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【 放射線科学の世界的権威が明らかにする・日本の黒い塵、その正体 】《第1回》
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2013年9月30日 星の金貨プロジェクト
メルトダウンした原子炉内で生まれた?
未知の異常な出来事により生み出された、高濃度の放射線を放つ黒い物体
フェアウィンズ 7月10日
今週フェアウィンズは、放射線に関する世界的権威であり、数種類の放射性値同位元素について専門的研究を行っているマルコ・カルトフェン氏との対談を特集します。
マルコ氏とアーニーはつい最近福島第一原発からもたらされた高濃度の放射性物質を含む、あるサンプルを検証しました。
録音の音質がばらついてしまうのに備え、『浪江町で採取した塵の放射線学的分析(Radiological Analysis of Namie Street Dust)』と言うタイトルでポッドキャストによる配信も行っていますので、そちらもご利用ください。
7月10日水曜日のフェアウィンズ・エネルギー・エデュケイションの番組にようこそ。
今日はボストン化学データ社の社長であり、ワーチェスター工芸研究所の博士課程研究者統括責任者でもあり、さらにはアーニー・ガンダーセン同様フェアウィンズのチーフ・エンジニアを務めるマルコ・カルトフェン氏にご参加いただきます。
マルコ・カルトフェン : この場にお呼びいただき、感謝申し上げます。
ガンダーセン : 私もあなたとお仕事ができることを、ことのほか喜んでおります。
NWJ : マルコ、私はあなたが福島の立ち入り禁止区域の周辺で採取した、サンプルについて検証したレポートに目を通す機会がありました。
あなたが採取した土壌サンプルから、どのような発見をしたか詳しく説明していただけますか?
カルトフェン:今回の特筆すべき事故について、私が非常に特徴的だと感じる点のひとつは、実に様々なデータが存在する、ということです。
こうしたデータを検証するために大勢の人々が福島に赴き、サンプルを収集して検査を行い、あるいは環境調査を行い、得られた結論が何によって生じたのか、再び収集、検査、調査を行うという事を繰り返してきました。
そしてそれらの調査の結果、周囲の土壌などと比較して著しく放射線量の高い、地面や道路の上にある、日常は見かけない黒い塵についての情報を繰り返し聞かされたのです。
それはあたかも福島第一原発の事故で放出された放射性物質の塊りそのもののようでもあり、未だ招待は明らかではありませんが、特定の渓谷、あるいは側溝などで採取されたほか、人々が持ち込んできた例もありました。
私たちはその物質のサンプルを少量手に入れました。
放射線量が高いため、大きな塊にしておくのは危険だと考えられるのですが、一連のテストを行うことにしたのです。
ガンダーセン : 日本の事故現場周辺に存在した、その正体不明の物質について説明していただけますか?
この物質は事故の全体像を物語るものではないと考えられますが、他には例を見ない特殊なもののように考えられます。
その物質は今回の事故の、どのような点に関わって来るのでしょうか?
物質からはセシウム134とセシウム137が検出されたという事であり、当然福島第一原発からのものと考えられますが。
カルトフェン : 話が少し前後します。
私たちがワーチェスター工芸研究所で見たものは、福島第一原発周辺で採取された200種類に上る土と塵のサンプルでした。
そして我々がこれから検証するものは確かに福島第一原発から放出されたものであるけれども、放射性物質そのものではないという点に留意する必要があるでしょう。
まず福島第一原発から放射性物質を運んできたと考えられる、この物質の大きさを確認しておく必要があります。なぜならどのようにしてその場所に到達したのか、その状況を検証する手がかりを与えてくれると思われるからです。
そして事故を起こした原子炉内で、どのタイミングで、どの場所でその物質が作り出されたのか、その事も推論できると考えられます。
そこで私たちはこの黒い物質を他のサンプルから切り離し、独自の検証を行う事にしました。
まず私たちは、走査型電子顕微鏡を使い、写真撮影を行ないました。
さらにガイガーカウンターとガンマ線スペクトル解析機を使用することにより、より一層その正体に近づくことが出来たと考えています。
申し上げましょう。
この物質はこれまで私たちが採取したどの土壌サンプル、どの塵とも異なっています。
この黒い物質を構成しているのは一種類の成分です。
これは単一の物質なのです。
土はいくつもの物質の混合物、つまり鉱物の破片、小さな生き物の死体や植物の破片、そして塵などによって構成されていますが、この物質はそうではありません。
顕微鏡で見てみるとよく解りますが、同種の成分により均一性が保たれています。
そして周囲にあった土などとは明らかに異なっています。
さらには福島第一原発の周辺でこれまでに採取されたどの土、どの塵などと比較し、非常に強い放射能を帯びています。
その点から考えても、この物質は他とは同一に論じることはできません。
自然界に存在する土などでは無く、これまで経験したことが無い異常な出来事、それがこの物質を生んだと考えてよいのではないでしょうか?
〈 第2回につづく 〉
http://fairewinds.org/podcast/japans-black-dust-with-marco-kaltofen
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【 放射線科学の世界的権威が明らかにする・日本の黒い塵、その正体 】《第2回》
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2013年10月1日
福島第一原発周辺で採取、高い放射性を示す物質の集合体、その正体とは?
ホットスポットに人が近づかないよう、的確な情報開示をすべき
フェアウィンズ 7月10日
ガンダーセン : 実は私も長年、この黒い物体についてはその正体について考え続けてきました。
長い間疑問が解けずにいるこの黒い物体は、他の物体の表面などに付着していたものが、雨に洗い流されたりするなどして、地表の窪地などに集積すると考えられます。
また、段階的に小さくなっていく性質も持っているようです。
そしてあなたがおっしゃったように、非常に高い放射能を帯びているために、発見されやすいという特徴もあるようです。
これを発見した他の人々も、他の物質と比べ際立って高い放射能を帯びているために、この物質の発見に至ったようです。
ところでこの物質は黒い色をしていますが、その事に何か意味はあるのでしょうか?それともたまたま黒い色をしているというだけなのでしょうか?
カルトフェン : 私は色が黒いという事には意味があると考えます。
この物体を顕微鏡で確認することが出来ましたが、単純な小片の集まりではありませんでした。
集合体(凝集体)であるようです。
チーズボールをご存知ですか?
顕微鏡で見ると、この物質は砕いたナッツで覆われた一個のチーズボール(写真)のように見えます。同型の小さな物体の集合体であることが解ります。
それがこの未知の物質の見た目です。
言ってみれば、スノーコーン(かき氷を丸く固めたもの)状の放射性物質の集合体というところです。
そして集合体でありながら、なぜそうなっているかはわかりませんが結合性が比較的強く、研究所内でこの物質を取り扱った際に、一部がバラバラになったりはしませんでした。
これを顕微鏡で見る機会があれば、何百個もの様々な形と大きさの放射性物質を糊で固めたような印象を持たれることでしょう。
見た目が黒く感じられるのは、不揃いな集合体であるためです。
そして強く結合しているために、環境中においてその存在を確認しやすくなっていると考えられます。
ガンダーセン : お話を伺っていると、この物体は福島第一原発において作りだされたように感じます。つまり、福島第一原発の外で集合体となったのではなく、施設内において現在の形になり、福島第一原発の周囲に存在しているように思われます。
カルトフェン : そうですね、その可能性はあります。
ところで私たちは、採取したサンプルの中に、この物質の放射性には均一性が無いという事を証明するものは、ただの一個も無かったのです。
つまりこの物質の構成要素すべてが放射性を帯びているという事であり、つまりはこの物質は放射性物質と一般的な土の成分の混合物では無いということになります。
こうしたサンプルのいくつかをエックス線透視用のプレートの上に広げると、光やエックス線を照射しなくともこの黒い塵が放射線を放出していることを確認できます。
エックス線用のフィルムが、その部分だけ黒くなるからです。
黒い塵のすべてのサンプルで、この結果が確認できました。
例外はありませんでした。
ガンダーセン : 非常に興味深い結果ですね。
お聞きになっていらっしゃる皆さんに、この物質がどれ程の放射線を放出していたのか、その点について劣らせする必要があると思います。
あなたの研究室にサンプルを送った日本の方は、ガイガーカウンターを携行して歩いていて、この物質を発見した周辺で高い放射線量を計測しました。
驚いた彼はあなた、そして私に連絡をしてきました。
そこで私たちはその物質には高い放射性が計測されていたため、途中不測の事態などが発生しないよう、ごく少量のサンプルを送ってもらうことにしたのです。
その量は1グラムの10分の1、つまり0.1グラムです。
1グラムという重さを具体的に理解していただくために申し上げると、1ドル紙幣1枚の重さが約1グラムとお考えいただけると、解りやすいかと思います。
こうして郵送により、私たちの手元に0.1グラムのこの物質のサンプルが届けられることになりました。
そして、私は、あなたにそれをここから拾うようお願いするつもりです、マルコ、そして、1グラムのサンプルのその10日が何を含んだかについて見分けます。
さてそこでマルコ、ご説明いただきたいのですが、この0.1グラムのサンプルの中に含まれていたのはいったい何なのでしょうか?
カルトフェン : 日本から送ってもらったサンプルはごく少量ですが、元の大きさはアスピリンの錠剤ほどであったようです。
そして検出された放射線の大半はセシウム134と137からのβ(ベータ)線でした
MK: 全てのサンプルは、多分アスピリン錠のサイズについてあるでしょう。 そして、それは、大部分は我々が持ったCesium 134と137のβ放射線でした。
そしてこの物質に含まれていたのは、1キログラムにつきメガおよそ1.5メガベクレル(150万ベクレル)の放射性セシウムでした。
という事は、この物質が1キログラムあれば、そこでは1秒につき150万回の放射性崩壊が起きるという事です。
今回ここにあるサンプルは非常に小さいものなので、こう言いなおした方が良いかもしれません。
この物質については1グラム当たり、1秒間に1,500回の放射性崩壊が起きていると。
150万と比較すれば1,500という数字は少なく感じるかもしれませんが、放射線量としてはきわめて高い数値であると言わなければなりません。
この数値は福島第一原発の周辺でこれまで確認された放射線量の中で、最も高い数値なのです。
ガンダーセン : この物質は1キログラムにつき、1秒間に150万回放射性崩壊して行きます。1秒で150万回、次の1秒にも150万回、そしてその次の1秒にも150万回。
ですからこの場所にこの物質がキログラム単位で存在しないことを、神に感謝しなければなりません。
日本の国土の一定のエリアが汚染され、その中の一部分から私たちはこの物質を採取することになりました。
カルトフェン : 何か大切な事実がここにはある、そう感じています。
確かにこの物質は、福島第一原発の事故によって影響を受けた地域全体を象徴するものではありません。
このサンプルは福島第一原発からちょうど10キロメートル離れた場所で採取されました。
そしてこの物質は避難区域内、ただし立ち入り禁止区域の外側にありました。
かつて住民だった人々はここまではいることが出来ますが、滞在することは許されません。
この場所で起きたことが、この物質にどのような形でか集約されているかもしれません。この物質は周辺の土壌と比べ非常に放射性が高く、この場所に留まったまま周辺には拡散していないということが言えると思います。
何らかの自然現象によって集積された形を作りこの場所に集まり、その部分だけが放射線量が高くなっていて、人間は被ばくについて警戒する必要があります。
事故が発生してから2年以上が経ち全般に線量が低下しているにもかかわらず、このホットスポットに限って周辺よりも高い放射線量を示しているという点を考えれば、この場所を地図に明示し、人々が近づかないようにする必要があります。
〈 第3回につづく 〉
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【 放射線科学の世界的権威が明らかにする・日本の黒い塵、その正体 】《第3回》
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2013年10月2日
燃焼しなかった核燃料の一部も含まれている、その危険性がある
セシウム134、137、そしてラジウム226の存在は、何を物語るのか
フェアウィンズ 7月10日
司会:あなたは、こうしたホットスポットが存在する理由について、どうお考えですか?
カルトフェン : そうですね、現実に高い放射性を帯びているという点について考えてみましょう。
原子炉内から取り出された、あるいは放出された物質は一般的に何かの粒子にくっつき、拡散しない傾向があります。
また雨水に溶け込んでしまったりもせず、したがって植物の組織内に取り込まれることもありません。
そして結合力を保ったまま、なぜか放射性崩壊が進まないのです。
さらにはいったんひとつのかたまりになったものが再び分解したり、あるいはもっと単純な物質に変化したりすることもありません。
そして非常に興味深いのは、ここに含まれているのがセシウム1種類だけではない、という点です。
多量のラジウムが検出されたのです。
今回分析を行ったサンプルには、高濃度のラジウム226が含まれていました。
ラジウムもセシウムと同程度の、放射線の放射を行っているものと考えられます。
ラジウム226はウラニウムが放射性崩壊することによって生み出されるもので、ウラニウムそのものはこのサンプルからは検出されていません。
ウラニウムの半減期は非常に長いため、ガンマ線検出器では検知されません。
ウラニウムは数十億年前に地球の誕生と時を同じくして生成されたと考えられているにもかかわらず、現在でも世界各地で採掘が可能なのは、その半減期が非常に長いためなのです。
しかしウラニウムがいったん放射性崩壊して生み出された物質、ラジウム226などはウラニウムと比べ非常に高い放射線を発します。
これらのことから、以下のことが推論されます。
すなわちこの黒い物質には、原子炉内で放射性崩壊した後の廃棄物だけが含まれているのではなく、燃焼しなかった核燃料の一部もまた含まれている、と。
これは通常、あり得ない現象です。
このサンプルには、これまで原子炉内で発生する核分裂によって生まれる廃棄物、あるいは放射性物質によって汚染された土、そのいずれと比較しても非常に高い放射線を発していることになります。
私たちが目にしているのは、原子炉内で不完全燃焼をしてしまった核燃料から生み出された物質、まさにそうした物質なのだと考えられます。
ガンダーセン : よく解りました。
伺った話から結論できるのは、この物質が採取されたという事は、原子炉格納容器の密閉性はすでに失われている、それを証拠立てているという事です。
一度聞いただけですと、黒い塵などと言う表現から藻類、あるいは菌類などを連想しがちですが、これは断じて有機物などではない、それで間違いありませんか?
カルトフェン :おっしゃる通り、有機物とは違います。
非常に小さな物質が寄り集まって作られた混合体とも言うべきもので、外観が黒いのも、大きさも形も不揃いな物質が組み合わさっているために、光が反射されにくくなった結果、人間の目に黒く映るのだと考えられます。
司会 : お話を伺っていて疑問に感じる点があります。
それ程放射線量が高いホットスポットが散在するエリアに、未だに人が出入りすることが許されていますが、なぜなのでしょうか?
さらにはこのホットスポットが発する放射線で人間が被ばくしてしまった場合、起こりうる影響にはどのようなものがあるでしょうか?
カルトフェン : 立ち入り禁止区域、あるいは避難区域内にあるこの黒い物質が、人々が暮らしている区域に入り込まないようにする、どのような防衛線も現実には存在しません。
私はこの問題について、どのような政治的判断を下すべきか話す立場にはありませんが、この黒い物質の問題については、政治的立場からものを考えたり、規制すべき政府機関の立場から対応を判断すべきではないと考えています。
この黒い物質について私は降雨、あるいは風などによって移動し得るものと考えています。
ガンダーセン : ただし、先にお話しましたがこの物質は重いので簡単に風に運ばれることは無いでしょうが、強風が吹いた場合は別です。
ただし、海にまで飛ばされていくほど軽いものではありませんが、事故現場から10〜20キロ離れた場所なら飛ばされていく可能性はあります。
カルトフェン : そうですね、今回分析を行ったサンプルは事故現場から10q離れた場所で採取されました。
10q離れた場所にあったという事は、さらに広域の調査を行なえば、数多くこの物質が存在していることを確認する可能性があるという事です。
実際にはこの物質が、さらに離れた場所でも発見されたという情報が確認されています。
考えられることはこの物質はもっと小さな状態であった時に各所に運ばれ、その後に現在の大きさになるまでの結合が行われたという事です。
これは別に特別なことでも何でもありません。
一方でこの物質は、非常に高い放射線量を持った物質が集積して小さな物体を形成した、非常に象徴的な存在だと言えると思います。
そして試験結果が示しているのは、この物質にウランが放射性崩壊した結果できる放射性物質、セシウム134と137を高濃度に含んでいるという事であり、福島第一原発以外にその発生源を考えることはできません。
そして放射性崩壊によって生成される物質が含まれているという点が特徴的であり、それらの物質の内いくつかは原子炉内で生成されたと考えられます。
ガンダーセン : この物質ですが、何かの拍子に口に入ってそのまま嚥下したり、呼吸によって体内に入り込んでしまう可能性はあるのでしょうか?
カルトフェン : その可能性はあると思います。
私が言う可能性とは、この物質が付着した手を使い、食物を口に入れる可能性がある人なら、誰にでもその機会はあるという事です。
特に可能性の高いのは土いじりが好きな子供たち、農家の方々、そして建設労働に従事する人々はこの物質を体内に摂取してしまう深刻な危険があります。
吸入、つまり呼吸によって取り込むには、この物質は大きすぎると思います。
特に互いがくっついて大きくなった場合には、呼吸によって体内に入り込むことはまず考えられません。
しかし嚥下による体内摂取の危険は明らかに存在し、特に子供たちと農業従事者の危険性は高いと言わなければなりません。
〈 第4回につづく 〉
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フェアウィンズの記事を翻訳することは、ある程度前段の知識を有する福島第一原発の事故の社会記事を翻訳するのとは異なり、未知の科学的事実の分析があったりして、私にとってなかなか骨の折れる作業です。
しかしそれだけにやりがいもあり、国内の報道などでは決して取り上げない事実が次々と指摘されたりして、スリリングな展開に思わず興奮したりもします。
今回の記事もこのカルトフェン氏の言い回しが、かなり独特のもののため難渋する場面もありました。
本来なら全文翻訳の後で、前後の事実関係に齟齬が生じていないか検証すべきなのですが、前回記したとおり『思わぬ公開』となってしまいそれもできませんでした。
読み取りにくい部分があるかもしれませんが、ご容赦ください。
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【 放射線科学の世界的権威が明らかにする・日本の黒い塵、その正体 】《第4回》
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2013年10月3日
子供たちを守りきる、そのためには対策を徹底して行う必要がある
日本政府は派生的に発生している問題の対応に忙しく、対応が非常に難しい本質的な問題の解決については、その入り口にすら立っていない
フェアウィンズ 7月10日
ガンダーセン : お話を伺っていて思い出したことがあります。
2年前の10月、アメリカ公衆衛生協会の依頼によるあなたの文章が新聞に掲載されたことがありました。
記事中には、子供のスニーカーの写真が掲載されていました。
あなたがおっしゃっていることはまさにこれなのですね。
子どものスニーカーの靴ヒモなどにこの物質が付着してしまう。この子は家に帰り、靴ヒモをほどいて靴を脱ぎ、家に入る。すぐに手を洗えばいいのでしょうが、子供たちの行動がそんな秩序だったものであるはずがない。
帰ってきたそのままの手で食べ物をつかみ口の中に放り込む。それでこの物質が子供の体内に入ってしまうことになります。
ただ、吸入という可能性は低い…
カルトフェン : そうです、期間をそのまま通過する程小さくはありません。
ここでしっかりと認識しておかなければならないことは、私たちの手元には100ミリグラムのサンプルしかないものの、ワーチェスター工芸研究所の物理学者たちはこの中から非常に興味深いものを数多く見出した、という点です。
そして平均的な、屋外で遊んだり運動したりする子供たちの口には、100〜200ミリグラム程度の砂埃やその他、土壌に関連する物質が入り込む可能性は極めて高いと言わなければなりません。
この事実は、私たちが真剣に考えなければならない問題だと思います。
ガンダーセン : 確かに考え込まざるを得ない問題です。
この現実を前に、行政機関は『除染が完了した』とされる地区でも、その後の放射性物質の移動という事が可能性としてある訳ですから、監視の目を緩めてはならないということになります。
放射性物質自体に自治体ごとの境界線でとどまるなどと言う『自覚』など、あるはずがないのですから。
カルトフェン : 今私たちが問題にしているこの黒い物質が、どういう条件でどのように移動するか、モデル化するための方法が複数あります。
ですから、実際にこの物質のサンプルが手に入ったということが、大きな意味を持ってくることになります。
問題の物質の構成と構造が解れば、最終的にどういう場所に溜まりやすいのか、どんな場所が放射線量が高くなるか予測することが可能になります。そうすれば除去するための効率的な方法を検討することかできるようになり、人々に不用意な被ばくを指せないようにできるのです。
司会 : お話はよく解りました。
物質についての分析と検討を進めることで、より効率的な除染を行う機会を手に入れられるという事ですね。
では具体的に、線量の高いホットスポットから、どうすればこの物質を取り除くことが出来るのでしょうか?
カルトフェン : 私は放射性物質に関わる問題を解決するための土木技師としても充分な経験を積んできましたが、こうした場所の除染と土壌改良のための技術はすでに存在しています。
建設現場、開発現場、あるいは不動作取引の際、放射性物質の存在が問題となる現場で、解決のための手順はすでに確立しており、実際に良好な結果を得た例も多数あります。
しかし、この取り組みを成功させるにはある条件が必要です。
全権を持った人が、この処理を実行するという事を隅々まで理解させる、トップダウン・アプローチが必要なのです。
つまり、政治的な決断が必要だという事です。
そうでなければ必要な技術すべてを、現場に投入することが出来ません。
関わっているすべての人々が根本的な除染が必要だという事を認識すること、そして政府が実施するための前提条件をすべて整える必要があるのです。
ガンダーセン : その問題については、私も昨年来機会がある度お話してきました。
日本政府を動かさなければならない、実はそれこそが最も大きな問題なのです。
本当に解決しなければならない大きな問題、その問題と日本政府が正面から取り組もうとしているようには、私には見えません。
福島第一原発の事故収束作業に関して、日本政府は派生的に発生している問題の対応に忙しく、対応が非常に難しい本質的な問題の解決については、その入り口にすら立ってはいない、私はそう考えています。
カルトフェン : 私は日本政府の政策について論評する立場にはありません。その問題について私は門外漢です。
しかしこの問題がいつまで手付かずのまま、先送りして良い問題ではないことぐらいは解ります。
この問題は国全体、世界全体で取り組まなければならない問題なのです。
〈 第5回につづく 〉
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【 放射線科学の世界的権威が明らかにする・日本の黒い塵、その正体 】《第5回・最終回》
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2013年10月4日
福島第一原発の事故について、解決できるはずの問題が放置されている
福島のすべての問題の根本的解決に取り組む、日本政府はその覚悟を決められるか?
フェアウィンズ 7月10日
カルトフエン : 過去に放射性物質の問題同様、深刻な環境問題を解決した具体例があります。
私たちは環境中の鉛の問題を解決することが出来ました。
環境中の鉛の存在は、子供たちにとって脅威でした。
環境中に存在する鉛、それは人類史上最も大きな環境問題のひとつであったはずですが、各国の国家的、そして国際的な取り組みにより、その環境被害を劇的に減少させることに成功しました。
綿密な調査が行われ、最後はトップダウンの手法により、この問題は元気的に改善したのです。
福島第一原発の放射性物質による汚染問題についても、この手法を用いてはいけないという理由はありません。
ガンダーセン : 福島第一原発の事故について、解決できるはずの問題が放置されている状況をお伝えするのは、実は2度目なのです。
子のフェアウィンズのサイト『原子力発電を解明する』のコーナーでは、プロのジャーナリストであるアート・ケラー氏が執筆した、日本政府が行っている除染の実態を伝えた、『アメリカの除染の専門家が明らかにする、本当の汚染状況【 人の手によって作られ、人の手により悪化していく福島の危機 】( http://kobajun.chips.jp/?p=11924 )』というルポルタージュをご紹介済みなのです。
福島第一原発の被害現場の管理・運営のまずさがもたらす、悲惨な状況を克明に描いたものです。
興味を持たれた方はぜひお読みください。
技術と実績があっても、アメリカの会社が福島第一原発の事故収束・廃炉作業に参加することが、どれ程困難であるか、お分かりいただけると思います。
司会 : この黒い物質は、他に類のないものなのでしょうか?そしてこの物質が存在するホットスポットは他にもありそうでしょうか?
カルトフエン : これは、他に類例のない独特の物質です。
なぜそう言い切ることが出来るか、そのために私たちが今回のようなサンプルをどの程度検証した経験があるか、お話ししなければなりませんね。
今回ボランティアの方によって私たちの手元にもたらされたこの物質は、私たちがこれまで取り扱ってきた放射性廃棄物の中で、トップの1パーセントに含まれる、きわめて特殊なものです。
この物質は放射性物質が高い濃度で凝縮されて形成され、当然ながら放射線量が高い。ただし幸いなことにそこら中にある訳では無い。
限られた面積のホットスポットにこの物質がどの程度存在しているのか正確な把握のため、広範な調査が必要であることは明白です。
それを行うためのひとつの方法として、この物質に関して関係者が持っているデータをそれぞれ公開し、それを集計し比較することで分析の精度を高めていくというやり方があります。
ガンダーセン : この物質は珍しい存在ではありますが、報告されるのは初めてではありません。少なくとも約1年前、福島第一原発から20キロほどはなれた以内の場所で、非常に高い放射線量が確認された黒い粉についての報告がありました。
しかし、実際に手元に実物を置いて詳細な分析を行うことが出来たのは、今回が初めてです。
そして特筆すべきことは、研究室においてこの小さなサンプルの分析を行った結果、そこには放射性物質が集中して存在し、放射線量の高さに驚かされた、という点です。
カルトフェン : 私たちは幸運にもサンプルを手に入れることが出来ました。
長い間こうした物質が存在することを耳にしてはいましたが、こうして実物を手に入れ、詳細な分析を行うことが出来、心から喜んでいます。
そしてこの物質がどこで採取されたのかという点についても、今や疑いをさしはさむ余地はありません。
ただ一つ残念なことがあるとすれば、その存在が確認されたのは今回が初めてではないという事です。
しかし一方では、この物質の存在がこれまで取り上げられずにいたという事は、福島第一原発の事故が言われている以上に深刻だという事を意味します。
司会 : お二人とも今日はありがとうございました。
ガンダーセン : こちらこそ、お招きいただきありがとうございます。
もう一度確認させてください。
日本の方からひとつの物質のサンプルが、フェアウィンズ宛てに送られてきました。
そこでフェアウィンズは早速、マルコ・カルトフェン氏に接触を行いました。
その際重要だったことがあります。
サンプルが送付される前に電子メールでのやり取りがあり、輸送途中に不測の事態が起きないよう、ごく少量のサンプルだけが送られてきた、という事実です。
おかげで輸送途中に誰かが予期せぬ被ばくをしたり、紛失したりという事態を避けることが可能になり、サンプルは無事研究施設にたどり着くことが出来ました。
そこで改めて日本の皆さん、特に福島県にお住まいの方にはお願いがあります。
いきなりサンプルを送るようなことはなさらないでください。
まずは電子メールでご一報ください、その上で違法ではない適切な輸送方法を検討しましょう。
今日もフェアウィンズの番組をお聞きいただき、ありがとうございました。
〈 完 〉
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終末日曜日、宮城県と岩手県の県境の『栗園』に栗ひろいに行こうと楽しみにしていました。
昨日電話をかけて確認したところ、「放射線量が高く、営業していない」との返答でした。
事故が過ぎて2年半、福島第一原発から150キロ以上離れた場所の、これが現実です。
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