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汚染水対策「政府、東電のいいなりに」民主党・馬淵衆院議員 迫真・当時の事情を聞く インタビュー(2)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF16005_W3A910C1000000/
2013/9/17 3:30 日経新聞
東京電力福島第1原子力発電所への地下水の流入を防ぐため、政府が国費で建設を決めた「遮水壁」。地下に張り巡らせた壁で原子炉建屋の四方を覆うプロジェクトは、実は2年半前にも検討されていた。当時、原発事故担当の首相補佐官として遮水壁の設置構想を進めた民主党の馬淵澄夫衆院議員(53)に、構想が頓挫した経緯を聞いた。
――馬淵さんが首相補佐官として政府・東電の統合本部に入ったのは2011年3月26日でした。当時はどんな状況でしたか。
「震災から2週間強。福島第1の事故は世間的には収まったとされていたが、収まってはいなかった。水素爆発で飛び散った粉じんによる土壌汚染、水蒸気による大気汚染、余震への対策、最悪の事態に備える原子炉の遮蔽シナリオ。これら4つの対策に加えて、5番目に地下水が建屋に流入するリスクがあった。ただ地下水のリスクは誰にも見えず、当時から過小評価されていた」
――地下水のリスクはどうして表面化してきたのでしょうか。
「私は議員になる前、建設会社にいたことがある。福島第1は海抜35メートルの高台を25メートル切り抜いてつくった。土木屋の直感として、地下水が大量に流れ込んでいるはずだと思った。そこで東電に『地下水はどうなっている』と聞いたが、『問題ありません、大丈夫です』の一点張りだった」
「しかし過去40年の福島第1の事故情報を洗い出してみると、地下水が浸入しているという『不適合情報』が数十件あった。それで東電に『流れ込んでいるじゃないか』と問いただすと、可能性を認めた。そしてようやく4月の後半になって地下水の流入解析をすることになった」
――解析の結果はどうでした。
「私が言ったとおり、阿武隈山系から流れている地下水がサイト内に集中していた。地下水と汚染水が混じり合う可能性が十分にあるなかで、対処法についての議論をはじめた」
――議論の結果は。
「建屋をおおう遮水壁をつくる案を4パターン検討して、そのうちの『鉛直バリアー』方式にすることを決めた。遮水壁の材料にベントナイトを使うということも、アメリカの米原子力規制委員会(NRC)から協力を得て決めていた。統合本部の中でも遮水壁の設置は方向性が固まっていた」
――それがなぜ進まなかったのですか。
「当時、福島第1の所長だった吉田昌郎さん(故人)は遮水壁の工事がほかの工事に干渉するのを嫌がっていた。けれど、統合本部が決めたらやるよね。コストをはじくと、約1千億円。どこに遮水壁を築くかという境界線まで引いていた」
「ところがその後、(遮水壁設置を公にするはずだった)6月14日のプレス発表の前日、東電の武藤栄副社長が『(遮水壁の設置によって東電が)債務超過に追い込まれると市場が評価する可能性があるので、決定というのは待ってほしい』と当時の経産相に言いに行った」
――それを認めたのですね。
「資本市場を勘案して認められたんだろう。しかし武藤さんには、いずれ遮水壁を作ることは変わらないということを確認した。武藤さんは私に『遅滞なく進める』と約束した」
――しかし遮水壁は進みませんでした。
「その段階ですでに国家プロジェクトとして菅直人首相(当時)から了解もとっていた。費用は『公共事業じゃないから国交省から出すのは無理。だから経産省から研究開発費で出すしかないでしょ』とか検討していた。財務省への説明や国会対応も検討をはじめていた。しかし6月27日に私は突然、補佐官を解任された。あとは分からない」
――後任に引き継がなかったのか。
「引き継いだ。しかしただの与党議員になってくると、情報は入ってこなくなる。しかし、まさかひっくり返るとは思わなかった」
――どうしてひっくり返ったのだと思いますか。
「東電の言いなりになっていたのだろう。その意味で、11年12月に野田政権が原発事故の収束宣言をしたのは許し難い。首相、政権が東電、経産省、エネルギー族などに言いくるめられたのだろう。発足から8カ月も問題をほったらかしにしていた安倍政権も同じだけど」
――現政権の汚染水対策をどう見ていますか。
「遮水壁は1年以上かかるわけだから、一刻も早く、地下水の流れを止めなければならない。山側に矢板を打ち込むべきではないか。地下水をくみ上げるバイパス方式では限界がある。施工は簡単ではないが、矢板を多重多層に打ち込むべきだ」
――体制面で提言はありますか。
「国が全面的にやるしかない。当時も1千億円を投じると決めていたわけだから。同時に、東電の救済スキームは見直しが必要だ。過激と言われるかもしれないが、原発を国有化した上で、いまのスキームを見直すべきだろう」
――対策組織が乱立している政府内の体制についてはどうですか。
「経産省や原子力規制委員会の立ち位置がはっきりしない。今の組織でやろうとすると、どうしても責任の所在がはっきりしないままの議論になってしまう。要は責任大臣がいない。内閣全体で事に当たるとか言っているのはダメだよ」
「汚染水は政権の問題だけじゃなく、議員の資質の問題だ。自民党だろうが民主党だろうが、疑ってかかることが大事だ。論理的な考え方をして対策をうつというプロセスをしっかり進められる人がいないといけない」
(聞き手は経済部 高橋元気)
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