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ALPSの腐食したパイプ管
東電福島第一原発 汚染水除去の切り札のはずだった東芝製「多核種除去設備(ALPS)」は、実験レベルの試運転 十分な放射能吸収力は当初から期待できず (世界の貯蔵タンク事故情報)
http://financegreenwatch.org/jp/?p=37030
10月 9th, 2013 Finance GreenWatch
「汚染水浄化装置」は、原子炉の循環冷却に使用された放射能汚染水を浄化されるために導入された。当初、フランスのアレバ社の除染装置と米国キュリオン社のセシウム吸着装置が導入されたが、運転や性能に問題が多く、バックアップ用として導入された東芝のセシウム吸着装置の方が相対的に良いということで、現在は東芝のセシウム吸着装置「サリー」が水処理設備のメイン装置として稼働している。
「サリー」はゼオライトに放射能物質セシウムを吸着させる方式の装置である。
その後、原子炉建家に流入する地下水により、多量の放射能汚染水が発生するため、新たな汚染水浄化装置が導入されることになった。この汚染水浄化装置が、「多核種除去設備(ALPS;アルプス)」である。
ALPSは、米国放射性廃棄物処理事業会社のエナジー・ソリューション社が開発した設計技術をもとに、東芝がシステムや機器類の詳細設計を行なったもので、汚染水から重金属やカルシウムなどを除去する前処理設備と、活性炭や樹脂などの特殊な吸着材で放射性物質を取り除く吸着塔で構成される。「サリー」で除去できないストロンチウムやヨウ素などの放射性物質を除去し、法定濃度以下に下げることができるといわれてきた。
しかし、ALPSの試運転開始は、高放射能廃棄物容器の安全性の問題に引きずられて大幅に遅れ、やっと試運転を始めたところでバッチ処理タンクの漏れによって補修のために停止することになった。
このような状況の中で、東京電力は、2013年9月20日、汚染水の処理を加速させるため、新たな汚染水浄化装置の導入意向を発表した。政府も高機能の処理装置の導入を決め、開発業者を公募するという。
所 感
■ バッチ処理タンク漏洩原因の背景が垣間見えてきた。今回の情報の中で、「ALPS」より先行して設置されたセシウム吸着装置「サリー」において、すき間環境に起因する典型的なステンレス鋼の局部腐食の事例が2012年2月に発生していたことがわかった。これで、バッチ処理タンクの漏洩原因について東京電力が当初からステンレス鋼のすき間腐食にこだわっていたことが理解できた。
セシウム吸着装置「サリー」の運転情報(腐食事例)は多核種除去設備「ALPS」の設計・建設部門に活かされることなく進められたが、ALPSの試運転が始まった時点では、ALPS関係者の中には腐食が起こりうると予見していた人がいたと思う。しかし、予想を上回る早い腐食開口だったに違いない。
■ 一般に失敗事例のうち、報告・連絡・相談による情報の共有化が不足した失敗は全割合の5〜10%あるが、今回のバッチ処理タンクのゴムパッド取り忘れ事例は、情報共有化の不足による失敗事例である。
■ 今回、ALPSのプロセスに関わる情報を見て感じたのは、オリジナル設計からつぎのような大きな変更を行っていることである。
● バッチ処理タンクの材質をステンレス鋼ではなく、ゴムライニングとする。
● バッチ処理タンクへの次亜塩素酸注入を止める。
● 銀添着活性炭吸着塔を使用しない。
● 銀添着活性炭の吸着性能は吸着塔の構成変更で処理する。
完成したプロセスであれば、このような変更はない。ALPSは完成したプロセスでなく、ラボの実験レベルを一気に商業化プロセスレベルで試運転していることがわかった。本来のベンチ・プラントやパイロット・プラントで実績を確認しながら改良していくステップを省いている。(我々が勝手にそう思っているだけで、ALPS関係者はパイロット・プラントと思っているのかもしれない)
運転時間79日間(約1,900時間)で腐食開口事例によって試運転を中断し、改修を行ったように完成度としてはまだまだの感である。運転も強アルカリ性と中和を繰り返すなど調整の難しいかなり厳しい運転条件があり、今後の試運転にもいろいろな課題が出てくると思われる。
http://tank-accident.blogspot.jp/2013_10_01_archive.html
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