http://www.asyura2.com/13/genpatu34/msg/319.html
Tweet |
原子力機構の斎藤伸三・もんじゅ所長=福井県敦賀市(写真:産経新聞)
「もんじゅトラブルの原因は設計」 耳を疑う原子力機構トップの発言
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131020-00000554-san-sctch
産経新聞 10月20日(日)21時33分配信
発電しながら消費した以上の燃料を生み出す“夢の原子炉”計画は道半ばで挫折するのか−。大量の機器点検漏れなど安全上の重大なミスが発覚したのをきっかけに、原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令を受けた高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)。運用する日本原子力研究開発機構は所管の文部科学省と一丸で組織・体制の抜本的な立て直しを図ることになり、10月1日から1年間の「集中改革期間」をスタートさせた。しかし地元には改革断行へ向けた覚悟がいまひとつ伝わらない。信頼と期待を裏切り続けてきた原子力機構の体質は果たして変わるのだろうか。(福井支局 矢田幸己)
■改革初日に開き直り発言
「もんじゅが長く止まったトラブルの原因を精査すると、機器の設計時に原因があった。設計時にトラブルの種が埋め込まれると、作業員が一生懸命やっても(トラブルが)起こるまでわからない」
集中改革期間がスタートした1日、原子力機構の松浦祥次郎理事長は同市の河瀬一治市長との会談でこう述べた。思わず耳を疑った。もんじゅが長期運転停止に陥った根本原因は、設計を担当したメーカー側にあるというのだ。松浦氏はこうも続けた。「(トラブルは)原型炉では往々にあることだ」
確かに平成22年8月の炉内中継装置の落下事故はメーカーの設計ミスが一義的な原因とされている。しかし、安全上の問題をメーカー側に頼りすぎていたのは原子力機構に他ならない。過去の重大事故やトラブルを防止できなかったのは「安全に対する未熟な倫理が組織の根底にあった」(原子力機構幹部)からこそだろう。
開き直ったかのような発言を、今から決死の覚悟で改革に取り組もうとする組織トップの口から聞きたくはなかった。
■マスコミにも注文
松浦氏は会談の中で、さらりとマスコミにも注文を付けた。
「トラブルが起こったときには内容を正確に把握し、社会に知らせていただきたい」
相次ぐ不祥事で批判にさらされることが多い原子力機構のトップとして思わず“本音”を漏らしたのだろう。
だが、過去を振り返ってみてほしい。もんじゅは発電開始からわずか4カ月後の7年12月、温度計の設計ミスなどからナトリウム漏洩(ろうえい)事故を起こし、原子力機構の前身である当時の動力炉・核燃料開発事業団は安全性への姿勢はもちろん、事故に関する情報の虚偽報告や隠蔽(いんぺい)で大きな批判を浴びた。
もんじゅはその後も事故やトラブルを繰り返してきた。「トラブルが起こったときには」などという松浦氏の発言は、果たしてそうした過去を反省した上で責任と覚悟を示すものだったのだろうか。
■安全・改革会議は非公開
もんじゅは一連の不祥事などで幾度となく出直しを迫られた。今回の改革の本丸は、もんじゅを敦賀本部から切り離し、理事長直轄として位置づけたことだ。毎週、東京から現地を訪れては理事長自ら陣頭指揮を執るという。
この日も松浦氏は、もんじゅで行われる「安全・改革本部」の初会合に本部長として出席するため来県した。だが、会合は非公開とされた。
囲み取材でその理由を尋ねたところ、松浦氏は「組織運営の細かいことまで含む内部的な会合だから」と説明した。納得がいかない他社の記者らとの問答が10分近く続いたが、原子力機構は非公開の姿勢を崩さなかった。
“新生”原子力機構が船出する日に地元で組織トップ自ら改革への決意を表明する意味は大きく、失墜した信頼を取り戻す格好の機会ともいえたはずだが…。最初からこんな姿勢では組織の再生は見込めないのではないか。
「体質改善」にはしばらく時間がかかるのかもしれないが、原子力機構の対応は地元に対する重要なメッセージを発信する場を自ら放棄したように映った。この日新たに就任したもんじゅの斎藤伸三所長が「情報公開を進める」と職員らを前に訓示し、組織の「透明性」を強調しただけに、後味の悪さばかりが残った。
■甘い処分
もんじゅの機器点検漏れは昨年9月に判明し、その後も断続的に見つかった。これは原子力機構が、過去の度重なる事故やトラブルに加え、東京電力福島第1原発事故の影響もあり、当面の運転再開はないと判断し設備の点検を延期していたためだ。
内規では、点検を延期しても設備の安全性に影響がないことを確認し、書類に残すよう手続きを定めていたが、組織内で徹底されていなかった。再発防止策として、電子システム(コンピューター)による管理が導入されたのは今年4月になってからだ。
原子力機構は点検漏れ発覚から約1年を経た9月末、累計約1万4千点にも及ぶ機器の点検作業をようやく終えた。改革を実行へと移す直前に一連の点検不備問題を収束させた格好だが、関係者の処分の甘さがさらに不審を抱かせた。
原子力機構は辻倉米蔵副理事長(敦賀本部長)ら計22人を給与の自主返納や減給などとしたが、点検放置が明らかになった当時の責任者ら幹部職員5人については、給与の1日当たりにおける半額分を減給としたのみ。仮に月給が60万円なら、減額されるのはわずか1万円。しかも、1度限りだ。
「民間企業ではあまり聞いたことがない」。ある電力事業者はやんわりと批判した。これまでもんじゅには、約1兆円の国費が投じられている。投資に見合った成果を上げられない中、身内に甘いようでは国民の批判は増す一方だ。原子力機構は改革計画で職員に対する「適正な信賞必罰」を掲げているが、果たしてうまく機能するのだろうか。
存亡のふちに立つ原子力機構。もんじゅが立地する福井県や敦賀市など地元では、世界に誇る研究開発拠点を長年にわたり受け入れ、共存してきたという自負がある。後を絶たない事故やトラブルも多少は大目にみてきた。ただ、今度の「解体的」組織改革が軌道に乗らず、運転再開への道筋が開けないようでは、我慢の限界かもしれない。
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。