http://www.asyura2.com/13/genpatu33/msg/602.html
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皆さん、福島第一原発の汚染水問題に関心が向いている様子ですが、汚染水問題は故意に話題化されているのです。なぜなら、2011年の3月から半年程度の期間も今と同様に汚染水は海にただ漏れしていたわけで、半減期の短い放射性物質が大量に存在し状況は今よりもずっとひどかったからです。そういったときに汚染水問題が話題に上らず、今頃になって関心を向けてもある意味手遅れです。
実際、汚染水問題は主に海外メディアによって、2020年オリンピック開催地の選考会場で急に言い出されたのです。しかし、ごく常識的に考えて、250キロ離れた福島第一原発からの汚染水が東京に、それもせいぜい数週間しか滞在しない選手や観光客に影響があると考えるのはとても不自然です。福島第一原発事故の放射能汚染の危険性を指摘するのであれば、今でも大気中に漏れている放射性物質の東京での影響とか、路上やグランドに降り積もっている黒い物質などの細かいチリに付着している放射性物質のことを問題視するのであれば、まだ実質的な意味があります。このことはごく普通に分かることであり、海外メディアがこのことを質問しなかったのは、このことについて「考えるな」というメッセージが日本国内だけでなく世界的に広く出されているからでしょう。
では、実際に、今でも福島第一原発から大気中へ出ている放射性物質の影響や環境中に降り積もった放射性物質の微粒子の影響は無視しても大丈夫なのでしょうか。
これに対する答えは明確にノーです。なぜなら、チェルノブイリ原発事故では、今の福島県内の浜通りや中通はもちろんのこと、今の首都圏のかなりの部分で現在観測される空間線量で、強制的、または任意の避難が認められる地域とされ、それでも現在、ウクライナやベラルーシの多くの都市で新生児の半分以上が健康上何らかの問題を持っているということが、2011年の3月以来、日本から繰り返し何度も現地を訪問している各種の視察団によって報告されているからです。
実際、福島県内の事故時に18歳以下の人たちを対象にした甲状腺検査では相当に多数の甲状腺がんが発見されています。
福島県の学童を対象にした甲状腺検査結果の8月20日公表分が次のURLで見れます。
http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/250820siryou2.pdf
2次検査は1次検査でB判定、またはC判定を受けた方が受けることになっているということです。資料によると、「必要に応じて細胞診等」と書かれていて、何を基準にして細胞診を受けることになるのかが書かれていない様子です。
福島県での甲状腺検査の手順は次のようになっています。
1.福島原発事故時に18歳以下の住民は全員1次検査を受ける。1次検査は基本的に甲状腺のソナー検査。
2.今までに216809人が1次検査を受け、B判定が1279人、C判定が1人出ている。これらの方が2次検査を受ける。
3.2次検査は「精密な超音波検査、尿検査、血液検査、必要に応じて細胞診等」となっていて、細胞診は2次検査対象者の一部が受ける。
4.穿刺細胞診を実施した子どもは206人で、そのうち約20%にあたる43 人が悪性または悪性疑いと診断された。(甲状腺がん手術を行って、良性結節との診断を受けた1人を除く)
5.細胞診で悪性または悪性疑いになった方が実際に手術を受けてガンかどうかがやっと分かる。いままでに手術を受けたのは19名で18名が乳頭がん。
つまり、福島第一原発事故以前は小児甲状腺がんの発症は10万人に一人とかまたは100万人に数人とも言われていて、現状でも発症率が相当に高いのですが、これらの数値が単にまだ穿刺細胞診検査や手術をしていないため低く抑えられている可能性があるのです。
更に、8月20日の第12回県民健康管理調査検討委員会とその前回分の資料で、甲状腺検査結果の「悪性ないし悪性疑い」の性別・年齢別の分布のグラフで矛盾が生じているという指摘が一部のジャーナリストからされています。( http://no-border.asia/archives/13697 )その結果、8月22日以下のような訂正が福島医大からされています。
以下http://no-border.asia/archives/13723より引用:
第11回福島県「県民健康管理調査」検討委員会資料の誤りについて
大変お待たせいたしました、表題の件について、
誤りの経緯及び原因について確認ができましたので下記にて回答いたします。
なお、本経緯の詳細については、県及び国民の皆様に対しても追ってご報告致します。
非常に重要な公開データに誤りがあり、各方面に多大なるご迷惑をお掛けしましたこと、
深く反省し、お詫び申し上げます。
《修正箇所》
@細胞診結果
平成23年度の平均年齢を「17.3±2.0歳」⇒「17.2±1.9歳」に修正
平成23年度の震災当時年齢を「震災当時11-17歳」⇒「震災当時11-18歳」
平成24年度の平均年齢を「16.1±2.6歳」⇒「16.1±2.8歳」に修正
A細胞診で悪性および悪性疑いであった28例の年齢、性分布⇒グラフを修正
《経緯》
8月20日に開催された第12回の検討委員会資料を、8月8日に県に提出後、県より8月12日に数値等について誤りがあるのではないかとの指摘が医大にあった。
そのため、まず第12回分の内容を精査し、指摘通りの誤りがあることが判明した。
誤りについて検討委員会で差替えを行った。
その後、同じデータを含んでいる第11回の内容についても精査したところ誤りを発見し、
8/20の検討委員会終了後に訂正したものを公開した。
《原因について》
(1)平成23年度の平均年齢、震災当時年齢
資料作成にあたった者が、対象となる方々の生年月日のデータから算出したが、1名について「二次検査時点の年齢」ならびに「震災当時年齢」の算出ミスがあったため。
(2)平成24年度の平均年齢
標準偏差の計算結果2.8を2.6とするタイプミスがあった。
(3)年齢・性分布グラフ
28例の年齢、性分布グラフを作成する際、「二次検査時点の年齢」から2年をマイナスしたものを「震災当時年齢」としていた。
またグラフ化する際にデータ加工者のソートエラーにより年齢と性別が一致していないことが判明した。
「震災当時年齢」について正しい年齢に修正し、ソートエラーも修正した。
これにより年齢ごとの人数、年齢ごとの男女構成数が変わった。28例の元データに誤りはなく、性比に変更はない。
いずれもデータ加工処理過程における精査とその後のチェックの徹底がなされていないことに起因している。
第11回の検討委員会で初めて作成した資料であったこと、当該データに触れることができる者が限定されており、多くの者によるチェックを経ることができなかったことが要因と考えている。
《今後の対策》
今後は、データ集計者及び関係者に対し、何よりもデータ精査の重要性の認識を徹底していくとともに、日常的にデータ作成時のダブルチェック体制を確立していく。
さらに、検討委員会資料作成時には、データ、資料のチェック体制を新たに構築する。
従来は、甲状腺検査部門は業務が多岐にわたることから、これまで個別に担当する業務ごとに資料作成に当たり、チェックをしてきたが、提出資料作成時にはそれを統括してチェック、確認をするため、業務内容と責任体制を明確にしたチームを構成し、思い込みやうっかりによるミスの低減を図っていく。
以上引用終わり。
上の訂正資料では軽く流されていますが、実際には次のような違いがあったのです。2011年の事故時の年齢別に「悪性ないし悪性疑い」の症例をグラフにしているのですが、今年5月の発表分である第11回と8月発表分の第12回とでは次のような食い違いがあったのです。
以下 http://no-border.asia/archives/13697 より引用:
※11歳
11回:男子3、女子0
12回:男子0、女子1
→男子3名減少
※15歳
11回:男子3、女子0
12回:男子2、女子3
→男子1名減少
※17歳
11回:男子2、女子4
12回:男子3、女子3
→女子1名減少
※18歳
11回:男子2、女子0
12回:男子0、女子7
→男子2名減少
以上引用終わり。
今年5月よりも8月の段階では細胞診を実施した人数がどんどん増えていくわけですから、このように「悪性ないし悪性疑い」の人数が減少することは原理的にあり得ないのです。このようなミスの原因として「『二次検査時点の年齢』から2年をマイナスしたものを『震災当時年齢』としていた」と言うような説明がされていますが、かなりの程度不合理です。
つまり、今までに22万人余りが1次検査を受け、その中からほぼ確実に甲状腺がん発症が40名あまり出ていることが明らかになっているのですが、実際にはその数倍以上が甲状腺がん発症している可能性がかなりの程度あるのです。または、そのことが確実と言ってもいいほどです。
放射性物質の微粒子は何も原発周辺にとどまっているわけではありません。周囲にガラスの壁があるわけではなく、当然相当に広範囲に、つまり、例えば九州や北海道にさえある程度は拡散しているのです。
つまり、まずやるべきは、どんな基準で「細胞診」を受ける受けないを判断しているのかを明らかにすることです。これが明らかになると、多分、今の小児甲状腺がんの発症数が実際はその数倍はあることが明らかになるはずです。
更に、既に明らかになっている小児甲状腺発症数だけで判断しても福島県内からの学童の避難は必要なのですから、福島県内やその近隣地域からの学童などの避難を政府が保証するべきです。
これらのことは、やろうと思えば十分にできることです。そして、それにもかかわらず行われていないのです。汚染水問題は、既に対応がされていて、これ以上の対応はほぼあり得ません。よって、世論が関心を向けるべきは汚染水問題よりも小児甲状腺がんの検査方法の公正さとその情報公開であり、学童の汚染があまりされていない地域への避難なのです。
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