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【原発の汚染水】002 国民の覚悟と原発再開
http://takedanet.com/2013/09/post_4d2d.html
平成25年9月14日 武田邦彦(中部大学)
汚染水の漏洩が続いていて、「このまま流してよいか?」ということに注目が集まっている.つまり「どうしようもないから太平洋に流す」という考えである。どうしようもないから被曝させると同じで、それでも原発を再開しようとしているのも奇妙だが。
さらに、日本原子力学会が「太平洋に流してもよい」というレポートを出したから、議論が混乱している.このレポートを見ると、まったく科学や技術としての見識も訓練も受けていない人たちが作ったように見える.
本当は専門家が作ったのだが、どうしてこんなに荒唐無稽なレポートがでるかというと、1)きわめて強いストレス(原子力が無くなってしまうのでは無いか、という自らの職業を失う恐怖心)、2)データが無くても政府の言うとおりに言っておけばとりあえず安泰、という事だったのだろう.
海に漏洩した放射性物質が一所にたまることなく、均一に分散し、放射性物質を生物が体の中に取り込まず、放射性物質を取り込んだ生物を他の生物が食べず、偶然に放射性物質を取り込んだ生物を漁船が網に入れることがない・・・などかなり多くの非現実的な仮定をする必要がある。
というのは、「大量に放射性物質を海に放出した」という例がないのだから、「自分は神であり、自分が考えている事はすべて正しく、それを「学問(内的精神的活動)」ではなく、実行に移しても問題は無い」というのだから、かなりの錯覚だ.
後輩にこのような科学技術者がいるのはとても残念に思う.でも、国民側も原発再開や目の前の「どうしようもないこと」を経験して右往左往しているように見える.
技術的にはかなり簡単で、「液体のまま原発の汚染水を1000年も取っておくことはできない」と覚悟すればよい.原発の汚染水は長時間の半減期を持っているものがあるので、1000年は危険である.そして1000年間、液体をタンクに貯めておくことはできない。
また、このような毒物の処理では原理原則があり、「二つに分けて、どちらも少し汚れていると水の量が増えるだけ」というものだ。つまり、危険なものの場合、それを二つに分けて「濃いもの」と「薄いもの」に分けても、普通は「薄いもの」も捨てられず、処理中に使った余計な水が増える結果になる.
青森の原子力廃棄物処理施設がそうだが、1リットルの廃液を処理すると、捨てられない2.6リットルの廃液になる。これは普通の毒物処理に見られることで、技術的には当然のことだ。
従って、福島原発の汚染水の処理は、次の方法しかない.
1)水を使って処理をしたり、吸着装置などを用いると、汚染水が増えるばかりになる、
2)液体では1000年も取っておけないので、固体にしなければならない。
しかし、今の所、日本国民は「やるべき事」があまりにも膨大なので、議論せずになにかよい方法はないかと思い、そのあげく、疲れ切って、「いっそのこと太平洋に流そう」ということになる。
方法は至って簡単で、まず汚染水を蒸留し、蒸溜のガス側をガスのまま分離し、液側(ボトム)を蒸発乾固して、この場合もガス側はガスのまま分離し、固体側をドラムに詰めて福島原発の側に埋める・・・言い悪いではなく、それ以外の方法はない.お金もそれほどかからないし、技術は存在する.
原発が爆発したら、海を汚したり、汚染された物を子どもに食べさせて解決するのではなく、もともとの原子力の科学が考えていたように、「土も海も汚さずに解決する」という事しか無いのだ.
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