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福島市の風景。除染はまだ続く
(プロメテウスの罠)給食に福島米:19 判断に時間がほしい
http://www.asahi.com/articles/TKY201310170783.html
2013年10月18日05時00分 朝日新聞
今年1月に福島市の学校給食で市産米が使われるようになってから、市内の八巻美幸(やまきみゆき)(43)は小学3年の長男に毎日おにぎりを持たせている。
原発事故で生じた行政不信は根深い。市が「安全だ」といっても、なかなか信じることができない。
事故直後、水道水から1キロ当たり最高177ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたが、市から使用制限はかからなかった。後になって、国は10ベクレルという基準を示してきた。
当時は何も気にせず、水道水をそのまま子どもに飲ませてしまった。今もそのことへの悔いがある。
県知事が県産米の安全宣言をした直後に汚染米が見つかったこともあった。そうした例を挙げればきりがない。行政は当てにはならない。自分で判断するしかない、と思う。
学校給食で市産米が使われることになったとき、八巻は長男をこう説得した。
「市は安全だというけど、放射能が見逃されて食べてしまうことも、絶対にないとはいえないんだよ」
全水田、全果樹園を調べるというJA新ふくしまの取り組みを、八巻は評価している。だが、それがすぐに「食べさせてもいい」につながるわけではない。子どもに市産米を食べさせていいのかどうか、判断するにはもう少し時間がほしい。
別の心配もある。他の子どもと違う道を選ぶことによるリスクだ。おにぎりを持っていくことで、いじめられたりはしないだろうか。
担任の女性教諭に相談した。教諭は親身に応じてくれた。目配りをしてくれる、といってくれた。
できる限り、八巻自身も気を使っている。
少しでも他の子との違いが小さくなるように、おにぎりには具を入れない。こぶし大の塩おにぎりを一つだけ。給食のご飯とほぼ同量だ。給食がカレーの日だけは、おにぎりではなく弁当箱にご飯を詰める。
長男は本来、給食が大好き。パンよりもご飯が好きだ。可能なら給食の温かいご飯を食べさせてやりたいと思う。米飯持参を続けなければならない今の状況を悲しく思う。
持参させるようになって2カ月たったこの春。担任教諭に「様子はどうですか」と連絡帳で尋ねた。
返ってきた連絡帳には「大丈夫ですよ」とあった。(関根慎一)
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明日から第38シリーズ「医師、前線へ」に入ります。
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