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福島県のフクシマン・マサです。
毎日新聞の日野記者が書いた、「県民健康管理調査の闇」という本を読みました。
福島県の県民健康調査を舞台に、福島県と、県立医大が、「秘密会」を開き、穏便に調査結果を披露するためにシナリオを検討し、内部被ばくに関する議論を隠してきた事実を丹念な取材により暴いた力作です。
この本の存在を初めて知ったとき、福島の人はこの本を読んでくれるのかな?と不安だったのですが、かなりの売れ行きらしく、郡山の最大手の書店に買いに行くと、売り切れで買えませんでした。
重要な情報がたくさん書いてありますので、是非、多くの方に読んでいただきたいと思いますが、私が、ショックを受けたところを、少し紹介したいと思います。
福島県の対応に、ショックを受けたのは、県が尿検査の導入に強硬に反対したというくだりです。
原発事故から3か月後の、2011年6月18日の第2回の本会合で、内部被曝調査に関するやり取りが行われますが、県民健康管理調査で、どのような基準でホールボディーカウンター検査や、尿検査を行うか?という議題に対し、県が、「安全だけではなく、安心の問題。福島市・郡山市・二本松市といったところが治まらない。尿については、ある首長に話したが、メジャーになっていない。WBCでないとだめという固定観念がある。」
という理由で、尿検査について強硬に反対したといいます。
しかし、その背後には、検出限界値が低い尿検査を必死に避けたいという県の思惑が見えると、本では鋭く指摘しています。
また、子どもの乳歯を保存し、あとから内部被ばくを調べる方法についても、福島県が否定的な態度をとり続けていたと言いうのも、ショックでした。
2011年9月の県議会で、子どもの内部被ばくを調べるために、乳歯の保存を県民に呼びかけるよう提案する自民党県会議員からの質問通告に対して、福島県の小谷主幹が、呼びかけを拒否するための見解を出すように、検討委員たちにメールで求めていたと言います。
拒否したい理由について、県の小谷主幹は次のように書いていたそうです。
「(乳歯保存は)反原発命の方の主張で、あまり乗り気になれない。」
しかし、乳歯による、内部被ばく検査は、核実験による放射性物質の放出が問題になった米国では、1960年代からよく知られた方法で、県民にとっては、とても重要な検査でした。
米国の公文書などから核被害者の歴史を調査している広島市立大広島平和研究所の高橋博子講師も、「将来的に賠償を求めるためにも内部被ばくを受けた証拠を残す必要がある」として提唱してくれています。
この県議の質問に対して、県の保健福祉部長は「さまざまな意見があるようだ。今後研究したい。」と述べるにとどまり、その後何ひとつ具体的なアクションは起こされていません。
県民健康管理調査の問題点を検討する原子力規制委員会の会議の中で、福島県医師会の木田副会長が、県民健康管理調査の問題点を指摘したところ、原子力規制委員会の中村佳代子委員が、その意見をきちんと取り上げてくれなかったそうです。
福島県医師会の木田副会長は、県民健康管理調査の問題点を次のように指摘してくれました。
「発がんのリスクの増加を証明する被曝線量は確認されていないというのは、100ミリシーベルトを超えた人がいないから、こう書いているのだろうが、国連人権理事会のアナンド・グローバー氏は、あらゆる疾病について、これ以上だったら大丈夫だということはないと意見していた。この辺は、断定的なものではなく、これからも注意深く見守っていく必要があるなど、そういった表現が望ましいのではないか」
しかし、中村委員は木田副会長の意見を提言に反映させない意向を示した上、これまで全ての資料を掲載している
規制委のホームページに木田副会長の意見を掲載しないと告げたそうです。
日野記者は、日本医師会の石井常任理事の取材も行ってくれていました。
石井常任理事は、福島県いわき市で病院を経営する開業医です。
石井理事は取材に対し、「広島、長崎を想定するぐらいの
調査をしなければいけないのに、原爆に比べて現在の(調査)態勢は明らかに貧弱。国のバックアップが必要なのは明らかでしょう。」と、問題点を指摘してくれました。
これは、県民健康管理調査がいかに問題点を抱えているか、端的に表している発言です。
問題は噴出しているのに、子ども被災者支援法は骨抜きにされるかもしれず、原子力規制委員会は、何の問題も存在しないかのように、県に救いの手を差し伸べている・・・
「彼らはいったい何を守ろうとしているのか・・・」
そう、日野記者は、文章を締めくくっていました。
(本には甲状腺ガン多発についてなど、)重要な情報がたくさん書いてありますので、ぜひ本を読んでみてください。
福島原発事故 県民健康管理調査の闇 (岩波新書) [新書]
フクシマンの福島リポート(郡山市)
http://ameblo.jp/masa219koro/entry-11630895655.html
http://ameblo.jp/masa219koro/entry-11631675580.html
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尿検査と乳歯の保存がWBCよりも有効な検査であることを,よっぽど知られたくないのですね。
週刊朝日編集長を懲戒解雇 その本当の理由
http://blog.livedoor.jp/home_make-toaru/archives/7354491.html
ということで,知らせましょう。
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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004314429/asyuracom-22
カスタマーレビュー
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福島で大規模な健康調査が県主体で実施されている事から、私も検査データの改ざんや、隠蔽等がなければ良いが・・・と、内心思っていた所、案の定と言うべきか、やはりと言うべきか、情報操作とも言うべき不正の事実が、毎日新聞により暴露されました。本書は、毎日新聞が報道した一連のスクープ「福島健康調査の秘密会」について、担当記者自身が、事件の全容と全容解明に至った詳細なプロセスを語ったものです。
健康調査の結果は、公開の検討委員会で報告される事になっているのですが、関係者が事前に集まり(秘密会)、どの様に説明すれば騒ぎにならないか等を下打ち合わせし、あらかじめ決めたシナリオを各委員に配布していた事や、また、公開された議事録には多くの改ざんがある事等が明らかにされました。さらに、調査目的が県民の「健康被害の低減」ではなく、「不安の解消」に変えられた事や、精度のより高い尿検査をなるべく行わない方向で議論された事等が次々に明らかにされています。
最終的には、これらの暴露記事の反響から、本委員会の山下俊一座長(「放射線量年間100mSv以下は大丈夫」で、知られる長崎大在籍の教授)他、委員の大幅入れ替えで幕引きとなります。でも、これが県民の「健康被害の低減」に本当に繋がるのかは大変気がかりな所です。
本書には、記者自身の思惑や疑問を提示しながら、一つ一つ事実関係を解明して行く、調度、刑事コロンボが真犯人に肉薄して行く様なスリリングな面白さがあります。ただ、残念なのは、本書の言う”闇”が、委員を含む一部の人達に限定されている事です。「秘密会」を開いたのは勿論、委員達なのですが、こうした「秘密会」を通じて調査結果を矮小化し、あわよくば県民に健康被害は無かった、もしくは、被害はあったが原発との因果関係は認められなかった、等と言わせたい本当の真犯人が背後にいる気がしてなりません。チェルノブイリ事故では、甲状腺癌等の健康被害が3年後から増加し始め、27年経った現在も広がりつつあるようです。ジャーナリストによる、長期の監視と調査を是非、継続して欲しいと思います。
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私は福島の原発事故以来,地元の人たちの放射線障害が気がかりでした.放射性物質を吸引したり,汚染食品を食べたりしてそろそろ内部被曝の影響が出てくる時期だと思っていたのです.事故から2年半経った今,幸いにもそのような報道はないようでしたが,そんな折,本書を読んで驚きました.甲状腺ガンの患者が既に18人も出ています.疑いのある人は25人! --- 迂闊にも私は患者はゼロだと今の今まで思っていたのです.それがチェルノブイリ事故よりも遙かに早いスピードで増えています.福島県は原発事故の後,県民健康管理調査を始めるために放射線の専門家たちを集め,「検討委員会」なるものを立ち上げました.この委員会が今年8月に発表した結果がこれです.最初に見つかったのは去年の9月でした.でもメディアは,毎日新聞以外これらの発表を無視してきたようです. もしそうなら,福島第一の被爆者は置き去りにされている.フクシマは未だ終わっていないのに --- .メディアの姿勢は問題です.しかし,それ以上に糾弾すべきは福島県の隠蔽体質だったと,本書の著者,日野行介さんの指摘で判明しました.
福島県は被爆の実態を過小評価したり,ぼかしたりしてきた.「検討委員会」の質疑もあらかじめ秘密会を開いてシナリオをつくり,委員会当日はすべて脚本どおりに進行させたのです.被害県の福島が何故,そのようなことをしなければならないのか.私は全く理解できません.書名は「県民健康管理調査の闇」です.何故,闇の中に隠して公にしないのか.本の帯にあるように,私も何のための調査なのか,誰のための調査なのか,と叫ばずにおれません.データを隠し,情報操作したとすれば,被害者とその家族に対する侮辱です.被害者の被害認定にも差し障ります.信憑性の乏しい調査は後の研究者をも惑わせます.こんな不誠実な調査をする県政とは一体何なのか.私は沸き出した疑念を払拭できずにいます.
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福島の健康調査の秘密会については、新聞に載っているのを、ああまたかという思いで、内容もよく確認せず横目で見ていました。しかしこの報道に至るまで、ここまで粘り強い取材があったのかと驚かされます。
口先では反省を口にしながら、住民の目から隠れて、原発被害の健康被害の調査を行おうとする福島県、またこうした大事な調査を県にまかせた国の姿勢、まことに暗澹とします。
「闇」というのにふさわしい事態だと思いました。
新聞社によって、原発事故と、事故処理の報道にあまりに大きな差異があるのに愕然とします。毎日新聞は偉い。信頼できるのは東京新聞と毎日新聞。県庁担当者に「毎日新聞にはよくない思いがある」と言われながら、なお食い下がる記者のジャーナリズム魂がすばらしい。
朝日新聞は当初、福島の調査を好意的に報道して、県の調査の問題を明らかにしようとしなかったし・・。朝日新聞や読売新聞の書評欄には取り上げられないでしょうね。
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