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【 なぜ今日この事態に至ってしまったのか?福島第一原発の『危機』 】《前篇》
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2013年9月28日 星の金貨プロジェクト
すべては東京電力の、間に合わせ・その場しのぎの対策が招いた
東京電力の事故後の対応は決めて場当たり的なもので、長期間安全を保つことなど望むべくもない
ティム・ヒューム / アメリカCNNニュース 9月4日
この4半世紀で最悪の原子力発電所事故が発生してから2年以上が経過しましたが、事故によって破壊された福島第一原発は、未だに非常に毒性の高い状態がつついています。
この状況を受け、日本政府は自らが直接新たな対策を実施する旨表明せざるを得なくなりました。
東京電力はこれまでトラブルが発生する度、その場しのぎの対策ばかりを行い、繰り返し非難されてきましたが、電力事業を所管する経済産業省の茂木大臣は、そのやり方を『もぐらたたきゲーム』に例えました。
日本政府は直接福島第一原発の汚染水の問題の解決に乗り出すに当たり、これまで試みられたことも無く、検証もされていない対策を実施するための費用として、約470億円の国費を投入することを明らかにしました。
▽これまでの経緯
2011年、東京の北約240キロ地点にある、東北地方太平洋岸にある福島第一原子力発電所が津波によって水没し、当時稼働中だった原子炉にとって極めて重要な設備である冷却装置を停止させました。
このため3基の原子炉がメルトダウンし、大量の放射性物質を大気中に放出、1986年のチェルノブイリ事故以来最悪の原子力発電所事故が発生したのです。
事故発生以来、東京電力はメルトダウンした核燃料が再び過熱して事故が拡大しないよう、毎日数百トンの水を送りこんで冷却を続けなければならない状況に追い込まれています。
この冷却のため使われた水は、直接核燃料に触れることにより高濃度に汚染されてしまいますが、この汚染水が毎日400トンずつ増え続けています。
汚染水は「とりあえず」そのまま保管する目的で「急造された」タンク内に貯蔵されていますが、タンクの数は1,000基前後に上り、実にオリンピック・プール160杯分の高濃度汚染水が福島第一原発の敷地内に貯ってしまっているのです。
福島県沖合の海水の汚染について調査を行っていた科学者たちは、福島第一原発から恒常的に汚染水が漏れ出している可能性について、この1年指摘を繰り返してきましたが、東京電力がその事実をやっと認めたのはつい最近になってからの事でした。
8月になって東京電力は、問題の急増されたタンクの1基から約300トンの高濃度汚染水が漏れ出したことを明らかにしました。
事態を重く見た日本の原子力規制委員会は、国際原子力事象評価尺度(INES)の暫定評価をレベル3『重大な異常事象』に引き上げました。これは福島第一原発のメルトダウン事故自体レベル7と判定されたことを除けば、その後最も深刻な状況に陥っていることを現すものです。
その後の調査で、複数の貯蔵タンク、そして配管類から汚染水が漏れ出している可能性があることが判明しました。
国際原子力機関(IAEA)によればレベル3『重大な異常事象』は、「一般市民の被ばくの可能性は高くは無いものの、特定の地域で予測を超えた深刻な汚染が進行している」状況を指すものです。
▽ 汚染水漏れが発生する原因は?
これまでに汚染水漏れを起こしたタンクは、鉄板の継ぎ目をゴム製のシールドで補強したタイプのもので、この場所にある1,000基のタンクの内約350基がこのタイプです。
これらのタンクは事故の直後に増え続けた汚染水を、何とか収納するため急造されたものですが、事故発生から2年半が過ぎ、そのほころびが見え始めたものです。
アメリカの原子力技術者で、原子力発電所の管理責任者でもあったマイケル・フリードランダー氏は、CNNの取材に対し、以下のように回答しました。
このトラブルは東京電力が事故発生直後、緊急に対応するため間に合わせに急増したはずの設備をそのまま使い続けたために発生した問題であり、東京電力の事故後の対応が如何に場当たり的なものであり、長期間安全を保つことなど望むべくもない、その事を証明する実例である。
「危機が最高潮に達していた当時、彼らが対応しなければならなかった課題の優先順位を考えれば、汚染水タンクを急ぎ作り続けたこと自体は、責められるべき事ではありません。」
フリードランダー氏がこう語りました。
しかし緊急時の対応を終えた後も、東京電力はこの問題に長期間どう対応するかのビジョンを示そうとはしなかったのです。
「毎日400トンずつ高濃度汚染水が途絶えることなく増え続ける、それを解決する手立ては目下のところ存在しません。」
「東京電力が採った対策は、いずれも持続可能なものではありませんでした。
福島第一原発の敷地内には大量の高濃度汚染水を貯蔵するタンクを、敷地の周囲には大量の放射性廃棄物を置き並べたものの、それらを処分するための長期的・永続的な解決策は無い、それが現実なのです。」
▽ 問題はそれだけなのか?
地下水についても、似たような問題が発生しています。
福島第一原発の外、山側から敷地内の地下に流れ込む地下水が、汚染のひどい原子炉建屋・タービン建屋付近で汚染水となってしまうのです。
7月東京電力は海側に汚染水の漏出を食い止めるための防護壁を建設したものの、それを超えて汚染水が海に流れ出してしまっていることを認めざるを得なくなりました。
〈 後篇に続く 〉
http://edition.cnn.com/2013/09/04/world/asia/japan-fukushima-nuclear-crisis-explainer/index.html?iid=article_sideba
【 なぜ今日この事態に至ってしまったのか?福島第一原発の『危機』】《後篇》
http://kobajun.chips.jp/?p=14086
2013年9月29日
凍土対策、これまでの愚策の上にさらに愚策を重ねる、その危険は無いのか?
解決に向けた正攻法は汚染水の浄化、しかし頼みの綱の浄化装置は…
ティム・ヒューム / アメリカCNNニュース 9月4日
▽ 汚染水の放射線量は?
7月、東京電力は福島第一原発の原子炉建屋付近に設置した試験用の井戸のひとつから採取した汚染水から1リットルにつき500,000ベクレルの放射性トリチウム(三重水素)を検出したことを明らかにしました。
日本の安全基準に基づけば、飲料水に含まれる放射性トリチウムの限度量は1リットルあたり300ベクレルです。
9月には汚染水の貯蔵タンクと配管類付近で、放射線量の急激な上昇が確認されました。
最も高かったのは、貯蔵タンクの最下部の縁の部分で、1時間あたり1,800ミリシーベルトの線量が計測されました。
別の2つのタンクの底の部分では、それぞれ毎時220ミリシーベルトと70ミリシーベルトが計測されました。
東京電力はさらに配管の下に付着していた、乾燥した汚れから毎時230ミリシーベルトの放射線量が計測されたことも明らかにしました。
先進国で暮らす人々は、環境中から1年間に3ミリシーベルトの被ばくをするといわれています。
専門家によれば、短時間に1,000ミリシーベルトの被ばくをした場合、人間は吐き気を催し始めます。
5,000ミリシーベルトの放射線被ばくが2、3時間続いてしまうと、死亡する可能性が高くなります。
▽ 現在の汚染状況から予測される危険は?
「福島第一原発の敷地内で発生している問題をすべて合わせると、東京、あるいは周辺の市町村に対する潜在的脅威となり得るでしょうか?」
「なりえない、そう考えてよいと思います。」
前出のフリードランダー氏が答えました。
「では再び大きな地震に襲われて貯蔵タンクが倒壊、あるいは破裂した場合、再び大混乱に陥ることになるのでしょうか?」
「必ずそうなるでしょう。」
そして公表された放射線量が存在する環境で、現場の人々が作業をすることになれば、深刻な健康被害が発生する危険性があります。
どの段階でか、汚染水を海洋中に投棄する必要に迫られる可能性を指摘する専門家もいます。
▽ 現在の状況は、どれぐらいの危険をはらんでいるか?
「事故発生当時の汚染状況と、その後の2年半、どういう状況が続いたのかを検証する必要があります。たとえば今、この瞬間だけ海水の検査をしても、それ程の放射線量は検出されないと考えられます。」
フリードランダー氏がこう語りました。
「海流の存在、そして太平洋がきわめて広大なことを考えると、事故発生当時に存在していた汚染はだそして現在、福島第一原発周辺では消費・流通を目的とした漁業の操業は行われていません。
「原子力発電所を運営していたのが良心を持った企業であれば、現在利用が可能な中で最高水準の技術を用い、汚染水を浄化することに努めるでしょう。最新の技術を使えば、かなりの程度まで汚染水を浄化することが可能です。ただし現在の技術では、海に流れ出してしまった汚染まで処理することは不可能です。」
▽ どうすれば、放射性物質を汚染水から除去することが可能になりますか?
「すでに存在している技術でほぼすべての放射性物質について、検出不能のレベルまで除去することが可能です。」
1種類、放射性トリチウムだけは取り除くことがてきません。
「放射性トリチウムを取り除くためには、全く異なる技術が必要になりますが、この規模でそれを行うことは不可能なのです。」
この問題を除けば、汚染水を海洋中に放出できるレベルまで浄化することは、既存の技術を使って可能なのです。
▽ 汚染水の漏出を止める、そのための選択肢
東京電力は原子炉建屋とタービン建屋周辺の土地を地下まで凍結させることにより、地中にバリアを築き、地下水が流れ込まないようにする対策を提案しました。
これによって流れ込んだ地下水が汚染され、放射性物質を敷地外や海洋中に運び出さないようにしようというものです。
しかしこれほど大規模に地中を凍結させるためには、技術的な難問を克服する必要があります。
破壊された原子炉建屋周辺の地中を凍結させるためには、建屋の周囲に強力な冷却剤を注入するための数千本のチューブを埋め込まなければなりません。
この技術は元来トンネル工事の前段に利用されてきたものですが、福島第一原発の現場のような巨大な現場で利用された実績はありません。
▽ 計画通り機能するのか?
フリードランダー氏によればこの技術は、たとえば建設現場などで『一時的な解決手段』として利用されてきただけのものであり、福島第一原発の現場のような大規模な現場で、長期間の対策として利用することにはほとんど効果を見込めません。
フリードランダー氏は現実的な選択肢、それは汚染水を海洋に放出できるよう、浄化作業に専念することだと述べています。
「原子炉建屋、タービン建屋の汚染を除去し去るには、40年以上という長い年月が必要なのです。」
フリードランダー氏がこう語りました。
「そして地下水脈の源を突き止め、その経路を割り出し、ちかすいの流れ込みを根本的に止める方法を検討すべきです。」
「そうすることで原子炉建屋、タービン建屋付近に地下水が流れ込まないようにする方法があるはずであり、それ以外に1日あたり400トンもの汚染水が作り出される問題を解決する方法はありません。」
「もしあなたの家の地下に水が流れ込んできたら、これ以上に確実な解決方法は無いはずです。建造物の地下に水が流れ込んできた場合の対策、その技術はすでに確立されたものがあるのです。」
「40年もの間地中を凍結させる、そんな対策が持続可能な解決策だとはとても考えられません。」
〈 完 〉
http://edition.cnn.com/2013/09/04/world/asia/japan-fukushima-nuclear-crisis-explainer/index.html?iid=article_sideba
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まさにこの稿の準備をしていた28日夕刻、、汚染水浄化装置の切り札『ALPS』が稼働わずか1時間30分で異常をきたし、またも浄化作業を断念せざるを得なくなったというトラブルを、NHKのニュースが伝えました。
「何をやってるんだ…」
思わず口にでました。
解決が遅れれば、被災者の方が苦しまなければならない日々が一日延びるのです。
その繰り返しの中で、命を無くされた方もいるのです。
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