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変わるか原子力機構 文科省が組織・業務縮小の方針
http://www.asahi.com/tech_science/articles/TKY201309180593.html
2013/9/19 朝日新聞デジタル
【西川迅】文部科学省が8月、所管する独立行政法人「日本原子力研究開発機構」(JAEA)の改革の基本方針をまとめた。肥大化する組織や業務を縮小し、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)の運転管理などに絞り込む内容だ。ただ、共同で所管する原子力規制委員会は改革が不十分として方針の見直しを求めている。3900人を擁する巨大組織は再生できるのか、道筋が見えない。
■もんじゅ運転・安全研究に集中
基本方針では、重点を置く研究として、(1)東京電力福島第一原発事故と廃炉への対応(2)原子力安全研究(3)原子力の基礎研究と人材育成(4)もんじゅなど核燃料サイクルの研究開発――に絞り込むことにした。
一方、原子力機構の業務全体を見直し、核融合や加速器の研究施設は機構から切り離して別の研究機関に移す。原発から出る高レベル放射性廃棄物の地層処分の研究施設は廃止も含めて検討する。
改革のきっかけは、昨年秋に発覚した、もんじゅの1万点に及ぶ機器について原子力機構が点検せずに放置していたことだった。規制委が今年5月、改善命令を出した。安全を重視する姿勢が劣化していると批判を受け、鈴木篤之理事長が辞任に追い込まれた。もんじゅは試運転再開の準備作業に着手できないでいる。
基本方針では、もんじゅの体制の見直しとして、電力会社から原発の所長経験者を安全担当役員に招くことにした。「電力会社の経験を移植」(文科省)し、安全重視の組織づくりの方法を学ぶ。
名前も「高速増殖炉研究開発センター」から「もんじゅ発電所(仮称)」に改める。また、施設の契約業務などを担う部署は「もんじゅ発電所支援室」として独立させる。
この秋に、原子力機構が組織改革の工程表など具体的な計画を示す。1年間を集中改革期間と設定し、文科省が機構の取り組みをチェックする。
文科省も原子力機構法の改正案を検討しているが、具体的な時期の見通しは立っていない。当初、今夏にも示す予定だった、もんじゅの研究計画もまだ示されておらず、近くまとめる。
■規制委、高速炉の稼働優先 危惧
基本方針を決めた文科省の会合で、松浦祥次郎理事長は「安全性を最優先にする機構に作りかえたい。全力を尽くす覚悟だ」と述べた。しかし、8月中旬に開かれた原子力規制委員会で、委員らからは厳しい指摘が相次いだ。
大島賢三委員は「原子力機構の統合は失敗ではなかったか。手を広げたことが問題の原因ならその点に立ち返った反省と立て直しの検討が必要だ」と述べた。
原子力機構は2005年、もんじゅを運営してきた核燃料サイクル開発機構(旧動力炉・核燃料開発事業団)と、原子力安全研究を担ってきた日本原子力研究所を統廃合して発足した。業務を多分野に広げ、組織は肥大化。予算1800億円、職員3900人は国内最大規模の研究機関。
改革の柱の一つ、もんじゅ運営の電力会社の協力強化について、規制委の田中俊一委員長は「電力会社に経営や指導を任せることではだめだ。電力会社は高速増殖炉について何もわからない素人だ」と批判した。
通常の原発は冷却材に水を使うが、もんじゅはナトリウムを使うなど仕組みや設備が根本的に異なる。安全対策などの対応は原子力機構が自ら取り組む必要があるとしている。
もんじゅは、高速増殖炉開発に向けた研究施設。発電設備を備えるが、発電するのが本来の目的ではない。規制委はもんじゅが発電を重視するあまり、原子力機構に期待されている安全研究などがおろそかになるのではとの危惧がある。
原子力機構は文科省が主管するが、規制委も原子力の安全研究部門を所管している。田中委員長は「もんじゅを動かすことが目的になると発電所と同じ。基本的なスタンスをもう一回見直してほしい」と基本方針の再考を求めた。
文科省の担当者は「いただいた意見も踏まえ、きっちり進めたい」と答え、文科省の基本方針や原子力機構が今秋にまとめる具体的な計画に反映させる考えを示した。
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