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渡邉正己氏の発がん説をとりあげる。その2
・被ばくのビタミンCによる防御有効性は、すでに実験ではっきり実証されている
前回、渡邉正己氏の発がん説をとりあげた。西岡昌紀氏のアマゾンへの書評には、渡邉正己氏の説が、永田親義著の「がんはなぜ生じるか」に書いてあるとあった。永田親義の本はかなり以前に読んだ記憶があって、そんなこと書いてあったか、と思って調べたら、新しく最近出た本のほうらしい。さっそく、読むと、最後のその他の説にある。主流派は、標的がDNAで、渡邉正己氏の説は、標的がタンパク質だということである。最終的には、どちらの説でもDNAが変異して発ガンに至るということになる。
永田親義著「がんはなぜ生じるか」p232〜234では、渡邉正己氏の説を解説している。これは、突然変異とがん化を調べて、低線量域で、DNA突然変異のじつに数百倍のがん化が発生する原因を、フリーラジカルを直接観察する技術を開発して、長寿命ラジカルを発見したのであった。これは、システインに関連するフリーラジカルで、活性が低いため直接DNAを損傷しないが、別の経路を通じてがん化や突然変異にかかわることは、ビタミンCでこの長寿命ラジカルを消去すれば、がん化や突然変異がおきなくなることからわかる、とある。
渡邉正己氏は、それ以上言及しないが、この半減期20時間の長寿命ラジカルが損傷するのは、水溶液中の抗酸化酵素、DNA修復酵素、p53アポトーシス関連酵素などであろうか。DNAを直接変異させるわけではないが、これら重要な酵素群をなんらかのメカニズムで損傷するわけである。これは前に述べたように異形酵素になってしまうのだろうか。タンパク質の変性といってよい。三次構造が変わるため酵素活性がなくなるのである。そして、これは、おそらくわれわれに現在進行中の低線量内部被ばくでも起こっているのである!それは重要な酵素群ができなくなるため、最終的にDNAを損傷することになる。DNAの損傷は、直接がんになるわけではないが、さまざまな体調不良をもたらすことになる。
また、これに関連するが、私は、以前このあたりのことに関心をもって、シグナル伝達分子や、シグナル配列分子の、活性酸素による損傷を調べようとしたが、私の能力と知識では、てにあまるものであった。しかし、けっきょく水溶性の抗酸化物質ビタミンCでなにかタンパク質部分の損傷が防御できるのである。
こうして、被ばくのビタミンCによる防御有効性は、すでに実験ではっきり実証されていたのである。
・細胞膜(生体膜)をも含めたトータルな防御が必要
そのすこし前、p205、219には、発がんメカニズムにおけるエピジェネティクス説について書いてある。が、最初にDNAにとって問題になるのは、上記の抗酸化酵素、DNA修復酵素、p53アポトーシス関連酵素などであり、これら酵素の損傷は、ともかくビタミンCなどの水溶性の抗酸化物質で防御できるのである。膜の部分というより細胞質ゾルの水溶液の部分で最初に破壊が起こっているということになる。
が、丹羽靭負(ゆきえ)が言っているのは、多種類の抗酸化物質を、同時に使わねば、活性酸素損傷を防ぐ効果がない、ということである。これは、理論ではなく、臨床から得た結論であろう。臨床の王者丹羽靭負の言葉は重い。彼が言うSOD誘導能という活性酸素の量に応じてSODを増産する能力とは、なにか活性酸素の量を感知して、それに合わせてSODを増やす能力だが個人差がある。SOD酵素を作れる能力、すなわちSODの基質部分との結合率によるのだろう。これは、もって生まれた遺伝子が決めるのである。
だから、60代で30代の半分以下になるSOD誘導能は、人によっては、60代でゼロちかくなるだろう。退職年限延長なんてトンデモである。ひじょうにきなくさいものを感じる。60代以降はゼロちかくの健康低空飛行をする人間に働け、といっていることは、60代以降の人間は、活性酸素の量が増えても、SOD酵素はほとんど増加せず、増えた活性酸素によって目に見えない損傷、臓器不全、DNA変異が蓄積していくことになる。老人に苛酷な時代がやってくる。もちろん決める官僚はちょっとの労働で年俸何千万円だからなにも気にしない。
丹羽靭負の「本音で語る医療と健康」p103、104にも書かれているこの抗酸化物質の多種類とは、水溶性の抗酸化物質、油溶性抗酸化物質を意味するし、多種類の活性酸素種に合わせた多種類の抗酸化物質が必要だということでもある。それもできるだけ、天然のものが細胞には入りやすいという。丹羽靭負の作った天然素材の油溶性抗酸化物質が、効果を上げる理由である。丹羽靭負は、これを「SOD様作用食品」と名付けている。穀類など植物性のものを遠赤外線焙煎と発酵によって、低分子抗酸化物質にしているわけだ。飯山一郎の乳酸菌発酵も、乳酸菌の効果よりも、発酵による分子分断効果で、低分子抗酸化物質が効くのかもしれない。もちろんマクロファージやNK細胞などで免疫力を増大させるからだろうが。
丹羽靭負は、細胞膜(生体膜)をまもる油溶性抗酸化物質をとくに重視する。臨床から得た結論だ。私も以前、皮膚の炎症に悩んだことがあり、過酸化脂質の問題であろうと考え、油溶性抗酸化物質の選択を考えた。医者に行き、ステロイド剤を塗布すれば、あっという間に直るのだが、再発する。体内の過酸化脂質の問題が残っているからであろう。そして、いまもである・・・
・抗酸化物の王者、ビタミンE
ふつうの場合、抗酸化物質摂取では、おそらく、ビタミンEの選択がポイントになる。パッカーの「アンチオキシダントミラクル」という本のなかで、ビタミンEが王者とよばれている。私が抗酸化サプリメントをとるきっかけになったのが、じつはこの本であった。私のアンチオキシダント生活のスタートラインとなった本である。今から10年以上前である。どこで買ったかも、本屋のどの棚にあったかも昨日のように思い出せる。まさに衝撃的であった。
この本にあるように、抗酸化ネットワークのビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10、リポ酸、グルタチオンのたった5種類の主要な抗酸化物質のネットワークによって、フリーラジカル、活性酸素の害から人間は、身を守っているという視点にふかく感動したものであった。ここから、三石巌、丹羽靭負、吉川敏一などなど、活性酸素の害や防御を説く人々の著作を読みはじめたのであった。そしていまある放射線の被ばくの問題も、けっきょくは活性酸素の害であり、体内の5種類の物質の抗酸化ネットワークという基本がスタートになるのだ。ヤブロコフの本などでビタミンEなどのみあげてあるのは、ヒドロキシルラジカルを消すためであろうが、それはちがっている。抗酸化ネットワークという観点が必要なのである。ポーリングの誤りでもある。
さて、ビタミンEを買うという選択はむずかしかった。ほとんどの場合効果を実感しなかったのである。市場には、高価で活性のない商品ばかりなのである。おそらく、お茶のようにブレンドした、まぜもので暴利をむさぼっているのだ。おまけに過剰副作用のキャンペーンもあるしまつである。ここにはなにか闇らしきものが見える。しかし、たとえば、天然のビタミンEであれば、必然的にトコトリエノールが、ある割合で含有し、吸収活性は、細胞にとっておそらくそのほうがいいわけなのである。
でも、ビタミンCならばこんなことなく、合成も天然も同じである。ビタミンC1日量2gとして4円くらいである。家族4人なら、たった16円の健康維持コストになる。
三石巌によれば、ライナス・ポーリングは、このビタミンEの質の選択を誤ったがため、夫人も自身もがんになったということだ。ポーリングは一日40gビタミンCを摂取していたのであるから、この量も問題であったのだ。また、ポーリングは、パッカーがなんど抗酸化ネットワークのことを説明してもそれを受け入れず、ビタミンCから話は始まり、ビタミンCに終わっていたそうだ。ビタミンEの重要性を認めなかったが故に質の劣るビタミンE摂取の結果、ポーリング自身も夫人も一日40gで発生するビタミンCラジカルによって発がんしたのであり、もし良質で活性の高いビタミンEがあれば、サイクルの中では、ラジカルは生じなかったのだ、と三石巌はいう。また、三石巌の時代はまだ、抗酸化ネットワークの全体のことはよく知られていなかったので、かれの著書にはこの概念はない。
丹羽靭負の本では、かれは、生体膜の部分についてとくに書いている。この生体膜の部分についても、前に書いたように、なにか重要な酵素やその産生機構にかかわる損傷がおきているわけだ。生体膜は、物質輸送にかかわるから、酵素産生機構に障害がおきる。抗酸化酵素、DNA修復酵素、p53アポトーシス関連酵素などが、もし足りなくなったら、DNAは変異し、がん化する。が、いっぽう細胞質ゾルの部分では水溶性の抗酸化物質があってこそ初めてこの機構の効果が出てくるし、それぞれの活性酸素種に合わせた多種類の抗酸化物質が一致団結して働くわけであろう。活性酸素の防御とは、複雑系の活動なのであろう。だから抗酸化ネットワークの全体の維持が大切なのだ。
だが、渡邉正己氏の発がん説のように最初は、酵素やタンパク質の分子の変性なのだ。おそらく、問題はさらに、ひじょうに複雑なので、多種類の抗酸化物質が必要になるわけであろう。
発生する活性酸素種と消去する抗酸化物質の代表は、まえにあげたwikiに一覧表になっている。それを見ながら考える。主要な5種類の抗酸化物質から始まり、より効果の高いリコピンやアスタキサンチン、プロアントシアニジン、ルテイン、イチョウの葉エキスなどなどをくわえていく。もちろんグルタチオンが入手できたらいうことはない。
丹羽靭負の作った「SOD様作用食品」は、活性がかなり高そうだ。値段も高いかもしれないが、保険医を返上して大学病院レベルの施設を維持しているのだから高いのはあたりまえだ。こんな医者が、日本にいるのを感謝すべきだ。なにか全国を飛び回って診察しているらしいので診てもらうのもいいかも・・うーん、なにを?いちおう健康だが、皮膚炎にでもするか、糖尿病か、・・・病名、放射脳でいいか(笑)
放射線被ばくの問題は、活性酸素の害であるから、抗酸化物SOD治療の臨床の王者、丹羽靭負の方法は、いまある被ばくの対処の最上のものだろう。ただ、かれが、アトピー皮膚炎は地球環境汚染が原因だというのは、すこしちがって、私は、放射能汚染による活性酸素が深い原因にあるのではないか、と考えている。また、かれの著書「白血病の息子が教えてくれた医者の心」は、ともすれば、なくなりがちな医者への信頼感を、また取り戻させてくれるもので一読の価値がある。
以上、これは本来健康版への投稿内容であった。被ばく対処を1、2回書くつもりが長くなってしまった。これ以上のアンチエージングについては、機会をあらためて別の板に投稿する。シーベルト論議、すなわち線量とがん化確率の論からは、なにをするべきかがいつまでたっても見えてこないので、いまある害にどう対処するか、について書いたのである。
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