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【 終わるはずの無い原子力災害、フクシマ、そして日本 】《前篇》
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2013年10月13日 星の金貨プロジェクト
「危機が発生したその都度」、つまずき続けてきた東京電力
これまでの考え方を、根底から変えなければならない
膨大な量の汚染水の中に、溺れてしまっている東京電力
マルコ・エヴァーズ / デア・シュピーゲル(ドイツ) 9月10日
日本は今、原子力発電所事故が進行している福島第一原発で次から次へとトラブルが発生する状況の中、次の段階に進むための活路が見いだせずにいます。
東京電力がアドバイザーとして迎え入れたアメリカ原子力規制委員会の元委員であるデール・クライン氏は、外国の専門家を現場に投入することによる解決を提案していますが、それも早急に実現しそうにはありません。
今週福島第一原発の事故現場に、それぞれ責任的立場の約100名のアメリカの原子力発電関係の政府職員が見学に訪れています。彼らは空路来日し、バスで福島第一原発の現場に入りました。
彼らは防護服に身を固め、2011年3月、数百年に一度の規模の地震に見舞われ、数百年に一度の津波に襲われて破壊され、3基の原子炉がメルトダウンを起こした福島第一原発の事故現場に、実際に入ることになっています。
「私は断言できます。この視察旅行から戻ったら、彼ら全員が自分たちが管理監督している原子力発電所の安全対策を、これまでの倍以上のものにしようとするに違いありません。」
デール・クライン氏がこう語りました。
彼自身、福島第一原発の現場の視察の後、こう語りました。
「これまでの考え方を、根底から変えなければならない。」
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2009年までアメリカ原子力規制委員会の委員長を務めたデール・クライン氏は、現在東京電力の要請により同社の内部改革委員会に籍を置き、東京電力に対し助言を行う立場にあります。
かつて福島第一原発の経営と運営を行ってきた東京電力は今、その事故収束・廃炉作業を進めなければならない立場に置かれています。
東京電力はこれまで日本国内の工業技術の専門家の目の前で、否、国民全員の目の前で、福島第一原発の事故後の現場の状況をしっかりと掌握し、解決に向け秩序立てて事故収束作業を行う、それにはるかに及ばない能力しか持っていない企業であることをはっきりと証明して見せました。
クライン氏は本来なら非常に礼儀正しい人間ですが、彼を雇った東京電力という会社についてどう考えているか、公の場で尋ねられたことがありました。
「自分たちが何をしているのか、まるで理解していない。」
彼は東京電力の広瀬尚美社長に面と向かって、こう言い放ちました。
「そして、これからどうするかというプランすら無い。」
公の場で非難を受けた広瀬社長は、日本的習慣に従い深々と頭を下げ、こう語りました。
「ご期待に沿えなかったことを、心からお詫び申し上げます。」
クライン氏によれば、東京電力は「危機が発生したその都度」、つまずき続けてきました。
福島第一原発の事故現場ではこれまで、収束に向けたどんな進展もありませんでした。
そして対応にあたって来た日本の担当者たちは、国外からの援助を求めなければならないところまで追い込まれていることを、認めざるを得なくなったのです。
クライン氏は日本政府がヨーロッパ、あるいはアメリカから専門家を招き、福島第一原発の解決を進めようと計画していた形跡があると語りました。
そして合衆国エネルギー省民間核廃棄物部門の元高官であったレイク・バレット氏を、事故収束・廃炉作業と汚染水問題処理のためのアドバイザーとして招へいしたとの声明を発しました。
バレット氏は1979年に部分的メルトダウンを起こしたスリーマイル島事故の収束作業にたずさわった経験を持っています。
▽薄氷を踏む思い・首の皮一枚でつながっている、福島第一原発の『冷温停止状態』
日本はこれまで福島第一原発の事故収束・廃炉作業にはいかなる助力も必要としていない、特に海外からの助力は、という立場をとってきました。
するべきことは東京電力がちゃんとやる、という考えです。
実際には東京電力という会社は電力を作って売る会社であり、解決が困難な今回のような事故が起きた場合の処理能力については、たとえばドイツの電力会社と比較しても、特段経験に富んでいるわけでもなく、卓越した対応ができる訳でも無いというのが事実だったのです。
当然の帰結として、事故後2年半が過ぎた福島第一原発の現場は首の皮一枚でつながっている、つまりはこれ以上の巨大事故にならないところに、何とか踏みとどまっている状況にあります。
今回のような事態が起きた場合どう対応しなければならないか、そのために考え抜かれた計画を着々と実行している、東京電力の対応はとてもそんなものではなく、次々と発生する不測の事態に追いまくられ、その場しのぎの対応を延々と繰り返している状況なのです。
この数カ月間を振り返った際、最も『あり得ない』トラブルは、ネズミが配電設備の中に入り込んだ際に発生した、大規模な停電事故でしょう。
その影響はたちまち重大な事態につながりかねない問題を引き起こしました。
4つの使用済み核燃料プールに設備されていた、間に合わせの冷却装置に電気が送れない状態に陥ってしまったのです。
予期せぬ核反応などの事態に陥らないよう絶対の安全を確保しなければならない、8,800本の使用済み核燃料を保管しているプール内の水温が上昇を続ける結果につながりました。
原因の究明が行われましたが、現場に残された焼け焦げたネズミの死体がすべてを物語っていました。
東京電力は福島第一原発の破壊された原子炉周辺から、毎日400トンに上る高濃度の汚染水の汲み上げを行っています。この汚染水は溶け落ちた核燃料の冷却水、そして現場周辺に流れ込む地下水がメルトダウンした核燃料等に接触することにより作りだされます。
こうしてできた汚染水には高濃度の放射性セシウム、トリチウム、ストロンチウムなどが含まれ、とても海洋に排出できるような状態にはありません。
代わりに東京電力は幅12メートル、高さ11メートルの鋼鉄製のタンクを次々と急造、この中に汚染水を貯めこむ作業を続けています。
これらのタンクは鋳造などでは無く、リベットで鉄板をつなぎ合わせた構造になっています。
これらのタンクが急造する勢いは、衛星写真を見ると簡単に確認できるほどのものです。
2011年半ばには数十基だったタンクが、2012年半ばにはすでに数百基の規模に膨らんでいました。
現在ではさらに増えて1,000基を超え、2015年には2,000基を超えるタンクが作られる予定となっています。
まさに東京電力は多量の汚染水の中に、溺れこもうとしているのです。
〈 後篇に続く 〉
http://www.spiegel.de/fotostrecke/photo-gallery-fukushima-s-growing-stockpile-of-contaminated-water-fotostrecke-101236-13.html
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ほぼ毎日、ポッドキャストで視聴しているアメリカの報道番組『デモクラシーNOW』では、キャスターのエイミー・グッドマンさんがよく、ドイツの雑誌であるデア・シュピーゲルの記事を引用しています。
信頼性が高いのはもちろん、それだけ市民目線の報道をしているという事なのだと思います。
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【 終わるはずの無い原子力災害、フクシマ、そして日本 】《後篇》
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2013年10月14日
間違った場所に、間違った材料を使って、間違った方法で作られた、間違いだらけの貯蔵タンク
『動作不良』『しくじりの連続』『手がかりなし』これこそが福島第一原発の現在のテーマ
東京電力の対応のあまりのまずさに、唖然とする海外の専門家
マルコ・エヴァーズ / デア・シュピーゲル(ドイツ) 9月10日
▽ 汚染水の漏出
これら急造されたタンクの内のひとつから汚染水の漏出が始まってから、監視要員がたった2名という体制の下では、事実を把握するまで数週間という時間が空費されてしまったものと見られています。
漏出の事実が確認された時点で、すでに300トンの高濃度汚染水が漏れ出してしまっていました。
事態を重く見た日本の原子力規制委員会は、国際原子力事象評価尺度(INES)の暫定評価をレベル3『重大な異常事象』に引き上げました。
この尺度における最高位はレベル7ですが、チェルノブイリ事故と福島第一原発事故の2つがこのレベル7に分類されています。
これらの貯蔵タンクについてはその構造上、耐用期限が目前に迫っているタンクがかなりの数に上ること、そして漏出を早期に発見できるセンサーが装備されているタンクの数が非常に限られていることから考えて、今後も漏出トラブルが続出するであろうことは、疑問の余地がありません。
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こうした状況について、『世界の原子力産業の現況(World Nuclear Industry Status Report)』の主要執筆者の一人である原子力専門家のマイケル・シュナイダー博士がこう断言しました。
「これらは、間違った場所に、間違った材料を使って、間違った方法で作られた、間違いだらけの貯蔵タンクなのです。」
動作不良
しくじりの連続
手がかりなし
これこそは、福島第一原発の現在のテーマのように見受けられます。
破壊された原子炉からは時折、未だに高濃度の放射性物質を含んだ水蒸気が立ち上っています。
福島第一原発においてはこうした漏出口を塞いでいるのがテープの類である以上、再びこの種のトラブルの再発は避けられそうにありません。
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放射能汚染水の問題に至っては、地下水に紛れ込んで漏出してしまったため、いったいどれ程の海洋中に入り込んでしまったのか、数値的な把握など不可能です。
この問題については、外部の専門家などから繰り返し指摘があったにもかかわらず、東京電力は問題の存在を頑なに否定し続けてきました。
しかし事態がここに至ってしまった以上、東京電力の広瀬社長は福島県沖の漁業資源に悪影響を及ぼしてしまったことを、謝罪しないわけにはいかなくなりました。
それから、放射能汚染水があります−ちょうどいくらを測定することは難しいです−それはすでに地下
「まるで日替わりメニューのように次から次へと発生する福島第一原発のトラブルはいずれも深刻なもので、これらの問題に対応するため、東京電力は本来取り組むべき事故収束・廃炉作業には手も付けられずにいます。」
ケルンにあるドイツ原子力発電所・原子炉保安協会(GRS)のマイケル・マクア氏がこう語りました。
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彼は東京電力のあまりの対応のまずさに、驚きを隠せずにいます。
「もしこれが学校での課題で私が採点する立場なら、東京電力の関係者全員、落第の瀬戸際に立たされているでしょう。」
マクア氏はこうため息をつきました。
福島の状況を好転させるべく、現在日本政府はこれまで試みられたことの無い取り組みに国の予算をつぎ込もうとしています。
その計画のひとつが、汚染水の海洋流出を止めるため、原子炉建屋・タービン建屋と海の間に金属製の防護壁を建設しようというものです。
▽ どう考えても、うまくいくとは思えない
さらに東京電力は2015年までに、原子炉建屋・タービン建屋の周囲など原子炉施設周囲1.4キロの土地を地下まで凍結させる『永久凍土』対策を実施し、地下水の流れ込みを阻止することによって、作りだされる汚染水の量を大幅に減らそうとしています。
この技術はこれまで鉱山業などで使われてきたものですが、これほど大規模に、しかも数年間という長期間にわたって実施された例はありません。
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「我々からすると、どう考えてもうまくいくとは思えません。」
マクア氏がこう語りました。
ドイツの原子力産業界に籍を置き、実際に原子力発電所で働く別の技術者も、この計画を批判しました。
彼によると、凍土層を原子炉建屋・タービン建屋の周囲に作る場合、底の部分も凍結させて『蓋』をした状態にしない限り、水の浸入を防ぐことはできないと指摘しました。
1,000基に上る貯蔵タンク内の汚染水については、たった一つ、根本的な解決方法があります。
特殊なフィルターを使用して、主要な放射性物質を取り除き、浄化した水を海に放出することです。
そのためには特殊なフィルターのついたろ過装置を使い、セシウムやストロンチウムなど、ほとんどのの放射性物質を取り除くことが可能です。
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ただし、たったひとつ、半減期が約12年、物理的に10分の1になるまで41年と、他の放射性物質と比べれば崩壊の速度が早く、その分懸念が少ないと言えば少ないトリチウムだけは除去することはできません。
放射性トリチウムはフィルターでは除去することは出来ないのです。
漁業関係者にとってはまさに頭痛の種のこの『浄化済み』汚染水の海への放出については、少しずつではありますが、日本の人々も覚悟し始めました。
ところが、東京電力はこの問題についても、まともな対応ができない会社であることを白日の下にさらすことになったのです。
東京電力は最近になって大規模な汚染水の浄化装置を完成させましたが、それすら会社の危機管理能力に対する信頼を取り戻すために、どんな貢献もしませんでした。
稼働し始めて間もなく異常が見つかり、仕事らしい仕事をしないうちに再び停止してしまったのです。
この装置は春先にもいったん稼働したものの、水漏れを起こして停止してしまい、本体にはサビが浮き始めていました。
東京電力の内部改革委員会に籍を置くデール・クライン氏は、歯に衣着せぬ発言を行いましたが、再び日本に向け旅立つことになっています。
しかし東京電力は今回もまた、クライン氏の発言によって幸せな気分になることは無いでしょう。
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クライン氏は、福島第一原発の現場において正しい知見に基づく、的確な事故収束作業を行うために、海外の専門家を加えた新たな会社を設立する必要があるとしています。
クライン氏は確信を深めています。
目の前の困難な課題である汚染水問題に限っても、東京電力には解決する能力は無い、と。
福島第一原発の事故作業、それは『次の10年』のために今どう対処すべきか、その事にかかっているとクライン氏が語りました。
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