産省になっている。東電が蚊帳の外に置かれ、再生計画の大きなビジョンも見えぬまま、数字の帳尻合わせによる綱渡りの金策が続いている。
関係者によると、東電は12月の新規融資の後、来年1月には別の金融機関から資金を調達する計画を立てているようだが、小手先の延命策では限界が来ている。国民生活に直結する東電の事業、エネルギー政策の将来の姿を提示しない限り、ごまかしが続いていくことになる。
「週刊ダイヤモンド」編集部 森川 潤
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。