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福島第一原発事故の教訓
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-8299.html
2013年10月19日 マスコミに載らない海外記事
アーニー・ガンダーセン
Global Research
2013年10月16日
Fairewinds and GRTV
今週、フェアウインズのチーフ・エンジニア、アーニー・ガンダーセンは、ボストン市と、ニューヨーク市での“福島第一原発事故: 進行中の教訓”と題する二つのパネル・ディスカッションに出席した。他の参加者には、ラルフ・ネーダー、ピーター・ブラドフォード、菅直人、グレゴリー・ヤツコ、及び、ジャン・ミッシェル・クストー等がいる。
上記ビデオは、アーニー・ガンダーセンの“無事の40年間と、実にひどい一日”と題する演説の録画である。
ニューヨーク市での全プレゼンテーションは、下記で見られる。
http://new.livestream.com/FukushimaLessons/newyork
書き起こし
サミュエル・ローレンス財団に対し、こうした福島第一原発事故後のイベントを設け、支援くださることに厚くお礼を申しあげます。
より重要なことは、今日の集まりは、もし連邦と州の政策立案者や大企業幹部達が、福島第一原発の事故が本当に起きたと思っていたなら、必要なかったはずなのです。もし彼等がテレビで見たことを信じていたならば、原子力事故というものは起こるものだということを理解していたはずです。原子力事故は不可避なのです。彼等は“あらゆる「対馬鹿安全対策=foolproof」システムでは、遅かれ早かれ馬鹿連中が安全対策を越えてしまう!”ということを理解していたはずなのです。
インディアン・ポイントは、興味深い対立的分裂をもたらしています。原子力規制委員会 (NRC) は、メルトダウンの可能性は百万分の一だと主張しています。世界中で、400基の原子炉が稼働しているので、NRCのデーターでは、メルトダウンは2,500年に一回起きることになります。NRCはこの分析を、確率的危険評価(略語はPRA)という手法によって行いました。ピルグリムやインディアン・ポイントの老朽原発に対し、今後20年稼働したとしても、こうした原発がどれほど信頼性が高いままであり続けるかを示す為、NRCは、より新しい原発のデーターを使っているのです。私のかかりつけの医師が、25歳の人々の健康統計を基にして、私があとどれぐらい生きられるかと言っているようなものです。もし我々がNRCの手法を使えば、福島第一で起きたことの確率は、百万 x 百万 x 百万 (1の後にゼロが18個)分の一です。
しかし、それは現実に起きたことではないのです。そうではなく、歴史では、過去35年の間に、5回のメルトダウンが起きています。スリーマイル、チェルノブイリと、福島第一原発第1号炉、2号炉と、3号炉(ウインズケール、サンタスザーナや、更に約一ダースの原子炉を含めていないことをお詫びします)。本当の数では、7年に一度メルトダウンが起きているのです。政策決定者や事業権益者は、インディアン・ポイント再認可を強行しようとして歴史を無視しているのです。
プライス・アンダーソンの原発保険を納税者達に払わせ、原発事故のリスクを負担するよう要求しながら、NRCも、あらゆる有力政治家も、原発メーカーも、実際には、インディアン・ポイントやピルグリムでは原子力事故は起こり得ないと思っているように見えます。人が、そうあって欲しいことを、正当化して思い込むことを、心理学者は“Motivated Reasoning(誘因された推論?)”と呼んでいます。
最近私は、ピカリング原子炉が、耐用寿命を越えて稼働させる申請をした為、カナダ原子力安全委員会で証言するよう依頼されました。ピカリングは、トロントの中心から、わずか32キロしか離れていません。トロントでの公聴会では、発言者達は次々に、税金を支払ってくれる、大量雇用事業所なのだから、この老朽原子力発電所を稼働させ続けるようCNSCに懇願しました。彼等は、言うのです。ピカリング原子力発電所の従業員達は素晴らしい人々で、町に住み、教育委員会のメンバーになり、サッカー・チームに入ったり、現地の教会の聖歌隊で歌っていたりする。各発言は、確かに、そのような素晴らしい人々なら、自分たちの原発が危険かどうか知っているはずであることを示唆しています。
この状況で、私は“…女性は全員壮健で、男性は全員ハンサムで、子供は全員平均以上だ。”という、ギャリソン・キーラーの『レイク・ウォビゴンの人々』の話を思い出します。私が訪れた原子力発電所がある町全てが、そこの原子力発電所は平均以上だと信じています。歴史が何かを教えているとすれば、そこで働いている人々の最善の意向にもかかわらず、原子力事故は起きるのだということです。
スリーマイル・アイランドの操作員達を知っています。彼等は地域社会の活動にも積極的で、原発近くに住んでいましたが、それでも事故は起きました。原子力というのは、40年間無事でいても、ひどい一日が起こりうる技術なのです。
チェルノブイリ事故の後、何人かの現地操作員と知り合いになりました。彼等は素晴らしい技術者で、安全意識の強い人々でした。彼等もその家族も、チェルノブイリ原子発電所のすぐ近くで暮らしていましたが、それでも事故は起きました。これは、40年間無事でいても、ひどい一日が起こりうる技術なのです。
『福島第一原発:真相と展望』という本を書いた後、何人かの福島第一の操作員達と知り合いました。スリーマイルやチェルノブイリの操作員達同様、彼等も細かいことによく気を配る、彼らの原子炉を熟知していました。彼等も第一原発のすぐそばに、家族と一緒に住んでいました。それでも、あの事故が起きました。原子力というのは、40年間無事でいても、ひどい一日が起こりうる技術なのです。
政策決定者や事業権益者達は、明らかにあの文章の“40年間無事”の部分を信じたがっていますが、“ひどい一日が起こりうる”部分を無視することを選んでいるのです!
エンタジー等の企業は、彼らの原子力発電所は“安全だ”と主張しています。これは一体何を意味しているでしょう??? これはつまり、原子力規制委員会 (NRC)は、その原発の書類の5%を検討し、書類は存在しているという項目の□印に、有りというチェックマークをつけたことを意味します。ところが、まさにその同じ企業が、原子力産業のロビー団体が、NRC委員全員を、過去20年間、議会が彼等を委員として承認する前から、厳しく吟味してきたことは人々に語りません。そして、まさに同じロビイスト連中が、そうした原発規制を作成するのに、NRCと協力していたことをご存じでしょうか? ですから、エンタジーや他の原子力発電所所有者にとっての安全とは、インディアン・ポイント等の原発が、迎合的な規制当局が作った最低承認基準に合致するということなのです。
具体的に、原子力発電所、特に商業炉を持っている企業についてお話しましょう。
1. NRCは、多くの原子力発電所を有限責任会社(LLC)にするのを認めています。企業を所有している企業とは、別の企業に。一体なぜこれが、我々にとって問題や懸念になるのでしょう?
1.1. インディアン・ポイント2号炉が、インディアン・ポイント3号炉とは別の有限責任会社であることをご存じですか? 二つの全く別の法人なのです。一体なぜでしょう? それで、もし一方の原発が深刻な放射能放出をした場合、エンタジーが、もう一つの原発を稼働し続けることを認めるのです。一基は破綻の宣言をしながら、もう一基は、放射能対策には使うことができないお金を生み出し続けられる様にするのを認めるのです。
1.2. エンタジーはそんなことをするはずはないだろうと思われますか? ハリケーン・カトリーナ後のニューオリンズを見れば、エンタジーは既に、この法的策略を行使していることがわかります。ニューオリンズの人々が市から逃げ出す中、エンタジーのニューオリンズ LLC 子会社は破産を宣言し、連邦による災害救済を申請したのです。アメリカ政府は、コミュニティ開発ブロック助成金として、ニューオリンズの貧しい人々のコミュニティーを助ける為のはずだった現金を移動して、それをエンタジーに渡したのです。エンタジーはそれを幹部のボーナスにしました。
2. 30年から40年稼働してきて、その設計寿命に近づきつつあったこうした老朽化した原発の条件はどのようなものだったのでしょう?
2.1. 2008年7月31日のインディアン・ポイント独立安全評価報告によれば、こうです。: 原発の物理的状態 …は、目に見える欠陥がある… プラントの他の系や構造の一部に対する世話と保守は、優れた業績のプラントの基準に合致しない… 所有者と操作員の献身と専門家意識を、社員に対しても一般大衆に対しても同様に伝えることになるので、重要性の低いプラント系や、機器や構造の保守と維持は重要だというのが委員会の見解である。(2008年7月31日、インディアン・ポイント独立安全評価報告、11ページ)
2.2. バーモント州が招集した、バーモント・ヤンキー監督委員会が、同様な問題を明らかにしました。“老朽化した原発というエンタジーの事情を考えれば、不十分な資源充当の問題は、極めて重要性を帯びる。エンタジーの残り寿命の数年以内に、閉鎖する可能性は決して排除できず、ある時点で、ほぼ確実なものとなろう。もし過去数年の出来事が、何らかの参考になるとすれば、エンタジーには、安全装置と、信頼性重要度が明らかな系に対すして、支出を集中させ、信頼性重要度が二次的と思うシステムに対しては、資源を出し惜しむ傾向がある。” [強調は追加] “安全系ではないものに対する限られた資源配分は、それゆえ、エンタジー社内では体系的なものである可能性がある。”
2.3. ごく最近、エンタジーは、婉曲的に人的資本マネージメント・イニシアチブと呼ばれるものによる、全社的な5パーセント人員整理を発表しました。つまり、二つの独立した委員会が、エンタジーは十分な資金を使っていないと判断しているにもかかわらず、エンタジーは、同社の老朽化した、最も脆弱な原子力発電用原子炉の全てにおいて、人員を削減すると決定したのです。
皆様は、これに関してNRCは一体何をしているかと思われるでしょう? 何も、全く何もしていません。それどころか、NRCのリージョン1 PR広報担当者ニール・シーハンは、“… NRCには、原子炉監督手続きによって、悪影響があるかどうかを判定する能力がある”“もしも、検査の所見、および /あるいは、性能指標で、否定的な傾向を認めた場合には、人的資源の変化と何らかの関係があるかどうか、判定することが可能であろう。”と言っています。
私には、シーハンの言葉は、事故の後で、エンタジーが人員を削減しすぎたかどうか、NRCが判断する可能性がある、と言っているように聞こえます。
これについて言えば、電気価格が現在の様に低下している今、人員削減は、儲けるための原子力産業の手法になっています。コネティカット州のマイルストーン原子力発電所は“業界平均に近づくよう、人員を削減します”。NRCは企業が人員削減するのを認めているのです。しかし、もしマイルストーンが業界平均なのであれば、他の原発は業界平均以下であるに違いありません。一体なぜ、NRCは、そうした原発に行って、業界平均にまで上げる為に、従業員の人数を増やせと言わなかったのでしょう? 業界は、原子炉要員を削減しようとするだけで、NRCは、待ったをかけたがらないのです。
毎日、我々、フェアウインズ・エナジー・エジュケーションは、アメリカの原子力発電所は、福島第一原発でメルトダウンしたものと比較してどうなのかと尋ねる質問を受けています。インディアン・ポイントやピルグリムは本当に福島第一原発とは違うのでしょうか? そんなことはありません! 実際、両原発とも、もっとひどい問題点があるのです。
人口集中地域には、インディアン・ポイントとピルグリムのほうがずっと近いのです。そして、福島第一原発事故の前には、日本の緊急時計画は、アメリカのものより遥かに優れていると人々は信じていました。福島第一原発のまさに安全系そのものが駄目になったので、日本の強力な緊急時計画でさえも駄目だったのです。
インディアン・ポイントとピルグリム双方の使用済み核燃料プールは、福島第一原発よりも5倍の核燃料を収容しており、地上核実験で投下された全ての原子爆弾より多いセシウムを含んでいるのです。しかも、これはセシウムだけでの話です。他のあらゆる放射性同位元素を想像ください。
インディアン・ポイントとピルグリムは同じ年齢、第一世代の設計です。福島第一原発第1号炉は、商業運転を、1971年に開始し、津波が襲う、わずか一ヶ月前に、更に10年間稼働する承認を受けたばかりでした。福島第一原発の2号炉は、1974年に運転を開始しました。
福島第一原発は地震と津波を受けましたが、原発を本当に破壊したのは、外部電源喪失と、最終ヒートシンク喪失なのです。この両方が、インディアン・ポイントとピルグリムでも起こり得るのです。最終ヒートシンク喪失は、取水構造へのテロリスト攻撃でも起こり得るのです。
地震の頻度はどうでしょう? インディアン・ポイントは、NRCによれば、アメリカ地質調査所の地震災害曲線を適用した場合、アメリカのあらゆる原子炉の中で、地震の間に原子炉炉心が損傷する確率が最も高い(炉心損傷頻度)のです。バージニア州ノース・アンナ原子力発電所での経験ではindicates強い地震の頻度が、ひどく過小評価されています。ノース・アンナで、10,000年の間で最悪の地震は、リヒター6と想定されていました。ところが30年の間にリヒター6の地震がおきていますから、もっと強い地震が将来起きうるのです。インディアン・ポイントでは、原子炉から1.6キロの所に活断層があり、それが原発が耐えるよう設計されたより大きな地震を引き起こしかねません。
お話をこう纏めたいと思います。原子力発電所の壮大さを人が見れば、原子力産業が傲慢になるのも容易なことです。私は1972年に、レンセラー工科大学の原子力工学の学士として、仕事を始めました。原子力工学部は、インディアン・ポイントを建設中に見学しました。当時も今も、堂々とした建物です。一体どうして、あの建屋がそれほど堂々としていなければならないのかとは誰も質問しません? それほど堂々とした構造が必要な、こうした発電所の中には、そもそも一体何があるのでしょう?
しかし、原子力発電所の安全系が効かずに、大惨事が起きることを我々が直接見てしまった以上は、一体なぜ、そのような制御不能の手に余る技術のものを作るのかを問う必要があります。これら原発内の力は膨大で、24時間/7日間/365日、とじこめ続けなければなりません。福島第一、チェルノブイリやスリーマイル・アイランドは、こうした力を閉じ込め続けることが全く無理であることを証明しています。 一つの操作員のミスや、重大な気象災害や、地震や、テロリスト攻撃で、ニューヨーク市全体が大変な一日を迎え、日本と同様に、未来は極めて惨めになるでしょう。
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福島第一原発事故: ニューヨークへの教訓、2013年10月8日、火曜日
92nd Street Y、1395 Lexington Avenue、ニューヨーク、NY 10128 (テレサ・L・カウフマン・コンサート・ホール)
福島第一原発事故: ボストンへの教訓、2013年10月9日、水曜日
マサチューセッツ州 State House、24 Beacon Street、ボストン、MA 02133 (ガードナーオーディトリア)
記事原文のurl:www.globalresearch.ca/lessons-from-the-fukushima-daiichi-nuclear-accident/5354517
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