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2013年09月26日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆東電柏崎刈羽原発の建設に関わった東電OBのなかで「原発はもうダメだ。もう一度、水力発電建設に戻ろう」という声が上がっている。
それは、東電福島第1原発大事故により「原発安全神話」が脆くも崩壊したばかりでなく、放射能汚染水漏れ事件が続き、なおかつ、核廃棄物の最終処理場のアテがなくなっている惨状があるからだ。世界の風潮は「脱原発」「原発ゼロ」へと進んでおり、いまや「原発の未来」がなくなってきている。
そこで、日本が戦後のエネルギー政策の中心に据えてきた「水力発電の原点」に立ち戻って、最も安全な水力発電技術に力を入れるべきだという考え方である。台風の通過道である日本列島は、クリーンで豊富な水に恵まれているので、現代の「不死の神プロメティウス」といわれる原発の危険性に悩むことはなくなる。
東電の有力OBである小川泰・元衆院議員(旧民社党、電力総連)は、「ウランは85年で枯渇する有限資源」であることと、「原子力発電所から出てくる放射線や放射能、放射性物質」の危険性、そして日本国内では、現在以上に原発を設置する場所がなくなっていることを踏まえて、永続的かつ安全に電力を供給できる資源は、「水」しかないという原点回帰の姿勢を示している。そのうえで、自ら考案した「新水力発電、新鋼管継手、新ランニングの3つの技術」を紹介し、「この次世代水力発電システムで人類の危機を救える」と力説している。
◆しかし、東電の広瀬直己社長(経団連会長を務めていた東電の平岩外四会長の秘書役を8年務める)はじめ経営陣は、原発の危険性よりは、当面する「経営上の利益」を最重要視するあまり、現在停止している「柏崎刈羽原発の再稼働」に固執している。赤字経営を一刻も早く打開したいのである。それには、稼ぎ頭となる「柏崎刈羽原発の再稼働」は急がねばならない。
そこで、広瀬直己社長は9月25日、新潟県の泉田裕彦知事と県庁内で再会談し、柏崎刈羽原発の改良工事に関する会社側の要望書を提出した。会談の結びで泉田裕彦知事は要望書を「お預かりする」と広瀬直己社長に伝えている。
広瀬直己社長の頭の中には、東電OBである小川泰・元衆院議員が提唱している「次世代水力発電システム」に関する名案を検討しようとする関心も意欲もまったくない。
◆それどころか、テレ朝newsが9日24日午後2時、「福島第一原発『地下水制御できない』NRC前委員長」というタイトルをつけて次のように報じている。
「福島第一原発の事故が起きた当時、アメリカのNRC=原子力規制委員会の委員長だったグレゴリー・ヤツコ氏が記者会見し、『汚染水を含んだ地下水を完全にコントロールするのは不可能だ』と述べました。
前米原子力規制委員会委員長、グレゴリー・ヤツコ氏:『(Q.安倍総理がコントロールできると言っていることについてどう思いますか?)(汚染水を含む)地下水の影響を最小限にするのは可能だが、すべてコントロールするのは無理だ。どんなことをしても流れ出てしまう』 ヤツコ前委員長は、『福島第一原発の汚染水の問題は以前から予想されていたにもかかわらず、ここまで放置されていたことに驚いた』と述べました。また、汚染水への対応について、事故を起こした東京電力が主体となってやるのは当然であるが、政府もしっかり監督すべきだと指摘しました」
にもかかわらず、福島県北部の相馬双葉漁協は、台風20号が近づいている前の9月25日未明から試験操業に踏み出した。「放射能汚染水による被害」という風評に対して、これをいかにして跳ね除けることができるか? 前途は険しい。
【参考引用】ロイターが9月25日午後6時32分、「新潟県知事の早期了解は不透明、東電要望の原発改良工事で」という見出しをつけて、以下のように配信した。
「[新潟 25日 ロイター] - 新潟県の泉田裕彦知事は25日、県庁内で東京電力の広瀬直己社長と会談し、柏崎刈羽原発の改良工事に関する会社側の要望書を受領した。会談の結びで泉田知事は要望書を『お預かりする』と広瀬社長に伝えた。
ただ、この日の会談でも知事は東電の安全に対する経営姿勢を厳しく問いただしており、改良工事に関する知事の了解が早期に得られるかどうかは依然として不透明だ。
広瀬社長は知事との会談後、同原発6号機、7号機の原子力規制委員会への規制基準適合申請は県知事の了解を得てから行うのかとの質問に対して『そのように考えている』と明言した。泉田知事は県の事前了解なしに同6号機、7号機の適合審査申請をしないよう東電に強く求めていたが、知事の意向に従った格好だ。
<フィルター付きベントを追加設置>
東電が県知事の了解を求めたのは、緊急時に原子炉格納容器の圧力を下げるために排気する際に、放射性物質を1000分の1程度に減らす『フィルター付きベント設備』。東電が採用する沸騰水型軽水炉では再稼働時点で求められている。
泉田知事は、東電が従来示していたフィルター付きベント設備について、原子炉建屋と一体でないことを問題視。泉田知事は7月29日、ロイターのインタビューで、新潟県中越沖地震(2007年)の際に起きた柏崎刈羽原発でのトランス(変圧器)火災事故について『原発内の敷地で1.5メートルくらい下がり、(敷地のずれにより)トランスとの間のパイプが外れ、油が漏れて発火した』と言及。フィルター付きベント設備の配管で同様のことが起きれば、放射性物質が大量に外部に放出されると懸念を示した。
この日の会談で広瀬社長はフィルター付きベント設置計画について知事に説明。配管が収縮して揺れを吸収する構造を取り入れることで『(配管は)地震の揺れが吸収できると考えている』と述べた。
広瀬社長はさらに『知事の指摘や県民の安全・安心を考え、フィルターベントをもう1つ作る』計画を披露した。『地下を掘り下げて本体建屋の岩盤に限りなく近づけて、(原子炉建屋)本体と揺れはほとんど同じになる』などと説明、安全対策に万全を期すとの考えを強調した。追加のフィルターベントは『これから設計する』(広瀬社長)という。追加コストは1基当たり数十億円という」
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