http://www.asyura2.com/13/genpatu33/msg/614.html
Tweet |
(書評)田母神俊雄(著) 『いまこそ情報戦争を勝ち抜け! 』(宝島SUGOI文庫・2013年)
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%93%E3%81%9D%E6%83%85%E5%A0%B1%E6%88%A6%E4%BA%89%E3%82%92%E5%8B%9D%E3%81%A1%E6%8A%9C%E3%81%91-%E5%AE%9D%E5%B3%B6SUGOI%E6%96%87%E5%BA%AB-%E7%94%B0%E6%AF%8D%E7%A5%9E-%E4%BF%8A%E9%9B%84/dp/480021713X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1378804993&sr=8-1&keywords=%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%93%E3%81%9D%E6%83%85%E5%A0%B1%E6%88%A6%E4%BA%89%E3%82%92
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
佐々木禎子さんはなぜ死んだか?−−「今なんでもない人」も白血病に成る。,
2013/9/10
田母神俊雄氏は愛国者である。私は、氏のお名前を2008年、氏が「政府見解」と異なる歴史観を述べた懸賞論文を発表し、その結果、不当にも更迭された事件の際に知った。当時も今も、私は、この事件における田母神氏が受けた「処分」は憲法が定める思想信条の自由を不当に侵害した事件であったと考えて居る。そして、当時も今も、田母神氏の歴史観の多くの点に私は賛同して居る事を申し上げておきたい。あの懸賞論文事件における田母神氏の体験について、私は当時も今も同情して居るし、事件から5年が経って、田母神氏が精力的に言論活動を続けておられる事を喜んで居る。
本書は、その田母神氏が、溢れる愛国心の発露として書かれた本の一つである。その中で、田母神氏は、「日本の会社は株主のものではない」、「日本独自のシステムを恥じる必要はない」、「外国人参政権法案は我が国に対する間接侵略の第二段階」、「新国籍法で、偽日本人が続々と生まれている」、「朝鮮学校は、朝鮮労働党の下部組織」、「日本の近代化とは、つまり“脱中国化”のことだった」、等の持論を展開しており、田母神氏のこうした見解、警告の多くを私は共有、支持する者である。
だが、その上で、田母神氏をどうしても批判しなければならない事が有る。それは、田母神氏が原発についてお持ちの見解である。特に、放射線が人体に与える影響についての田母神氏の論述には、明らかに事実に反する物が含まれるので、以下にそれらについて述べさせて頂く。
先ず、田母神氏は、何故、福島第一原発事故が起きた原因を論じないのだろうか?あの原発事故は、民主党政府が発表した様に、津波によって起きたのか、それとも、地震そのものによって津波の到来以前に起こったのか?そして、マーク1と言ふ旧式の軽水炉があの様な事故を起こした事をどう考えるのか?と言った点について田母神氏は何故自論を述べないのか、私は全く理解出来無い。
福島第一原発事故が何故起きたのか?を論じる事は、同様の地震、津波に際して、同様の事故を起こさない為に絶対に必要な事である。田母神氏が原発の存続を主張するならそれは自由だが、事故の再発を予防するためには、この原発事故の原因について分析する事は絶対必要な事ではないだろうか。仮に原発を再稼働、或いは新設するにしても、マーク1を含めたすべての原子炉を再稼働するべきなのか、或いは、マーク1だけは再稼働しない等の技術論が有っても良い筈である。しかし、そうした技術論には踏み込まず、ただ抽象的に「原発存続」を唱える姿勢は、防衛問題では技術論を展開する田母神氏らしくもない姿勢であると、私は思ふ。又、田母神氏は、高速増殖炉をどうするべきだと考えて居るかも、この本からは分からない。私の知る原子力発電の専門家たちは、高速増殖炉の専門家だった人を含めて、皆、口を揃えて「高速増殖炉は作れない(実用化できない)」と断言して居る。それにも関はらず、1日5000万円もの国費がもんじゅに投下されて居る事を田母神氏はどう考えるのか。まるで、旧ソ連の空母ミンスクの様な国費の無駄使いである高速増殖炉もんじゅについての田母神氏の技術論を知りたいと思ふ愛国派は、私だけではないと思ふが、いかがだろうか?
次に、放射線が人体に及ぼす影響について述べるが、田母神氏は、本書の中で、こんな事を書いて居る。−−「今なんでもない人が、二十年、三十年後に障害が顕在化することなどあり得ないのだ」(本書37ページ)−−ここで、田母神氏が、「20年後、30年後」と言ふ数字を使った理由は分からない。だが、広島では、固型癌や白血病が、原爆投下から数年後に増加し始めたし、チェルノブイリでも、原発事故から5年経った頃から子供の甲状腺癌が急増して居る。「今なんでもない人」も、5年後、10年後に悪性腫瘍を発症する事が有り得る事は、広島、長崎の原爆やチェルノブイリ原発事故の経験から人類が学んだ教訓であるが、田母神氏は、この事をどう捉えておられるのだろうか。広島で被曝した後、9年後(1954年)に白血病を発症し、翌年この世を去ったあの佐々木禎子さんも、原爆投下直後には「なんでもなかった」のである。(禎子さんが白血病を発症したのは、「20年後、30年後」ではなく9年後であったが)
又、この事に関連するが、田母神氏の「ホルミシス効果」についての論述は、非礼を承知で言ふが、素人丸出しである。これについては山ほど指摘したい事が有るが、私の様な一介の内科医の批判よりも、この医師の言葉を紹介する事にする。
--------------
低線量被ばくが健康にいいかもしれないという、いささか物議を醸しているデータもある。この考え方は「ホルミシス」として知られている。だが、ホルミシスを支持する科学者はほとんどおらず、大多数は恩恵があるとは納得していない。
(ロバート・ゲイル&エリック・ラックス(著)朝長万佐男監修、松井信彦訳『放射線と冷静に向き合いたいみなさんへ』(2013年・早川書房)48ページ)
-------------
ゲイル博士は、骨髄移植と白血病の世界的権威である。そして、脱原発派ではない。そのゲイル博士が、「ホルミシス理論」をこう切って捨てて居る事を田母神氏はどう考えるのだろうか。
田母神氏が、医学界の主流派に挑戦するのであれば、それは田母神氏の自由である。だが、本書において、田母神氏は、ラッキー博士らの主張が医学界の主流派ででもあるかの様な論述をして居る。それは、事実ではない。田母神氏がラッキー博士らの「ホルミシス理論」を支持するのは自由だが、「ホルミシス理論」が医学界の主流派の見解ででもあるかの様に書く事は事実に反して居る。この事は、この場で強く指摘、反論させて頂く。
(私個人は、「ホルミシス理論」を全否定はしない者であるが、ラッキー博士やその信奉者たちは、「ホルミシス効果」なる物を針小棒大に誇張しており、田母神氏がそれを理解しておられない事が、残念である。 )
以上、非常に厳しい事を述べたが、田母神氏の御参考に成れば望外の幸いである。
(西岡昌紀・内科医)
http://blog.livedoor.jp/nishiokamasanori/archives/6795550.html
*
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。