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被曝と健康11 (一般編−3) 中村尚司先生の心境・・・「ウソ」としないと失礼になる
http://takedanet.com/2013/10/post_4f92.html
平成25年10月13日 武田邦彦(中部大学)
音声解説
http://takedanet.com/files/ippan03tdyno.396-(9%EF%BC%9A52).mp3
中村先生が、「線量限度」というのは「安全か危険かの境ではない」と言われ、これは単なる「管理基準」であるとも言われました。東北大学の中村先生は原子力では有名な先生ですが、普通の人は知らない場合もあるので、この見解書に示された履歴を下に示しました。
京都大学を卒業され、東大の助教授を経て東北大学の教授を勤められ、一貫して原子力に携わってこられました。そして退官後、文科省の放射線審議会の会長もされています。京都大学原子力も東大の助教授も力がなければできませんし、文科省の放射線審議会というと、日本の被曝などの基本政策を決定するところですから、間違いなどする人が審議会の会長をすることはありません。
原子力の先生と言っても、被曝とは全く関係の無い先生もおられますので、先生のご論文などの業績を見ますと、もともとは高エネルギー粒子や電磁波と物質との関係がご専門で、ガンの早期発見のための放射線診断装置や、宇宙線による人体への被曝の影響などをテーマにしたものがあり、線量限度などの意味や健康との関係はよくご存じであることがわかります。
従って、中村先生がご存じだったことが確実なものは、
1)ご本人も書いておられるが、被曝の基準値は、ICRPの勧告に基づいて日本国内で法令を決めるのだから、国民を被曝から守る法令があることはご存じであるし、そう言っておられる。
2)ICRPの被曝に関する基本原則であり「正当化の原理」とそれに基づいて「線量限度」が「社会的に耐えられない限度」であることも知っておられる。
3)日本では「社会的に耐えられない限度」は日本人が1年に被曝したら約8000人の「致命的発がんと重篤な遺伝的障害」がでると予想される被曝量であることも知っておられる。
4)基準値というものは、原子力や放射線を取り扱う機関の管理のための数値ではなく、現実に一般人にそれ以上の被曝を受けさせてはいけない数値であることも知っておられる。
この1)から4)のうち、1)から3)は見解書に記載されているので明らかで、4)は短期間でも原子力などの施設の管理を経験した人は厳密に守る事を求められているのでご存じです。
つまりこの1)から4)については「何らかの理由で中村先生がウソをついている」ということになります。私は「間違い」と「ウソ」を区別していて、「間違い」は無知、おぼろげにしか知らない、あるいは錯覚などの場合を言い、「ウソ」は明らかに本人が知っていて、それを意識しているのに違うことを言ったり、書いたりすることとしています。
もしこれを「中村先生の錯覚」とすると、中村先生はこんなこともご存じないということになって、そちらの方がずっと失礼です。だから、なんらかの理由があってウソをつかれたと考えるべきでしょう。
それでは、なぜ、中村先生は放射線の被曝のことを知らない東葛6市の市民にウソをついたでしょうか? 先生として「被曝の意味や法令に対してウソの説明をしたほうが良い」と判断するなにかの理由があったのです。
それでは「先生に身になって、先生がウソをついた理由」を考えて見ることにします。それにはまずこの見解書に先生ご自身が書かれた文章から整理を始めます。
これは中村先生が除染などの方法について先回示した文章の後に書いてあるものですが、文科省が校庭の線量率の目安を1時間1マイクロシーベルトにしたことが妥当として、その根拠は、
1)年間の被曝量が5.2ミリシーベルトになること、
2)法令に照らしても問題がないこと、
としています。
ここにもいくつかの「ウソ」があります。まず一つが、被曝の計算ですが、被曝は外部被曝と内部被曝の合計ですから、まず東葛6市の人が被曝する「内部被曝」を推定し、それを1年1ミリから差し引いて「法令に基づく外部被曝の被曝限度」を決めます。
外部被曝と内部被曝の合計が1年1ミリですから、そのうち内部被曝をゼロとすることもできますが、それには理由が必要です。外部被曝が大きいということは地面が汚染されているということですから、そこで取れる野菜やお米を食べれば内部被曝をしますから、どうしても「内部被曝はどのぐらい」というのを最初に言わないと法令の基準と比較する事ができないからです。
たとえば内部被曝を0.5ミリとすると、外部被曝で許される限度が0.5ミリですから、先生が計算された5.3ミリというのは「許容される限度の10倍になる」と言わなければなりません。この計算で先生は屋内の放射線量に対してセシウムの放射線のエネルギーから0.4という係数を使っておられますが、これはある程度の専門家でないと知らないことです。先生は原子力や被曝の権威ですから、当然、このような高度なこともご存じです。
「法令に照らして問題がない」としていますが、同じ見解書でがんセンターの先生が1年1ミリが被曝限界と言っておられることからも、これもウソであることが判ります。法令も説明して居ません。
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